ドラッグオンドラグーン 終焉の角笛   作:Ruve

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帝国軍の亜人部隊、奴らを戦地に向かわせては我が連合軍は圧倒的に不利になる。
敵部隊を雪原に通すな!


第4節 暴力の荒野

 空から降りてきたレッドドラゴンと、合わせて進んでいたギャラルと七支刀は合流する。待ち受けていたのはゴブリンの部隊。小さい体ですばしっこく、数だけは多い危険な集団。下手に隙を見せればあっという間に斬り刻まれてしまうだろう。

 ゴブリン部隊は赤いゴブリンによって構成されており、やつらはまともに鎧を着ていない。ゴブリンの長所であるすばしっこさを活かして戦うのだろう。

 ギャラルと七支刀を殺すためにゴブリンは次々と走り出す。しかしそこへレッドドラゴンの炎が降り注ぐ。まともな装甲を持たぬゴブリンが軽く蹴散らされてしまう。

 どうにか躱した何匹かのゴブリンが諦めずに走るが、低空飛行したギャラルが素早く接近しデボルポポルで一刀両断する。

 しかし亜人部隊はその程度の数ではない。緑の、鎧を着て盾を構えるゴブリンや、少し大柄のゴブリンも現れ殺到する。後方にはレッドドラゴンを迎撃するために大砲を構えている部隊の姿も見える。

 ここからは自分も剣で戦うべきだと感じたカイムは地上に降り立つ。それぞれ言葉を交わすことなく走り始める。神器による圧倒的な質量の暴力を振るえる七支刀は大柄のゴブリンを、飛んで素早く接近できるギャラルは後方の部隊へ、残りのゴブリンはカイムが足止め……いや、皆殺しだ。

 人間の帝国兵とは違い、しっかり鎧を着込んでいる訳ではないゴブリンは容易に剣で斬り裂かれる。ドラゴンを警戒しつつも接近するギャラルを迎撃しないといけない大砲部隊は、それぞれの警戒が中途半端になってしまい当たる玉を飛ばすことができない。慌てて大砲を放棄し逃げ出そうとする亜人共を、先回りしたギャラルは両断していく。

 大柄のゴブリンは弱そうな女が来たと舐めながらも、その体格に見合った棍棒を構える。しかしその棍棒がまだ少し届かない距離で神器の力が解放され、棍棒など目でもない大きさへと変化する。木製の棍棒と神器、鍔迫り合うこともなく棍棒が折れ、そのまま刃がゴブリンの体に突き刺さる。せめて一思いにと深く突き刺す。その力に戸惑いながらも来る残りのゴブリンだが、結果は同じだ。

 緑のゴブリンと、増援として現れた赤のゴブリンはカイムへと向かう。これだけの数なら人間一人くらい簡単に取囲み斬り刻み、晒し上げの一つでも行えてもよかったのだが現実は違う。カイムの放つ炎の魔法により、最低限の鎧を着た緑のゴブリンが焼き払われていく。倒しきれなかった緑のゴブリンも串刺しにいていき、死体を目眩ましとして他のゴブリンへと放り投げる。

 

「そなたら、笑っておるな?この者達を刃で切り刻むのがそんなに楽しいか?」

 

 後方からその他連合兵に守られつつも戦場を観察しているヴェルドレが、七支刀以外の二人を見て呟く。圧倒的な戦力で亜人部隊を壊滅させていく頼もしさと、笑みを浮かべながら殺戮する者たちへの恐怖が混ざっていた。

 

「危ない!」

 

 緑のゴブリンを殺していくカイムだが、赤のゴブリンにも緑のゴブリンの死体を利用し隠れて接近している者がいた。カイムも気づいてなかったが、大砲部隊を壊滅させ戻ってきたギャラルの鋭い声によりなんとか剣を防ぐ。ゴブリンの剣は軽く、そのついでで斬り飛ばしまた一つ死体を増やす。

 圧倒的な戦力差だった筈が壊滅的させられた亜人部隊、指揮官部隊が雪原の方向へと逃げ出し始める。七支刀は逃げる者まで殺すべきではないと、一度立ち止まりカイムの様子を見る。しかし、レッドドラゴンに乗ったカイムは追撃すべく追っていた。

 

「背を見せて逃げゆく敵にとどめをうちこむ……神よ、我々は正しいのですよね?」

「でも倒しておかないと、別の部隊と合流されるわよ?全滅させないと。ぬひひ」

 

 いつものように、子供らしい無垢な表情で笑うギャラルに、やはりヴェルドレは恐怖を覚える。間違いなく、イウヴァルトの襲撃の一件から何かが変わってしまったのだ。しかしそれはヴェルドレとて同じこと。そのことをあまり強く指摘はできない。

 それに、帝国領土での決戦が近づいている状況で、そちらに合流する部隊が増えるのも良くないのもまた事実。

 カイムとレッドドラゴンを追うように進軍していく。そのさなか、荒野に広がる亜人の死体の山と広がる血を見て呟く。

 

「これだけの死骸、手向ける花も枯れてしまうな……」

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