ドラッグオンドラグーン 終焉の角笛   作:Ruve

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女神フリアエが捕われている空中要塞。

カイム達の届かぬ高みから、愛に溺れし親友イウヴァルトが舞い降りる。情熱に輝くその眼には、もはやフリアエの姿すら映ってはいなかった。


第2節 黒きドラゴン

 2匹のドラゴンによる戦いが始まった。

 お互いのドラゴンが、赤い炎と青い炎を放ち、またお互いにそれを避けていく。

 

「俺は力を手に入れた!だからフリアエも手に入れる!フリアエ!」

 

 カイムへと高らかに宣言するイウヴァルトに、カイムは怒りの感情を見せる。しかしそこにあるのは怒りだけではない、親友だった筈の彼と殺し合わなければならないこの状況に至るまで、拗れてしまった友情への悔恨もあった。

 帝国に墜とされた彼を救うすべは、ない。

 2匹のドラゴンが離れ、追いかけ、交差し、炎をぶつけようとする。しかしどちらも素早く横に、上下に、時には前後へと距離を簡単に取ってしまう。

 レッドドラゴンが今まで見せてきた強さ、それと同じだけの強さを持つ存在との戦いであることを示す戦いに、ギャラルは改めて自身の無力さを痛感させられる。

 直接的な戦闘が得意なキル姫なら、これだけの戦いにも対等に渡り合えるのではないかとさえ考えてしまう。実際、ギャラルホルン、つまり角笛のキラーズと適合しているギャラルは、支援の方が得意であるのだ。

 ブラックドラゴンは焦れたのか、より高く飛び上がり炎を溜めていく。明確な隙を見てたのは初めてだ。この瞬間を逃すまいとレッドドラゴンが炎を直撃させる。

 手応えはあった。しかし、流石に一発当てただけで殺しきれるものでもない。炎を耐え抜いたブラックドラゴンから、大魔法が放たれる。

 炎はその場で分裂し、幾つもの追尾弾へと変えレッドドラゴンを襲う。先程まで相手していた一つ目や兵器のソレとは、数も速さも正確性も何もかもが違う。レッドドラゴンは急降下し、そこから前進してすれ違うようにくぐり抜けていく。カイムとギャラルの真上を掠めていく炎に、ギャラルはひっと小さく悲鳴を上げてしまう。

 更に、お返しとばかりにレッドドラゴンも大魔法を放つ。同じく、炎が大量の追尾弾へと変えブラックドラゴンを襲おうとする。

 ほとんど真下から放たれた大魔法に、レッドドラゴンと同じような避け方は出来ないと考えブラックドラゴンは逃げるように飛び回る。上手いことブラックドラゴンは追尾弾を撒いていくが、レッドドラゴンの目的は大魔法を直撃させることではなかった。

 ブラックドラゴンが逃げる先へと、全く別の方向から炎が飛んでくる。その炎を避けようとすれば、撒ききれていない追尾弾を全て食らうことになり、また追尾弾を撒くためには炎へ自ら突っ込むしかない。瞬時に判断しきれなかったブラックドラゴンは、そのまま炎の中へ飛び込んでいく。

 

「俺は……誰だ?うっ……頭が……フリアエ!フリ……アエ?」

 

 炎の衝撃か、或いは偶然なのか、その直後にイウヴァルトの様子がおかしくなっていく。

 

「フリアエッフリアエッフリアエッフリアエッフリアエフリッアエフリアッエッエフリッアッエッフリフリフリブリブリブリブリ」

 

 まるで壊れてしまったかのように、いや、本当に壊れてしまったのか、フリアエの名を叫ぼうとするイウヴァルト。錯乱しているのか、或いは歌を歌うことが出来ないのか、カイムにもギャラルにも何も分からないが正気でないのは確かだ。

 しかしブラックドラゴンは止まらない。先程のカウンターをしたいのか、またレッドドラゴンよりも高く陣取り炎を溜めていく。

 レッドドラゴンはもう一度、隙を狙い炎を撃ち込むがブラックドラゴンに当たることはない。ブラックドラゴンが放った炎は、分裂することもなくレッドドラゴンの炎をあっけなく飲み込み、攻めの姿勢に入っていたレッドドラゴンを襲う。

 紙一重で巨大な炎を躱すが、炎が過ぎ視界が戻るとブラックドラゴンは背を向け飛んでいた。

 逃げの姿勢に入ったブラックドラゴンに、レッドドラゴンは炎を放とうとするが、何を感じたのかやめてしまう。

 

「天使は飛ばせん!」

 

 イウヴァルトが叫ぶと同時に、ブラックドラゴンは空中要塞に向け飛んでいく。まるでブラックドラゴンを向かい入れるかのように吹く風を見て、レッドドラゴンが言う。

 

「今ぞ!」

 

 ブラックドラゴンを迎え入れる風に乗り、レッドドラゴンと共にカイム達は空中要塞へと飛んでいくのだった。

 レッドドラゴンは感じていた。カイムが正気を失った親友へ情けを覚えてしまっていたこと。

 

「これで良いのであろう?」

 

 風の中で、レッドドラゴンはカイムへと問いかけていた。

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