空で戦っていたカイムも地上へ降り立ち、決戦の時は近づいてくる。
神殿が、ギャラル達の視界にしっかりと映るようになる。祭壇、司教が待つ場所が目の前まで。
七支刀が神器で赤い鎧を纏った槍兵を薙ぎ払う。槍よりも長い神器七支刀を持った七支刀へと、先は届くことはない。
ギャラルは小さく飛び回りながらオーガの背後を取り背中から首元へ剣を突き刺していく。オーガの周りにはゴブリンの死骸が転がっていることから、ゴブリン共はオーガによって殺されていたのだろう。
また、通常の鎧をまとった一般帝国兵を、ヴェルドレが魔術を用いて拘束していく。動けなくなったところを連合兵が斬っていく。一方的に殺すことに躊躇するものは、この隊に残ってはいない。
それぞれがそれぞれの戦い方で、地獄の中を進んでいく。一見バラバラに見える戦いだが、七支刀とギャラルは連合兵に迫る敵を観察し、ヴェルドレが止めきれないのならそちらを殺し、逆に二人へ迫る敵へは連合兵が足止めし、上手いこと連携を取れていた。
ギャラルが合流してから割と順調に進めており、そのまま祭壇へ乗り込むつもりだったが、その途中に空から声が聞こえた。
「待て、祭壇まで進むには鍵が必要だ」
レッドドラゴンだった。上空での戦いを終え、地上付近まで降りてきていた。
「カイムを神殿の前で降ろして確認してきたのだ。あの形状、5本は必要らしいぞ」
そのカイムがレッドドラゴンの背から飛び降り、ようやくギャラル達へと合流を果たす。遂に戦力が集結したのだ。
「あの"声"、諸悪の根源はこの先の神殿にいるのは間違いない!鍵を探し進むぞ!」
街中に出現している"卵"を横目に、カイム達は帝都の中を奔走する。レッドドラゴンも空から、鍵がありそうな場所を探す。
帝都の独特な街の形状は、カイム達を迷わせる。神殿は遠くからでも目立つから方角は分かるし進めるのだが、何処にあるかも分からない鍵となると話は別だ。
カイム達が探索していると、アンデッドナイト達が起き上がりカイム達を襲撃しようとする。そのアンデッドナイトの内1体に、キラリと光るものがついていることにギャラルは気づく。
「鍵ってあれよね!?」
カイムは無言で頷く。神殿で見た鍵の形状を考えると、あれがそうに違いない。
七支刀が吹き飛ばしてもいいのだが、カイムの信義の魔法で凍らせるのが手っ取り早い。カイムは真っ直ぐアンデッドナイトの群れに走っていき、他の全員で周りの帝国兵を止める。
アンデッドナイトはカイムを襲おうとするが、所詮は槍しか持っていない相手だ。届く距離になる前に魔法を放ち、アンデッドナイトを凍らせる。そこから剣を振りアンデッドナイトを砕いていく。その内一体から、鍵だけは回収する。
他の鍵も同じくアンデッドナイトが持っているのでは?と考え、やつらを探し帝都を走り回る。レッドドラゴンも、鍵よりも死体や骨が残されている場所の内、アンデッドナイトとして蘇りそうなものを探し始める。鍵を持たせているのなら、少なくとも再生の卵が呼び出され激しい殺し合いが始まる前から、持っていたと考えそれっぽい配置のものがないかを探す。
それからは、偶然だったり、レッドドラゴンの予想が当たったりして鍵を次々と集めていく。
4本目までは集まったが、最後の1本が見つからない。探し回っている間に、とうとう教会の近くまで辿り着く。
カイム達が辿り着いたその直後、先程までとは比べ物にならない数のアンデッドナイトが立ち上がっていく。最後の鍵は、あえて教会の前に置いてあったようだ。
ここまでで何度も魔法を放ってきたカイムは、この場に現れたアンデッドナイトを全て凍らせるのは無理だろうと判断する。ギャラルへと目配せをすると、すぐに気が付き頷く。
「カイムが魔力切れみたいだから、七支刀、お願いするわ!」
「分かりました。巻き込まれないように離れてください」
体力の消費を抑えるために、元の大きさに戻していた神器を巨大化させる。鍵ごと破壊してしまないように、どれが持っているのか確認する。
七支刀より先に発見したカイムは、持っている1体へと魔法を放ち凍らせる。他のアンデッドナイトの攻撃をくぐり抜けその1体に近づき、鍵だけ奪い離れる。
カイムが回収したのならもう遠慮はいらないと、神器を振り回し始める。骸骨になっているアンデッドナイトに、高い質量を持った神器の攻撃を受け止められる筈もなくバラバラに粉砕されていく。
5本の鍵は揃い、神殿までの道を邪魔するものはいなくなった。
「いよいよ……最後の時が近付いているようだな」
神殿に突入すれば最後、待っているのは司教との決戦だろう。感慨深そうに、レッドドラゴンが呟いていた。