ドラッグオンドラグーン 終焉の角笛   作:Ruve

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激闘の末、司教マナの居る神殿に辿り着いたカイム達。
すべての源流であるマナは微笑む。
祭壇の前で、悪霊と憎悪に護られながら。


第5節 あがき

 神殿内部に突入したカイム達、そこでは帝国兵が待ち受けるようにして立っていた。

 今まで見た帝国兵よりも大柄で、その大柄さに見合った巨大な盾と剣を構えている。狭い場所で尚且つ体格的にも勝てそうにないギャラルは一旦下がり、カイムと七支刀が前に躍り出る。

 七支刀は帝国兵の振る剣を軽く受け止め、弾き返し怯ませる。体勢を崩した所にカイムが斬りかかり盾を弾き、返す刀で帝国兵の首を斬り飛ばす。

 そのカイムを狙うように襲いかかる帝国兵を七支刀は抑えに行くが、その行動を予想して死角からもう一人が襲いかかる。

 何とかカイムは防ぎ、直撃は免れたものの体勢を崩されて倒れてしまう。

 

「大丈夫か!?おのれ、調子にのりおって!」

 

 流石に神殿までは入れないレッドドラゴンは外から見守っているが、カイムが傷つけられることと、そのカイムへ手助け出来ない歯がゆさに吠える。

 カイムが体勢を立て直す間に、ギャラルが帝国兵とカイムの間に割り込み剣を振る。しかし簡単に盾によって塞がれてしまう。そのまま盾を突き出しギャラルの身体は飛ばされてしまう。だがそれで十分だった。ギャラルを追い打ちしようと狙う帝国兵を、今度はカイムが死角から狙い殺した。

 そんな調子で何とか帝国兵の猛攻を凌ぐが、更にはアンデッドナイトや悪霊までが姿を現す。

 

「マナの身は悪霊たちによって護られておるぞ。……悪霊に魂を売りおった司教め!」

 

 司教という立場にありながら、悪霊さえも使い身を守る司教へとヴェルドレが叫ぶ。しかし、司教の耳にそんなつまらない言葉は届かない。それに、司教が魂を売ったのは悪霊ではない。

 悪霊の群れが魔法を飛ばし、不死身の兵が前線を張り、更には帝国兵がその間を刺してくる。司教の守りだけあって、今までよりも固い布陣で襲いかかってくる。

 悪霊へは、ヴェルドレが魔術を唱え返し何とか拘束していく。その間に七支刀がアンデッドナイトを粉砕し、帝国兵へはカイムが対処する。そうして出来た隙間をギャラルがくぐり抜け、悪霊を斬り払っていく。

 それぞれの対処をし進んでいくと、遂に祭壇が見えてくる。そこにいるは、天使の教会の司教マナ。くるくると回りながら、楽しそうに呟いている。

 

「ラララララ、ララ、天使の行進!交信!口唇!ラララ……」

 

 司教を守るように、次々と悪霊が湧いてくる。更にその悪霊を呼び出しているであろう、魔術師の姿もある。

 

「封印の解かれし今、それらすべてが無駄なあがき……わたしを捕まえられる?」

 

 余裕そうにカイム達を挑発する司教へとカイムは敵意を向けるが、悪霊の壁が厚くすぐに殺せそうではない。

 また3人で連携し、悪霊とそれを呼び出す魔術師を殺すことを優先する。

 

「まだだ!追いつめろ!逃がすな!やれ!!!」

 

 レッドドラゴンの熱い声援が届く。やはりこの戦いに手を出せないのが悔しいのだろう。

 ただ、それ以上にカイムへの想いもあるのだろう。以前のレッドドラゴンなら、ここまで必死にはならなかっただろうと、しばらく離れていた七支刀にも理解できた。

 それぞれが振る剣によって悪霊は消え去り、丸腰になった魔術師も剣の錆に変わる。

 等々一人になった司教マナ。カイムはマナへと剣を突き付ける。

 

「この世界をここまで滅ぼした罪、貴様に償ってもらうぞ!」

 

 レッドドラゴンが怒りと共に叫ぶ。カイムも、マナへの怒り、憎しみ、殺意、様々な黒い感情を滲ませ剣先を向けている。

 等々余裕も失ったのか、マナも怯えた様子でカイムから距離を取る。

 そんなマナの様子を気にもとめずに剣を振り上げるカイムだったが、誰かがカイムの腕を掴む。驚きながら振り返ってみれば、七支刀だった。

 

「確かにその子は許せないことをしました。ですが、殺さなくても!」

 

 これまでも帝国兵を殺し続けることへの忌避感を持っていた七支刀は、全ての元凶にして諸悪の根源である司教が、こんな幼い子供であることに衝撃を受けていた。だからこそ、カイムを止めようとした。

 それでもカイムは止まらないだろうとこれまでの行いを見て思っていた七支刀だが、意外とカイムは素直に剣を降ろす。

 

「……神官長としての務めを果たさせてくれぬか?」

 

 ヴェルドレが二人の前へ歩く。神官長としてやるべきことを見失っていた彼だが、カイムを止めた七支刀を見てやるべきことを理解した。

 ヴェルドレもまた、このような幼子に死を持って償わせるのは酷だと感じたのだ。しかし放置することも出来ない。ならばせめて、封印をしようと考えたのだ。

 カイムは、七支刀に言われて素直に剣を降ろしたことを自分でも驚いていた。少し前の自分なら静止を振り切り殺していただろうと。そうなるだけの変化が、自分にあったことを。

 ギャラルも思うところがあったが、カイムが望む結果になるのなら、余計な手出しはしない。ヴェルドレがマナを封印しようと呪文を唱えだすのを見て、自分もかつては封印されたのだとぼんやり考えていた。

 しかし、先程まで怯えていたマナに変化が起きる。呪文のせいで、彼女がした呟きはギャラルにしか聞こえなかった。

 

「人間どもめ……まだ生き延びようとするのか!醜い……醜いぞ!!」

 

 まるで自分は人間ではないかのような呟きだった。

 ヴェルドレの呪文は完成し、封印の魔術が放たれる。複雑な文様を描いた術はマナへ飛んでいき、封じようとする。

 

「グアア……!おのれ……」

 

 しかし、マナを封じるどころか、巨大化し始めた。封印に抵抗するように巨大化していき、遂には封印を破壊する。

 巨大化は留まることを知らず、広い祭壇の天井をも突き破っていく。カイム達は建物の崩壊に巻き込まれないように走る。

 

「封印を破り巨大化するとは……あの幼子は何者ぞ?」

 

 唖然としているヴェルドレも七支刀とカイムが引っ張り、神殿から脱出する。

 巨大化したマナは上空へと飛んでいく。

 

 マナを倒し、この戦いに終焉を!

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