ドラッグオンドラグーン 終焉の角笛   作:Ruve

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いよいよ帝都祭壇の奥に追い詰められたマナ。
殺意を高めるカイムだったが、ヴェルドレがそれを制止する。
そんなに罪深いとはいえ、その幼さでは死は重すぎる。

その情けを踏みにじり、神の力によって巨大化した司教マナ。
奴の攻撃をかいくぐり、終焉を!


第6節 墓場なき戦い

 レッドドラゴンの背に、カイムとギャラルが乗り空へ羽ばたく。巨大化したマナの待つ帝都の空へ。

 

「わたくしはここからでは手伝えませんが、お願いします!」

 

 レッドドラゴンと共に行っても何も出来ない七支刀は、地上にてカイム達の勝利を祈る。封印さえ破ったマナが何者なのか、疑問を捨てきれないヴェルドレもまたカイム達の戦いを見るしかない。

 

「カイム!我との約束を覚えておるか?……絶対に死ぬな!」

「大丈夫、ギャラルが守るから。命に変えても!」

「ギャラルも馬鹿を言うな。死して救えるほど、この男は甘くないぞ!」

 

 レッドドラゴンとギャラルが言葉を交わしつつ、目の前の強大な存在へと近づいていく。

 接近するレッドドラゴンに気がついたマナは、魔力の弾を幾つも作り出し一斉に射出する。

 その弾はいずれも今までに見てきたものとは、比べ物にならない速さでレッドドラゴンへ飛んでくる。紙一重で躱すものの、もう少し近づいていたら避けきれてなかっただろうことを理解する。

 

「グヴェーゲェーヴォ ゲゲ ヴォ ヴォゲェゲゲ」

「幼子の叫びは聖母に向けられているのか……?おぉ、神よ……」

 

 マナはおぞましい声を上げる。余りの圧に、レッドドラゴンも、カイムも、ギャラルも、怯んでしまう。しかし、折れてはいけないのだ。あれを倒せば全てが終わるのだ。

 接近しながら炎を吐き、何度もぶつけていくが効いているのかも分からない。

 レッドドラゴンの炎を拒絶するように、マナの周りに巨大な結界が出現し弾き飛ばされる。再度炎をぶつけるが全て弾かれてしまう。

 

「ギャラルの魔力なら、きっとあれを壊せるわ!」

「もう後のことなど考える必要はないぞ。全力でやれ!!!」

 

 ギャラルは神器ギャラルホルンを演奏する。しかし、今までの比ではないほどの魔力を込め、神器の能力を完全に解放しようとする。

 ラグナロクの始まりを告げたという伝承を持つこのキラーズには、終焉を呼び寄せる力が備わっている。終わりを示すための、破壊の力もある。

 レッドドラゴンの背後へと、いつもの扉が出現する。しかしその大きさは普段の数倍はあるであろう巨大なもの。終焉の力が封じられた扉が開き、終焉の化身と化した獣が現れる。

 獣が口を大きく開くと、込められていた力が解放されマナのまとう結界へと放たれる。……しかし、弾かれはしないものの結界を破壊するには至らない。

 ギャラルホルンの演奏は止まらない。結界を破壊しきるために、魔力が枯渇してでも止めないくらいの気力で演奏を続ける。暴力的な魔力の放出は続き、遂に結界へとヒビが生えていく。

 

「……今よ!」

 

 レッドドラゴンが追い打ちをかけるように大魔法を放つ。レッドドラゴンから放たれた無数の炎が結界のヒビへと飛んでいき、結界が破壊された。

 

「グヴェーゲェーヴォ ゲゲ ヴォ ヴォゲェゲゲ!」

 

 マナは叫ぶ。それは世界への憎悪なのか、聖母への愛なのか、或いは心を失い獣のように叫んでいるだけなのか……

 マナの全身から、大量の魔力が放たれる。それは帯となり輪っかを形成し、レッドドラゴンを襲うように広がっていく。魔力の輪は一つだけではなく、無数に生まれレッドドラゴンの道を潰していく。

 

「弱点だ……奴がいかなる姿になろうとも、必ず弱点があるはずた!」

 

 マナの大きく見開かれた赤い瞳が、カイム達を睨み続ける。魔力の輪に紛れて魔法弾を作り出し、レッドドラゴンへ飛ばそうとする。

 魔力の輪によって逃げ場などほとんど残っていない状況で、あの速さと精度の弾が飛ばされれば間違いなく避けれない。そう判断したギャラルは演奏を再開する。先程の攻撃で魔力の大部分を使ってしまったが、相手の弾を相殺する程度なら出来るはずだと、限界を訴える手を無視する。

 終焉の獣から放たれた魔力がマナの放つ弾と上手いこと相殺し、レッドドラゴンは難を逃れる。……いや、上手くいくだろうと信じていたレッドドラゴンは、避けようともしていなかった。

 魔力の輪と輪の隙間を狙い、炎を吐き続ける。炎をぶつけるたびにマナの持つ魔力は膨れ上がり、輪の数も増えていく。

 

「こいつは敵だ。そう……ひるむな。敵なのだ……人類の!」

 

 人類の敵。あれほど人類を見下し侮蔑していたレッドドラゴンが、ハッキリとそう言ったことにカイムは驚く。

 熾烈になる魔力の攻撃を掻い潜り、ひたすら炎を吐き、吐き、吐き続ける。

 ギャラルは遂に限界に達し演奏を止めてしまう。焼けるように熱い頭で、それでも背中から振り落とされないようにカイムへとしがみつく。カイムもそんなギャラルの手をしっかりと握る。

 レッドドラゴンの猛攻の中、マナのまとう魔力も限界へと膨れ上がっていた。放たれていた魔力の帯も、しっちゃかめっちゃかに解放されマナの周囲は魔力の嵐にさえなっていた。

 巻き込まれる前に何とか離脱するレッドドラゴン。マナの魔力の暴走が落ち着くのを待ち、最後に放たれた巨大な魔力の輪もくぐり抜けもう一度接近する。

 トドメと言わんばかりに巨大な炎を溜め、マナへ返す。まともに直撃したマナは、神から得ていた力を全て失い、空を飛び続けることも出来なくなる。

 ゆっくりと落下し始めるマナ。空へ向かい手を伸ばし、マナは叫ぶ。

 

「オガーザーン! オガーザーン! オガーザーン! オガーザーン! ゴォーッ!」

 

 断末魔のように絶望の声を上げ、マナは教会へと墜ちる。

 母を求めて叫ぶマナに、ギャラルは自分のことを考えていた。もしかすれば、自分もああなっていたかもしれないことに。

 

 レッドドラゴンに敗北し全てを失ったマナへ、聖母は微笑まない。

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