ドラッグオンドラグーン 終焉の角笛   作:Ruve

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「天使の教会」の宮殿を目指すカイム達は、襲いかかる帝国軍を蹴散らしつつ進んでいた。
宮殿に蔓延る帝国兵を斬り刻み、姿を現した司祭を追撃する。


第八節 救済と殺戮

 "宮殿"の周りに、次々と司祭が現れる。それらは分身なのだろうとカイムは気がつくが、気にせず斬りかかる。

 七支刀は、分身なら自分の呪術で消せないかと考えるが、自分に向けられて飛んでくる無数の魔力弾を見てそんなことをしている余裕がないことに気がつく。

 弾幕のように飛んでくる弾を、カイムはひらりと躱し司祭の分身に迫る。一刀両断し、止まることなくカイムは走る。

 七支刀も、神器を構え弾を受けながら走っている。全て躱せる自身はないので受けながらになるが、神器なだけありちょっとのことで壊れるような代物ではない。何とか分身の一人に近づき斬るが、その間もものすごい速さでカイムは分身を蹴散らしていく。

 この道中で見てきたが、カイムはかなり強い。下手なキル姫よりも強いではないだろうか。……例えば、自分とか。

 自信をなくしながらも、カイムに負けじと剣を振る。そうこうしてる間に全ての分身を蹴散らすが、肝心の本体が見当たらない。

 

「いたぞ。神殿の中に逃げ込んだようだ」

 

 アンヘルが、空から司祭の姿を発見する。それを聞くとカイムは真っ直ぐ神殿という名の廃墟へ飛び込んでいく。

 七支刀も遅れて神殿へと向かうが、やはり攫われたエルフの人達の姿はない。それを確認し進むと、司祭は既にカイムによって斬られていた。

 

「エルフ達はどこか別の場所に運ばれてしまったか」

 

 そう呟くアンヘルに、カイムは剣を向けながら帝国の目的は何かと問う。元々契約する前は帝国軍に捕まっていたのだ、何か知っていてもおかしくはない。

 

「帝国軍の目的?我が知るはずなかろう。人間の考えはあまりに卑小すぎて、我には想像もつかぬわ」

『ああ、おまえに聞くのが間違っていたか。考えることもできないんだな』

 

 いつも通り人間を見下すアンヘルへと、これまたいつも通り辛辣な返しをするカイム。

 その様子を見ていた七支刀が、カイムへ声をかける。七支刀はここまでで気になっていたことがあったのだ。

 

「カイム様、質問よろしいでしょうか」

 

 カイムはうっとおしそうに七支刀を見る。見ず知らずの女に様を付けて呼ばれる義理はないし、無駄に丁寧な態度なのも癪に障る。ただ、質問を断る理由もなければ、断れる口もない。

 

「カイム様は、その、戦いを楽しんでいるのですか?」

 

 戦いのさなか、カイムはずっと笑っていた。楽しそうに、殺戮をしていた。それがあまりにも気がかりであった。

 それは、まるでキル姫のような……

 そう考えかけるが、そうだったかと首を傾げる。別に、キル姫だって戦いを楽しんでいるものばかりではない。

 

『ああ、帝国の奴らを殺すのは楽しいさ。悪いか?』

「愚問のようだな。こやつの頭には復讐しかないぞ」

「復讐、ですか」

 

 あまりにもくだらない質問に、カイムは笑う。神妙な顔をしている七支刀が滑稽でたまらない。

 両親が殺され国が滅んだあの日から、帝国を憎み続けてきた。しばらくはフリアエといたが、そのフリアエも封印の女神になってしまい離れ離れ。それからずっと戦いの日々だった。

 七支刀のことがどうでもよくなったカイムは、気にしていたことを確認するために司祭の顔を覗く。やはり、眼が赤い。

 これまで戦ってきた、全ての帝国兵がそうだった。そんな都合のいいこと、あるか?

 

「赤い眼がどうかしたか?」

 

 アンヘルはそこまで気づいていないので、カイムが何を気にしているのかは分からなかった。

 直後、ヴェルドレからの声が届く。それも、緊迫したものだ。

 

「ヴェルドレ!?……何かあったようだ。砂漠へ急ぐがよい。女神にも危険が迫っておるかも知れぬ」

 

 アンヘルがそうカイムに声をかけた時、宮殿へ入ってきた者がいた。見た感じ、帝国兵ではない。

 

「た、助けてください!我々の村が、帝国軍に……」

 

 そう言うと、カイムの元へフラフラと歩いていく。

 

「大丈夫ですか!?村は、いったい何処に」

 

 助けを求めてきた男性の元に、七支刀が駆け寄る。男性は七支刀が戦えるとは思わなかったのか、そちらを見るがすぐにカイムへ向き直りそちらに向かって言う。

 

「この先の……妖精の谷です。どうなっていることやら……うぅ」

 

 体力が限界になったのか、カイムの近くで膝を付く。そんな男性を、カイムは蹴り飛ばした。

 

「なっ!?」

 

 あまりの暴挙に七支刀は言葉を失う。帝国兵相手に容赦しないのは敵だし、復讐ともなれば分からなくもない。しかし、助けを求めに来た人にまでそんな態度を取るのは違うだろう。

 そんなカイムだが、男性のことなどもはや眼中になかった。妖精の谷に帝国兵がいる、帝国兵を殺しに行けるとそれだけを考えていた。ニヤニヤと笑みを浮かべながら歩いていく。

 

「おぬし、助けにゆくのか?殺しにゆくのか?」

 

 アンヘルの問いかけに、カイムは答えない。

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