ドラッグオンドラグーン 終焉の角笛   作:Ruve

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村人からの情報で帝国軍の存在をかぎつけ、妖精の谷へ向かうカイム達。ドラゴンの忠告虚しく、憎しみに我を忘れたカイムは、全ての帝国兵を抹殺するつもりでした。

妖精の谷を襲った帝国軍が上空で旋回している。
一掃して、妖精の谷へ進め!


第九節 孤独な戦い

 アンヘルの背に乗せてもらい、再び空へ上がるカイムと七支刀。七支刀は空では無力で、カイムに先程のことを問いただす勇気もなかった。

 

「フェアリー……あの性悪どもの巣か……」

 

 アンヘルがぼそりと呟く。カイムのことを考えていても、今は仕方ないと頭を切り替える。

 フェアリー自体、ラグナロク大陸でそうそう見る種族ではないが、少なくとも性悪だと言われる覚えもなく、首を傾げる。

 

「妖精って、そんなに性格が悪いのですか?」

「口を開けば嫌味と皮肉しか口にしないような奴らぞ」

 

 そう会話をしていると、前方へ帝国軍の気球が姿を現す。どうやら、妖精の谷へ向かっているようだ。

 大砲を向け、アンヘルを迎撃すべく弾を放つがその程度に当たるような貧弱なドラゴンではない。するりと弾を躱し、お返しに炎を撃つと気球は堕ちていく。

 

「我はフェアリーは好かぬ。人間はもっと好かぬがな……」

 

 口を開けば当然のように、人間を蔑む言葉を吐くアンヘルに、七支刀は疑問を覚えていた。何故そこまで人間を嫌うのか。

 カイムが復讐に身を燃やすのは、理解できる範疇だ。しかしドラゴンが人間を見下すというのは、簡単に理解できるものではない。そもそもラグナロク大陸に、人間やそれ以上の知能を有し言葉を話せるのはキル姫くらいしかいないため、より高位の種族が見下すということ自体がない。

 

「レッドドラゴン様は、どうしてそこまで人間を嫌うのですか?」

「愚かだから。そう答えれば満足か?」

 

 人間が愚かとは、七支刀は思わない。人々は協力しあい、手を取り合い生きていけるのだ。泣いたり笑ったりして、今日を必死に生きていくのだ。

 

「帝国のやつらを見て同じことを考えられるのか?同じ種族同士で無意味な殺し合いをし、こやつのような戦いに快楽を見出す男まで生んでしまう」

 

 こやつ、というのはカイムのことだろう。

 アンヘルの言葉を、七支刀は咄嗟に否定することが出来なかった。ラグナロク大陸は、小さな小競り合いや争いがないことはないが、それでも戦争だといった大きな戦いはない、平和な世界だった。

 しかし、今この世界で見ているのはその真逆の光景と言っていいだろう。同じ人間とは思えない。

 

『平和な世界に生きていたやつに、理解できる者ではないだろう。もちろん、争いに関わることのなかったドラゴンにもな』

「ああ、我らは人間ほど醜い生き物ではないからな」

 

 またカイムとアンヘルが言い合いをしていることに、七支刀は気づかない。"声"を聞けるわけでないので、ただアンヘルが人間を馬鹿にする発言をしているようにしか聞こえないのだ。

 

「おまえも、人間の業によって生まれたものだろう?」

 

 アンヘルの問いかけが、自分に向けられたものであることに気づくのに時間がかかった。

 "人間の業によって生まれた"という言葉の意味を理解できずに少し考える。何か、引っかかる。キル姫は別に人間にどうこうされたなんてものではない、キル姫はキル姫だ。……その、はずだ。

 

「森のどこかにフェアリーの棲む谷がある。そこも無事ではあるまいが……降りるぞ」

 

 アンヘルの言葉を聞いて、もう帝国軍の気球を一掃し終わっていたことに気がつく。

 考える時間なんてない。今は目の前のことを見るのを優先し、森の中へ降りていった。

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