ドラッグオンドラグーン 終焉の角笛   作:Ruve

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フリアエやイウヴァルトと共に行動している筈の神官長ヴェルドレ。
彼の"声"による呼びかけに応じ、新たな契約者と共にカイムは砂漠へやってきていた。


第参章 邂逅
第1節 再開


「いいよなあレオナールさん、あのドラゴンに乗せてもらえるなんてねえ」

 

 妖精がレオナールの懐の中で呟いている。彼女の言う通り、レオナールは今アンヘルの背に乗っていた。正確に言えば、七支刀とカイムも含めた三人でだが。

 

「なぜ三人も乗せねばならぬ」

 

 口では言いつつも、封印の女神の元へあるだけの戦力を連れて行くべきというのは理解している。だが、カイムはともかく契約相手でもない人間二人を乗せていることへの不満はあるのだ。

 

「いやあ、その傲慢さに見合った大きな翼があれば、いい景色も見えるんだろうねェ」

「ああ、貴様の口の悪さに見合った矮小な羽根では、見れぬものよ」

 

 いきなりお互いを罵倒し始める妖精とアンヘルに、七支刀は頭が痛くなる。

 レオナールは確かにまともな人物だったが、その契約相手の妖精が碌でもないやつだったのだ。

 

「見えてきたぞ。降りるぞ」

 

 見てみると、入り組んだ岩場の影に複数の影が見える。飛来するドラゴンの姿には流石に気づいたようでどよめいているが、カイムの隊にいた兵士を始めとした数人はアンヘルだと気がつく。

 

「兄さん、よくご無事で」

「ああ、お前が無事でいてくれてよかった。そちらの二人は?」

 

 フリアエとイウヴァルトが、アンヘルから降りた三人へと近づいてくる。

 

「わたくしは七支刀、キル姫……と言って、伝わるでしょうか?」

「ギャラルの仲間なのか?」

 

 キル姫と聞いて少し嬉しそうにするイウヴァルト。その言葉を聞いてカイムは、あの少女が何処にいるかと辺りを見渡し何処にも見当たらないことに気がつく。

 

「ギャラルホルンは、私達を庇い帝国へ連れて行かれました」

 

 そう言いながら歩み寄る人物がまた一人現れる。

 

「私は神官長のヴェルドレです。どうか、彼女を助けてはくださらぬか?」

「女神と神官長を庇い捕まったか。しかし、捕まるような強さとは思えぬな」

 

 短い間であったが共に行動し、それなりの実力があることはアンヘルも認めていた。だからこそ、捕まってしまったことへ疑問を覚える。

 

「赤い鎧の兵士だ。魔法が跳ね返されて、太刀打ちできなかったんだ」

「赤い鎧の……?ああ、失礼、名乗りが遅れました。私、レオナールと申します」

 

 目が見えなくなっているレオナールに、鎧の色までは分からないので理解が追いつかなかった。

 七支刀とカイムも赤い鎧の兵士とは遭遇しているためその存在は知っていたが、レオナールは会っていたかすら分からない。妖精と契約したレオナールはより魔法の方面が強くなっているのもあり、警戒しないといけない相手だ。

 

『まあ、あいつを連れ返せば戦力も増えるだろう』

 

 カイムにとってギャラルの安否はどうでもいいのだが、無事ならば戦力になる。帝国への復讐のためなら手段を選ぶつもりはない。

 

「行きましょう、その方を助けに」

「待ってくれ、俺も彼女を助けに行きたいんだ!」

 

 自然とアンヘルの方へ行き、早速行こうとしていたカイム達の足が止まる。

 

「ギャラルホルンに助けられたのだろう?おぬしが行ったところで、助けになるか?」

 

 イウヴァルトへ、アンヘルが冷たく突き放す。契約者二人とキル姫一人の中に、多少腕が立つとはいえ一般人が入ったところで足手まといにしかならない。

 しかし七支刀はイウヴァルトの様子が気になる。彼のことを詳しく聞いていないのと、今初めて会ったばかりなのもあり、カイムと比べたら弱いことをかなり気にしていることには気がついていない。

 

「……イウヴァルト様、私と共に行きますか?」

 

 だからこそ、彼が助けに行きたいという言葉を純粋な善意と捉え、それを冷たく否定するアンヘルを受け入れられなかった。

 

「いいのか?けど、君みたいな女の子にまた世話になるなんて……」

「私、キル姫ですから普通の女の子ではありませんよ。それに、困ったときはお互い手を取り合うべきだと思います」

 

 アンヘルは小さくため息を吐く。

 カイムは、正直彼がフリアエと共にいることよりもギャラルを救いに行くことを優先しようとしていることに驚いていた。あれだけフリアエに強くこだわっていたイウヴァルトがだ。

 もしかすれば、意識しているからかもしれない。フリアエの前だからこそ、あんな子供に助けられた弱い所を見せたくないのかもしれない。

 そう考えたカイムは、イウヴァルトを止めるつもりはなかった。

 

「私はカイムと共に行きましょう。お二人の無事を祈っています」

「さあ、ゆくぞ!」

 

 カイムとレオナールはアンヘルの背に乗り飛んでいく。

 カイムを見ているフリアエを見て、イウヴァルトはカイムへの嫉妬心を止められない。俺がフリアエの婚約者なのに、フリアエにとってカイムの方が大切なのかと。

 

「女神は私に任せてください。どうか、ギャラルホルンを頼みます」

「七支刀さん、イウヴァルトのことを頼みます」

 

 やはり、自分は頼まれる側なのか。俺が弱いから駄目なのか……

 考えているイウヴァルトの手を引き、七支刀もまたアンヘルを追い砂漠を進んでいく。

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