しかし帝国兵も橋を超えようとしていた。帝国のダニ共を蹴散らして進め!
カイムとレッドドラゴンが地上付近まで降下する。しかしそれを待ち構えているように、弓兵が列を成していた。
「その程度で我を落とせると思うか!」
強気な言葉とは裏腹に、自由に行動できずうっとおしそうにしているレッドドラゴンを察し、カイムは先に地上へと飛び降りる。
弓兵は慌てて眼の前に現れた脅威へと対処を変えるが、カイムは凄まじい速さで肉薄し斬り捨てていく。更に何人かいた弓兵の内、最後の一人へと剣を深く突き刺す。更にもう一突き。確実に殺す。
しかしその隙を狙うように軽装の兵がカイムの背後へ迫ろうとする。その兵がカイムの元へ辿り着くことはなかったが。
「全て焼き尽くしてくれようぞ!」
レッドドラゴンの放った火の弾が次々と地上へと降り注ぐ。弓兵がいなくなり自由に動けるようになったレッドドラゴンの、容赦のない攻撃が帝国兵を塵へと変えていく。
しかし二人の重装の兵士が守りを固め、レッドドラゴンの炎をギリギリで耐えながらカイムへと近づいていく。
そこで逆にカイムから重装兵へと迫った。片方の重装兵は守りに徹し、もう片方が槍をカイムへと突き刺そうとする。それを軽く受け流しながら近づき蹴り飛ばす。レッドドラゴンの攻撃を受け止め動けなくなっている重装兵へと、兜と鎧の隙間から剣をねじ込み殺す。そこから剣を抜き取り、振り向きながらもう一度迫ってきた槍を弾き飛ばし、返す刀で鎧を叩き斬る。
地に伏した重装兵の頭を蹴り飛ばす。そして、踏みつけ、踏みつけ、何度も何度も踏みつけ、満足したのかひび割れた鎧に剣を突き刺した。
少し遠目から、ギャラルやイウヴァルト、それ以外の連合兵達もカイム達の暴れっぷりを見ていた。
鬼神の如き戦いぶりに恐怖する者、カイムの頼もしさに感銘する者、自分も負けてはいられないと感じる者、様々だった。
「カイムはあんなにも強いのに、僕は……」
イウヴァルトは弱々しい声で呟く。
ギャラルもカイム達の戦いに、若干の恐怖心を感じていた。あれはただの復讐なのだろうか。それにしたって、余りにも激しすぎる戦い方だからだ。
「俺はカイムが契約者になる前から勝てなかった。今の俺なら同じ所に立つことさえもできないんだろうな」
「強さだけが全てじゃないわ。貴方の歌は、二人を」
「歌なんかどうでもいい!もっと、もっと力があれば俺がフリアエを守れるんだ」
イウヴァルトは激情を見せる。
ギャラルはイウヴァルトやカイムについて詳しい訳では無い。だからこそ、これ以上余計なフォローも出来ないと考え、そっと離れる。一人で考える時間もあった方がいいだろう。
「あの橋を見ろ。その先にエルフの集落はある」
ギャラル達が合流したのを確認し、ドラゴンは告げる。
しかし、その橋を見れば残った帝国兵がそちらに向かっているのが見える。
「嘘だ、嘘だ!俺はエルフの里を見るまで信じないぞ」
それでもまだ現実を見ようとしないイウヴァルトは、走る。誰よりも早くエルフの里を見るために。
しかし、ギャラルはそれを追い越し、更に飛んで橋を渡る帝国兵を超え立ち塞がる。容赦なく魔力弾を連続で当てると、対応しきれなかった兵は橋から落ちていく。
慌てて逃げようと振り返れば、そこにはカイムの姿が。まともに構える時間もなく斬り落とされる。
帝国兵を一掃したギャラル達はエルフの里へと辿り着く。しかし、広がっていたのは帝国に無残にも襲われ、壊滅した場所だった。