ドラッグオンドラグーン 終焉の角笛   作:Ruve

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終戦モードだった戦場に巨大な爆発が一閃する。帝国の空中要塞からの反撃であった。残党狩りをしていた連合軍は壊滅。付近一帯は地獄絵図となる。

通常では考えられない巨大な力の解放……
それは、女神フリアエが封印解除の生贄となろうとしている予兆であった。

空へ消えたブラックドラゴンを追うために空へ向かおうとするカイムだが、レオナールは女神の居場所を視た


第3節 死してなお

 爆発が収まり地獄と化した場所で、直撃を免れたものの爆風に巻き込まれた連合兵達の悲鳴が上がる。

 何が起きたんだとカイムはヴェルドレへ詰め寄るが、ヴェルドレもパニックを起こしていた。

 

「わ、私にも何が何やら……まさか……最後の封印が……解かれた?」

「フリアエが!?」

「そうだ!この惨状は天からの戒め、人間への呪いだ!女神は天に捧げられたに違いない!」

 

 カイムは怒りに任せヴェルドレを蹴り飛ばす。もし本当にフリアエが死んでしまったのなら再生の卵が出現する筈だが、そのようなものは見当たらない。まだ間に合う。

 

「……行くのか?」

 

 イウヴァルトは空を見上げる。ブラックドラゴンが飛び去った方向であり、光の玉が降ってきた場所でもある。そして、アンヘルの言っていた要塞……全てが繋がる。要塞は空にあるのだ。

 

「真実は天のみぞ知る……そこに、道があるのならばな」

「……いえ、お待ち下さい」

 

 空にあるであろう要塞へ向かおうとするカイム達を、レオナールが止める。

 

「女神の姿が視えます。しかし空ではありません、海上の要塞です」

「なにっ?くだらぬ小細工をしおって!」

「女神がまだ生きていると……?早く助けに行ってくれ、封印の破壊の前兆でこれならば、完全に破壊されたときどうなるか!」

 

 カイムはヴェルドレに侮蔑の視線を送る。この男が気にしているのはフリアエの安否ではない。それによって世界が滅ぶこと、つまり自分の身が心配なのだ。

 だがヴェルドレの言葉が何であろうと、当然フリアエを救いに行くつもりだ。

 

「私も行きましょう、カイム」

「ああ、案内してくれ。我は海上要塞の位置を知らぬ」

 

 一刻の猶予もない。カイムとレオナールはアンヘルに乗り空へ消えていった。

 

 残されたイウヴァルトと七支刀だが、休んでいる余裕など無さそうだ。

 

「感じます。死者の呪いを」

「ああ何とおぞましい。亡き魂を弔ってあげられぬか?」

 

 決戦で散った者や、爆発に巻き込まれた者、死んだ帝国兵が次々とアンデッドナイトとして蘇っていく。いや、骨だけとなったその姿を蘇ったとは言えないだろう。

 まずは死者を払い、ヴェルドレや生き残りの連合兵を助けなければならない。見捨てることなど、七支刀には出来ない。

 

「三人で動きましょう。下手に離れると危険です」

「ああ、背中は任せてくれ」

 

 七支刀とイウヴァルトは走り始める。生き残りがいる場所を探して。ヴェルドレも置いていかれないように必死になって走る。

 

「た、助けてくれ!うわあ!」

 

 連合兵の一人が、動く屍への恐怖を抑えきれずに逃げ出そうとする。しかしもう一体が背後を取り、逃さぬように立つ。死を覚悟し目を閉じようとしたその直後、目の前でアンデッドナイトがバラバラになる。背後でも崩れ落ちる音。

 

「大丈夫か?」

「た、助かりました……」

「わたくし達に付いてきてください。一人では危険です!」

 

 三人は助けた兵士と共に次の仲間の場所を探す。それを繰り返す形で助かった仲間を増やしていくが、中心部へと移動する度に無事な人は減っていく。

 目が見えなくなっている者や、身体の一部がなくなってしまっている者の姿も増え始める。

 

「い、イウヴァルト様……!」

「大丈夫か!?」

 

 ここまでイウヴァルトと共に来た兵士の一人がいた。カールレオン国から仕えてくれていた兵の一人。

 

「これを、受け取ってください。先代から託された剣です」

 

 そう剣を取り伸ばしてくるが、イウヴァルトと目線が合わない。もうほとんど視力がないのだろう。

 

「どうか、フリアエ様を……」

 

 言葉を出し切る前に事切れてしまう。信義を受け取ったイウヴァルトは、死んでいく忠臣へと黙祷を捧げる。

 しかし長くはしていられない。こうしている間にも、救える仲間が減っていくかもしれないのだ。

 

「イウヴァルト様、もう行けますか?」

「ああ。君となら行けるはずだ」

「我々も共しますぞ!」

 

 生き残りによって出来た小さな隊が、焼け野原を駆け回る。帝国残党とアンデッドナイトを相手にしながらも、生き残っているかもしれない人を探して。

 その戦いはどれだけ続いたか、イウヴァルトがアンデッドナイトを斬るとヴェルドレが告げた。

 

「悪しき魂の気配はなくなりました。これで最後のようです」

「……そうですか」

 

 七支刀は目の前の惨事に、怒りを覚えていた。死者さえ利用し戦わせる帝国軍への怒り、そしてそんな帝国軍に従っているキル姫への怒り。世界の再生だか知らないが、こんな惨状を生み出すことを望んでいるキル姫がいることが信じられないのだ。

 再び地に返した死者達へ深い祈りを捧げ、それからヴェルドレに質問する。

 

「これからどうしますか?カイム様から連絡は?」

「……辿り着いたようです、海上要塞へと」

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