神殿へ潜り込んだカイム達を待っていたのは……
帝都にある再生の卵を次々と斬りながら、帝国兵と亜人さえも吹き飛ばす。ギャラルホルンの持っていた鉄塊を手に、複雑な街を疾走する。
七支刀達もまた、神殿へ向かっていた。街中を探し回り、必要と思われる鍵を集めていた。カイムが神殿の方にいるのは分かっているから、行けば合流出来るだろうと踏んだのだ。
またアンヘルは空のモンスター共を相手にしながらも、地上の様子を見ていた。ヴェルドレへ"声"で街の案内も手伝っていた。
それぞれの連携もあり、神殿の近くでカイム達は合流を果たす。レオナールとヴェルドレが"声"でことの顛末を聞き、七支刀達に伝えていたので何があったのかは大まかには聞いている。カイムもまた七支刀達が司教を捕まえることを目的に動いていることは聞いていた。
「鍵は揃いました。行きましょう、皆様」
『お前が指揮を取るな』
「……カイム、今は抑えてください」
七支刀への苛つきが抑えきれていないカイムをレオナールが宥める。ギャラルホルンがその身を滅ぼしてまでも献身をしてくれたのに、七支刀は綺麗事を並べ立てているだけなのが苛立ちを助長させている。
実際のところはどうなのかは置いておいて、カイムには七支刀がそういう人物に見えている。
「でもカイム、無事でよかったよ。フリアエは……」
『………』
契約者でもないイウヴァルトに、カイムの言葉は伝わらない。だが、それ以上に自分の目の前で自殺したなど、言えることでもなかった。
全ての元凶は司教で違いないが、止められなかった自分にも責任はある。
「……あれは」
神殿の目の前に付くと、七支刀はその近くに寝かされているギャラルホルンの死体に気がつく。胸へ剣が突き立てられたまま横たわる死体に。それは、まるで墓標のようで……
「これを使ってください。これで中に」
レオナールから渡された鍵を、神殿の扉へと差し込んでいく。神殿へと流れていた魔力の流れは止まり、扉が開くようになった。
しかし、同時に神殿前の広場へアンデッドナイトが立ち上がる。骸骨の兵達は、カイム達を取り囲み中へ入らせまいと襲いかかる。
カイムと七支刀の剣はアンデッドナイトをバラバラに砕き、レオナールの唱える魔法が生に仇なすものを駆逐する。イウヴァルトも卓越した剣技で、一体一体対峙していく。連合兵は神官長たるヴェルドレの守りに付いて迫る骸骨を止める。
しかし、この帝都で散った命はそれこそ数え切れぬほどある。圧倒的な力を持つ彼らを殺すことはないまでも、無数に湧く悪霊は足止めには十分だった。
「避けろ!バカ者共!」
空から響く声。降り注ぐ炎にアンデッドナイトは焼かれていく。勢いよく地上に降り立ち、その下にいた者は粉砕される。
赤きドラゴンの雄大な背が、カイム達の前に降り立ったのだ。
「ここは我に任せろ。行け!カイム!!」
カイムは頷くと、神殿の扉を蹴破り中に飛び込んでいく。他の面子も合わせて中に入っていく。七支刀は残ろうか一瞬悩むが、いても邪魔になるだけだと考え素直についていく。
その中に入ったカイム達は、異常に気がつく。数多の敵が待っているだろうと思っていたその場は、静寂に包まれていた……