ギャラルホルンは彼の抱える罪を問いただすが、彼は答えない。
更に森の奥に進み、封印を守れ!
ギャラルホルンがレオナールを探しに行っている間も、カイムは森の奥に進む。七支刀も、少年兵以外を優先しつつも対処する。
「二人を置いていくつもりですか!?」
『ここで死ぬような奴らなら、その程度だ』
元々カイムはレオナールのことが嫌いで、ギャラルのことも同行者の一人程度にしか思っていない。戦力になるから連れているだけで、殺されてしまうのならどうでもいい相手だ。
七支刀の言葉を無視し更に森の奥へ進んでいく。森の奥にあるという封印を守るため……そして、帝国兵を駆逐するため。
「カイム、奥に騎馬兵がいる。奴らがここの駐屯地の指揮官のようだ」
空から様子を見ているアンヘルが先の様子を伝える。しかし森が深く観察するので精一杯であり、手助けまでは出来ない。
同時に、レオナールとギャラルの姿も探す。後方で戦いながら進んでいるのが見える。
アンヘルが二人の姿を見ながら考える。ギャラルが少年兵を殺しに行けたことは、正直意外だった。本人がまだ子供というのもあるが、世界を平和にしたいと純粋な瞳で語っていたあの少女がそう簡単に割り切れるものだろうか。七支刀にしても、自衛のためとは言え手を掛けたのだ。
戦うことこそがキル姫の本能であり、だからこそ殺せたのではないか……?と、アンヘルの結論はそこで纏まった。
そんなアンヘルのことはつゆ知らず、カイムは容赦なく敵兵を殺していく。身体を真っ二つに斬り裂き、首を刎ね、脳天に突き刺す。恐ろしいまでの戦いぶりに七支刀は戦慄する。
しかし、そんなカイムの快進撃を止めるべく騎馬兵が三体やってくる。カイムの持つ剣や通常の大きさの七支刀よりも断然長い槍を、馬による速い突進で突き刺そうとしてくる。
二人共騎馬兵の攻撃を大きく動いて躱すが、反撃しようにもすぐに距離を取られてしまう。
カイムは鬼を裂くものに込められた魔法を唱え、追尾弾を飛ばすが距離を取られ盾で的確に防がれる。
七支刀も神器を巨大化させ迎撃しようとするが、どうしても振りが遅くなってしまい騎馬兵の攻撃に間に合わない。
「ギャラルホルン様とレオナール様なら、遠距離攻撃が得意です!」
『いや、馬を狙えば……』
下手に騎馬兵そのものを狙おうとするから駄目なのだ。攻撃が来る時に、馬へカウンターを取り落馬させてやればいい。
そう考え、次に来るであろう騎馬兵に向かって構える。しかしその対策を読んだのか、交互に二体の騎馬兵がカイムに向かって走ってくる。下手にカウンターを狙えばどちらかの攻撃を食らいかねないと考え、諦めて回避に徹する。
七支刀はまともに攻撃出来ないだろうと読まれたのか、そちらには一体しか来ない。呪術で足止めでも出来ればよいのだが、狙われている状況では唱えることが出来ない。
どうするべきかと次の一手を考えていると、カイム達の後方から魔力弾が通り過ぎる。騎馬兵の一体を狙い飛来するが、それを防ごうと盾を構える。しかし、触れた瞬間に巨大な爆発が起き呑まれていく。爆風が収まったときには、塵一つ残ってはいなかった。
突然の攻撃に、残りの騎馬兵も動揺する。その隙を逃すカイムではなかった。一体の騎馬兵の側まで潜り込み、馬の身体を斬りつける。激しい痛みに暴走した馬から落とされた騎馬兵へ、追撃しようとする。
カイムを止めるべくもう一体の騎馬兵が走り出すが、突然馬の足が止まり勢いよく落馬する。七支刀が呪術を唱えたのだ。
馬から落ちてしまえばもはや脅威ではない。二人の騎馬兵にトドメを刺す。
そんなカイム達の元へギャラルとレオナールが現れた。
「ごめん、待たせた?」
「いえ、先程の攻撃は助かりました」
騎馬兵に向かって飛んできた魔力弾は、ギャラルの攻撃だった。これまでに何度か見たのでカイムも七支刀も驚かず対処できたのだ。
「私のせいで要らぬ戦いを……申し訳ありません」
自分のせいで二人に苦戦を強いてしまったことを理解し、レオナールは謝罪する。
カイムはどうでも良さげだし、七支刀は顔を上げてくださいと慰める。真逆の反応をする二人にギャラルは苦笑いをする。
「身の程を知らぬ情けをかけるのは人間の悪い癖だな」
少年兵を助けようとして、逆に襲われたレオナールを見ていたアンヘルの言葉である。
「とにかく、先に進みましょう。封印を守るために!」
暗い雰囲気を少しでも変えようと七支刀が声を上げるが、作ろうとした明るい雰囲気をぶち壊すのは妖精だ。
「フヒャヒャッ。俺だったら、この先には行かないね!バーカ」
「どういう意味?」
「オマエラは行きたいんだろ?行けば分かるさ、フヒャヒャッ」
妖精の態度は気になるが、一行は森の奥へと進んでいく。