ドラッグオンドラグーン 終焉の角笛   作:Ruve

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苦戦の末、カイムはドラゴンを倒す。
"再生の卵"を破壊する目には、何も劣らない、強い確信で満ちていた。

人類を滅ぼす数万の竜が神殿の外で咆哮を上げる中、カイムが新たな戦いに向かおうとするのをギャラルホルンが止めようとする。
そんな彼女に、カイムが一つの提案をする。


第八節 光

「……あとは、頼むぞ」

 

 視線をギャラルへ向けて、アンヘルは最期の言葉を絞り出した。最愛なる戦友の死を見届けたカイムは、傷ついた身体を引きずりアンヘルの持っていた道具から、別の剣を抜く。最初からずっと共に戦ってきた、"カイムの剣"を。

 祭壇の中央に鎮座する再生の卵の前へ歩き、真っ二つへと斬り裂いた。形を失い、ドロリとした透明の液体が床へ広がっていく。

 その液体の表面に映っているのは、笑みを浮かべている自分の顔。その顔を振り払うように剣で液体を飛ばし、神殿の出口へと歩きだす。

 

「待って!」

 

 そのカイムを止めるためにギャラルは叫ぶ。

 ギャラルは決して馬鹿ではない。壊れた祭壇の天井から見えるのは、数えるだけ時間の無駄になるだろうドラゴンの群れ。まるでこの世界全てのドラゴンが集ったようなその光景に飛び出てれば、どうなるかなど考えるまでもない。

 

「ギャラルは、頼まれたから。このまま死なす訳にはいかない」

「ならばどうする?人類が滅ぶまで震えて待つか?」

 

 カイムの言葉は尤もだ。戦おうが逃げようが、その先にあることは変わらない。

 ならば、戦う。カイムらしい答えだ。戦いへの歓喜の笑みを隠しきれぬままギャラルを見つめる。

 

「……どうすればいいかなんて分からないわ」

 

 けれど、ギャラルもその意見に賛成できるかといえばそうでもない。これから戦いに行くのは、ある意味自殺するようなものだ。アンヘルに託されたのに、ただカイムが自殺するのを見守るわけにはいかない。

 しかし、カイムの意思は揺らぐことはない。むしろカイムの側から一つ提案された。

 

「俺と最期まで戦え!」

 

 その提案に、ギャラルは目を見開き驚く。カイムが自分と共に戦いたいと言ったのだ。他の誰でもない、カイム自身の言葉でだ。

 

「その為に……契約だ!」

「……!?できるの?契約を」

「分からない。だがやる前から諦めるのか?」

 

 ギャラルは首を振って否定する。出来るのかは分からないが、今できる最良の手段だと理解できる。

 契約の力を失ったカイムをそのまま行かせるより、生存率は跳ね上がるだろう。何よりも、カイムが自分を求めてくれることの嬉しさに笑みを浮かべ、カイムの隣へと歩く。

 

「分かったわ。……契約よ!」

 

 その瞬間、二人に契約が結ばれた。

 二人は自分の傷口を自ら抉り出し、激痛に堪えながら心臓を取り出す。心臓を引きちぎり取り出しても不思議と意識が飛ぶことはない。これがただの自傷ではなく、契約の為の儀式だからだろうか。

 お互いの心臓を交換し、元の心臓の位置へと付ける。すると二人の傷が自然と癒えていく。そして、お互いが繋がっているような……カイムにとっては慣れている、不思議な感覚がカイムとギャラルを繋いでいく。

 

「これが、契約なのね」

「ああ」

「……声は大丈夫なの?代償は?」

「分からない。戦えるのならそれで十分だ」

 

 お互い見つめ合い、深く息を吸ってから頷き合う。

 二人は走り出した。無数のドラゴンの待つ空の下へ。開け放たれた神殿の扉の向こうにある、光の中へ……

 

 

 combat to the death with another Companion

 

 

 When new contractors challenges the hands of the lord, the door would close.

《新たな契約者が主の御手に挑む時、扉は閉じられるだろう》




この分岐で特筆すべきは、キル姫と人間の契約が成されたことでしょう。キル姫ギャラルホルンは、別の世界線でブラックドラゴンとの契約も行っています。つまり、キル姫は契約の際に、どちらの側に立つことも出来ることでしょう。
キル姫というものが、人間に限りなく近くて、人間ではない存在であることが起因しているのでしょうか。それとも、異世界から来たためこの世界の理に反する自称が起きたのか。
……特異点の起こす分岐はまだあります。観察を続けましょう。
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