なんか世界って機械のせいで荒廃したらしいですね   作:饅頭おとこ

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風雲急を告げる:なんか凄いことが起きそう。


風雲急を告げる

「おい、マキ。あれはなんだ?」

「まぁ……汚染体だろう、な」

 

 意味不明な姿形をしている汚染体を指差す女の子。本当に意味不明だと思う。耳がある場所に魚が二本生え、顔は豚、胴体は猿。そして汚染体特有の紫の斑点。パッと見というか、どこからどう見ても化け物にしか見えない。

 

 ん? そんなことよりも、なんでお前は女の子と一緒にいるんだって? 長いわけがあるんだよ……

 

 誘拐犯として指名手配された俺は泣く泣く『飛鳥』国から逃亡して別の国に向かっていた。本当なら女の子をお家に返した後、冤罪をかけてくれた『飛鳥』国とお話する(を狩る)つもりだった。

 

 ……なのに、なぜか俺の横には解放したはずの女の子。

 

 それは汚ねぇ花火が打ち上げられ、物々しい機械騎士が現れた直後のこと。

 

 ふん! ふわわわぁん〜

 

 あっ、その時の記憶を呼び起こす、まじないの言葉(効果音)だから、気にしないでいいよ。

 

 

 

 

「あ、あの……もう離してもらっても?」

「ん? あぁ、忘れてた。すまねぇな、嬢ちゃん」

 

 屋敷から轟々と燃える美しい光景に女の子を担いでいたことを忘れていた。ゆっくり下ろしてやると、女の子は服装を正し俺を真正面から見つめてくる。

 

「初めまして。私は『白雉』家長女の白雉(びゃくち)(まい)と申します」

白雉(びゃくち)? ここは『白雉(はくち)』の街だろう? なんで白雉(びゃくち)になるんだ?」

「さぁ?」

「そ、そうか」

 

 どうでもいいことを聞いたら、心底わからない顔で微笑まれた。

 

「あー、なら俺も改めて防人のマキだ。姓はない、川でどんぶくり子してたところを今の婆ちゃんに育てられた」

「……そうですか」

 

 俺が名前を言った瞬間、舞の眉間が少しピクッと動いた。そして舞はどこか言い淀むような顔をしながら口を開く。

 

「失礼ですが、名前は本当にマキと言うんでしょうか?」

「うーん? よく言っている意味がわからないが」

「なるほど」

 

 舞は顎に手を置き、何かを考え込み始めた。

 

「まぁ、俺はもう満足したから行くから。そっちも気をつけて帰れよ」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 

 俺がそのまま立ち去ろうとしたら、すごい勢いで言葉遣いが荒くなった舞が俺のズボンを引っ張ってきた。そのせいなのかパンツも一緒にずり下がり、俺の可愛いお尻ちゃんがちょっとチラリ。

 

「おい!!」

 

 すぐにズボンを持ち上げ舞を睨むと、なぜか逆に睨み返してきた。

 

「防人なら機械生命体や汚染体でも問題なく倒せるだろ? 俺を『奈良』国まで連れて行ってくれ!!」

「はぁ?」

 

 謝罪もせずに依頼してくる舞に俺の堪忍袋の緒もプッチンプリンしそうだった。無視してそのまま去ろうとした瞬間、舞は懐から機金貨を数枚地面に放り投げる。

 

「これが依頼金「拝命いたします」……そ、そうか」

 

 俺はすぐに片膝をついて返事した。さりげなく機金貨をササッと懐へ入れるのも忘れない。女の子が一人外の世界を歩くのが危ないからな。俺ぐらいの紳士がいなければ危ない。

 ふぅ、やれやれだぜ。

 

 ふわわわぁん〜

 

 

 

 

 そんな感じで舞の警護兼おもりとして『飛鳥』国の『慶雲』村を経由した後、『奈良』国へ向かっていた。

 ただ……な。道中、何から何まで質問してくるのにヘトヘトだった。最初は頑張って答えていたが、めんどくさくなって適当に返している。

 

 しかも舞は前世男だったらしい。……ますます、意味がわからん。

 

 途中の『慶雲』村でご飯を堪能していた時、なんかの話題でそんなことを言われた気がする。確か……言葉遣いがおっさん臭いから聞いたのかな? まぁなんでもいいや。

 

「はぁ……」

「どうした? マキ」

 

 俺があからさまにため息を吐けば、舞が心配そうな顔で見上げてくる。顔は可愛いがちょいちょい挟んでくる「俺は前世男だったから、男はノーセンキュ」という妄言のせいで、俺のストレスがやばかった。

 

 なんだよ前世って。頭ハッピー(防人)かよ。

 

 懐から精神汚染値を測る端末を首に刺しても「あなたはクリーンです」としか表示されない。

 

 ゴミがッ……!

 

「なんでもねぇ」

「そうか?」

 

 端末を投げ捨てながら返事すると、舞は可愛らしく首を傾げる。無駄に可愛いのが余計に腹立つ。

 

「別にお前「舞だ」……舞が前世? が男なのはわかったが、今世は女の子だとしても機族様だろ? もっといい生活できたろうに。なんで外に出たんだ?」

「ふふふ。異世界といえば冒険者!! なら冒険者にならなければ、話が進まんだろ!!」

「冒険者?」

「そうだ!!」

 

 異世界に冒険者? 何言ってんだこいつ。汚染体に機械生命体で危なっかしい世界で冒険者なんてやりたいやついないだろ。

 はぁ……わざわざ言っても聞かないだろうし。しょうがねぇ『奈良』国にいる知り合いに預ける(押し付ける)か。

 

 警戒しつつ獣道を進んでいると、後ろから呟き声が聞こえてきた。

 

 

「主人公はマキで合ってるはずだよな? けど、一文字名前が足りない。どこかで一文字名前が増えるとか、か? そんな馬鹿なことあるわけないし、そんな設定知らないぞ。主人公の()()()と見た目は瓜二つだけど、性格は真反対。別人か? まぁいい、『奈良』国に行けば他の登場人物(ヒロイン)もいるだろうし、そこで考えるか」

 




そろそろ続かない
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