なんか世界って機械のせいで荒廃したらしいですね   作:饅頭おとこ

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恥を言わねば理が聞こえぬ:隠し事を言わないと誰も理解してくれないよ?


恥を言わねば理が聞こえぬ

 まーた、舞がなんかボソボソ言っているよ。主人公とか登場人物って、なんか物語でも考えてるのか?

 

 まぁ、流石に子供相手に本気になるほど俺も大人気がない人間じゃあない。むしろ微笑ましい気持ちでそっとしてあげよう。きっと大人になったら、寝る前枕に顔を押し付けて悶えるだろうが、それも大人になった証だ。温かい目で見てやる。

 

 そんなことを考えながら進むと、キャタピラの跡を見つけた。俺は目を細め、舞に顔を向ける。口元に指を置くと、舞が可愛く二つのお手手を口に当てた。

 

 静かに姿勢を低くし、キャタピラの進行方向を見れば遠目に機械生命体。キャタピラから予想していたが、やはり旧個体。何の個体か詳細は知らんが、全身に機械の装甲を纏っていた。

 

殺戮破壊個体(デストロイド)……」

 

 いつのまにか匍匐前進で近づいてきた舞。綺麗なおべべが泥だらけだがキラキラした目で機械生命体を見ている。さすが機族様なだけあって一眼で何の個体かまでわかったらしい。

 

「すでにこんなところまでいるのか。原作より早いな……俺が混じったせいか?」

「流石、機族様様だな」

「ま、まぁな」

 

 小説書きになるのは好きにすりゃいいが、その呟き声は直した方がいいと思うぞ。傍目からみたら変なやつにしか見えない。

 嫌味ったらしく誉めてやると、舞の肩をビクッと跳ねた。暗に聞こえてるぞ、と注意してやったが舞はわかっているのかわかっていないのか、なぜかドヤ顔になった。

 

 

 ふ、ふぅ……

 

 

 イラッとしたが俺はクールな大人。子供相手にわざわざ怒ってもしょうがない。心を落ち着かせ、舞に質問する。

 

「あれの弱点は何だ?」

「導入源だ」

 

 知ってるわい!!

 

 その辺のちびっ子も知ってることをドヤ顔プラス髪をかき上げて言ってきた。そろそろ俺の尊大……違った、寛大な心も爆破しそうだった。

 懐へ手を突っ込み、バカ竿思いっきり握りしめる。べ、別に八つ当たりじゃないぞ。誰に言い訳しているかわからないが、そのままバカ竿を取り出せばたちまち変形して弓の形になった。

 

「なッ。《物干し竿》!? なんで、すでにマキが持っている!」

 

 数ある内の中の《物干し竿》の名前まで知っている舞に少し引いた。他の防人は知らんが、俺は基本的に《物干し竿》の名前を誰にも明かしていない。

 

 チッ。舞の大きな声のせいで殺戮破壊個体(デストロイド)がこちらに気づいた。

 

 背を後ろに倒し、弓になったバカ竿を一気に引く。バカ竿が俺に抗議するようにギチギチうるさいが、殺戮破壊個体(デストロイド)へ狙いを定め、手を離した。

 

 

 ボォォンンンッッ!!

 

 

ふんぎゃっ!!

 

 まさしく閃光の速さと言えるような速度で殺戮破壊個体(デストロイド)の頭に矢が突き刺さると、大爆発を起こした。

 

 ほう? 今日はまずまずだな……よぉし、よしよしよし!!

 

 バカ竿を昇格させ心の中での呼び方を《物干し竿》に戻してやる。ついでになでこなでこした。

 チラッと悲鳴を上げた舞を見れば、後ろへすってんころり。いちご柄のかぼちゃパンツが丸見え。

 

 ……ボインボインのお姉さんのエチエチ下着だったら興奮したが、流石に子供相手だと何も感じない。

 

 そんなことを考えながらジロジロ見ていると、舞が恥ずかしそうにパンツを隠す。俺は小さくため息を吐き、舞に手を貸して立ち上がらせた。

 

「大丈夫か?」

「あ、ありがとう」

 

 このやりとりだけなら、ただの普通の女の子にしか見えない。

 

 やっぱり絵本やら機族様の勉強の影響か? まともに勉強せずに成長した俺には機族様の苦労は知らんし、別にそこまで興味もない。

 

 舞から視線を離し、爆発したところを見れば粉々になった殺戮破壊個体(デストロイド)。グリップに戻った《物干し竿》を後ろポケットに入れていると、やたら背中に視線を感じる。

 

 首を少し曲げて後ろを見れば舞の物欲しそうな目。

 

「どうした?」

「そ、それ……ちょ、ちょっとだけ貸してもらってもいいか?」

「別にいいけど、壊すなよ?」

 

 釘を刺してから《物干し竿》を差し出せば、パァッと顔を綻ばせる舞。

 

 防人ぐらいしか持っていない、こんな……正式名称忘れた。うんちゃらかんちゃら装置の《物干し竿》は珍しいんだろう。

 子供っぽい一面にほっこりして見ていると、舞は《物干し竿》をカチカチ握りしめて遊ぶ。

 

「やっぱりダメか……」

 

 変形しないとわかるとドーン、と背中を落とし悲しそうな顔になる舞。それに苦笑しながら俺は理由を教えてやる。

 

「ま、そりゃそうだろ。俺の生体認識しか設定してないんだから」

「生体認識? ゲーム……ではそんな設定なかったはずだぞ」

「ゲーム?」

「い、いや何でもない! 忘れてくれ!」

 

 

 ヒュォォワン!!

 

 

 今の音は忘れた音だ。特に気にしないでいい。

 

 忘れてくれといえば、俺はすぐに忘れる。天才的な俺様の頭脳は優秀だから、覚える必要のないことは覚えない。

 決して一々考えるのが面倒くさいとかじゃない。

 

「その生体認識で俺を設定することできるか!?」

「無理」

 

 キラキラした目で見てきたが、俺が即答すれば死んだ目に変わった。ポリポリ首筋をかきながらどうやって説明するか考える。

 

「俺も難しいことはわからんが、これをくれた加齢臭がする技師にしか無理だ」

「ならその人を!」

「死んだ「……すまない」社会的に」

 

 ひょっとこみたいな顔になる舞。

 

「……えっ? ど、ど、どういう意味だ?」

「言葉通りだ。そいつは今、『江戸』皇国の監獄に収監されてるからな」

「ち、ちなみにどういう罪で? 後……その人の名前は?」

「えらい聞いてくるな。国家反逆罪だったかな? 名前はササキ、下は知らん」

 

 肩をすくめて答えると、舞が驚いた顔をしてまたブツブツ呟き始めた。

 

 

「どういうことだ? ササキは主人公が生まれる前からずっと投獄されていたはずだ……マキも同じだとしても。ササキはいつ、どこで、どうやってマキと出会ったんだ?」

 

 

 その意味ありたげな呟きやめてくれない? 全部丸聞こえだからな。

 




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