なんか世界って機械のせいで荒廃したらしいですね   作:饅頭おとこ

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恋は仕勝ち:積極的に行け。


恋は仕勝ち

 

 ガンガンガンッ!!

 

 

「出せ、おるゥァァァ!! こちとら機族様だぞォォ!!」

 

 お、いい感じの土の塊じゃん。

 

 いつもの癖で懐に入れようとしたが掴んだ瞬間、土の塊がぐちゃぐちゃになった。

 

 

 ガンガンガンッ!!

 

 

「いいのかァァ!? 俺が呼べば、数万の機械騎士が来るんだぞォォッッ!!」

 

 

 いい感じからゴミになった土の塊を投げ捨て、地面に寝そべる。地面はひんやりしていて睡魔が……。

 

 

 ガンガンガンッ!!

 

 

「うるせぇよ、舞ッッ!!」

「ご、ごめん……」

 

 さっきからガンガン、ガンガン檻を叩いて喚く舞を黙らせる。シュンとなった舞はその場に体育座りをして地面にのの字を書き始めた。

 

 そう、俺たちは機械盗賊に捕まった。

 

 ん? あぁ、機械盗賊ってのはそのままだ。改造した人造機械を使って荒らし回ったりする賊の総称だな。昔は別の名前だったらしいが、今ではそんな呼び名。

 

 捕まった説明も簡単だ。ボインボインの姉ちゃんが道端で寝ていたから、助け起こそうと近づいたら機械盗賊の罠だった、それだけ。

 

 別に疾しい心があったとかじゃない。本当だ。断じてボインボインの姉ちゃんを助けた見返りにボインボインをボインボインできると思ったからではない。顔もすっごいタイプでルンルン気分とかなってない。俺は紳士だから助けようとしただけだ。普段なら道端に人間がいたらまず、罠だと疑っていたのに無警戒に近づいたのもボインボインがポロリしていたとかそんな理由じゃあない。《物干し竿》を使えば機械盗賊を瞬殺(シュンコロ)できたが、姉ちゃんが悩ましい顔で見つめてきたせいで俺は戦えなかったんだ。

 

 クソッ! ボインボインめ! なんて悪辣非道なんだッッ!

 

 怒りにかられプルプルと右手を振り上げていると、カツンカツンと音が近づいてきた。

 

「あらぁ? さっきまで威勢よかったのにどうしたのかしらぁ?」

 

 こ、この女!! 挑発しやがってッッ!!

 

 俺たちを罠にかけた女は檻にボインボインを押し付けながら、流し目を向けてくる。鋼の心を持つ俺は目を血走らせながら、谷目を睨みつけた。

 

「何の……ようだッ」

 

 ギリギリと奥歯を噛み締め、俺は声にならない声を上げる。すると女はふふっと笑い、足を少し動かした。

 

 こいつッッ!

 

 スリッドが大きく入ったスカートからチラチラ見える太もも。危ない凶器が出てくる可能性を感じ、舞を俺の後ろに隠し、太ももを鋭く睨みつける。

 

「あらあら、視線が熱くて体が熱っちゃうわぁ」

 

 いやらしい声をあげやがってッッ! 俺は騙されんぞッッ!

 

「私たち、『奈良』国を襲おうと思うのぉ。手伝ってくれる? 狡猾で残忍な〈ばらし屋〉の防人、マキさん?」

「お前……」

 

 目線を上げて顔を見れば、そこには見たことある顔。以前、俺がスラム街で用心棒(カツアゲ)をしていたときに写真で見たその人物だった。

 

「〈気まぐれ屋〉、ライ・リーかッッ」

「あら? 私の恥ずかしい別名まで知っていたのね? 光栄よぉ」

 

 いつもの俺ならすぐに気づいただろうが、ボインボインのせいで気づかなかった。ボインボインの甘い誘惑のせいだ。

 そんなライ・リーは絶頂したように顔を赤らめ、胸の位置で腕を交差し自分の体を抱き締める。ボインボインがボインボインして強調される。

 

 卑劣なッッ! 卑劣とは言わざるを得ないッ! 

 

 俺の視線を捉えるためボインボインという凶器を見せつけるライ・リー。不穏な気配が立ち込めている中、ズボンがくいっ、くいっと後ろから引っ張られた。

 

「どうしたッ」

 

 いつどんな危ないボインボイン(攻撃)をしてくるか、視線を決して逸らさず引っ張ってきたであろう舞に耳だけを向ける。

 

「ライ・リーって男だよな?」

「ふふ。あらぁ、さすが白雉の機族様ね。知っていたのぉ?」

 

 な、な、なんだとぉぉぉ!?

 

 その小さなやりとりだけで俺は動揺した。足は小鹿のようにプルプルし、顔から血の気が引いていく。

 

「まぁ、男の娘枠で人気があったからな。しかも、体を好みに改造できるし」

 

 いつものように小さく舞がつぶやいたが、右から左に吹き飛んでいく。そんなことは重要じゃなかった。男の娘、が何が知らんがどうでもいい。俺はオスの()イン()インに興奮していたことに愕然とする。

 

 それは許されざる(おこな)い、神聖不可避の俺様を貶しめる行為。俺はボインボインでエロティックな女が好きなのであって……だが、ライ・リーは抜群に俺の好みの顔だ。

 

 顔を見れば、最初に顎についているホクロに目がいく、エロイ。唇は小さいがプクッと膨れている、エロい。鼻筋は綺麗な形をしていてツンとしている、エロい。目はクリクリして大きく垂れ下がった雰囲気はエロい。なんか匂いもすごいエロい。話し方も妖艶で動作もエロい。

 

 胸に手を当てると、ドクドクと俺を賛同してくる心臓くん。

 

 ……そうだよな心臓くん。重要なのは心が通って愛せるかどうかだ。

 

 同性だからダメとかそんなことを言う愚かなゴミ共ではない! 俺は常に先人を進み続け戦い続けてきた誇り高き防人!!

 

 ゆっくり深呼吸して真剣な眼差しをライ・リーに向けた。

 

「あら? どうしたのぉ?」

 

 不思議とライ・リーも柔和な表情を向けてきたように感じる。ゴクリと唾を飲み込み大きく口を開いた。

 

「結婚してくれ!!」

「いいわよ?」

 

 ガッシャン!!

 

 ハニー(ライ・リー)を抱こうと檻にぶつかったが、なぜかハニー(ライ・リー)が一歩下がる。

 

「えっ?」

 

 後ろから小さく舞の声が聞こえたがそんなことは重要ではない!!

 

 ガシャンガシャンッ!

 

 ハニー(ライ・リー)ーー!!

 

 

 




いなか続
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