皇国最後の反攻:novelized   作:[このユーザーは存在しません]

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第九話:一幕

 それからの展開は非常に早かった。

 最初に前線から突出した中国軍を制圧し、武漢では5万人を包囲し殲滅した。その後も精密な航空偵察で地理状況を把握し航空支援の下で敵部隊を殲滅しながら進撃していた。

 中国軍も抵抗を試みたが日本と同じく長きに渡る戦争によって疲弊しており、更には3度の包囲殲滅、特にニ号作戦によって総兵力の半分以上を失った中国軍は戦線の維持ができず撤退を繰り返し、戦線中央部で更に20万人が包囲され、10月25日には日本軍が重慶を占領することに成功した。

 その後は完全に戦線が崩壊し9日後の11月4日に中華民国は全面降伏した。

 

講和会議は日本の下関にて行われ、そこで中華民国とその他の軍閥についての処理が行われた。

 中国大陸の大半は1940年に日本の占領下にある南京で樹立された汪兆銘政権下の中華民国が統治することになった。

 各軍閥のリーダーであった毛沢東や馬歩芳などは国家反逆罪で逮捕され処刑された。

 旧蒋介石政権の要人たちも裁判で裁くべきだという主張が一部から上がったが、「中華民国の政権は蒋介石政権から汪兆銘政権へ平和裏に委任された」という建前を貫くため、彼らが裁判で裁かれることは殆どなかった。

 東トルキスタンこと新彊はソ連の支援を受けていたが日本との軍事衝突を避けるため共産党幹部を粛清し中華民国政府と合流、その領土は中華民国の支配下に置かれることとなった。

 チベットも中華民国への合流に前向きだが下関での会合中に交渉は終わらなかった。

 

 日本の勢力下に入った中華民国では3つのことが決められた。

 1つ目は満州国と蒙古国を承認し、汪兆銘の発言を通して2ヶ国の存在を確固たるものとすること。

 2つ目は講和会議において定められた賠償金とは別に沿岸地域、北京から海南までを帝国通商地域として100年間租借し日本主導での経済政策を可能とし、また北京を特区に指定し150年間日本政府の管轄下に置くこと。

 3つ目は汪兆銘政権下の中華民国に連合国が宣戦布告した時の為に終戦までの間、沿岸部全てを日本の軍政地域とすること。

 

 この3つを盛り込んだ第二次下関条約が締結され、1937年から7年もの間続いていた日中戦争は日本の勝利で幕を閉じた。

 

 

 

「これで大陸の安全が確保されて資源輸入もやりやすくなった……1つの難所を突破できたね……。」

 

 二人きりで扉の閉められた参謀総長室にて、疲れ切った身体を豪華な椅子の背もたれに預けた霊夢が呟く。魔理沙はそれには触れず持っていた情報を霊夢に伝える。

 

「そうだな。それとドイツから情報が入った。ノルマンディーに上陸した連合軍はロンメルの指揮する機甲師団が港の奪取に成功したことで包囲状態となり、初日に上陸した30万人以上が殲滅されたそうだ。」

 

「連合国にとっては相当の痛手だろうね……。」

 

「ただイタリア戦線は連合国によって突破されたそうだ。北西フランスに残存する部隊を殲滅したのちにイタリアへ部隊を回すようだからあまり気にする必要はないだろうが。」

 

「これで別戦線に部隊を回せるだろうからドイツの降伏は先の事になりそうだね……。」

 

「ああ、中国の汪兆銘も全面協力を表明している。これでインフレも抑えられるだろう。それで浮いた予算は造船所と空母の建造に回すよう東条首相に進言しておいた。」

 

「ありがとう……これで太平洋艦隊と互角とまではいかないまでも艦隊決戦が容易になる……。」

 

「とはいえ空母保有数だけでも現時点で3.7倍もの差をつけられているからな。結局日本海にいると予想していた米艦隊も撃沈どころか捕捉すらできなかった、どうにかして海軍力の差を突破しなければアメリカへの勝利は難しいだろう。」

 

「それに関しては初日にやっておいたあれが効いてくるだろうから大丈夫……。中国に立てた工場で今まさに制作中のあれが……。」

 

「完成した四式戦闘機「疾風」と対艦攻撃機「銀河」か。確かに性能面では優秀だったな。」

 

 そこまで言うと、魔理沙は呆れたように霊夢を見る。

 

「ところでそれはどうにかならないのか?」

 

「もうそろそろ回復するから大丈夫……。」

 

「あと1時間もしないうちに山下君が次の作戦の実行許可を取りに来るだろうから、それまでにしゃんとしておけよ。」

 

 魔理沙の注意に霊夢はこくりと頷いて返すのだった。

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