皇国最後の反攻:novelized   作:[このユーザーは存在しません]

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第二十一話:布哇

 1946年11月26日。霊夢参謀総長の司令を受け山下将軍率いる第25軍は、44年に海軍から総合参謀本部の傘下に移った陸戦隊の協力を得てハワイへの上陸作戦を決行。20万人の部隊は11月30日に接敵し上陸を開始した。

 

 

 

「やっぱり来やがったか!なんで本部はここを本気で防衛しないんだよ!?」

 

 上陸部隊を確認したという一方を受け急いで沿岸に向かうM26パーシングの車列の中で、兵士の一人がそう愚痴っていた。

 

「仕方ないだろ、この周辺の島はほとんど全部が制圧されちまったせいでここを死守するのはリターンに見合わないコストとリスクがあるんだよ。前々から湾岸攻撃で散々な被害を受けてたのがその証明だ。」

 

「じゃあ俺達はお飾りの防衛隊ってことかよ!?」

 

 彼がそう叫ぶと同時に、どこかでドオンという音がする。

 

「落ち着け、そうじゃない。今の日本軍の主力戦車チハはたとえ0m射撃でもこいつの装甲を貫徹できないし、逆にこいつの主砲は数km先からでもチハを貫徹できる。だから俺達の役目はこいつを使ってあの上陸部隊を踏みつぶしてや……」

 

 その時だった。爆発音と共に前方のパーシングが吹き飛び、地面に大きなクレーターが開いた。

 

「な、何だ!?今、何が!?」

 

「し……しまった!」

 

 先ほどまで冷静だった男が、今さっきまで激昂していた彼よりも酷い焦燥を見せる。

 

「艦砲射撃だ!あいつら、戦車の不足を艦砲射撃で補ってやがるんだ!湾岸攻撃も海軍が日本の主力艦を攻撃できないようにするためにやってたんだ!」

 

「待て、艦砲射撃だと!?だとすると空母もこの海域に——」

 

 二人が状況の分析を終わらせないうちに、艦載爆撃機「流星」から投下された爆弾が彼らの乗っていたパーシングを吹き飛ばした。

 

 

 

 総合参謀本部にて、戦闘の中間報告と偵察結果を見た霊夢は呟く。

 

「明らかに敵兵力が少ないな……奴らはハワイでの決戦を避けたか。」

 

 そして報告書を渡してきた伝令に向かって不敵に笑いながら言う。

 

「どうやらハワイがどれだけ重要な拠点か分かっていないようだな……なら丁度いい!ハワイを早急に制圧せよ!」

 

 

 

 霊夢参謀総長からの激励を受けた上陸部隊と聯合艦隊は奮闘を繰り広げ、12月14日には最後まで抵抗していた敵戦車部隊を艦砲射撃で容赦なく破壊しオアフ島の制圧に成功。全世界で太平洋戦争におけるアメリカの劣勢を裏付けるものとしてこの戦果は報道され続けるのをよそに後詰の部隊が航空基地を整備、その知らせを受けた霊夢は極秘で創設されていたある航空部隊に移動を命令した。

 

 

 

 12月18日、クリスマスを間近に控えたアメリカ西海岸。ロサンゼルスのレーダー基地で夜勤中の2人が駄弁っていた。

 

「ったく、本当におめでたいことだな。ジャップが来てるって言うのに皆クリスマスの準備なんかしてやがる。」

 

「そう言ってやるなよ、ロスの民間人はまだ安全だって信じてるんだからな。」

 

「ハワイが陥落したのにか?奴らが次に狙うのは絶対にここだ。もう俺らの首にはカタナが当たってんだ、いつ斬り落とされてもおかしくない。」

 

「どうした?随分とビビっちまって。そんなに怖いなら東海岸に逃げろよ、あっちはヨーロッパ戦線が順調に進んでるからな、もう既に勝ったも同然って雰囲気だ。」

 

 そう言う同僚の言葉は彼の耳に届かなかった。レーダーに映った点が彼の意識をすぐそっちに集中させたからだ。

 

「ちょっと待て、このレーダーに映ってるのジャップの爆撃機じゃないか!?しかも反応からして大型機だ!」

 

「馬鹿言うな、ここはハワイからですら4000kmも離れてんだぞ!?ジ日本がそんな爆撃機を持ってるわけがねえ!」

 

「だけど実際に来てんだ!数百機も!すぐに空襲警報を出せ!」

 

 

 

 ロサンゼルスからハワイの航空基地経由で送られてきた報告を聞き、霊夢は口角を上げる。

 

「ついに実現した!極秘開発された高高度爆撃機……「富嶽」によるアメリカ本土空襲が!当初の予定よりも随分と小型化したが、おかげでコストも下がったしハワイ制圧までに300機も準備ができた!アメリカの国土を焼くには十分な数だ、それに奴らの対空砲火や航空機は届くまい……。」

 

 その声を聞いた魔理沙が話を続ける。

 

「スパイからの情報によればアメリカ国民は情報統制を受けていて日本が優勢になっていた事など知らなかったらしいからな、腰が抜けるほど驚いているに違いない。」

 

「そうだ、工場と軍事基地の破壊も目標の一つではあるが、最も重要な目標はかの国の民間人を震撼させ、有権者を脅迫し、アメリカ政府を講和会議に引きずり出させることだ!市街地には爆撃するな、だが工場と基地には連続して徹底的に爆撃し続けろ。奴らの士気を上げないまま恐怖だけをその胸に刻め!そうすれば米国は戦争を終わりにしたがる筈だ。」

 

 そこまで話した霊夢は魔理沙の方を向き直る。

 

「さあ、いよいよ大詰めだ。あ号作戦の最終段階……アメリカ本土上陸作戦の立案を開始せよ。」

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