皇国最後の反攻:novelized 作:[このユーザーは存在しません]
米軍の日本本土上陸の知らせを受け日本へと帰ってきた霊夢たちは、再び参謀本部——現在は軍令部と統合され、総合参謀本部と名前が変わっているが——の会議室にいた。
「早速、日本本土の状況を教えてくれ。」
急な帰国のにも関わらず身なりを完璧に整えた霊夢の発言に、山下が答える。
「は!1944年8月7日に米軍は滋賀と鳥取に上陸、敵の総兵力は約12万人です。」
「本土防衛についていた我が部隊の総兵力に近いな。」
「米軍は兵庫と京都に南進を開始しており、中国山地などを利用して遅滞戦術を続行していますが大阪での戦闘は避け難いでしょう。」
「大阪港を確保して補給を万全にするつもりだな。」
そう分析した霊夢は、はあ、と嘆息して天井を見上げる。
「本土部隊を移動させても米軍は当分気付かないと考えていたが……やはり、情報が筒抜けなのか。これほど早く行動してくるとは予想外だな。」
再びゆっくりと視線を戻した霊夢が山下に質問する。
「聯合艦隊はいつ到着する?」
「海軍からの情報によると、硫黄島近海の残存艦隊の掃討と破損艦の修復があるためまだ時間はかかるとのことです。」
「恐らく米主力艦隊が日本海にいると思われるが、無闇に他の艦隊で攻撃しても返り討ちにされるだけだろう……つまりは我々陸軍の力で奴らを追い出す必要がある。中国において作戦がひと段落したことから30万人の部隊を本土に援軍として呼び戻せる。それまで耐えしのげば我々の勝利だ。」
霊夢はそこで発言を一度区切り、山下の目をじっと見つめる。
「大阪で敵本部隊を叩くとのことだが、その戦闘で大阪港が破壊されてしまっては元も子もない。市街地に米軍が入る前に撃滅しろ。山下将軍には3万の近衛師団の運用を許可する。」
「それは本当ですか!?」と驚いた山下に霊夢は頷く。
「帷幄上奏で陛下から御許可を承った紛れもない事実だ。近衛師団を自由に使っていい。だが、陛下は依然として宮城に有らせられる。松代大本営が完成していたならまた話は違っただろうが、現実から目を背けてはいけない。米軍を絶対に東京に入れないためにも、大阪港は必ず死守せよ。」
「我が命を懸けてでも任務を遂行して見せます。」
そう落ち着いた自信と共に宣言した山下を見て霊夢は微笑む。
「良い心掛けだ。」
それだけ言ったた霊夢は早速作戦について語り始める。
「まず、我々は敵部隊に比べ数こそ劣るものの地形を熟知している。丹波高地や淀川を利用すれば防衛戦を行う上で非常に有利になるだろう。国民に対する避難命令もあるから多少の時間はかかるだろうが防衛陣地を構築するには十分な時間が残るはずだ。」
霊夢の発言を魔理沙が引き継ぎ、防衛陣地の構築後について語りだす。
「それが終わればこちらのものだ。米軍も戦車や砲を用いて突撃してくるだろうが、近衛師団は陛下を御守りするために編成された特別な精鋭部隊だ。さらに言えば本土であるから試作中の五式戦車「チト」や四式戦闘機「疾風」の導入が可能だ。実戦経験がないから不安は残るが、それは逆に言えば敵も初めて見る兵器ということだ。それによる混乱は米軍による大阪港の占領を必ず失敗に終わらせるだろう。」
「そこまで行けば中国本土派遣部隊が帰還する頃になるな。それでは、総員配置につけ。米軍を日本から追い出すぞ。」
二人の視線が山下に向けられる。彼は一礼して「了解しました。」と言うと会議室から去っていった。