ガンダムビルトインターセクション deep in shadow 作:クロノ09
時系列は結構先です
「クソ!、あの野郎…!」
悪態をつきながら一人の少年が暗がりの部屋でガンプラを弄り続ける。
彼の名はカゲト、自称天才ハッカー
最近は裏GBNなる、謎多きGBNのサーバーの謎を解明するために躍起になっている。
「ナインの野郎、なんだあの強さ、チートすぎるだろ…」
その裏GBNの謎を追う中、出会った魔王なるとんでもない廚二少女の導きにより、裏アリーナにたどり着いたのだが、そこで出会ったランカー、ナインという男になす術もなく敗北し、手を引くように言われたのだ。
それで、なんとか見返す為にカゲトの使用するガンプラ、シャドウグレイズのアップデートを図る為に目下改修中、という訳だ。
『チート、というのなら、絡め手を使用して尚、負けたカゲト様の方が悪質かと』
カゲトの首にかけた無線ヘッドホンから響く、合成音、彼の作ったサポートAI、ハルの声だ。
ハルのその最もらしい突っ込みに唸らせられながら、渋い顔をすると、ため息をつき工具を投げ捨てる。
「あー、あー、聞こえないぞ
ったく、俺のAI鬼畜すぎるだろ……って、んっ?あれ?」
ふと、自分の言葉を反芻しながら、腕が止まる。
『どうされましたか?』
「んー、あ、いや、なんかデジャブ…ってか、俺がナインに会ったのってアレが始めてだよな?」
記憶を捻り出しながら、違和感に首を傾げる。
先日、ナインに始めて遭遇し、そこで敗北した…はずであるが、なんだか頭に引っ掛かる。
『カゲト様の他のダイバーとの交戦記録は非常に少ないですからね、間違いなく、あれが始めてです』
「ウッ…一言余計だ
ナインのバトルを観賞した記録は?」
ついでのようにグサリと刺されながら、パソコンを開くと、様々な履歴を遡り始める。
しかし、探してもそれらしい記録は一切見つからない。
「…いや、あれは…夢…?
んっ?いや…俺も…?」
ふと、何かを思いだし指を止めると頭を捻らせる。
何か、朧気に風景が浮かぶような、そんな気がしてならない。
『…とうとう、頭まで』
「うっせぇぞ!てか、とうとうって、なんだよ
って、そうじゃなくて、えーと、メモメモ…」
相変わらずの毒舌に突っ込みながらも、急いでメモアプリを起動し、浮かんだ単語を書きなぐる
「ア・バオア・クー、モック、赤いグレイズ、魔女、太陽神……」
それは突飛なものばかりであったが、そうしてるうちに確かに、混沌とした宇宙空間の情景が散り散りに浮かび上がってくる。
「…そして、アヴァリティエ」
そう、ナインの駆るジンクスと同じ名を冠した純白のその機体だ
その機体を駆る人物の姿を見た記憶はない、しかし、その戦闘スタイルが、僅かに聞こえたような声が、どうも既視感を覚える。
「…なんで、こんな面白い夢、忘れてたんだ?
うーん、でもまだ全然浮かばんな…」
しかし、その全てが浮かび上がることはなく、断片的で荒唐無稽なものばかりだ。
『…夢、というは本人の記憶をもとに脳の整理機能として起きる現象を差します。
カゲト様お得意の妄想と、変わりはないかと』
「…んっ?あぁ、まぁ、そりゃそうだがな
なんか変に引っ掛かるんだよな」
あくまでも似てるような気がする、それだけのはずなのに、何が頭の片隅に引っ掛かり続ける。
それに、カゲト自身が体験したような、そんな気がしてならない。
『直ぐに変な事に興味を持つのはカゲト様の悪い癖です
そのような記録をしても無意味かと
記録に残っていない以上、その証明は不可能です』
そう告げると、メモアプリがハルにより閉じられる。
「…なんか、やけに突っかかるな?」
『…………』
いつもにましてカゲトに突っかかっくるハルの行動に首を傾げるも、確かに朧気な夢のことを思い返した所で何にもならない。
「まぁ、良いか!って、もうこんな時間かよ!?
さっさと調整終わらせんとまた徹夜コースだ…」
時計を覗くと、想定外にこの事に関して時間を使ってしまったことに、慌てて投げ出した工具を拾い上げるのであった。
「…って夢を見てな」
「なんと!異なる世界より集いし勇者達の英雄譚…!
なんとも、心踊る物語ではないか…!」
「…だから、所詮変な夢だっての」
後日、なんとか徹夜を回避し、再びGBNへと赴いたカゲト、そこで悶々としていた所、魔王に突っ込まれ、渋々、例の夢のことを口にしたのであった。
「やはり!我が見込んだだけのことはあるな…!
異世界より集いし勇者と共に魔女を打ち倒すとは!」
「んー?いや、俺は別に、そんな活躍してなかった気もするが…
所詮、俺は脇役だし」
思い返すも、夢の中でさえ、自分は主人公のようにボスに挑んだ訳でないことに気付き、霹靂とする。
夢の中くらい、もっとカッコよく無双すれば良いものを、と自分の中の評価の低さを笑わずにはいられない。
「…むぅ、それだ!契約者よ、もっと自らに宿る力を誇るべきであるぞ
そう!この我のようにな!」
自虐的に笑うカゲトを見かねてか、魔王はいつものようにビシッとポーズを決めながら、見栄を張り、カゲトを指差す
「そうは言ってもなぁ…
てか、魔王様が強すぎるっての」
「…はぁ、全く、それではかの英雄達に申し訳がたたんぞ!
そう!貴殿は、この魔王の参謀にして、共鳴者!そして、異世界の勇者の一門であるのだぞ…!
クカカカカ!この我も誇り高いぞ!」
「……そう、か。
うん、そうだな、
ま、まぁ流石は魔王様の慧眼ってか」
その言葉にはっとしながら、少々気恥ずかしくなり、いつものように適当に流しながらそそくさと歩みを進める。
「フフンッ!そうであろう!
…って、どこに行く!我を置いて往くつもりか!」
今回はカゲトくん目線のアフターでした。
本編では決して英雄的活躍はしなかった、だけど、その経験はきっと、カゲトくんのその先に…