ミネルバ・マクゴナガルにまつわるすべて   作:ぱーりらぱーりら

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1947年 ミネルバとダンブルドア

 

 

 

汽車の中で、ミネルバは母の泣く姿を思い出していた。

 

 

メンフクロウが運んできた手紙を開けた瞬間、ミネルバの人生は取り返しがつかないほど大きく変わった。

 

自分が魔女の娘で、おそらく自分もそうであることはずっと前から分かっていた。

それでも牧師の父親のすすめでエジンバラのカトリック系女子寄宿学校に通うつもりでいたし、将来は大学に行って何かしらの学位をとりたいと思っていた。

ついに”休暇中に読みたい本リスト”が身長をこしたし、弟たちと約束していた小旅行の計画もまだだった。

 

 

だが、ホグワーツへの入学許可証を受け取り、自分の過去を話したがらない母からホグワーツの話を聞いたとき、ミネルバの淡い夢や欲望、将来像はすべて滲んで消えていった。

 

魔女になりたいと強く思ってしまったのだ。

 

 

 

 

ミネルバの母親はそれから泣き暮らした。

 

自分が捨てた杖を娘が拾う現実が悲しく、つらく、羨ましかったのだろう。

けっきょく彼女はダイアゴン横丁にも9と4分の3番線にも足を踏み入れず、二つの世界の境界をぼうっと眺めるだけにとどまった。

 

ミネルバは愛のために杖を捨てた母の苦悩を知っていたが、やはり少しだけ寂しかった。

 

 

 

「ねえ、ここ空いてる?」

 

 

その寂しさが、ふだん人を避けるミネルバにコンパーメントの相席を許させた。

 

入ってきたのは小柄でふわふわした赤毛の少女だった。

村の粗暴な少年少女に慣れたミネルバの目には、彼女がお金持ちのご令嬢のように見えた。

彼女は上品な仕草で座ると、スカートの曲がった部分をさっと直してミネルバを見た。その浮世離れした整った顔立ちがミネルバの心臓をどきりとさせた。

 

 

「私はオリヴィア・プルウェット。よろしくね」

 

 

なんと返せばいいのか分からず、ミネルバは数瞬止まった。

思えば彼女は、同年代の少女とほとんど話したことがなかった。

 

同い年の子供が外で泥遊びをしている間、教会に所蔵された本ばかりを読んでいるような子供だった。人との関わり方というものをよく知らないのだ。

 

ミネルバは緊張を見透かされないよう目を合わせずに言った。

 

「こちらこそよろしく。私はミネルバ・マクゴナガル。新入生よ」

「私も同じ!」

 

オリヴィアはお姫様のような見た目に似合わない大声で言った。

 

 

「ねえ、それ何読んでるの?」

 

 

オリヴィアはミネルバの膝の上に置かれた教科書を指さした。

 

ミネルバは反射的に表紙を隠す。

彼女には自分の才を隠す癖があった。

両親はミネルバが勉学に励むことを喜んだが、伝統的な思想の村人は牧師の娘が聖書や裁縫道具ではなく、科学の本を大事そうに抱えていることを快く思わなかったからだ。

 

 

「大した本じゃないわ」

「隠さないでよ。それってすごく難しい本じゃない? イギーが読んでるのを見たことある。変身術の本でしょ」

 

 

ミネルバは小さく頷き、腕の下に隠したイーサン・マクレガーの『変身理論法』を改めて見た。

 

フローリッシュ・アンド・ブロッツ書店で立ち読みした中で一番のお気に入りで、彼女はこれを少ない小遣いでなんとか購入した。変身術を構築する魔法理論、術式の美しさが彼女を虜にしたのだ。

革表紙はすり減り、何枚もはさんだ栞のせいで本が膨れ上がっている。ただでさえ黄色っぽい紙にのった手垢がミネルバの熱心さを映し出していた。

 

 

「やっぱり! 変身術が好きなの?」

 

オリヴィアは向かいの椅子に座ったまま、興味津々といった様子で身を乗り出した。

 

「す……好きよ。すごく面白いわ。変身術って魔法なのに理論で説明できるのよ。それに何かに変身するって楽しそうじゃない? マッチ棒を針に変えるのも便利だけど、やっぱり自分を変身させてみたいわ。動物に変身したらどんなに……」

 

ミネルバは自分の急な雄弁さが恥ずかしくなり、口をつぐんだ。

関心を抱かれたと分かった途端に嬉しくなってしまった。

オリヴィアに煙たがられただろうか、と赤毛に埋もれた彼女の表情をうかがうも、そこに湛えられていたのは間違いようもなく笑顔だった。

 

「何の動物に変身したいの?」

 

オリヴィアの質問はミネルバの心を踊らせた。

これの答えは決まっている。何度もなんども頭の中で想像した姿がある。

 

「猫よ」

「うわあ、私も猫大好き! 私が変身するなら鳥がいいなぁ。……でも飛んでる最中に魔法が解けたら大変か。空中から真っ逆さまに落ちることになるもんね」

「もしそうなったら私が下でキャッチするわ」

「ええっ? どうやって?」

「そりゃあ……魔法で」

 

ミネルバはにやっと笑った。オリヴィアも笑った。

空から落ちる人間を助ける魔法があるかは知らないが、自分なら何でもできるような気がしていた。

 

「ミネルバはきっとレイブンクローね」

 

オリヴィアはそう言い切った。

 

ミネルバもおおむね同意見だった。

ホグワーツに入学すると本人の特質によって四つの寮のどれかに組み分けられるらしい。勉強が得意な自分が行くのはレイブンクローだと以前から思っていた。

 

「オリヴィアはどこの寮だと思う?」

「グリフィンドールかな。プルウェット家は代々そうだから」

「血筋で決まるの?」

「必ずしもそうじゃないけど、家族と同じ寮になることが多いみたい。でも家系は代々スリザリンだけど一人だけグリフィンドール、なんてことも珍しくないみたいだよ」

 

 

ミネルバはふと、母の実家のロス家はどういう家系なのだろうと思った。

 

母方の親戚には会ったことは一度もない。両親のどちらとも駆け落ち同然に家を飛び出し、実家と縁を切ったからだ。

魔法界に自分と同じ血が流れる人間がいると思うと、ミネルバは不思議な気分になった。ホグワーツに自分の親戚がいるかもしれない──。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

”ハットストール”という言葉が前からも後ろからも聞こえてくる。

 

 

ミネルバは静かに目を閉じた。

幸運なことに古ぼけた組分け帽子はミネルバの頭には大きく、帽子のへりのおかげで視界の半分が遮られた。

しかし、残り半分から注がれる数百人分の無慈悲な視線が、彼女をナーバスにさせる。

 

こんなに注目されたのは後にも先にもこれっきりだ。

 

 

『難しい……実に難しい……』

 

 

重低音のうなり声が脳に直接響いてくる。

ミネルバは大広間の時計をちらと見た。自分が組分け帽子を被ってからちょうど五分が経過した。

一体何が難しいのだろう。

ミネルバは自分がレイブンクローに行くものだとばかり思っていた。

 

『そう、君には間違いなくレイブンクローの素質がある!』

 

心を読まれた!

 

しかし驚きは小さかった。

オリヴィアが貸してくれた『ホグワーツの歴史』には、組分け帽子が現存する最古の魔法道具のひとつで、開心術という心を読む魔法を使うと書かれていたからだ。

 

『その通り。私は君の心を読む。心だけでなく君の素質、才能、心の奥底に隠された秘宝すら垣間見ることができるのだ』

 

それってちょっと嫌。

みんな人に知られたくないことの一つや二つあるだろう。たとえ相手が帽子だとしても。

 

『申し訳ないが必要事項なのでね。しかし安心してくれ。私は契約で、知った内容を本人以外に話せないようになっている。現にわれわれの会話は大広間には聞こえていない』

 

そういえば……。

 

ミネルバは帽子の言葉を耳ではなく、脳で聞いていることに気づいた。

つくづく不思議な帽子である。人の心を読み、テレパシーを使うなんて。

 

 

組分け帽子にかけられた魔法はどういう仕組みなのだろう。

 

そもそも現代と四人の創設者の時代とでは魔法が大きく異なるのではないだろうか。古い魔法道具から古代の魔法を研究する分野はあるのだろうか。

疑問がむくむくと湧いてくる。帽子はそれを見逃さなかった。

 

『君は知性に満ち、学問に対する強い好奇心がある。レイブンクローに相応しい素質だ。……しかし同時に、ゴブリン製の銀剣のように輝くまっすぐな勇敢さは、グリフィンドールが求める素質でもある。君は高潔で、義理堅く、自分にも他人にも公正であろうとしている……』

 

ミネルバは頬を赤く染めた。

そんなことを言われたのは人生で初めてだった。

勇敢だとか、高潔だとか、そんな綺麗な言葉が自分に当てはまるなんて考えたこともない。

 

自分のいいところと言えばせいぜい、面倒見がいいところや、途中で物事を投げ出さないところ、ルールをしっかり守るところくらい。

ミネルバは弟たちを守るためにいじめっこに殴りかかったことはあっても、自分がアーサー王の円卓の騎士やロビン・フットのような勇敢な人間になれるなんて思ったことはなかった。

 

 

『そうだとも。真に勇気ある者は、自分が勇者だとは思わない。それに勇気にも種類がある。眠るドラゴンを刺激できる者が必ずしも勇敢なわけではない』

 

 

『グリフィンドールが求める生徒は、他者を思いやり、手を伸ばし、自分を犠牲にしてでも誰かのために立ち上がることができる人間だ。まさしく──君のようなね』

 

 

胸があつくなっていく。

 

帽子の顔は見えないが、ミネルバには帽子がウインクしたように思えた。

 

 

『決めた。君にふさわしい寮の名は……』

 

 

「グリフィンドール!」

 

 

帽子がさけんだ瞬間、ミネルバは爆発のような歓声と拍手を浴びた。眩しさに目をしばたかせながらミネルバは椅子から飛び降りる。

赤いカラーのテーブルがミネルバを手招いている。歓迎されていると分かりミネルバは少し安心した。

 

 

ふと、組分け帽子を取り上げた副校長と目が合った。

 

 

ミネルバは彼の名を知っている。

黒い魔法使いグリンデルバルトを倒した英雄。彼がミネルバににっこり笑いかけた。

 

 

 

「グリフィンドールへようこそ」

 

 

 

これが、ミネルバとアルバス・ダンブルドアの初対面だった。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

組分けの儀式が終わってはじめて知ったことだが、ミネルバは五十年ぶりの”ハットストール”らしい。

 

 

文字通り、帽子(hat)を遅らせる(stall)。

組分けに五分以上かかる生徒をハットストールと呼ぶ。

 

帽子はふつう組分けに一分もかけない。ミネルバの次に時間がかかった生徒すら二分とちょっとで、五分には到底及ばなかった。

ミネルバが食事のときに口を滑らせたせいで、翌朝には、五十年ぶりのハットストールがグリフィンドールとレイブンクローの素質をもつことが全校中に知れ渡っていた。

 

 

クラスメートも、先輩も、教授たちですらミネルバの優秀さに期待していた。

特に魔法薬学教授のホラス・スラグホーンは、授業を待たずしてミネルバを”クラブ”に勧誘し、彼女の希少価値を無意識に高めた。

 

「教授。ハットストールだからといって優秀だとは限りませんよ」

 

そう言ってやんわり断ったが、言うまでもなくミネルバは完璧だった。

 

 

呪文学の課題はどれもすぐこなし、魔法植物の扱いにも長け、スラグホーンが期待したとおり魔法薬学にも才能があった。

座学も実技も真面目にこなすミネルバはまさに理想的な生徒。望まれるハットストールの姿だった。

ミネルバも魔法の学びを大いに楽しんだ。

 

 

 

だが、居心地が悪かった。

 

何かに成功するたび、「またミス・マクゴナガルがやりました」と大勢の前で言われるのが恥ずかしかった。

元来、目立つのが苦手なミネルバにとって、大勢に注目される時間は苦痛以外のなにものでもない。

そんな彼女を根気強く支えたのは、同じくグリフィンドールに組分けされたオリヴィア・プルウェットだった。

 

 

寮のルームメイトや、初めてコンパートメントを共にした人物が生涯の友となるのは、ホグワーツでは必然のことである。

それは魔法の力なのか、魔法よりもっと尊いものなのか。

 

ミネルバとオリヴィアも例外なく、互いを親友と認める仲になった。

 

 

 

 

「ミス・マクゴナガル。ちょっと残ってくれるかのう」

 

変身術の授業のあと、ミネルバはダンブルドアに呼び止められた。

彼女から質問することはあっても、ダンブルドアから個人的に話しかけられたのはこれが初めてだった。

 

ミネルバの予想通り、変身術は一番のお気に入りの授業になった。

理論の完全な理解を求められる変身術には、呪文を成功させる以上のエクスタシーがあり、一年生向けの簡単な基礎教育だけでもミネルバは大いに満足した。

ダンブルドアは変身術学会のトップランカーであり、ホグワーツは魔法界の最先端教育機関である。日々文献を読み漁るミネルバにとっても、授業には新たな発見と驚きが伴った。

 

 

おまけにダンブルドアの人間性にも引かれた。

 

 

ミネルバを特別扱いせず、かといって軽んじるわけでもなく、ユーモアたっぷりで、ミネルバの望む知識を与えてくれる。

生徒一人ひとりに合わせたダンブルドアのアドバイスが、ミネルバの変身術の才能をより引き出していた。

 

ダンブルドアに魔法大臣になってほしいとの世論を日刊預言者新聞で見てからというもの、どうか卒業するまではダンブルドアが教授でいてくれますようにと、ミネルバはベッドの中で毎晩願った。

 

スリザリンも含めあらゆる生徒が英雄ダンブルドアを尊敬していたが、変身術の達人であるという点で彼を崇敬したのはミネルバだけだった。

 

 

 

 

金曜日の四限は一週間の最後の授業だ。

 

金曜の夕方は至福の時間であり、週の最後の授業ともなると、週末の予定に思いを巡らせ、勉強に力が入らない生徒も少なくなかった。

ダンブルドアはそんな生徒も咎めない。

 

オリヴィアは先に寮に戻り、教室にはミネルバとダンブルドアだけになった。

暖房魔法と人の熱が生み出したもわりとした暑さがゆらぎ、雪風がゆらす窓枠の音が冬であることを思い出させた。

ハロウィーンのパーティーからあっという間に一ヶ月がたった。

 

 

ダンブルドアは杖をふって、二人分のホットコーヒーとお菓子を出現させた。

ミネルバは礼をいって口をつける。

もともと用意してくれていたのだろうか。ダンブルドアの気遣いに心も身体もじんわり温かくなる。

 

誰の授業はどうだったの、一個上のウィーズリーが何をしただの、二人はしばらく談笑を楽しんだ。

コーヒーもぬるくなり、お菓子もあと数個になってきたところでダンブルドアが本題に入った。それはミネルバを大いに落胆させた。

 

 

「スラグホーン先生を避けているね?」

 

 

ミネルバはびくっと肩を揺らした。

 

「ついにわしに君宛の招待状が渡された。どうやらスラグ・クラブ恒例のクリスマスパーティーの招待らしい」

 

嫌そうな顔を作らなかった自分を、ミネルバは心の中で褒めた。

しかし人の感情を読むことに長けたダンブルドアには伝わったらしい。すぐそこまで出された招待状は、数秒宙をさまよい、そのままダンブルドアの懐に戻っていった。

 

彼は豊かに蓄えたひげを撫でつけ困ったように笑うと、

 

「そんな反応をされるとは思わなんだ。渡そうと思ったのじゃが、これは処分しておこうか?」

「ありがとうございます」

「わしから欠席の連絡をしておこう」

 

ミネルバはダンブルドアの手を煩わせた自分を責めた。

 

数十秒の沈黙が教室を支配する。

ダンブルドアは笑みを湛えたままミネルバを見つめている。ミネルバにまとわりつく妙な息苦しさに彼は気づいていたのだろうか。

 

 

「ホラスが苦手かね?」

 

ミネルバはようやくダンブルドアの目を見た。

 

「私をハットストール扱いする人は総じて苦手です。もう何ヶ月も前の話なのに……」

 

組分けの儀式のセンセーショナルな出来事は、日がたつごとに生徒たちの意識から遠のいていった。

ハロウィーンのパーティーの頃にはミネルバを特別視する人間はほとんどいなくなり、普通の生徒と同じように普通の学生生活を送れるようになった。

 

しかし、ホラス・スラグホーンだけはハットストールのミネルバの()()にこだわった。

数ヶ月にもわたってホラスを執着させたのは、50年に一度の「ハットストール」というプレミアだった。くわえて才能を嗅ぎ分ける生来の才能が、ミネルバを強く求めさせたのだ。

 

「教授はハットストールの生徒をクラブに入れたいだけなんだと思います。きっと私自身にはそれほど興味がないんです」

 

ダンブルドアはミネルバの賢さに思わず笑みをこぼした。

 

多くの生徒が、大の大人ですら優しさに絆されてホラスの一面に気づかないのに、11か12そこらの彼女がそれを見抜くとは!

しかしダンブルドアは、長年の友人であるホラスを少し庇ってやることにした。

 

 

「確かに、ホラスには他人をトロフィー扱いする悪い癖がある。しかし相手を見抜く力は確かだし、彼は本心から生徒たちと親しくなりたいと思っておる。そこに別の目的があるのは否めんが……」

「ハットストールの生徒は、それだけでトロフィーになるんでしょうか? 組分け帽子が悩んだだけで、優れているとは限りません」

 

ミネルバは学生生活を窮屈にした言葉を憎んでいた。

 

「君の言うとおりじゃ。ハットストールは優秀さの証明にはならない。グリフィンドールの勇気やレイブンクローの知性、ハッフルパフの誠実さ、スリザリンの野心があっても、道を踏み外したり、努力を怠ったりすれば素質は錆びついていく……」

 

ダンブルドアはどこか悲しそうな顔をした。

 

彼の視線の先には、教壇の脇にある古びた鏡があった。

何かあるのだろうかと、ミネルバもならって鏡を見る。

 

時代遅れの装飾に囲まれた姿見の中に自分とダンブルドアがいる。ダンブルドアは鏡越しに笑いかけた。

 

「君が優秀なのは、ひたむきな努力と隠れた才能によるものだ。そのまままっすぐ磨きなさい」

 

そう言って杖を一振りすると、姿見が宝石で装飾されたデッキブラシに変わった。

これで磨けとでも言うのだろうか。

デッキブラシと宝石を取り合わせるなんて相変わらずセンスが悪いが、本物と見紛うような宝飾の完成度には目を見張るものがあった。

 

 

「ありがとうございます。ところで先生、一つ質問しても?」

「なんでも構わんよ」

 

ダンブルドアはいつもそう言う。

 

 

「私、在学中に動物もどき(アニメーガス)を習得したいんですが、可能でしょうか?」

 

 

すると、ダンブルドアは滅多に見せない顔を見せた。

 

蛙チョコレートのカードに載る世界的な英雄の顔でも、お茶目でユーモアある副校長の顔でもなかった。

 

 

「若者が志し、正しい鍛錬を重ねれば、世の中に不可能なことなどない」

 

 

それは変身術の研究者としての、純粋な喜びの顔だった。

 

 

「君が望む限り、わしがあらゆる知識を授けよう」

 

 

 

 

 

 

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