バレンタインという狂ったイベントが終われば2月は瞬く間に過ぎ去って行く。
そして3月に入れば―――もう、ドバイ現地入りの時期だ。ドバイのダートは日本やアメリカのそれとも違う。走りなれたアメリカのダートとは違う環境であるという話もあるし、慣れる為の時間が必要だ。そういう意味を込めて早めに現地入りしておく必要がある。
無論、また海外に向かうという話になると滅茶苦茶ディーが嫌がって引っ付いて離れなくなったり自分も帯同するとか言い出して三女神像に磔にして置く必要があったり、ターミネイターの如く全てを破壊してついてくついてくし始めたりラノベ一冊分の騒動があったりしたのだが……まあ、本筋とは関係のない話だ。
日本チームは全員トレセン学園所属なので同じバスに乗って現地入りする為に空港へと向かう事になる。俺が招待されてドバイWCに乗り込むという事になった結果、国内はこれまでにないレベルでダートが注目され、そして盛り上がる事になった。
空港に到着したバスから降りればアホみたいな数の記者がカメラを手に待ち構えており、マイクを此方へと向けてくる。それを警備員や雇っているSPがテロを警戒しながら抑え込んでいる。それを解っているのか記者たちも絶対に一定のライン以上は近づこうとはせず、フラッシュも焚かない。
それにファンサービスするようにサングラスを下に少しだけずらし、ウィンクする。
「お前、本当にその手のサービスに躊躇ないな……」
「俺、自分の見た目が良い事に自覚があるからな」
空港に入りながら手を振り、記者たちをちょっと楽しませる。とはいえ、質問に答えたりはしないのだが。そこまでやると流石に調子に乗られる。引率のトレーナー達に従って空港内を進み、早めにチェックインする為の出国ゲートへと向かう為に手荷物検査が始まる。
持ち込んだ大型トランクをコンベアの上に載せて、スキャンして貰いながら金属探知機を抜けて、
「―――あ、ちょっと待ってね。待ってくださいそこのお嬢さん。あー、クリムゾンフィアーさん」
スキャンチェックされているトランクを前に空港のスタッフに止められる。俺は努めて何事もないかのように無実な表情を浮かべて対峙する。
「何かな」
「このトランク、あけて貰っても良いかな?」
警備員の言葉に可愛く笑みを浮かべてみるが騙されてくれなかった。溜息を吐いて横の台に置かれたトランクまで移動し、その中身を晒すように開ける。その中身を見て、警備員が頭を掻く。
「あー……これは、何かな」
トランクケースの中にあるものを両手で抱えて持ち上げる。それは小さく、愛くるしく、しかし暖かい毛に包まれた茶色のもじゃもじゃ―――即ち、カピ君だった。挨拶するように前足をカピ君が上げた。
「きゅっ」
「……ダメ?」
「駄目、かなぁ……」
「仕方がねえなあ……」
しゃがんでカピ君をリリースすると、カピ君がそのまま寂しそうにのっしのっしと空港の出口へと向かい、入口からカメラを構えていた報道陣を薙ぎ払ってジャンプする。その姿を飛んできたマンボが掴んでそのまま飛び去って行った。
「ドバイでなカピ君ー!」
きゅー、という鳴き声を響かせてカピ君が空へと消えて行く。
エルコンドルパサーのやる気が下がった!
特に問題もなく飛行機に乗れた。当然、ファーストクラスだ。アメリカに拉致された時もファーストクラスだったが、ウマ娘にとってエコノミー症候群は割とシャレにならないものなので当然と言えば当然の話だ。海外経験のない娘達は割とキョロキョロと慣れない視線を回りに向けているが、俺は慣れたもんだ。
ファーストクラス特有のデカい椅子に座り込み、事前の長いフライト時間を潰す為に持ち込んできたSwitchを取り出す。やっぱポケモンよ、ポケモン。今の時期にSwitchでやるソフトなんてポケモンに決まっている。ランクマ、レイド回り、厳選だけで余裕で時間が吹っ飛ぶ。
ポケモンを起動するとお、という声が聞こえた。
「フィアーさんはポケモン遊んでるんだ」
「俺は皆大好きソシャカスで糞ゲーマーだよ」
「人格がカスって意味の糞ゲーマーか」
ユートピアが前の席から振り返り、横からハーツクライの声がする。きらりーん、と目元を輝かせて2人がSwitchを取り出す。どうやら俺たちの考えている事は一緒らしい。
「パルデアの冒険終わった?」
「終わった終わった。ペパー君良いよね」
「アイツ良いよな。滅茶苦茶良い子だし、今作の相棒枠だと思う」
「ネモ……」
「俺たちは旅を通して2人の親友とヒソカを作った。それがポケモンSV」
「ヒソカ止めろ」
ウマッターを見るとネモがヒソカ顔してるイラストばかりなんだよなあ。いや、まあ、納得のヒソカなんだが。だけどぶっちゃけ、あの見かけたらバトルでごっ倒すってのは完全にリアルトレーナーのメタファー的なもんを感じるんだよね。
ぶっちゃけ、一番俺らしてるのネモだよな。客観視するとドン引きだわ。
「しかしパルデアはスペインモチーフで、ガラルはイギリスか。ライブ感に関してはマジでガラルの方が強かったね」
「ガラルはなんというか……バトルそのものを興業化させる事で地域全体の活性と経済回してるって感じ強かったよね。私はガラルの方が地域としては好きかなあ」
ユートピアの言葉にあー、とハーツクライ共々声を零す。良くも悪くもパルデアはそこら辺、盛り上がりが少なかったな……とは思う。ただ3ルートクリアしたら最終ルートが出現するというシナリオ設計は好きだが。
それでもジム周りの話はガラルの方が好きだったなあ、というのは感じる。ヨシ、ポケモン起動。ランクマ用のパーティを呼び出す。
「とりあえず目と目が合ったしバトルすっか」
「ここにもネモがまた1人。相手をしよう」
「見せて見せて」
ユートピアが此方側へとやってくるのでちょっと場所を空けて、ハーツクライとポーズを取る。
「デュエルッ!!」
ゲームが違うとかいうツッコミは無い。我らは学生、その場のノリで割と馬鹿な事をやる。通信をオンにして繋いだらバトルをハーツクライに申し込む。
「くっくっく、俺はまだハイパーボールだぜ……!」
「えっ、マスター行ってないのか? 割とゲームやってるからマスター行ってると思ってたけど」
「ここ最近は眠ってた間の積みゲー崩しで忙しくてな……」
「あー」
ハーツとユートピアが声を揃えて納得する。俺もまあ、試行回数増やせばマスターボール到達できるとは思うんだけど。だけどそれはそれとして、やる事が多い多いであまりやり込む暇がない。ぶっちゃけリハビリに時間の大半を取られてゲームやる程の気力が残らないのが事実だ。
「お、ハーツはラッシャ構築か」
「ロンゲコノヨとか見たくないもんが見えたな……」
キョジオーン、ヘイラッシャとかいう2大害悪を揃えてなんて事を言うんだこいつは。てんねん持ちに超耐久ポケモン、有利を取れるポケモンを絶対に裏に編成しないと出された時点で詰みかねないという最悪の組み合わせだ。
専用対策必須だから必然的に対策ポケモンを選出しないといけないのが嫌らしい点だ。マスター構築って大体そういうのを強制して読みを縛る所あるよな。
「アレ、二人ともサーフゴー入れてないんだ」
「A0厳選終わってない」
「単純に趣味じゃない」
サーフゴー、パルデア屈指のぶっ壊れポケモン。まさかの変化技無効に加えて鋼版りゅうせいぐんを習得してくるカスみたいなポケモン。ミミッキュ然り、こいつ然りぶっ壊れ特性をゴーストになんで与えた? お蔭でパルデアが地面悪環境に染まってしまった。
サーフゴー、強いよなあ……。
いや、でも今期はコノヨザル推してます。コノヨザルカッコいいし強いよ。これはマジ。おんみつマントでもたべのこし型でもHBかHD振りで死ぬほど場に居座るし。ふんどのこぶしでてんねん相手にも強く出れる。
ラッシャ、塩、ガッサ相手にそのまま突っ張れるのはやっぱ死ぬほど強いのだ。ロンゲで壁張ってすてゼリフで引いてコノヨザルに回すだけで物凄い活躍が出来る。これで最後の1匹をマリルリやハッサム辺りにしておくとそのまま綺麗に掃除できる。
「出たなカバカス」
「永遠に出番のカバのカス……はい、挑発!」
「だよなぁ」
カバに挑発を打って機能停止させたらそのままビルド体操開始。来世があるならポケモントレーナーになって害悪ポケモンを狩り続けるだけの人生にしてえ……!
ハーツクライと対戦し、それからユートピアとも対戦する。他のウマ娘達とも持ち込んだSwitchでポケモン大会を開く。
やっぱりポケモンって最高だぜ!!
ポケモンSV発売中!
クリムゾンフィアー
ポケモンは趣味として好き。趣味ポケで戦うタイプ
ハーツクライ
ガチガチのガチパで戦うタイプ。勝つのが好き
ユートピア
変態ダブルバトル勢。トリプルの復活を待ち望んでる
昨日の夜は仕事終わってから家でシャンパン飲んで酔いつぶれてたので更新できませんでした。今日は昼からシャンパンを飲んで酔いつぶれてるので更新出来ました。