底抜けに明るい自由人   作:ハジケリスト

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……ハジケさせすぎた…?


8話目

 

 

 

「──それでな?それでな?そんとき俺は言ってやったわけよ」

「「「………」」」(;・ω・)ごくり

「"じゃあ一体誰がパイを焼くんだ"ってね」

「「「アハハハハハハハ」」」

「……何これ?」

 

お昼の時間。

皆で仲良く俺の作った弁当をつまみながらの俺のすべらない話を聞かせることによって、距離が縮まった。これは良い傾向だ。素晴らしい。

……いっちゃんはまだ戸惑ってるが時期にこの空気に慣れるさ。

 

ダイジョウブダ、モンダイナイ

 

「さあ、あなた達!そろそろお昼は終わりよ!早く片付けして次の授業の準備しなさい!」

「「「えーーーー」」」

「えーじゃありません。次の時間はお母さんもいてあげるから頑張るのよ!」

「「「はーーーい」」」

 

手を叩きながらそう言うと皆ワラワラと動きだした。

うんうん、素直な子達で大変よろし。

 

さて、俺も準備をしなくては。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし、お前ら席につけ……ってもうついてるか。優秀優秀」

 

そんなことを言いながら入ってきた先生。

そのまま教壇に立ち、こちらに視線を向けた。

 

「はい、号令」

 

その合図で日直の子が声を張り上げた。

 

起立、礼、着席。

 

これが学生の毎回のルーティーンなのである。

俺もしっかりとそれをやり椅子へと腰かけた。

 

「うーし、じゃあこの前の続きから行くぞー。教科書の72ページ……ってちょっと待て」

 

む?どうしたのだろうか。

こちらに教師の視線が突き刺さる。

 

「……誰?」

 

指を指されそう聞かれた。

 

「はじめまして。私は佐藤華子です」(裏声)

「「「!?」」」

「え…!?」

 

フッ、みんな驚いてるな。

これが俺の十八番。女声さ。透き通った美声に酔いしれな。

 

「……フゥ。なるほど、お前佐藤太楼だな?」

「いいえ、佐藤華子です。華ちゃんって呼んで」

「やかましい。女装してても分かるんだよ」

「あらやだぁ、先生ストーカー?」

「……あ゛ー胃が痛い」

 

俺の女装は完璧だったはずなのによく気づいたもんだ。

だがそれでも俺は、

 

「今日から宫女の生徒です」

「うるせぇ。帰れ」

「先生は私が男だから、お股にスティックがあるから女子校では授業を受けちゃダメってことですの!?なんて人…!」

「「「そーだそーだ」」」

「……いやなんでお前らも乗り気なんだよ」

「そうは思いませんこと?いっちゃん」

「え?……あー」

「……いやこっちに助け求められてもな」

 

いっちゃんに向かって聞くが気まずそうに視線が教師に向く。

全く、私は今は女なのよ。女になりたい年頃なの。

 

「分かった分かった。いていいから騒ぎは起こすな。あとお前の学校にも報告しとくからな」

「分かればよろしいですの」

「……うざ」

 

許可は貰った。

そうなったらあとはこっちのもんだよ。

 

さて、教科書、教科書っと……、

 

「……せんせー」

「……はぁ、なんだ佐藤太楼」

「……」

「……っ、は、華子さん」

「……」

「〜〜っ!……華ちゃん…!」

「はい!わたくし教科書がありませんわ!」

「もう隣の人から見せてもらえ…」

 

おkおk。

そういうことなら隣のいっちゃんに見せてもらうぜ。

こういう時は助け合い。やっぱりそういうの大事。

 

「ではよろしくお願い致しますわ」

「あ……、うん」

 

さて始まりました午後一の授業。

教科は国語。

先生が教科書を読み上げていってるが……、この時間のこれはなかなかに眠くなるタイプのやつだ。

現に数名の生徒たちはうつらうつらとしている。

しょうがないね。学生だもんね。

 

「せんせー」

「……ふぅ、なんだ?」

「もっとこう感情込めてお願いできませんこと?」

「その心は?」

「そのままだとわたくし寝てしまいそうですわ」

「……はぁ、じゃあもうお前読め」

「読んでください……でしょう?」

「はぁーーーうっぜぇぇぇぇぇえ!!!」

 

しかしまあ頼まれたのならばやりましょう。

喉の調子を整え、俺はいっちゃんから教科書を借り身振り手振りを混じえながら読み始めた。

 

「……メロスは激怒した…!必ず、かの邪智暴虐の王を除かねばならぬと決意した!」

「「「……」」」

 

 

 

「──願いを、聞いた。その身代わりを呼ぶが良い!三日目には日没迄に帰って来い!遅れたらその身代わりをきっと殺すぞ…!」

「「「……っ」」」

 

 

 

「──何をするのだ!私は陽の沈まぬうちに王城へ行かなければならぬ!放せ!

どっこい放さぬ…!持ちもの全部を置いて行けぇいッ!!!」

「「「……」」」(;・ω・)ごくり

 

 

 

「──メロス、私を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ!私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらと君を疑った…!生れて、はじめて君を疑った!君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない…!

メロスは腕に唸うなりをつけてセリヌンティウスの頬を殴った。

ありがとう、友よ…!」

「「「……っ」」」( ᵒ̴̶̷̥́ ᵕ ᵒ̴̶̷̣̥̀ )

 

 

 

「──勇者は、ひどく赤面した。

以上、ご清聴ありがとうございました」

「「「っ!」」」パチパチパチパチ

 

ふぅ、やりきったぜ。これは主演男優賞貰えるな。

 

みんなも拍手しながら目から感動の涙を流してる。

感動した!や、素晴らしい!など、なんならメロスよくやった!なんて声が聞こえてくる。

満足いただけたようで何より。

 

「どうでしたでしょうかせんせー?」

「……正直言えば最高だった。さすがは世界の変人、佐藤太楼だ」

 

ふっふーん。そうだろそうだろ?

 

「ただ……」

「ん?」

 

その瞬間、

 

──キーンコーンカーンコーン

 

そんなふうに鳴り響いたチャイム。

 

「……もう時間だ」

「フッ、時が経つのは早いな」

「はぁ……職員室前戻ったら胃薬飲むか。じゃあ終わるから。号令はいいや」

 

奏して腹を押えゲッソリした顔で出て行く教師。

どうしたのだろうか?腹痛かな?(すっとぼけ)

 

「ではでは俺もここいらで…。いっちゃん、放課後待ってるねー」

「……え」

「じゃあばいちゃ!」

「「「またねータローくんッ!」」」

「ああ!さらばだ!また会いに来るよー!」

 

そうして俺は窓から飛び降りた。

さて、このあと何をして暇を潰そうか。

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