第一期人類 足跡(0〜550まで)   作:mKRni

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人類誕生からはじめての交流まで


第1話

人間は生まれた時、まず思慮した。

公然と広げ渡る大自然の脈々たる命たち、そしてそこに産まれた未だ無知たる我々、人類は発進の地点で既に多くに遅れをとっている事を知覚した。

 

彼らは既に半ば成熟した状態で産まれ落ちたが、生の坩堝の中を進むには幼過ぎた。座は種の早期の根絶を恐れ、同時に結論付ける。『個の尊重とは放逐では無い』と。

産まれ落ちた無垢なる人類に与えられたのは、座を介して行われる集団意識の知覚と意思疎通、そして指針への誘導。つまり目標とその達成に於ける大きな障害の一つを取り除いてもらった状態から発進を開始したのだ。

あぁ……勘違いしないで頂きたい。確かに現在の人類の座は根絶しない限りこんな助け舟は出さないだろう。これはあくまで原初の一歩を踏み出すための補助輪だ。人類の繁栄のために行った、種と個を思う故の座の思考なのだ。

 

捕食の示唆、睡眠や繁殖を保証する安全圏の構築を優先して座は指針した。人類は個の思考能力が他の生物に比べて卓越していた為、一縷の指標さえあればそれを元手に目覚ましい開拓を行うことが出来た。道具を発明し、武器を生み出し、木を斬った。森を切り開いて貧相な巣を作り、其処を集落とした。人類はゆっくりと数を増やしながら、確実に種として強固になっていく。

 

 

世代を跨ぎ、50年ほど経つ。座の補助輪は未だ外れていない。

人類の行いは大きくは進歩していない。個体数の増加に応じて家が増え、殺す数が増えた。強いて言えば火を見出し扱う様になり、夜の闇を払う力を得たか。道具はより高質となり、分業も効率化され始めている。座による示唆もあるだろうが、この大成長の影には異能の存在も明確に関与しているのは間違い無い。ある者は水をある程度生み出すことが出来たし、ある者は大きくなることができた。ある者は早くなることが、ある者は力が強くなった。そう言う個別の祝福が彼らの分業意識を加速させたのだろう。彼らは理性的に適材適所を把握することができたわけだ。

 

 

更に50年ほど経過すると集落も大きくなり、動物の侵入を阻む柵なんかが以前より堅牢になった。それによって“内側“の意識が強くなったのか、冒険部隊が編成される様になり、遠征などの“外側“に干渉する出来事が多く増えた。

彼らは究極的には座を通じた交信が行えるので、遠征による危険は比較的少なかったが、それでも死傷者は以前に増して増大した。寿命死は無くとも、この時代でも怪我による規格の損失は=で死だったのだ。

遠征によって彼らが得たのは、世界の広大さの知覚、巨大生物の存在や未知の危険、多くの鉱石や自然物であった。これを通して人類は己の無知を知った。

この遠征には、居ることが判明している他の人類の居場所の特定も目的としてあったが、それは達成されなかった。

 

 

更に100年後、集落のあった地は『アダム』と呼ばれ、人類繁栄の中心地点となった。堅牢な木柵で囲まれていた村にはしばしば家屋に近い形状の住処が散見される様になり、文明的な発展を遂げているのが良く分かる。同時に木柵の外に広がる小さな住処や行き交う人々の姿にも目が行く筈だ。

この辺りから人類はカーストに近いランク付けを行う様になり、文明発展に尽力していた人間や初期の人間は木柵の中へ、それ以外の人間は外で暮らすようになった。

コレは合理的な進化だったが、同時にやり切れなくなった人間が流出し、一部が独立する様な流れにも繋がっていく。既にアダムは1km程度の大きな集落となっていた。

道具も充実し、農耕などの食物生産の流れも伺える。暫く前は物々交換が基本だったが代替通貨が発明され、普及はイマイチだが商売の土台が形成され始めている。

そんなこんなで割と良い発展をしていたのだが、つい最近になって範囲が広がったせいか、他の生物との縄張り争いや衝突が起こる様になった。異能によって追い返すことは可能だが、たまの災害や巨大生物の襲来には弱く、人類は脅威に対する対抗策と広がった陣地の管理方法を思案することになる。

 

 

更に時が経ち50年、石材の使用や鉱石の加工などの技術が発明されたり、嗜好品が多く出回る様になり、人類はアダムを中心として更に大きく広がった。(相対的に見れば大陸のほんの少しのスペースを牛耳る様になっただけだが)

人類はまず、部分的な中間管理……つまり県制を定めた。抜本的な最高管理者は木柵の内に住む人間だとしても、場所場所にその中間となる指導者を作る事で円滑な管理が行えるのではないかと考えた。

アダムは6つの地域に区分され、ある程度の自由な拡充と地域の育成が認められた。

災害(大雨など)と巨大生物に対する対抗策も一応講じられた。災害に対してはより堅牢な家屋を構築することで身を守る様になったし、それに伴う食糧難を逃れる為に干物が流行したりした。

巨大生物や後述する外れ者に対しては軍の原型とも言える「戦いを得意とする者たちの集団(戦闘部隊)」を駆使して撃退や駆除、警備などを行う様になった。コレらが公職として認められた背景には、以前より動きのあった通貨制の普及があるだろう。通貨による物品の交換が主流になった関係で、各地域を転々と商売する一族なども生まれる様になった。

文明は好進を続けたが、裏では芳しくないことも起こっていた。外れ者の誕生だ。

彼らは50年前に文明を離れた者達の子孫で、アダム周辺に点在しており、それぞれが野生的な暮らしをしていた。そんな彼らの存在は以前より問題視されており……特に郊外地域では外れ者による襲撃などで甚大な被害を受けるようになった。

 

 

 

更に時は進み100年後、異能の存在に疑問を持つ声が大きくなり、後に『祝福論』と呼ばれる“人類は神なる上位存在によって造られた“の様な主張が流行る。これに伴って原初の神が誕生し、座と共に人類を重複管理する様になった(最初は異能だけだけど)。

アダムの象徴としてより木柵のうちは充実し、城の原型の様な物になった。地域ごとに自警団が興り、自治体の動きがより活発になる。都会の家は粘土と石を基調にした物に変化を始め、国らしい形が整いだす。

この時辺りから星辰に関する学びや日にちの概念が産まれた。(月の祝福が一定で無い+規則的な変遷を辿る事から、その周期を準えて365日12ヶ月を定めた)

同時に人間の座が大きくなった事で人間フォーマットに則る座が見受けられる様になった。その代表例が獣人と『始族』である。その発生は座を介したネットワークによって察知され、社会は大きな変化のラインに達することになる。

以前から太陽と月は特別視されていた傾向にあり、ある種の信仰が芽生えていた影響もあり、始族達は生まれながらにしてある程度強大だった。付近の地域から出立した調査隊はそのまま彼らに魅せられ、宗教の原型を産むこととなる。

獣人達はモデルの動物と人間、その二つのコミュニケーションを理解する事のできる種族として産まれ、ある地域では同じ人類として喜ばれたが、ある地域では認めなかったりと地域差が見受けられた。

 

 

更に100年、550年。アダムに住む人類は意思の疎通だけ行っていた『別所の人類』と互いに交流を図ることにした。

良くも悪くも考えている事の全てを知ろうと思えば知れる環境だったので、実質的な衆人環視の下で人類初の交流は刊行された。

大陸の全貌さえ知らない両者は、大陸間の大山などのシンボルを目印に大行軍を行った。

 

 

開拓を施しながら進む事30年、両者は初めて“発展した文明“として邂逅を遂げることとなった。先方の文明名は“イヴ“、二つは協力関係を結び、邂逅地点に両文明の橋渡しとなる地点“エイプル“を設けた。

交通の弁が最悪すぎた事もあり、この交流を通じて本格的に移動方法の模索が始まる。最初は『飛び足』と呼ばれる移動系異能の集団が現物などを抱えて明け渡したりしていた(意志は疎通できたので物体さえ移動できれば十分だった)。

途中

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