ソードアート・フロンティア~クソゲーマー、神クソゲーに挑まんとす~   作:melk

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第二層 ゲームにおける強さ②

 

「今日も収穫無し、か」

「迷宮内はほぼ探したで?どないする、ディアベルはん?」

「明日はもっと念入りに調べてみよう。何かフラグを立て忘れているのかもしれない。今日は解散にしよう」

 

二層に上がってから二週間、キバオウ君を始めとして、10人近くが俺の指示で動いている。

一層のボス戦以来勝手に英雄視されて隊長なんて呼ばれるようになった。まあ、結果としてLAアイテムを手に入れてアインクラッドを攻略しようとする人たちの希望になるという目論見は成功してはいるんだが、サンラク君が俺をフォローするついでにあることないこと熱弁してやたらと持ち上げるものだから、どうにも居心地が悪い。みんなの視線がヤバイ。一人で勝手しようとした罰だと思って受け入れてはいるが。

サンラク君のことは正直若干苦手だが、それと同時に尊敬もしている。ボスに一人で立ち向かいながら未知のソードスキルに難なく対処してみせたあのプレイヤースキルもそうだが、何より俺にはあの場をどうすることもできなかった。悔しいが俺とは違ってそれほどの人物だ。

 

さて、迷宮区からキバオウたちはいなくなったな。今のうちにレベル上げをしておこう。迷宮区がすぐに見つかったのにも関わらず、ボスのいる部屋の扉が見つからない以上、できることは少ない。だったら今の立場を守るためにもレベル上げをしておこう。レベルは絶対正義、プレイヤースキルをレベルで補おう。それが誰でも平等にできる強くなる方法なのだから。

 

 

 

「あー、これは無理ゲーだな」

 

現場の様子をお伝えします!

万策尽きて黄昏てる俺ッ!何をやっても泣き止まない子供ッ!進まないクエストッ!

以上ッ!!

 

「なあ、そろそろ泣き止んで、何があったか話してみようぜ?」

「うわぁああん!!!」

「何でもっと泣くんだよ・・・」

 

俺は迷宮区の探索を諦めて、二層美味いもん巡りをしてた訳だ。したら、レストランのNPCに「牝牛型モンスター”トレンブリング・カウ”のミルクを取ってきたら名物のケーキをタダで食べさせてやる」と言われ、ウッキウキで牛狩りをしに迷宮区に向かったところで泣き止まない幼稚園児くらいの女の子のNPCを見つけた。間違いなくクエストフラグだと思ったんだが、一向に泣き止まない。

相手がプロゲーマーだろうが、今を時めくカリスマモデルだろうが、ゲーム会社の社長だろうが、パーフェクトコミュニケーションを取り続けてきた俺といえども、小さい子供相手だけはどうにもならない。

これが例えば、フェアクソに出てくる通称“”と呼ばれるお邪魔系やシャンフロのクターニッド関連のクエストに関わってくる“スチューデ”のようなクソガキなら問題ない。腹は立つが相応の対応の仕方ってものはある。

だが、泣き止まない子供相手はどうしたらいいかわからない。笑わせようとしてみたり、あやしてみたりと色々してみたが泣いたまま。なぜ泣いてるかもわからない。精神年齢的には近いはずなのにッ・・・!

 

「あまりにどうしようもなかったら諦めてアルゴに情報として売りつけるか・・・?」

「うわぁああん!」

「そういうのが得意な奴でもいればいいが・・・」

 

うん?あれは・・・ディアベルか?そろそろ日も暮れそうだってのに迷宮区の探索をする気か?疲労がたまってくる夜は危ないってのに・・・。

いや、待てよ?

顔〇

爽やかさ〇

子供ウケは知らんけどきっと〇

ミイツケタァ!

 

「サ、サンラク君!?」

「事情は後で話す。とりあえずこっちに来て子供をあやせ。抵抗は無駄だ、いいな?」

 

剣を突き付ける・・・のは、間違えて当てたら犯罪者(イエロー)になるため、牡牛型モンスターからドロップした角を突き付けてそれっぽい雰囲気を演出。ディアベルは驚き半分、呆れ半分といった顔で無言でコクコクと頷く。

ディアベルは女の子に向かって手を差し伸べると、爽やかさ全開の笑顔で

 

「どうしたんだい、お嬢さん?」

「うぅ・・・。ぐすん・・・」

 

よし、いいぞ!爽やかさと歯の浮くようなセリフで鳴き声が弱まった!

だが、まだもう一押し足りない気がする。奴はどう出る?

 

「そうだ、悲しい時や辛い時には甘いものを食べると元気が出るよね!ショートケーキでも一緒にどうだい?」

 

そう言ってアイテムストレージからショートケーキを二つ出す。底についてる紙も一緒に出てくるから、このサイズならフォークがなくてもそのまま食べられるようになってるのか。

二つのうち、一つは女の子にあげ、もう一つは横に座って自分も一緒に食べる。確かに見られながら一人で食べるのも食べづらいか。にしてもコイツ、随分と子供の扱いが上手いな。はっ!もしかして!

 

「違うからな?俺は現実(リアル)では教員志望だったんだよ。あと手を出しても、君の分はないよ?」

「ちぇー」

 

もしかしたらワンチャンあるのではと思ったが、ダメだったか。

 

「美味しかったかい?」

「うん!」

「それで、君はどうして泣いていたんだい?」

「お父さんがね?どこかに行っちゃったの!この辺りは牛のお化けが出るから危ないっていっつも注意されてたのに、一人で遊んでたらここまで来ちゃったの。お父さん、私を見つけた後に・・・ぐすん、うわぁあああん!!」

「わかった。俺たちが君のお父さんを探してこよう!だから君は町に戻ってるんだ。いいね?」

「ぐすん・・・うん!」

「俺たちってことは俺も入ってるってことかよ」

「元々君が持ってきた案件だろ?」

 

牛のお化け・・・やっぱり何か重要なフラグだったか。昼間はいなかったから夜限定か?しかも子供の扱いの上手さをNPCが判別して反応が変わるあたり、やっぱりシャンフロに近いAIのレベルだな。プレイヤー全員が子供嫌いなコミュ障だったらどうなってたのか少し気になるところではある。

お、クエストが発生したな。

 

『クエスト:父を探してモオ大変』受注しますか?

〇              ×

 

クエスト名考えた奴センスねえな・・・。デスゲームに陥れた茅場がこれを考えてたら間違いなく俺は大爆笑する。

少し脱力しかけたが、俺とディアベルの珍妙な臨時パーティ結成だ。

 

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