ソードアート・フロンティア~クソゲーマー、神クソゲーに挑まんとす~   作:melk

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何となく、書くペースがつかめてきた。
土日で一本ずつ、余裕があれば平日のどこかで一本投稿って感じの頻度になるかな?

余裕とモチベーションとアイデア次第。


第二層 ゲームにおける強さ④

 

突如吹いた強風により、俺とディアベルはボス部屋に押し込まれ、扉も閉まってしまった。

おかしいとは思っていた。父親がさらわれたというクエスト内容的に、一刻も早く解決されなければならない物だろう。だが、ボスに挑むとなれば、特にこのデスゲーム下なら、人や物の準備を整えるため一度町に戻る、つまり焦らずじっくり準備をするというのは誰にでも想定できる安定行動だと言える。

そのシナリオ的要素とプレイヤーの心理の矛盾は、最悪の形で解消された。 “強制的にボス部屋に閉じ込めればいい”何ならドアを開けなくてもこうなっていた可能性すらある。

ああ、クソ!見通しが甘かった!

 

「これはさすがにヤバいな」

「ちなみに、転移結晶とか持ってたりはしないよな?」

「雑貨屋で売ってるあのクソ高いアイテムだろ?この時点であれ買える奴なんかいねーよ」

「もしかしたら何かのクエスト報酬でとか考えたが、それもないか・・・」

 

転移結晶は近くの町までワープできるという便利アイテム。ただし値段はクッソ高い。具体的には今の俺の残金の千倍くらい。この時点でできる金策じゃまず無理だろ。

ということは俺たち二人でボスを倒すしかないってことだ。

 

「実際二人でボス倒すとか無理じゃね?」

「いや、不可能ではない。一層のボスが強すぎたのか、HP的には二層以降のボスはそれほど高くなかった、少なくともβテストでは。だが、βと違ってHP全損=死だ。10回戦って1回負けるような戦いはしない方がいい」

「でも、やるしかないんだろ?」

「・・・ああ」

 

これはただのゲームじゃない。失敗は死につながる。さすがの俺も足がすくむ。

だが、やんなきゃなんねえならやる。最悪、俺とディアベルで交代しながらチクチク攻撃していればいつかは倒せる。正直ゲームとしては非常につまらない展開だが、命がかかってる上に、俺とディアベルの二人しかいないため、難易度はかなり高い。だったら楽しんでなんてられない、安全策を取るのは仕方ないこと・・・だよな。

 

「ディアベル!タンク頼む!」

「何度も受けられるほどの防御はないがやれるだけやろう」

「時間かけて削るぞ!」

「ああ、生存優先でな。《バトルシャウト》!」

 

シャウトが響き渡ると同時に、 “ザ・トーラス・オブ・アステリオス”がディアベルを無視できなくなる。が、向かってくることなく斧を持っていない左手を地面につき、されど目線だけはディアベルから外さずに膝まで地面につくのではないかというほど低い姿勢を取る。どう見ても、クラウチングスタートする気満々だよな。って、ボケっとしてる場合じゃねえ!巨体×速度の恐ろしさなど“危牧”で嫌というほど知ってる!

 

「ディアベル!防げるか!」

「無理無理無理!!!」

「だったら防御固めろ!」

「無理だ!?」

 

あれは避けれない。AGI特化レベルの俺だけならまだしもディアベルは無理だろう。お前に死なれちゃ困るんだよ!ただでさえ低い勝率がソロになると完全になくなる!

ミノタウロスもどきからは目を離さず、左手でウィンドウを操作する。ディアベルの盾+俺の片手剣でのパリィじゃ受けきれない。だが、盾+両手剣ならどうだ?たまたまドロップしたのを使い道があるかもと売らずにとっておいた両手剣“破山の大剣”、攻撃力もそこそこだが、何よりもSTRに+12の補正が入っている。両手剣の重さ、火力に加え、今この状況で喉から手が出るほど欲しいSTRも上乗せされる現状に最適な武器だ。

 

「歯ァ食いしばれよ!?」

「死ぬわけにはいかないんだ!」

 

ミノタウロスもどきが予想通りロケットスタートを決めてきた。ディアベルに目配せをする。これは盾と両手剣が同時に当たらなければ意味がない。ソードスキルを使う分、俺の方が命中するタイミングは遅い。だから俺は目でこう言った。「お前が合わせろ」と。意味が伝わったかは知らないが、ディアベルは頷いた。俺は伝えたから、失敗したらお前のせいな!・・・どっちのせいとか言ってる暇なく死ぬな。

立派な角が射程に入るワンテンポ前にソードスキル《サイクロン》を発動、体の回転に任せて剣を横薙ぎに振るうだけだが、武器の力も相まって火力は片手剣の比にならない。連続で打てないデメリットなんて今はどうでもいい。この一発だけ凌げれば!!

 

《サイクロン》の命中に合わせて盾も相手の角を受け止めた。硬直は一瞬、終わりは俺の武器の破壊によって訪れた。敵の勢いはほぼ殺し切ったが、あと一歩足りない。ディアベルは盾もあるしVITにもそれなりに振ってるだろうから耐えるかもしれない。だが、俺は厚紙装甲、カスダメ以外は耐える調整になっていない。さっきと逆になっちまったな・・・。

 

「サンラクッ!!」

「って、諦めるわけないだろうが!!!!」

 

ミノタウロスもどきの攻撃を受け止めた時の衝撃に逆らわず、バックステップで位置の調整。両手剣を振るうのは初めてでもなぁ、突進してくる牛の顎に蹴り入れるのは練習済みなんだよ!!

両手剣は破壊された。つまり今俺の両手は無装備状態だ。くらえ、《登天》!かち割れろ顎!

かち割れることはなかったが、頭を跳ね上げたことにより、突進は完全に停止、スタンまで入った。心臓がバクバク言いながら、ディアベルの方へと合流する。

 

「はあはあ」

「はあはあ」

 

たった一回の打ち合いだが、命がかかれば緊張感が違う。俺だけじゃなく、ディアベルまで息が上がっている。

お互いに顔を見合わせると、何とも情けない顔が映る。

 

「「はあ、はは、はははは!」」

 

どちらからともなく笑いがこみ上げる。

マジで死ぬかと思った!さすがに今のはヤバかった!久しぶりに思い出した!この緊張感と達成感、これだ、これなんだ。俺がゲームをする理由ってのは!

何が楽しんでる「場合じゃない」だ。リスクについてごちゃごちゃ考えて、適当にチマチマ削ってくだけなんて、どれほどつまらないだろうか。

命がかかってる以上、負けないことは最優先事項だ。だが、それと全力で勝ちにいかないのは全く違う。

重要度は違えど、負けられない戦いって奴はあらゆるゲームで幾度となく経験してきた。それが、命がかかってるってだけでビビって逃げ腰になるのか?

逆だろ。命を燃やした先に最高のパフォーマンスがある。死ねないなら、勝てばいいだけだ。

モチベーションも、危機感も、アドレナリンも全部燃やして最高のパフォーマンスでコイツをぶっ倒す!

 

「なあ、つまんないことはなしにしようぜ?逃げながらチマチマ削る?時間かけて生存優先?やめだ、やめ。命燃やして、全力で勝ちに行く」

「ああ、色々とめんどくさくなった。俺たち二人で倒せたら・・・楽しいよな!」

 

たった二人でのボス討伐は、波乱の幕開けとなった。

 




実際のところ、安全に勝つという方法より、全力で戦った方がサンラクの勝率としては高いです。テンションがパフォーマンスに直で影響するタイプなので。
先のことを考えても、妥協することを覚えたらSAO自体へのモチベーションの低下へとつながり、攻略にも影響が出てくるかもしれないことを考えると、割と大きな分岐点です。
サンラクはゲームに関してはいついかなる時もモチベーションを止めることなく燃やし続けなければ死んでしまう習性なのです。・・・新手のマグロかな?
次回、炙りマグロサンラク(とディアベル)のボス戦が本格的に始まる・・・!
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