ソードアート・フロンティア~クソゲーマー、神クソゲーに挑まんとす~ 作:melk
久々の投稿です。ええ、ネタ切れで遅くなりました。
それはそうと、年末年始にゆっくりしようと実家に帰ったのに色々手伝わされて忙しくなる現象何なん?
◇
昨日と同じNPCレストラン、しかし集う顔ぶれが大きく違う。
キリトと俺が合流する前からワイワイとにぎやかに話している辺り、ギルド内での仲はいいのだろう。
「みんな聞いてくれ!コイツが今日からしばらくの間、戦闘指導を手伝ってくれるサンラクだ」
「あー、どうも?サンラクです」
「おお!この人が、2層をたった二人で攻略したっていうあのサンラクか!」
「ホントだ!ホントに被り物してる変人だ!」
「好きでこんなの被ってるわけじゃ・・・いや、割と(性能的に)好きで被ってるな」
「変な恰好はしてるが、強さに関しては申し分ない。単純な強さなら俺以上だ」
「PvPだと6割お前が勝ってるだろ?」
「その紙耐久で4割勝てるのが異常なんだよ!しかも、一回素手で挑んできた時にはついに頭逝ったかと思ったのに、体術スキルのモーションに似せたブラフだけでHP半分削ってくるとかどうなってるんだよ」
「武器すら持たない相手に負けそうになる気分はどうだ?存分に恥じてくれ」
「キリトがそこまで言うなんて・・・」
「コホン、そんなわけで、今日は2グループに分かれて狩りに行こうと思う!サンラクは、サチ、ダッカーと。俺は、ケイタ、ササマルと一緒にまずは町の近くの狩場に行ってみよう。まだ森には入るなよ?」
俺と一緒に行く奴は・・・このチーム唯一の女性プレイヤーと軽装で如何にも「斥候です」と言わんばかりの男か。
サチと呼ばれた少女は、俺と一緒に行くと聞いたや否や俺とキリトを交互に見ては体をプルプルと震わせて今にも泣きだしそうな顔をしている。牛面の何が悪い!
今になって・・・物凄く・・・・・・嫌になってきた。
逃げようと思えば逃げられないこともないが、SAOはログアウト不可、やることも階層攻略しかない一本道だから、逃げる先がないってのが困り者だ。
俺もキリトに視線で助けを求めてみようか?いや、ダメだ。サチとやらの視線にすら気づいてねぇ。
「はあ・・・」
とりあえず、店に入ってすぐに出されたコップの水をグイっと一息に飲み干す。これでどうにかやる気を出すしかない。できることならエナドリがほしい、俺に活力を与えてくれるエナドリはこの世界にないのか・・・?
「あー、サチとダッカーだったか?とりあえずよろしく」
「オナシャス!」
「よ、よろしく、お、お願い、します・・・」
ダッカーはチャラいな。そして、サチは名前のわりに幸薄そうな感じだな・・・。声も消え入りそうなほど小さいし。
まあいい。俺自身の自己満足と報酬のためにやるだけだ。最低限強くさえなってくれればいい。
「じゃあフィールドに行くか?」
町の外の草原フィールド。虫系のモンスターが多く出現することで有名なフィールドだ。数あるオンラインゲームでそうであるように、この世界でも虫はデカい。しかし、SAOが他と違うのはその再現度と緻密なグラフィックだ。
シャンフロにも並ぶほどのクオリティで再現された虫は、良くも悪くもリアルの虫に限りなく近い。
「ホントに虫だらけの層なんだな、俺もう帰りたい」
「ちょっと、ダッカー!せ、せっかくサンラクさんが教えに来てるのにその態度は失礼でしょ!」
「グラフィックが良すぎるのも考え物なんだよなぁ」
小型犬くらいにまで巨大化した蜂、2mを超える蟷螂などを見てダッカーは戦う前から戦意喪失していた。サチは・・・案外大丈夫そうだな。
釣り餌に使うワームも最初は触れなかったから気持ちはまあわかる。だが、契約内容的にそんなことも言ってられない。
「安心しろ、触った感触はそんなにちゃんと再現されてないからまだマシだ」
「そ、そうだよな。剣で斬るだけだしな!」
「しっかりしてよ。私なんて盾持ってるからアレが間近に迫ってくるんだよ?」
「蜂が一番レベル低いから、適当に狩ってみるか。とりあえず最初は俺無しで」
「ふ、二人だけで!?」
「だ、大丈夫かな・・・?」
あれ、何か顔が青ざめてきてる。まあ、この蜂“クワイエット・ビー”は毒持ってるのが厄介だが、動きも遅いし、針で刺すか掴みかかってくるくらいしかモーションないからやりやすいはず。
「じゃあ開始!」
「え、もう!?」
拾った石ころを右手に構えてモーションを起こし、投擲スキルを発動する。相手が急に動きさえしなければ、ほぼ確実に当たるのがこのスキルの良いところだが、石ころではダメージなんてほとんどないに等しい。
蜂に当たれば怒って俺に向かってくる。盾を持ってオロオロしているサチで巨大蜂の視線を切り、《スケアクロウ》を発動。一瞬だけ存在感が極度に薄れ、プレイヤーを現す緑のカーソルすら消えるため、強制的にヘイトが切れる。
このスキルは何もないところで一人で発動しても、すぐにヘイトがまた向かってくるため意味がない。視線を物理的に切ることで、ヘイトも消えるというのがソロでの使い方だが、パーティーなら別の使い方もできる。それがヘイトのなすりつけだ。
「あとよろしく」
「っ!?」
予定通りサチにヘイトが向いたところで、俺は一度離脱、数m後方から様子を窺いつつ、いつでも助けに行けるような距離を保つ。
まあ、この程度の敵なら助けはいらないとは思うが・・・。
サチの盾(恐らく低層で練習用に仕入れたものだろう)と蜂の針が激突する。後ずさりしながら二度三度と叩きつけられる針を防いでいる・・・というより亀みたいに盾に引きこもってるだけだな。
ダッカーは、ソードスキルも使わず、片手剣で一撃入れてはサチの陰に隠れるというのを繰り返している。
あ、出た、盾持ち対策の掴みかかり。半端なSTRだと・・・やっぱり盾持ってかれたな。無理やり盾とられて投げ捨てられるまでがワンセット。攻略組ならこれくらいで崩れるパーティはほとんどいなかったけど、単純に腹立ちそうだよなあれ。
ヘイトがダッカーに移ったな。そりゃあ盾構えてるだけだったのに盾なくしたら誰も脅威には思わんよな。ヘイトが自分に来てもなお、盾のないサチの後ろに隠れようとするダッカーさんェ・・・。盾拾いに行く間だけでもヘイト変わってやれよ。
あ、二人とも毒った。
マジかよ、開始1分でパーティー崩壊って。あー、これ座学からだわ。このままだと逃げるのすら怪しいし、潮時だな。
掴みかかって追い打ちをかけんとする“クワイエット・ビー”を蹴り飛ばし、左手でアイテム欄から解毒ポーション二つと両手剣を呼び出す。
「タンク交代。ダメージまで出せないとは言わないよな?」
二人に向かって雑にポーションを投げつける。帰ってから説教&座学は確定として、どうせならちょっとくらいは戦えるようになって?
装備
サチ
→盾持ち片手剣。以前は槍だったが、「チームに前衛こなせる奴がいねえ!」とな
り、押し切られる形で今のスタイルに。試しにという体だったので、肝心の盾は十
層の店で売っている激安品を使っている。でもこの盾は大事にしている。毎日磨い
ている。つい最近名前も付けたくらいには愛着が湧いてきた。蜂に取られて涙目。
ダッカー
→片手剣。目指すは斥候スタイル。全体的に革の防具だから防御はぺらい。最初は短
剣を使っていたが、「射程短いから敵の懐に入らなきゃいけないじゃん、こ
わ!」ってなっていつの間にか片手剣に変えていた。有事の際にはチームの誰より
も高いAGIを活かして誰よりも速く遠くに逃げるということにおいては他の追随を
許さない。でも、サンラクから逃げることは無理だから覚悟しといてね?
サンラク
→片手剣以外も練習中。愛着のある武器?壊れるまでは愛着何か持たずに使いつぶ
す。壊れた武器を思い出してる暇なんかねえ!