ソードアート・フロンティア~クソゲーマー、神クソゲーに挑まんとす~   作:melk

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書く時間があったので投稿。


第二十層 盾と恐怖

「二人ともまずは回復しろ。サチはそれから盾回収、ダッカーは戦線復帰、俺が引き付けるからソードスキルで削れ!」

「「は、はい!」」

 

無造作に投げ捨てられた解毒ポーションを、焦りながらもこぼさないように注意して開ける。むしろ毒みたいな色の液体を、一瞬ためらうけど、時間がないから一飲み干す。味は・・・砂糖水っぽい?美味しくはないけど、ジュースじゃないし気にしちゃだめだよね。躊躇うそぶりもなく解毒ポーションを渡すなんて、サンラクさんは案外優しい人なのかもしれない。

そして、その間にも戦っているサンラクさんに思わず見とれる。

 

(すごい。私たち二人がかりでもどうにもならなかったモンスターとたった一人で戦えてる。それどころか多分全然本気じゃない。攻撃を防いだ後も余裕がありそうなのにあえて何もしないで待ってる。きっと私たちの訓練だからだよね?)

 

解毒が終わったダッカーがサンラクさんの方へ走っていく。それを見て私も慌てて盾を拾いに行く。

拾った盾がやけに重く感じる、足も震える。さっきまでの戦いは新たなトラウマを植え付けるには十分すぎるほどに怖かった。

 

「サチ、いくぞ!ヤバくなったら交代するからな!」

「は、はい・・・」

「スイッチ!」

 

震える足を無理やり動かして、盾を構えながら敵とサンラクさんとの間に割り込む。針とぶつかった鈍い音がしたけど、何とか持ちこたえた。

蜂はまた盾を構えられたと見るや否やすぐさま飛びつき引きはがしにかかる。盾は私の生命線、唯一敵から身を守ってくれるもの。絶対に離すもんかと最大限踏ん張って全力で抵抗する。

その時、後ろから飛んできた石ころが蜂の頭にヒットし、驚いたように蜂が後ろに飛び退いた。

 

「スイッチ!」

 

サチと変わって、再び前衛へ。

蜂のしがみつきに相当ビビってる感じだったからな、まあ少し落ち着いて息を整える時間くらいあった方がよさそうだ。実際あれはかなりビビりそうだよな。一番近いのは、ゾンビシューティングでよくある、ゾンビがプレイヤーに組み付いてきて、解除できなきゃダメージ食らう奴。だが、逆に言えば対処法も同じで俗に言うレバガチャみたいに盾を動かして振りほどくか、外部から衝撃を与えれば簡単にキャンセルできるようになってる。

そう考えるとソロでもパーティーでもちゃんと対応できるような難易度にはなってるってことだ。そう、つまり本当はダッカーがソードスキルで攻撃してやればすぐ引きはがせたものを、ビビって逃げ腰になってやがるから俺が投擲スキルを使うしかなかったのだ。

あまりの連携の取れなさにイラっと来る場面もあるが、俺はあのフェアクソをクリアした男、接待プレイだってお手の物だ。だから、落ち着け俺。尻を蹴り飛ばそうとするんじゃない。

 

「サチ、よく耐え抜いた。ダッカー、右側開けてやるからソードスキルで決めろ」

 

接待プレイのコツは褒めることと見せ場を用意すること。位置を少しずらせば、ダッカーの攻撃しようとするところに蜂の背中が向くようにできる。

ダッカーの剣が深紅のエフェクトを纏い、突進と共に蜂を貫き、敵を砕いた。

自分で狩りするよりも何倍も疲れるな、これ。

 

「まあ、こんな感じだ。今日はこんな感じで俺とサチがタンクを交代しながら、ダッカーがメインアタッカーでやってくってことで。説教&座学は後だ」

「せ、説教・・・」

「それは追々ってことで。回復はまだあるか?次々行くぞ!目指すは蜂とマブダチになることだ」

「何それ、最悪だな」

「喧嘩するほど仲がいいなら、何度も殺し合いをする俺たちはマブダチと言っても過言ではないはずだ。良かったな、友達増えて」

「こんな怖い友達いらないよ・・・」

 

中々いいぞ?会話しなくても命のやり取りだけで通じ合えるマブダチは、そろそろ俺も水晶群蠍たちが恋しく思わないでもないでもないような気がしなくもないかもしれない。

結局この日はあと10体蜂を倒し、稼いだお金でパフェを食べながら反省会という名の説教をした。

二人とも落ち込むのはまだ元気がある証拠、その元気を明日は戦闘で活かそうね!

 




サチの性格は原作とも若干違います。
原作より少し気丈に振舞っている。原作よりも全体的にメンバーが頼りない分、仲間の前ではしっかりしなきゃというある意味姉のような意識があるから。でも根っこの臆病な部分は変わらないので、ある日突然限界値を超えてから恐怖に抗えなくなる感じ。

この先、展開が大きく変わってきます。オリジナル展開が苦手な方は、次回ご注意を。

次回は1/15 12:00投稿予定。
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