ソードアート・フロンティア~クソゲーマー、神クソゲーに挑まんとす~ 作:melk
本編更新されるかと思った?残念番外編です。時系列的には56層突破後くらい。
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料理スキル。材料と多少の調理工程を組み合わせることで、料理を作ることができるスキルである。何でも決められた手順や材料で作るオート調理だけではなく、レシピにない素材を組み合わせて自分なりの料理が作れるマニュアル調理があるらしい。理論上ではあらゆる料理を再現できる、らしい。どこに力入れてんだよこのゲーム・・。
しかし、マニュアルで良いものを作るには、食材ごとに決められている味覚への影響値を分析し、組み合わせた時に起こる変化を研究しなければならないため、膨大な手間と時間がかかる。
なぜ突然料理スキルについて深く考えているかというと――
「えなどり・・・」
クエスト“元気を取り戻そう”の報酬でもらった“元気ドリンク”が、エナドリに割と近かったのがマズかった。久しぶりに飲めて満足・・・すると思うか?中途半端にエナドリ欲が刺激されて、むしろ困るわ!
だが、クエストで手に入った元気ドリンクは3本。1本はもらった瞬間その場で飲み干した。1本は保管用、元があれば再現できるかもしれない。最後の1本はいざというときの保険だ。ちなみに、もっとくれとNPCのじいさんに頼んだら、「何だってぇ?」しか言わなくなった。都合のいい時だけ耳遠くなってんじゃねえ!クエスト中にボソッと言った「クソジジイ」はしっかり聞こえてたじゃねえか!その後1時間話聞かなくなってクエスト進められなかったの忘れてねえからな!かのフェアクソを思い出させるクソNPCだったぜ・・・。
「えなどり?」
しかし、今から料理スキルの熟練度を上げて、素材を集め、一からレシピを作って・・・何か月かかるんだ?それまでこの集中力を欠いた状態で戦っていけるのか?
今の俺は餌を目の前にお預けをくらった犬、陸に打ち上げられた魚、アスファルトの上で干からびた虫。エナドリとは血であり肉であり呼吸なのだ。
カフェインの決まる感覚まではいかなくともせめて味だけは再現したものがほしい。安定供給されれば言うことなしだ。
「そろそろ攻略に・・・わ!何か踏んだ!?」
「え・・・な・・・ど・・・り」
「サンラク君!?・・・ええと、大丈夫?」
大丈夫だ。メンタル以外はな。
◆Side アスナ
今日は早く起きたから消化してなかったクエストを一気に終わらせちゃおうと思って町の外に出ようとしたら、倒れてるサンラク君を踏んじゃった。
もしかしてストレスだったりして・・・。原因は私かもしれない。確かに少し前まで誰にも頼れずピリピリしてたし、サンラク君にも結構きつく当たっちゃってたし、無理やり攻略に引っ張り出してたこともあったし。
今はサンラク君のお陰で少し余裕を持ってやれるようにあった。これまでのことを反省はしてるし感謝もしてるんだけど、面と向かっては謝ってなかった気がする。
と、とりあえず起こしてあげた方がいいよね?
「起きれる?」
肩を貸すほど近いと少し恥ずかしいから、手を差し伸べてみる。すると気だるそうにしながらのそのそと自分で起き上がった。体調が悪いとかはこのゲームの中でもあるのかな?
「どうして倒れてたの?」
「エナドリが・・・カフェインが・・・足りない」
思ったより深刻じゃなくて良かった。ちょっと心配して損したかも。それと同時に私が原因じゃなくて少しホッとした。
「エナドリって、確かエナジードリンクよね?よくコンビニに売ってる。あれ好きなの?」
「一年以上水を飲んでなかったら人は生きれないだろ?つまりはそういうことだ」
「サンラク君の血はエナジードリンクでできてるの・・・?」
訂正。何か深刻そうかも。
「エナドリに世界を変える力はないが、世界を変える手助けはしてくれる。俺はこの世界を変えたいのさ」
「何かまた適当なこと言ってない?」
「実際、かなり影響あるんだよなぁ。テンションが上がり切らないというか、イメージに体が追い付かないというか」
「ふーん。それでどうするの?」
「味だけそれっぽいのが後2本だけあるんだが、追加でゲットするのが難しそうなんだよな。自分で作るしかないという結論に今至った」
「ちなみに料理スキルの熟練度は?」
「どんなプロにだって初心者だった過去がある。そうだろ?」
「つまりゼロなんだ」
どんなことにも全力のサンラク君はすごいと思うけど、これはさすがに方向性が間違ってるんじゃないかな・・・。
「その・・・私一応料理スキルカンストしてるよ?」
「ええ!?マジで!?」
「その驚き方はムカつく。一発いってもいいよね?」
「いや、 “攻略の鬼”って呼ばれるほど攻略のことしか頭になさそうだったのに料理スキルも上げてるのは意外過ぎるだろ」
「だ、だって毎回外食は高いし、食材は攻略してたら勝手に集まるんだから自分で作った方が効率いいでしょ!その分装備の強化とか消耗品にお金使えるし!」
「ああ、それなら納得」
「うぅ~・・・」
わかってる。自分のこれまでの行いからこういうイメージがついてるのはよくわかってる。でもそれはそれとして納得されるのもムカつく!!
「じゃあそういうことなら一からスキル上げ頑張ってね!」
「アスナ様、いや、姉御!頼み「その呼び方は嫌」・・・えーっと、アスナ。頼む、エナドリを作るのに協力してくれないか?もちろん金は出すし、必要なら材料も用意する。エナドリを再現してくれ!」
「いいでしょう。飲んだことなくて味わからないからちゃんと教えてね?」
「ありがとうっ!!!今はアスナが天使に見える!!」
「は、はあ!?・・・いいわよこれくらい」
本当にこの人は・・・!
深く頭を下げながら献上されたエナジードリンクに近いという“元気ドリンク”を受け取った。ここから長い時間をかけたエナジードリンクの再現という奇天烈な、しかしとても味わい深い、二人だけのクエストが始まった。
久々に憑き物のとれたアスナでした!焦りで若干ヒステリック化してたけど素はこっち。
ヒロインたちをもうちょっと出したいけど、最前線でサンラクが攻略してると出す場所がねえ!特にサチ。アルゴは名前だけはちょこちょこ出てる。
番外編はメインストーリーのネタが浮かばない時に、そっちには出せないけど思いついたアイデアを書けるからいいね!
エナドリ作り、需要有りそうならシリーズとして時々挟むかも。