ソードアート・フロンティア~クソゲーマー、神クソゲーに挑まんとす~ 作:melk
◇
「それじゃあ、チームを作ってくれ」
攻略会議は続いている。
見た感じ、ソロでやってた人は少ないっぽいな。できないことはないが、わざわざすでにできてるパーティに入らせてもらうってのはちょっと気が引ける。
数少ないソロっぽい人に声かけてみるか、と思ったが、深めにフードを被った奴の装備に見覚えがあった。
どこだ、どこで見た?ソロでありつつ、見かけたら話すくらいの奴はまあまあいるが、何か強烈な印象と若干感じる申し訳なさ・・・あ、迷宮区で寝てた細剣使いか!
「おう、久しぶりだな」
「思い出せたようで何より」
「うぐっ!?いや、フードで顔隠してたから、な?」
「ふーん、まあどうでもいいけど」
よくよく考えたら、一回会っただけだし、覚えてなくても仕方なくね?
ダメだ、ピザ留学で刻まれた「女子の機嫌を損ねてはならない」という反射的対応が仇になった。一瞬答えに迷っただけで好感度がフリーフォールのごとく下落し、即座に謝ることで減少幅が小さくなるが結局下落は止められずイタリアへ旅立つ鬼畜ENDを何度体験したことか。やめろ、思い出すだけで精気が抜けていく。
まあ、この細剣使いとラブコメをする気はないから好感度は別にいい。
「それよりも、パーティーを組まないか?一人で挑むよりはいいだろ?」
「・・・今回限りならいいわ」
「固定にする気はねえよ。しばらくは俺もソロのつもりだ」
俺からパーティー申請を送る。一瞬ためらう様子は見せたが、どうやら無事承認されたようだ。
「あー、すまない。俺も入れてくれないか?あっちには入りづらくてな」
「ってことだが、いいか?」
「お好きにどうぞ」
俺と細剣使いともう一人、若干覇気にかけた少年の三人パーティだ。覇気に欠けてようが使えるなら何でもいい。覇気とかどこで使うかも知らないしな。
そういや、名前は・・・細剣使いがアスナ、少年の方がキリトでいいのか?
キリトはというとパーティの表示されたウィンドウを見ながら、ぶつぶつ呟いてる。
「サンラク・・・。答えにくかったらいいんだが、もしかしてツチノコさんなのか?」
「っ!?なぜそれを」
「本物か!?オルケストラの動画見たんだ!スキルとか色々あるんだろうけど、普通の体感覚でできる動きじゃないだろ!あれ、どうやってるんだ?」
「有名なの?」
「ああ、シャングリラフロンティアやってなくても、ゲーム界隈で一躍有名になったすごい人なんだ!」
「ユーチューバー?」
「断じて違う。あれは事故だ」
ツチノコという何か妙に広がっているあだ名に反応したのがいけなかった。しかも、今の俺は素顔だ。さすがにリアルの俺を知っている人はいないだろうが、極力曝したくはない。シャンフロみたいに顔を隠せるタイプの装備探すか・・・。
「そうだ、これから少し狩りに行かないか?三人での連携とか確認しときたいし」
「確認とかいるのか?前衛後衛とかがあるわけでもないし」
「スイッチのパターンとか、お互いの動きの癖とか知っといた方がいいだろ?」
よく考えたら連携の訓練とかしたことないな。いつもその場でのアドリブでやってた気がする。
ん?俺がそんなこと気にせず突っ込むから周りが合わせてるだけ?誰が鉄砲玉じゃ!どっちかというとマグロだ俺は!
「マグロ食いてえなぁ」
「なぜ今マグロ・・・?」
「むしろマグロ食いたいという気持ちにタイミングとか関係あるかね?」
「あるよな、普通?」
「私に振らないで」
「それで、これから行くってことでいいのか?」
「まあ、練習しといて損はないか」
「・・・少しだけなら。それとスイッチって何?」
「な?確認は必要だろ?」
それから三人でたっぷり三時間練習した。大変だった、主にキリトが。
「アスナ、スイッチ・・・うぉわ、刺さる!」
「案外難しいのね」
「お、あっちに宝箱!」
「待て、モンスターハウスだったらどう・・・って本当に引っかかってる!!アスナ、助けに行くぞ!」
「何か前にも見た光景ね」
「俺は何をやってるんだ・・・」
「「ドンマイ」」
「お前らのせいだろ!」
翌日朝10時、ボス戦に参加する全員でまとまって扉の前まで向かう。一層の中では高レベルのプレイヤーが20人以上いれば、道中のモンスター何か何も問題にならない。恰好こそ少し物騒だが、まあ気分は遠足だな。ぶっちゃけ道中やることがない、暇だ。
「そういや、キリトはシャンフロやってたのか?」
「ああ、少し前に始めたんだが、ちょうどそのころにSAOのβテストに当選して、それからは寝ても覚めてもSAOだったからな」
「SAOもさすがに3.5世代先を目指すってだけあって完成度は高いよな。バグがない、結構無茶な動きしても人の形からはみ出さない。動きに関しては文句なしだ」
「どういうゲームやってきたんだよ・・・」
「よくこの状況で軽口言えるわね。それにSAOなんて最悪なゲームに決まってるじゃない」
「暇だからな。それに今のSAOがクソゲーになってるというのもわかる。だがそれを認めてしまうとなぁ。クソゲー好きとしてはクリアしなければという使命感が湧いてくるんだよな」
つくづくクソゲーに浸食されてると自分でも思う。クソゲーであればあるほどクリアして後の達成感は大きい。ラスト3分間、最悪なヒロインにドロップキックを決めるために頑張れるゲームもあるくらいだからな。
「茅場を殴るためにクリアするんじゃないの?」
「それが
「命がかかってるのよ?楽しめるわけないじゃない」
「ゲームってのはクリアするためにやるもんだ。だとしたら、クリアに至るまでの
ゲームの楽しみ方なんてのは人それぞれ違う。それはSAOでも同じだと思ってる。逆に言えば楽しまないと最後までは続かない。だから、俺的には憎しみだけで続けなきゃとか楽しんじゃいけないとかっていうのはナンセンスだと声を大にして言いたい。面倒だから言わないけど。
その答えがお気に召したのかはわからないが、「ふーん」とだけ言ってアスナはそれ以上何かを聞いてくることがなかった。キリトは苦笑いを向けてくる。キリトも中々のゲーマーと見た。ゲーマー同士通じるものはありそうだ。きっと彼はいい幕末志士になるだろう。
そして、いつの間にか扉の前まで来ていた。先頭に立っていたディアベルが振り返り、全員を見渡す。何かやけに緊張してるな?別にディアベルがリーダーというわけじゃない。いうなれば発起人だ。だが、他のメンバーよりも緊張してるように見える。
大きく深呼吸してから、一言。
「勝とうぜ、俺たちで」
錆付いた扉の重い開閉音が鳴り響いた
実はキリトもシャンフロをやっていました。しかし、ゲームオタクであるよりもSAOオタクになってしまったため、途中でログインしなくなっています。レベルは30手前くらい。やっぱりどんなゲームをしててもほぼ剣しか使わないよね!
サンラク→シャンフロ外でも有名になってたとは・・・
キリト→マジか、本物じゃん!(割と好きな芸能人に会った時の反応)
アスナ→有名人なんだ。どうでもいいけど(ヒ〇カンに会って目話輝かせる小学生を見る冷めた目)