殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー【番外編】   作:謎多き殺人鬼

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殺人鬼ルートのジルの最後の話です。




後日談
殺人鬼ルート後日談:殺人鬼の幕引き


黄昏の社会と呼ばれる時代となった日本。

 

ヒーロー達は少なくなる一方であり、警察が再び治安維持に携わる様になってからはもはや過去の憧れなどは忘れ去られていた。

 

そんな社会には切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)

 

またの名を霧先ジルが台頭した殺人鬼が法から逃れた悪を殺して回る事件が十年前から続き、ヒーローのデクによって捕縛去れるまでにその被害者となったヴィラン達の数は計り知れない歴史的にも単独で引き起こした殺人数は最多となった。

 

そんな彼女を公安は……政府は、捨て置かなかった。

 

ジルは捕まり、取り調べを受けてから僅か一週間で裁判に掛けられ、異例とも言える程の僅かな期間で死刑が言い渡された。

 

しかもジルには国選であろうと弁護士が着く事すら許されず、この事態に親切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)派であろうと反切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)派であろうと関係なく人権侵害だと指摘し、猛反発されたがそれは無視された。

 

そして、ジル本人も理不尽とも言える裁判の判決を静かに受け入れ、正式に死刑が確定した。

 

そんな切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)を取材すべく一人の記者、平野 一義は現在、切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)が収監されているタルタロスへと赴き、面会の申請をし、ジルが会うのか返答を待っていると、刑務官がやって来て面会する主旨が伝えられると早速、面会室へと足を運んだ。

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厳重な監視下にある面会室へと通された平野が目にしたのはタルタロスでも馴染みあるオレンジぽい囚人服に手首だけでなく過剰なまでに腕に付けられた複数の手錠、首に何かしらの装置が取り付けられ、髪は捕まる前とは比べられない程に短く切られてしまった霧先ジル死刑囚、本人がそこにいた。

 

二十六歳とは思えない若々しく美しい姿に平野は息を飲むが構わず取材を始める。

 

「初めまして私は平野と申します。記者をしているのですがこの度は取材をお許ししてくださり、ありがとうございます」

 

平野はそう言って頭を下げるとジルはニッコリと笑ってから発言した。

 

「構わないわ。それで?どんな話をしましょうか?」

 

「はい。何故、犯行に至ったのか?その理由からお答ください」

 

「……そうね。私の犯行は法から逃れる悪つまり、ヴィランを殺す事でこれからも起きるかもしれない犯罪を止める事、そして復讐の為だったわね」

 

「前者は兎も角、後者の復讐とは?」

 

「私の母さん……母のオリヴィアが殺されたの。同じく殺された父さん……父のジャスティスが追っていた事件を止めさせようとした連中からの見せしめにね。私はそれを追った。ヴィラン達を殺して、掴んだ手掛かりを手に突き止めて、失って……それでも追った事で何とか全ての復讐を果たして現在の隠居生活に行き着くわね」

 

ジルのその言葉に平野が細かくメモをしていく最中、ジルが平野を静かに見つめている事を平野自身が気付いた。

 

「あの……何か?」

 

「いいえ……物好きな人ね。既に終わった事件なのに取材したいなんてね」

 

「タルタロスは外の情報なんて入りませんが貴方の事は数ヶ月も経つのに今もニュースで流れていたり、貴方の犯行理由と行動を考察する内容のテレビ番組や動画がながらているんです。充分に取材する価値はありますよ」

 

「そうなの?……過去の切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)を考察している様なものね」

 

ジルはそう言って一人、納得するとニヤリッと笑い、平野は背筋を凍らせながら取材を続ける。

 

「タルタロスで現在、収監されていますが……凄い格好になってますね?無駄に付けられた手錠に首には変な機械みたいな物が?」

 

「あぁ、これね。手錠はね、私が万が一に脱走を企てても良い様にナイフを振るわせる隙を生ませない対策なのよ。首なんてこれ、頭を一つ吹き飛ばせる爆弾よ」

 

「ば、爆弾!?」

 

「安心して。刑務官が作動させなければ爆破しない……C4だとでも思っておいて」

 

平野はそう聞くと更に冷や汗をかきつつも話した内容をメモした。

 

「嫌になりませんか?……いくら凶悪犯と言われる貴方でもこれは……」

 

「あんまりだ。……そう言いたいの?残念だけど私はそれだけの事をしたの。デクに捕まった時から死ぬ覚悟は出来ている。それまでに多少、理不尽な事をされても文句を言うつもりはないわ」

 

「明らかな人権侵害ですよ!?」

 

平野はそう叫ぶと刑務官達の鋭い視線と監視カメラに取り付けられている銃口が一斉に向く中、ジルは冷静になる様に手錠が付けられた腕をあげる。

 

「こんな所で死にたいの?死ぬのは少し早い年齢ね」

 

「確かに貴方は罪人でしょう……ですが、どんな凶悪犯でも弁護人の一人くらいは付いていた。あの死柄木弔にすらも」

 

「それだけ私に生きられるのが嫌なんでしょうね。デク達……私の元クラスメイトの面会は許された事はないわ。別に脱獄の協力なんて仰ぐ意味なんて無いのにね」

 

ジルはそう言って微笑んだ時、刑務官がジル側に現れ、肩を掴んだ。

 

「面会は終わりだ。サッサと戻るぞ」

 

「それじゃあね平野さん。もし……デク達に会ったら……ごめんなさいって伝えてね」

 

ジルの最後のその言葉を聞いた平野は唖然としつつもジルが面会室の奥へと連れていかれる姿を只、見つめるしかなかった。

 

面会から一週間もしない内にジルに死刑執行の命令が下され、ジルは最後の最後まで笑みを崩す事もなく……その首は吊るされる事となった。

 

歴史に間違いなく名を残した伝説の殺人鬼、切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の亡霊は死刑と言う形で息絶え、二度とそのナイフは振るわれる事は無かった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筈だった。

 

 

切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の亡霊によるヴィラン連続殺人事件は更に十年の月日が流れ、ある少年が古びた雄英の校門へと立った。

 

「き、緊張するな……」

 

少年が緊張する中、その隣に赤い瞳を持つ女性が現れた。

 

『今さら緊張してどうするのよ?』

 

「で、でも!名門だって言うのは確かだし……!」

 

『今必要なのはしっかりと自分の目指すものを意識する事。貴方はデクの様なヒーローになりたいのでしょ?』

 

「う……うん!分かったよジル!」

 

『だったら自信を持ちなさい。ほら、試験に遅れるわよ』

 

「わぁッ!?ほ、本当だ!遅刻する!」

 

少年は駆け出し、ジルは呆れつつも笑みを浮かべながら着いていく。

 

殺人鬼、切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の亡霊は死んだ。

 

今は……本物の亡霊としてある少年と共にいるだけのお節介な女としてそこにいるのジルだった。

 

彼が選ぶ道が善か、悪か。

 

それを見極める為にジルは今日も側にいる。

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