「うそ・・・だろ」
「お、大叔父様・・・」
アリーゼ達も、闇派閥の者達でさえも。その場にいた全員が理解できずに動きが止まった
1000年間オラリオを守ってきた英雄の死。信じられない、信じたくない。しかし爆発が起こった周囲には彼が装備していた物が散らばり、見たくはないが何やら焦げた体の一部の様な物も落ちていた
「ヒャ、ヒャハハハハハハハ!」
一番に声を上げたのは闇派閥の幹部、【殺帝】ヴァレッタ・グレーデだった
「マジか!?マジかよ!!あの番人が、邪魔で邪魔で仕方が無かった番人がこんなにあっさり!!」
ようやく事態を飲み込めた闇派閥に属する者達はヴァレッタほどでは無いが顔に笑みを浮かべる。長年自分たちを苦しめた遭遇すれば最後の化け物が居なくなったからだ
「ウソ、でしょ・・・?」
反対にアリーゼ達はまだ事態を完全に飲み込めていなかった。長年都市を守ってきた彼は闇派閥と敵対する者達にとって「彼が居れば大丈夫」と精神的支柱になっていた
それを分かっているヴァレッタは笑みを浮かべ指示を出す
「さて、後でこのことを知ったフィンたちの反応を楽しむとして。まずはお前らを片付けねえとなあ?」
「ッ!全員離れろ!!」
「アリーゼ!」
「ッ!!」
反応が遅れ『自決装置』の範囲内に入ってしまったアリーゼ。相手もそれを見逃さずスイッチを入れようとするが
「敵の前で何を呆けているのです」
後ろから聞こえた声の主によって自決装置を盗られ、そのまま意識失ってしまう
「大、叔父様。生きてる、ほんとに・・・」
「生きてますよ、いくら1000歳越えてるからって勝手に殺さないでください」
「番人!てめえ何で生きてやがる!!さっき目の前で爆発しただろうが」
「ああ。それは私の魔法ですね、自分の分身を出す魔法。死んでも少しの間残るんですよね」
「ふざけんな!お前がそんな魔法持ってるなんて聞いたことが無いぞ」
「・・・あ~そういえば最後に人前で使ったの結構昔でしたね。100年くらい?」
「100年使ってなかろうが記録には残るだろうが。自分の魔法を見せたやつ全員を始末してきたってのか」
「数え漏らしが無ければ。全員闇派閥でしたので」
「この化け物があああああぁぁ!」
「逃がすと・・・ッ!爆発の衝撃で建物が。皆さん逃げますよ」
逃げるヴァレッタと捕まえようとするロイマンだったが複数の自決装置による爆発で建物が倒壊し追うことが出来ず逃がしてしまった
「爆発音、他の所もここと同じことが」
「・・・」
「大叔父様?」
「長すぎる」
「え?」
「拠点内の人数で起こす爆発にしては聞こえる時間が長すぎる」
「それって・・・まさか」
「アリーゼ。動ける者たちと住民の救助に、敵が誰であろうと近づけてはいけませんよ」
「大叔父様は・・・?」
「このような状況で言うのは滑稽かもしれませんが・・・守護者として一人でも多く守る。」
そういってロイマンは屋根伝いに騒がしい場所へと走っている
「フェルズ、聞こえるか。状況は分かっているな。ウラノス様を頼めるか?」
『ああ。任せろ』
「【力は足りる、手数が足りぬ。・・・】」
(今残っている分身はLv.5の分身が二体、出せるのは後一体か。なにが力は足りるだ。全然足りていないからこのような状況になっているのだろうが)
ロイマンはこの時点で現在都市で生きている者達全てを助けられない事が分かっていた。闇派閥は自身と大きなLv.の差があるが自分とは比べられない程の数がいる。【ドッペルゲンガー】も助けられる数は増えるが焼け石に水だろう
「死ね!愚かな「邪魔だ」ッ!」
「守護者様」
「無事ですね。この一帯の闇派閥は無力化してあります、慌てずに非難を」
「はい、ありがとうございます!」
(今の親子でこの辺りの住民は全員・・・生きている者全員は避難させたか)
「ッ!!」
ロイマンが見たのは天へと上る光。魔法とも違う気配にロイマンはこれが何かを理解する
「送還の光、だがこの数は」
ロイマンが視認できる柱の数は九。間違いなく千年の中で初めて見る光景である
「ッチ!クソ面倒なことをしやがって!!」
ロイマンは普段は言わない口汚い言葉を吐きながら都市内を走る。『一斉送還』、それによって起こされる現象を考えればだれもが納得するだろう