結構端折ったけどこれでアストレア・レコード編は終わりになります。
「もう眠りなさい、ザルド。あなたの主神ではないけれど、最後を看取ってあげるわ」
その言葉に床に倒れている男、ザルドは小さな笑みを浮かべる
「ははっ・・・あの糞爺より、美神に見届けられる方がよっぽど幸運だ」
だが、と言いザルドは立ち上がる、オッタルの全力を受けまともに動ける状態ではない。それに加えザルドの体には陸の王者『ベヒーモス』討伐の時に受けた猛毒が全身に回っている。まだ死んでいないのが不思議なほどだ
「俺は行かなければいけない」
「・・・ダンジョンに何をしに行く」
「決まっているだろう・・・」
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(メーテリア、もう少しだけ待っていてくれ)
「アルフィア、どこへ・・・」
アルフィアは大量の血を口から吐き出しながら、苦しみよりも笑みを顔に浮かべ、アリーゼ達に遺言を伝えたアルフィアはよろよろと歩き出す
「決まっている・・・」
「「番人の所へ」」
□
「終わりか」
「ええ、貴方の計画は成功と言う形で終わった」
「おや、誰かと思ったら君か。しかし、成功?見ていなかったかい?闇派閥の計画に必要な『大最悪』モンスターは冒険者たちに討たれたんだぞ」
「闇派閥の計画はそうでしょうね。しかしあなた達の計画としては違う」
「ハハハッ、流石千年この土地を守ってきた守護者様だ、いつから気付いていた?」
「最初から疑問がありましたよ。ザルドとアルフィアが闇派閥に堕ちた?そんなことありえない」
(何で番人が・・・いや、あの二人は都市最強派閥にいた実力者だから面識もあるのか)
「それに・・・」
「ん?」
「あの二人が私と敵対することなどありえない」
「ほう、あの二人とそんなに親しい間柄だったのか?」
「いえ、ただあの二人にトラウマを植え付けただけです」
「・・・サラッと何を言っているんだ?」
「今でも思い出す。問題ばかり起こすゼウス・ファミリアの構成員達と纏めて吹き飛ばした時のザルドの顔。自分の魔法を正面から何発受けても歩みを止めず近づいてくる私を見た時のアルフィアの顔。それ以降彼らは私に逆らったことが無かった」
「何をしているんだお前たちは」
(そう言えば、あの二人番人と戦うことになるのかと何回も聞いてきたな。普通に勝てないからその心配をしてるのかと思ったが、それ以外にもトラウマの元凶に会いたくなかったのか)
「ああー!大叔父様!!」
ロイマンとエレボスが会話をしていた時。『
「大叔父様何でここに?ギルドで自分の主神様を守っているんじゃなかったの?」
「そうしたかったのですが、予想外の強さのモンスターが見つかりましたのでね。信頼できる者に任せてきました。一応分身も残してますし」
「それならその予想外の強さのモンスター討伐に協力してほしかったんじゃがのう、勝てたから良い物を」
「あいつを倒すためにアイズが無理をした。強くなるためと言えば聞こえはいいが一歩間違えば・・・そうなったら私はお前を許さないぞ」
ロキファミリアの二人の咎めるような視線を受けロイマンは違いますよと首を振り説明をする
「私が言うモンスターはここよりも更に下の階層にいたモンスター達ですよ。姿かたちはあなた方が討ったモンスターに似ていたので生まれた階層は近いのではないでしょうか。それに加え魔法を反射する新種のモンスターも数えきれない位いて。まあその分物理攻撃には脆かったのですが」
「・・・え、あの化け物もう一体いたの?」
「しかも魔導士殺しの新種が数えきれない位って言ったぞ。それを一人でって」
「流石大叔父様ね!バチコーン☆」
「「「イラッ☆」」」
「それではここはアリーゼ達に任せましたよ。近くにはもう闇派閥はいないと思いますが十分に気を付けて」
「あれ、大叔父様は何処へ?」
「少し用事を済ませてきます」
□
「やはり気づいたか」
「ゴホッ、まああんたが気づかない訳が無いか」
「・・・二人とも酷い怪我ですね。そんな状態で何を」
「何、あんたには今まで迷惑をかけたからな。その詫び代を払おうと思ってな。背中を向けてくれ」
「・・・意味は分かっているのですよね?」
「ああ、私達に残された時間はもうほぼ無い。それならば貴方に渡そうと闇派閥に入る前にザルドと話した」
「他の奴だったらこんな事は考えないんだが、まああんたなら良いかと思ってな」
「・・・」
ロイマンが二人に背中を見せるとザルドとアルフィアはその背に手を置く。すると三人の背中に刻まれた恩恵が光り始めた
「・・・考えていました。二人は、ゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアの者達は私を恨んでいるのではないかと」
背中の恩恵が光り、体の中に何かが入り込んでくる感覚を感じながらロイマンは呟いた
「黒竜討伐の時の話か?別に恨んじゃいないさ。自分の主神を守りたいってのは当然の考えだ」
「それに貴方がオラリオに残ったから私たちは何も心配せずに戦えた。我々が負けたのは我々が弱かった。ただそれだけのことだ。」
「フフフ。二人とも優しいですね。最初背中を見せろと言われたときは刺されるのかと思いましたが」
「何だ、刺されてくれるのか?」
「あなた達になら一回くらいは良いかもしれませんね」
「それ俺たちがそんな事しないって確信して言ってるだろ」
「いえいえ、最初に合ったことのあなた達なら刺しに来ていたのでは?」
「ウッ否定しきれない」
「達とは何だ。ザルドはともかく私がそんなことをするわけ無いだろう」
「「いや一番すると思う(います)」」
「・・・
「うおお!?・・・ん?」
真横からの魔法攻撃に身構えるザルド。今の状態では確実に死ぬ攻撃だった。しかし魔法は発動せず目を白黒させるザルドを見てアルフィアはクスクスと笑う
「冗談だ。既に私の中にはこの魔法はもう無い」
「何だ、びっくりさせるなよ、死ぬぞ?まあもうすぐ死ぬだろうが」
「ならば魔法で死んでも良いのではないか?」
「良いわけねえだろ」
「お二人とも仲良しですねぇ。そういえば神エレボスはよくお二人を見つけることができましたね。まさかお二人ケッコ「黙れ殺すぞ」・・・はい」
「・・・その拒否の仕方地味に俺も傷つくんだが」
三人で少しの間だが、話をして、笑っていると三人の光っていた恩恵は元の状態に戻る。それと同時に
「ゴホッゴホッ!」
「がはっ・・・ッ!?」
ザルドとアルフィアは血を吐く
「ハア、ハア・・・譲渡は成功したか?」
「・・・ええ、ウラノス様に確認してもらわなくても分かります。お二人の魔法は確かに私の背中に刻まれました」
ロイマンが所有する希少能力「万才受走」
能力は他者からの魔法譲渡、並びに魔法スロット拡張
神時代の始まりから今日にいたるまでロイマンしか発現させた者がいない超超レアなスキルだった
このスキルによって魔法を受け取ったロイマンはその魔法を好きに使用することが出来。未来二人のエルフが発現させる他者の魔法を召喚・行使できる魔法ではなく魔法そのものを受け取っているため追加での詠唱などは無い。その代わりこのスキルによって魔法をロイマンに譲渡した物は譲渡した魔法及びその魔法が入っていた魔法スロットを失う。その恩恵に大きな影響を与える行為は受け取る側・渡す側両方に影響を与える。
現在のロイマンの様に体にダメージなどが無く体の強い物ならば大きな影響はないが戦いでボロボロ、死ぬのを待っているような状態のザルドとアルフィアにかかる影響は大きな物だった
「ありがとうございます」
ロイマンは頭を下げ、自身の魔法をロイマンに渡した二人に感謝を伝える
「只の迷惑料だ、そんなに頭を下げなくていいさ。ハァ・・ハァ・・・」
「もう動けそうにない、か・・・頼みがある。私の亡骸は燃やして灰に還してくれ・・あの子と同じように」
「分かりました・・・生まれ変わってもオラリオがあったらまた来なさい。私は変わらずそこに居てオラリオを守り、また稽古をしてやる」
「・・・どうする?」
「またあの蹂躙劇が行われると思うと行くか悩むな・・・まあ」
「「守護者とか格好付けてる老いぼれジジイに負けるはずがない」」
□
「まったく、私に初めて会った時と同じ言葉で終わるとは。また来た時も同じことを言うのですかね、あなた達は」
ロイマンは守りを少しの間だけフェルズに頼み三つの墓の前に来て昔の事を思い出し笑みをこぼす
「また来ます。しかしここまで来るのも面倒なのでいつかは貴方たちの方から私の元に来てくださいね」
「オラリオがある限り私はこの地にいるのですから」