いつも通り、自宅兼教会でポーション作りに勤しんでいた
勤勉は大事、手当に響くからね
最近は厄介な連中に幼女も含まれ始めて、生活が侵されそうになっている
私はこのゲームに刺激は求めてないんだ
仕事終ってもパチスロ競馬予想くらいしかやることがないからゲームをしている
でも、真面目に攻略とかし始めると、仕事終わって仕事をしている感覚になるから嫌なんだよね
ガチ勢はすごい
どんなクソゲーにもガチ勢はいるが、あのやる気はどこから出てくるのだろうか?
まあ関わりたくないから聞きたくはないが
で?そんな私になんの用かな
目の前に立っている3人に目を向ける
キャラクリのデフォルト男キャラと、全身鎧と、どこかのアイドルみたいな女
話したことはないが、特徴に合致するプレイヤーは知っている
私のような中堅神官に会いに来るようなタイプではないと思うのだが
そもそも勝手に入って黙って目の前に立つような人物とリアルでも関わりたくない
だから私はポーションを作る
何個も
何個も
何個も
疲れた
もう100個以上作った気がする
目の前に人がいるせいか気が散って品質はあまり良くないけど、流して問題ないレベルだ
それよりも休憩なしなのがしんどい
もうログアウトしようかな?
道具を仕舞おうと女神像(小)を手に取った時に声がかかる
「作業は終わりか?」
タメ口ぃ
というか話しかけてくるなよ
非難の目を向けるが、デフォルトキャラは首を傾げる
「終わったのかと聞いているんだが」
そうだよ
目を向けながら道具を全てしまう
「聞いているのか?」
少し苛立ったような声でそう言われても困る
…あ、幼女相手じゃないから喋らないといけないのか
面倒くさい
「ええ、どのようなご要件でこちらに?」
「検証班と何をしていた?」
ストレートに聞くなぁ
面倒くさいことになりそうだし正直に行こう
「最近フレンドになりましてね。一緒に遊ぼうと誘われたもので外でゴブリン狩りをしましたよ」
「他には?」
「いえ、なにも。その後は現地解散でしたね」
「そうか?」
本当のことを言っているだけなのに面倒な
「ええ、神に誓いますとも」
「…そうか」
フレンド申請の画面が唐突に現れる
こわい
いきなりフレ申してくるとかよくわからんし拒否で
「なぜだ?」
「私は貴方の事を知りません。同時に貴方も私の事を知らない。ゲームのフレンドであるから気楽に使う方も多いですが、私は仲良くなれそうな方しか登録したくないのです。」
本来、私は幼女ともフレンドになるタイプではないのだ
フレンド欄はすぐに数えられる程度の人数しか登録されてない
ゲームで、フレンドを増やしたところで関わりが増えてやりたい事ができなくなるというのに
一期一会でいいのだ、ゲームというものは
最近はすぐにsnsで繋がったり、オフ会をしたりと大丈夫なのかと老婆心が働く
色んな界隈で被害にあった子見てきてるからなぁ…
「プレイスタイルの問題か、ならいい」
あら素直
こういうのはあっさりなのね
そう思っていると、またフレンド申請の画面が出てくる
今度はアイドル風の女
何事かとそちらを見る
小綺麗な風貌に反して表情筋が死んでいるその姿からは何かを読み取れそうにない
助けて幼女
なんか幼女と会ってから思考の片隅に幼女が遍在している気がする
もしかしたら私はロリコンというやつだったのかもしれない
というわけで当然拒否する
するとアイドル風の女は首を傾げる
私も首を傾げる
アイドル風の女は少し悲しそうな顔をした後、また表情筋が死んだ
動くんだ
というか皆喋らなさすぎでは?
コミュ障の集まりか?
最近のゲーマーは喋れる人多いと思うんだが
で?どうするのよ
みんな動かなくなったけど
…
「他にご要件はありますでしょうか?」
「いいや、ない。また来る」
そう言って3人は帰っていった
なんだったんだ
あ、でも今日は血をみてない気がする
平和だった
私の心は平和ではなかったけれど
さて、どうするか
過疎ゲーと言っても、人はいるもので、大通りはそれなりに賑わいを見せている
道路脇には自分の作った商品を床に並べるプレイヤーやNPCが呼び込みをしたり、買い手と価格交渉をしている
…いつも思うが、こういうのって普通広場でやるもんじゃないかなぁ
まあ広場でやっても喧嘩ばかりで商売にならないんだろうけど
意外とこういうのはちゃんとしてして、店舗の入口は塞がないし、あまり喧嘩は起きない
衛兵の詰め所は近くに置かれているし、自警団所属らしきプレイヤーも巡回している
もしかしたらこのゲームで一番治安の良い場所かもしれない
露店を見て回るが、武器や防具よりも、アクセサリーや日用品がほとんどを占めている
品質は…うん、よくわからないが、ポーションはNPCの店売りよりも効果は高いが少し値が張る感じだ
私がお布施として貰っている額と比べると…まあ私は商売ではないので
ポーションを吟味しているのも、後発の中堅から初心者とNPCだけだもんな
聖水の方は見当たらない
まあ、売ってある方が変ではあるが
あったとしたら転売か効果が著しく低いものだろう
システムがそういったものは認識して効果が低くなるようになっているらしい
…さて、こっちに来た用件を済ませよう
私は、大通りの中央付近から裏路地に向かう
大通りの喧騒とは異なり不気味な程に静かな道を進むと、小さな立て看板が置いてある店にたどり着く
「いらっしゃ…い?」
店に入ると、店には客は居らず小綺麗な店の中には、整理された様々なポーション類が棚に並べられてる
奥のカウンターには、いかにも魔女ですよといったような出で立ちの少女が椅子に座って作業していた
適当なポーションを手にとってみる
回復ポーションだったようで、露店よりも高い効果のものが同じくらいの価格設定になっていた
私であれば失敗したかもなぁ位の効果
これは今のボリューム層相手では十分だし、作り手としては非常に優秀なのではないだろうか
…うん、大体わかった
幼女の事が頭に残りすぎていて、気になったから来てみたが、この分であればレベルによる補正で解決するだろう
手に取っていたポーションを棚に戻す
「え、あ、ちょっと待ってください!」
店を出ようとしたところで声がかかる
もしかしてなんか買わなきゃ駄目だったか?
さっき手に取ったポーションを店から取り、料金分の金とポーションをカウンターに置く
「あ、ご購入ありがとうございます?…ってそういうわけじゃなくて」
「違うのですか?」
「ええっと…貴方が有名な神官ですか?」
「有名かどうかは存じ上げませんが、神官はさせて頂いておりますよ」
「失礼かもしれませんが…教祖と呼ばれてますか?」
「…不本意ながら呼ばれることもあります」
「よかった、来てくれた…神官さんにお願いがあります!」
「なんでしょうか?」
「弟子にしてください!」
ああ、来るんじゃなかった
この件は自業自得だと自分でも思うが
約2年経つと時事ネタ入れるか悩みますよね