その女〝動物好き〟 - the another order - 作:浅学寺のえる
「ヴィオラのわからず屋! ドレスローザの女は浮気しないんじゃなかったの!?」
「それは話が別でしょ!? 貴女だってロシーに夢中だったクセに今度は、ゼファー先生?」
「しょうがないでしょ! 初めて声を聞いた時に前世の記憶が……!」
「例のランキングで2位だったかしら? けれどモンブラン・ノーランドだって声は同じよ?」
「故人でしょ! あと、植物学者って肩書きも……なんかヤなの! 理由は分からないんだけど!」
「わがままね。全然、一途じゃないわ」「なっ!? それはヴィオラもでしょ!?」
「「この尻軽オンナ!!」
ヴィオラと親友になって、早2年。
まさか……こんな形で裏切られるなんて。
でも、アタシはヴィオラを信じたい! 親友なんだもん。話せばきっと判ってくれる筈!!
「ヴィオラ、もう一度言うけどね───ルフィの相手は! ナミしか居ないでしょ!?」
「いいえ、私はウタを推すわ!」
「この前までナミ派だったクセに……!」
「最近ナミを思い浮かべると、連動して貴女の顔が出てくるのよ! この妹バカ!」
「うっ……」
くやしいっ! 言い返せない。
ヴィオラと会うたびに、ナミの話ばかりしてたからなぁ。妹バカなのも自覚してるけど……つい、ね?
それにしても、ウタ派に転向って……あ、久々に前世の記憶が出てきそう。
「私達、もうこのサークル抜けようと思うの」「あ、私も。いっそ解散しちゃえば?」
「ちょっと……!? なんでいきなり?」
「だってもう、ルフィの相手はウタしか考えられない!」「「そうそう」」
「は? ここ、ルフィとナミが好きな人間の集まりだよね……?」
「だって幼馴染に勝てる訳ないでしょ? それに、ルフィの人格構成にどれだけ影響を──」
「……もういい、アタシが抜けるから好きにして」
結局5人いたサークルは、3人がウタ派に転向してアタシ達は出ていく事になった。
その夜だっけ? 唯一残ったナミ派の子と宅飲みして……例のおじ様ランキングを披露したんだ。
3位がバギー。2位がゼファー。1位は……誰だったっけ?
「ごめんなさい、エイダ。貴女にそんな過去があったなんて知らなくて」
「また心を覗いたの? あぁ、安心して。別にウタの事も好きだからね? けど……」
「ナミの方がもっと好き。でしょ?」
「そう言う事。前世も
「そうね……良く考えれば、私もウタ派って訳でもないみたい」
「え! それじゃ……!?」
「私は、ルフィの相手にビビを推すわ!」
「裏切り者〜っ!!」
もう! わざわざ忙しい合間を縫って、会いに来たって言うのに!
って、そう言えば何か忘れてるような……?
「あ、ゴサの町へ駐屯地を置くって案は通ったわよ!」
「そうだった! ありがとうヴィオラ! 持つべきものは、王女様の親友ね♪」
「エイダ、貴女さっきまで……まあ、いいけど」
着々と進む、アーロン包囲網。
この世界でも襲撃してくるのかは分からないけど、出来ることはしておかなきゃね!
ー ドレスローザ・上空 ー
《おい相棒。姫さんと無駄話しすぎだ》
「ごめん、ピンキー。でもあの子、どうして レベッカ じゃなくて ビビ を……?」
《いい加減、その与太話をやめろ。ゼファーのオッサンが待ってるぞ?》
「そうだった! じゃ、全速力でお願いね!」
《おうよ。飛ばしていくぜェ!》
ああ、アタシの相棒が頼もしすぎる!
2年前はポシェットに入ってたピンキーが、今じゃアタシを乗せられるまで大きく成長してる。
トキカケが言ってた「育てば、身の丈12尺」って文言はホントだったみたい。
今の体長は、約3メートル。羽毛はピンクで、クチバシは黄色。そして、名前がピンキー。
やっぱり原作1巻で、ルフィを咥えてオレンジの町まで飛んだ〝怪鳥〟ピンキーなのかも。
まあ、命名したのはアタシなんだけど……偶然の一致ってやつなのかな?
──────────────────────────────
────────────────────
──────────
ー 隣国のM・G支部 練兵場 ー
「
「ごはっ!……なんつー威力だよ」
「どうしたスモーカー! その程度で音を上げるのかっ!?」
おー、やってるやってる。〝黒腕〟のゼファーにかかれば、スモやんもヒヨッコ同然だね!
ま、実際若いんだけど。まだスモやん21歳だし。ちなみにアタシは17歳!
やたらイイ声のゼファー先生は59歳。今日は怒号がよく飛ぶなぁ〜。
いよいよ来月に迫った、
M・Gによって揃えられた、世界各地の猛者たち(海賊を除く)。
M・Gによって出資される運営資金。
そして、M・Gからの出向という形で要職に就くセンゴク、ゼファー、クザン、以下数名。
うん。完全にM・Gの下部組織になりそう。
世界を牛耳る貿易会社が、世界最大規模の軍隊を抱えちゃった……。
「早く降りてこい馬鹿者!」
《ハッハー、オッサンぶち切れてるぜ?》
「わわっ、降りてピンキー」
《んじゃ、おれは飯食ってるからよ。帰りは呼んでくれ》
「ありがとう、ピンキー!──よっと、エイダ・フォーライト伍長、帰還しました!」
「遅いっ!!」
「ちょっ!? 〝
「ハッ、相変わらず防御だけは一人前だなエイダ?」
「いきなり武装色で殴るとかヒドすぎる! 鉄塊 使ってても痛いんですけど!?」
「そのまま、鉄塊を10分維持しろ。スモーカー、ヒナ、お前らはコイツを殴れ!」
「チッ、硬ェんだよコイツ」「ごめんなさいエイダ? 命令だから。ヒナ弁解」
「鬼教官っ!……声はイイけど」
嬉々として殴りかかってくる、スモーカー 一等兵 とヒナ 二等兵。
アタシ、一応この2人より階級上なのに……。
いやいや、アタシの立場はドレスローザM・G支部 企画部門のデザイナーなんだけど!
なぜか、海軍に出向する事になって。
なぜか、将校候補生の訓練に参加する事になったんだよね。
ー 1年前 ー
「コ、コ、コラさん!? この人〝黒腕〟のゼファーなんじゃ……!?」
「ああ、先生は訓練教官としてM・Gから海軍へ出向予定なんだ」
「お前がエイダか。ベルメールから話は聞いている。さっそく明日から訓練に参加しろ」
「──はい?」
思い返してみたけど、これじゃ話が突飛すぎてて意味分からないよね……。
当時のアタシも渋い声に誘われて、気が付いた時には練兵場だったんだ。
なんでもゼファー先生は、過去に護衛団の訓練教官をやってたらしいんだけど
海軍の立ち上げに向けて、かつての教え子達を引き込もうと各地を回ってたみたい。
それで、ベルメールさんの元へもやってきて……アタシが売られたと。
自分は みかんの世話があるから無理だけど、ちょうど暇してる
暇じゃなかったんだけどね!?
確かに家にずっと居たけどさぁ。毎日服のデザインを考えてたんだよ?
〝今〟Tシャツの存在を、ベラミー経由でフラミンゴが知ったらしくて……
あれよあれよと、アタシは服飾デザイナーにされてしまったんだ。
でも、漢字Tシャツは原作から拝借したアイデアだし、自分でイチから考えようとしてたの。
完成したら、ピンキーに頼んで首都へ届けてもらう予定だったのに……!
この世界でリモートワークは早すぎたの!?
「クソ、硬い女だっ!」「流石に、拳が痛くなるわ」
「あの、スモやん? いくら鉄塊してるからって、フツー女の子の顔面ブン殴る?」
「どこ殴ろうが、効かねェだろう!?」
「……まあ、そうなんだけど。ちょっと複雑」
あの頃のアルビダでさえ、アニメ版だと顔は殴られてないのに……
それにしても、まだ10分経たないの!?
ちょっと工夫して、鉄塊の持続時間を伸ばしてるけど流石にキツくなってきたよ。
アタシが唯一モノにした六式〝鉄塊〟
他の才能はほぼ無いって言われてるんだけど、鉄塊だけは伸び代があるみたい。
〝鉄塊拳法〟みたいな派生技は、一向に覚えられる気しないけどね!
原理が分からないもん。
鉄塊状態で動けたら、それはもう全身を〝武装色 硬化〟できちゃうんじゃないの?
アタシ、ヴェルゴみたいに全身
「そこまで!」
「ぜぇ、ぜぇ、クソ!」「はぁ、はぁ」
長かった〜!
2人の攻撃は、ゼファー先生と違ってダメージは無いんだけど。動けない状態で、殴られまくるって地味にストレスだからね。
「エイダ! お前には〝鉄塊を10分維持しろ〟と言ったハズだが?」
「……やってましたケド?」
「お前の鉄塊は、攻撃が当たる瞬間のみだっただろう!」
「バレてた!?」
「鉄塊を解除した時にも、小賢しく動けないフリをしていたな?」
「うぐ……だ、だって!10分ずっと鉄塊なんて無理ですっ!」
「まだ余力はあるようだな。今から〝紙絵〟の訓練をしてやる。目隠しをしろ!」
「うわっ、何!? 目の前が真っ暗なんだけど!」
「手伝ってあげるわエイダ。ヒナ親切?」
ありがた迷惑!
ヒナの能力で目の周りを
ゼファー先生は、さっきから無言で殴りかかってきてるし……この訓練、紙絵を通り越して〝見聞色〟の修行なんじゃないの!?
こんなの絶対ムリ! でもアタシには、頼もしい味方がいるんだ!
《左だ。次は正面ストレート、屈め!》
《ありがとう! 名も知らぬゴリラさん! 引き続きナビよろしくです!》
《おれの事は、そうだな……〝ウッホーくん〟とでも呼んでくれ。おっと、後へ跳べ!》
《ナイス! ウッホーくん♪》
練兵場に謎のゴリラさんが居ると思ったら、原作でセンゴクが連れてた謎のゴリラさんだったんだね。
やけに理性的なゴリさんだったから、ダメ元で
袖擦り合うも多生の縁なんて言ってたけど、ウッホーくん服着てないよね。
《おっと、ゼファーが怪しんでるな。そろそろ潮時だ》
《そんなぁ〜! アタシ1人じゃムリだよ!!》
《覚悟を決めろ伍長。おそらく、次は本気で打ち込んでくるぞ》
「なっ!? 鉄っ塊!!!っぁ〜イッタ! 痛すぎ!」
「ほう、避けずに防御したか。衝撃で目隠しも取れたようだな」
「全然防御できてないんですケド!? 多分、骨折れてるし!」
「生命帰還で治せ。5分後に再開だ!」
「できるかっ!? 鬼っ!!」
アタシには鉄塊しかないの!
〝
この世界、激しく動いたら当然のようにメガネが吹き飛ばされるんだけど。
誰かアタシに、メガネをかけたまま戦闘できるコツを教えて!?
──────────────────────────────
────────────────────
──────────
最初は着いて行けないと思っていたスパルタ訓練も
この身体のポテンシャルが高かったこと、先生の声が良かったことなどの幸運が重なり
どうにか最後までやり遂げることができた。
そして、ついに海軍が正式に動き出す。
厳しい訓練を乗り越えたアタシは───
ー 1ヶ月後・ココヤシ村 ー
「エイダ・フォーライト! 恥ずかしながら、帰って参りました!!」
「ぶっ……! あんた!? あと1年は海軍本部に居るって連絡が……!」
「あはは。もう、ベルメールさん? だから辞めてきちゃったの♪」
「このバカー!!」
「大丈夫、大丈夫! 流石にM・Gまでは辞めてないから」
この1年間、妹たちと会える時間が激減してたんだよ!? さらに1年なんて耐えられない!
海軍本部の位置、スエズ運河の入り口だしね。
うん、絶対無理。距離的に家から通えないもん。
ここ数ヶ月は急成長したピンキーのおかげで、週に一度は帰ってきてたけど……もっと妹たちと一緒にいたいし。
ああ〜! 早く会いたいのに、ノジコもナミも今の時間は学校かぁ。
そういえば学校の雰囲気も、あの頃とは違うのかな?
ミンゴはアタシが卒業したと同時に、先生を辞めたみたいだし……ん?
そっか! アタシが先生になれば、いつも一緒にいられる!?
「聞いてベルメールさん……学校の先生にアタシはなるっ!!」
「……いいから、みかん畑の作業を手伝いなさい。少しは力も付いたでしょ?」
「え、ちょっと流さないで!?」
ベルメールさんに腕を引かれて、みかん畑までやってきた。
へぇ〜、前にアタシが植えた品種も今年から出荷するんだ。
みかん畑の規模も大きくなったし、ベルメールさん1人だと収穫期は大変だよね?
やっぱりアタシに向いてるみたいだし、このまま みかん農家って手もあるかなぁ。
こうやって、誰かと闘うとかじゃなくて、何かを作る仕事の方が心が落ち着くんだよね。
1年間の訓練で大分チカラも付いたから、作業も楽チンだし!
前は持ち上がらなかった、ギッシリ みかんの詰まった籠だって軽々と……
「なぜエイダが帰ってきているんだ!?」
「あ、ゲンさん。久しぶりー!」
「いや、それより1人では運べんだろう。どれ、手伝ってやる」
「え!? あはは。お、おもーい……ありがとう、ゲンさん!」
ゲンさんの中じゃ、アタシはまだ か弱い女の子みたい。
最近こんな扱いされてなかったから、ちょっと新鮮!
──────────────────────────────
────────────────────
──────────
「なるほど、海軍を辞めてきたか! はっはっ! 良かった良かった」
「良くない! 甘やかさないでゲンさん!!」
「そうは言ってもなベルメール。最近は海賊も増えている……わざわざ危険な海に出んでもよかろう?」
ゲンさんが言うように、ここ2年で海賊が激増してるんだよね。
そのせいで護衛を
護衛界隈で一目置かれていた〝剛腕〟のクリークが海賊へと転身した事で、護衛から海賊へ身を堕とす人間が大勢続いたんだ。
それで急遽ヴィオラが草案を出していた〝海軍〟を組織する事になったんだけど
かなり強引に人を集めちゃったから、色々と問題が出てくるだろうって言われてる。
「エイダ? しばらく家には置いてあげるけど、早く稼いで出ていきなさいよ?」
「ヒドっ!? アタシも妹達と暮らしたいんだけど! もちろんベルメールさんともね♪」
「あのねぇ、皆成長してるのよ? ナミ と ノジコはともかく、あんたが居ると家が狭いの」
「う、確かに狭くなってきてるけど! アタシが巨大女みたいな言い方ヤメテ!?」
身長も体重もベルメールさんとそう変わらないでしょ!
なんなら、アタシの方がスタイルいい……めっちゃ睨まれた!?
「まったくお前達は変わらんな。村にも貸家はある。寝泊まりをそこで行い、食事をする時はこの家に帰ってくればいい。それならば今の生活と変わらんだろう?」
「それだ! ありがとう、ゲンさん♪」
「簡単に言わないでよゲンさん。まったく、ご飯は誰が作るのよ?」
「アタシが作るから! 食費も全部出すし! だから、お願い!
「う……はぁ〜、仕方ないわね。近くに住むなら、収穫期には手伝いなさいよ?」
「もちろん!」
目標ができた。
当面はお金を稼いで、その次は家を借りよう。
もうアーロンが来ても大丈夫なくらい手は打ってるけど……結局、お金が要るんだね!
それから少しして、ノジコ と ナミ が帰ってきた!
アタシを見て一瞬驚いてたけど、すぐ嬉しそうに笑ってくれたの。
ああ〜、この笑顔が見たかったんだ♪
ベルメールさんは、また呆れ気味。
でもノジコのおかげで、アタシがデザイナーとして働いてた事は理解してもらえたの。
そのあと、会社にはキチンと通いなさいって怒られたんだけどね……。
ちゃんとミンゴに許可をもらって、働き方改革してたのに!
やっぱり、この世界には早過ぎたんだね……リモートワーク。
──────────────────────────────
────────────────────
──────────
翌日、ダメもとで学校の先生になれないか突撃してみたんだけど……すでに新しい先生が居たんだ。
クルシュなんて名乗ってたけど、どう見てもキュロスだった。ちなみに左脚も健在。
ミンゴ時代には無かった科目〝体育〟が増えたおかげで、ノジコ達も学校を楽しんでるみたい。
クルシュ先生の奥さん エスカラータって人が、たまに赤ちゃんと一緒に来るって話も聞いたの。
いつの間にか、キュロス・スカーレット夫妻が名前を変えてゴサで暮らしてたんだね。
転職は無理そう……仕方ない。久々に企画部へ出社しますか!
ー M・G ドレスローザ支部 ー
「フッフッフッ、お前の席はないぞ? エイダ」
「か、解雇されてた!?」
「違う。お前自身が、家で仕事するからデスクは必要ないと言っただろう?」
「あ、そうだった。ホワイト企業のM・Gがいきなり解雇とか無いよね!」
「確かに、通知無しに解雇はしないが。お前は、ここ1年でなんの実績も挙げてない事を忘れるなよ?」
「えと、鉄塊とか覚えたんですけど?」
「それが、会社に何の利益をもたらす?」
ごもっとも!
でもミンゴ、アタシが拉致される時……「海軍とはいえ、所属はM・Gだ。そこで成果を出せばいい」
なんて言ってたのに!
あと、辞める時も相談したら……「フフフフ、問題ない。お前の好きにすればいい」って。
──あれ?
もしかして、自己責任で勝手にやれ。って事だったの?
冷たい!? 学生時代はあんなに仲良しだったのに! 部下になった途端に、冷たいよミンゴ!!
もう、一緒にラップバトルしてたミンゴは居ないんだね……!
こうなったら、デザイナーとしてバリバリ貢献してやるっ!!
ー 王宮・ヴィオラの私室 ー
「ね? ヒドイと思わない?」
「私には、貴女の方がヒドイと思うけど。海軍を辞めた
「9割は本音だけど? でもアタシも悪いと思ったから、ちゃんとデザインを提出したのに! 全部ボツにしたんだよ!?」
「だって貴女のオリジナルデザインってセンスが……その、独特だもの」
「もう何が良くて、何が悪いのか判らないよっ! このままだとアタシ、来月には無職なんだけど!?」
「あ、王宮のメイドはもう間に合ってるわ」
ぐっ、最後の手段まで絶たれてしまった……!
こうなったら仕方ないね。
漢字シリーズは、原作由来だから控えるって言ったけど……前言鉄塊!!
じゃなっかった、撤回!!
──────────────────────────────
────────────────────
──────────
ー 洋裁店・工房 ー
「伝説の復活だわい!!」
「やっぱスゲェ! さすが、エイダの姉貴!!」
〝爆撃〟〝無罪〟〝勝訴〟〝独立〟
〝暴力〟〝本能〟〝仁義〟〝略奪〟
これが、アタシの隠し玉! エースが子供時代に着てた、漢字Tシャツシリーズだぁ!!
「どう? ミンゴ
「……ああ。席は用意してやる。気が向いた時にでも出社しろ」
「え? 常勤じゃなくていいの!?」
「お前の気質は嫌と言うほど知ってるからな、縛った所で質が落ちるだけだろう?」
「あはは。がんばりま〜す」
「これからの数年で、世界はまた大きく動く。時代のうねりを見逃さず、感性を磨けエイダ」
うぅ……ミンゴからの信頼がツラい。
給金は歩合制で、服の売れ行き次第みたいなんだけど……。
このまま原作 丸パクリのデザインを続けていいの? アタシ?
ー 王宮・ヴィオラの私室 ー
「って、事なんだけどさぁ」
「あのね、エイダ? 頼ってくれるのは嬉しいんだけど、私も忙しいのよ?」
「だって
「つまり、新しいデザインの提出が必須だけれど、例のデザインを使うのは気が引ける……と」
「そうそう」
「なら、貴女が独自に〝漢字Tシャツ〟を考えればいいんじゃないかしら?」
「!!」
あっさり解決しちゃった。
試しにヴィオラへ見せた〝白紙撤回〟は大絶賛だったの。
この世界の人々の感性は良く判らないままだけど……こんな感じでいいのならやっていけそう!
「ねぇ、エイダ? 逆に考えれば、貴女の自由時間が増えたんじゃないかしら?」
「うーん、確かに昼間は妹達も学校だし──畑の手伝いも収穫期以外は必要ないみたいだし」
「なら、この機会に世界を見て来たらどうかしら?」
「世界かぁ、でもヴィオラは能力で常に見れるんでしょ? たしか千里眼の範囲は半径4000kmって」
つくづくチートだよね〝ギロギロの実〟
スペインの位置にあるここからなら、地中海地方はスッポリと範囲内だよ。
「それは
「だから?」
「フーシャ村まで千里眼が届かないの! そろそろ、ルフィとウタが出会う筈なのに!」
「そろそろって……まだルフィは4歳でしょ? あと2年くらい先だと思うよ?」
「それまでに、私も能力を鍛える予定なのだけど。まず貴女に、フーシャ村を見てきてもらいたいの」
久々にヴィオラのわがままが出ちゃった。
でもまあ、ルフィが存在するのか確認しておくのも大事なんだよね。
よし! 最近ずっとアタシの悩みを聞いてもらってたし、一肌脱ぐとしますか!
もう少しだけ、妹を堪能した後でね!