その女〝動物好き〟 - the another order - 作:浅学寺のえる
ー ドレスローザ・首都 ー
ようやくヴィオラから解放された。
はぁ〜、ハンコックの話をしたら機嫌が悪くなるのは分かってたの。
だから〝寄り道の話〟は次回って言ったのに……アタシ、押しに弱いなぁ。
アタシ相手であの剣幕だもん。もし将来、ミンゴが浮気なんかしたら大変な事になりそう。
さてと、ナミへのお土産どうしよう!?
職場見学の時と違って、今回はちゃんと買ってたんだよ?
それなのに──荒ぶるヴィオラを鎮めるため、お土産の8割が犠牲になったんだ……。
残ったのは、アマゾンリリーで貰った アロマ と コスメ とゴルゴン饅頭だけ。
「どうしようピンキー? もう一回、キューカ島に行く?」
《馬鹿言うな。ようやく4日かけて帰ってきたんだぞ!?》
「でも……お饅頭は村の人用だし。ベルメールさんにコスメ。ノジコにアロマを渡したら、ナミの分が無くなっちゃう!」
《確か本を買ってたよな? 姫さんに取られちまったが》
「キューカ島の地理に関しての本だったの……ナミが喜ぶと思って」
──《話は聞いたぜ、ご主人サマ! 丁度キューカ島付近に居るから、ひとっ飛びして買ってきてやるよ》
え!? バイガオ?
アタシ、またテレパシー漏れちゃってた!?
買ってきてくれるのは嬉しいけど、なんだか盗聴された気分……。
《そう言ってやるな相棒。虎ヤロウには、おれから教えてやったんだ》
「え? 一体どうやって連絡したの?」
《契約した連中同士なら、距離に関係なくテレパシーが使えるみてェだ》
「何それ!? アタシ、初耳なんだけど!」
《おれだって、カメから聞いたんだ》
──《我が王! 報告が遅れて申し訳ありません! よもや、王ご自身が能力の全容を把握していなかったとは、露知らず。このバンチ、己の浅慮を恥じ入るばかりです》
ああもう! いいから、そんなに畏まらないで!
あとアタシへのテレパシーは、必要な時だけでいいからね。他の時間は、みんなで仲良くテレパシーしててね♪
《勝手なこと言うな相棒。あの虎ヤロウ、かなりのお喋りだぞ!?》
──《おい、ご主人サマ。早速手に入れたぜ! 例の召喚ってヤツをしてくれよ》
おお! さすが早い!
あ、バイガオ。前にも言ったけど、召喚を解除した後は全く同じ場所に戻るから《問題ねェ。誰も居ない個室を確保した》
仕事できるなぁ〜。それじゃあ……アタシもちょっと路地裏へ移動して、と。
───Eloim, Essaim, Eloim, Essaim……
「我は求め訴えたり! 来て〝バイガオ〟!」
ドン!
「おお! これが召喚か。すげェ解放感だ、ぜ……?」
「ちょっとォ!? なんで全裸なの!?」
「なんだこりゃァ!? 服も荷物も、全部無くなっちまった!?」ガビーン!
「ガビーンじゃなくて隠して! 堂々と立ってないでよ!?」
「何言って……うぉ!? これが
なんなのこの変態!?
仕事のできる人だって見直してたのに、まさか服を着てなかったなんて!
アタシの言葉が命令になっちゃったみたいで、今は地面に
コレ、第三者が見れば〝路地裏で土下座してる全裸の男〟だよ?
こんな所、誰かに見られたら──
「ここに居たか、エイダ。ヴィオラから、まだ首都に居ると聞いて…………」
「コ、コラさん!?」
「いや、邪魔したな。おれは去るから続けてくれ」
「待って!? 違うの!」
「おい、
「…………」
終わった───アタシの〝コラさんルート〟が。
ガクーン……
あはは。良く考えたら、元々そんなルートは無かったね!
あと……最近ずっと謎の効果音がしてるの何!?
〝ドン!〟とか〝べべん!〟とか。アタシ以外には聞こえてないっぽいし!
まさかアタシの頭の中に、スクラッチメン・アプーでも住んでるの!?
ー ココヤシ村 ー
到着〜♪
バイガオは置いてきた。この村に、全裸の男を入れる訳には行かないからね!
一度召喚しちゃったら、30分は解除できないから〝獣型〟に変身してもらって森へ放り込んできたの。
ちなみに、連続で召喚も出来ないんだ。
召喚してた時間分、インターバルがあるの。っと、そろそろ30分経つかな?
アタシも召喚中は、地味に体力が削られちゃうから早く解除しなきゃ!
「遠隔解除〜!
《おわっ! 獣型の時に、戻されちまったから部屋が小せェ!?》
《ハッハー、文句言うな変態虎ヤロウ。お前のせいで、相棒は失恋しちまったんだぜ?》
「ち、違うよ!? ほら、コラさんは例のランキングにも入って無かったし……!」
《おい、ご主人サマ。こっちに戻ったら、服も荷物もちゃんとあるぜ?》
ん?……って事は、もしかして召喚できるのって〝契約した相手の肉体のみ〟って事!?
文字通りの、身ひとつ。
そっか、元々は動物に関連した能力だもんね。服を着てるケースの方がおかしいんだ。
ピンキーは服を着てないから、今まで気が付かなかったよ。
「さてと、振り出しに戻っちゃったねピンキー」
《もう村の本屋でテキトーに買えばいいだろ?》
「確かに品揃え良いんだけどね。まだナミが読んでない本あるかなぁ?」
ー 本屋 ー
あれ? ナミが居るし。相変わらず、かわいいなぁ♪
本屋のおばさんの事をチラチラ観察しちゃって!
まるで隙を付いて万引きするみたい、な……?
「ナミっ!!」
「え!? おねーちゃん!?」
「やめなさい」
「……な、なにを?」
「その本を、盗もうとする事を。よ」
「うぅ」
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ついキツく叱っちゃった。ナミは途中から泣いちゃったし……。
でも軽はずみな気持ちで盗んだりしたら、将来後悔すると思うからね。
幸い、盗もうとしたのは初めてだったみたい。
ナミは昼間、学校へ行かない日は家で本を読んだり、地図を描いたりしてるんだけど
この2週間で家にあった本を全部読破しちゃったんだって。
本屋のおばちゃんに2人で謝って、結局さっきの本を買ってあげたんだ。
アタシもナミにお土産を用意できてなかった事を謝って、お詫びって形にしたの。
叱り方なんて分からないから、本 と みかんを売った際の利益の比較とかしちゃったけど
ナミなら理解してくれてると思う!
この子には、後悔して欲しくないからね。泥棒なんてさせる訳には……
「……あ」
「ぐす……。おねーちゃん、わたし ぜったいドロボーしないっ!」
「あ、あー。あのね? 悪い人からなら、ドロボーしてもいいかなぁ〜……なんて!」
「コラァ、エイダ!! 帰ってきて早々、ナミになんてこと吹き込んでるのっ!!」
ドカァン!!
「痛っ!? べルメールさん、いつの間に!? って言うか誤解!」
「あはは。おねえちゃん、たんこぶ できてる!」
「ナミも笑ってないで、反省しなさい!」
ゴチン!
「いった〜い! ベルメールさん」
結局ナミも叩かれちゃった。アタシは、その10倍の威力で殴られたけどね!
愛ある拳は防ぐ術なし。
きっと鉄塊を使ってても痛かったんだろうなぁ。
「あ、ベルメールさんコレ、お土産のコスメね♪」
「また? 職場見学の時も化粧品だったじゃない……ってコレ、アマゾン・リリー製! ありがと、エイダ♪」
もう。ブランド品だと分かったら、これなんだから。
目が
ー その日の夜 ー
「帰って来ても寝るだけなんだし、ナミまでコッチに来なくても良かったのに」
「きょうは、おねえちゃんの家がいい! せまいけど」
「狭いのはナミの本が多いせいでしょ!」
あれからノジコにもお土産を渡して、皆でお喋りしてたら夕方になってた。
今は夕食を済まして、2週間ぶりに帰ってきたアタシの家……兼・仕事場。
ようやく収入も安定してきたから、ゲンさんに借家を紹介してもらったの。
前世で言うなら、1DKの風呂トイレ付き物件。
寝室も、仕事部屋と化したダイニングも、本が所狭しと並んでる状態。
「おねえちゃんの荷物も多いよ?」
「う、引っ越して来てすぐ旅行に出ちゃったからね。明日は荷解きしなきゃ」
「ベルメールさんが言ってたよ? エイダは、かたづけられない女だって!」
「ちゃんとゴミは捨ててるよ!? これは必要な物だから!」
決して
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明日も用事があるから、そろそろ寝なきゃね。
ベッドは1つだからナミと一緒。今日はぐっすり寝られそう♪
「それじゃ、そろそろ寝よっかナミ」
「なにか、おはなしして?」
「あはは。もう旅行の話は全部しちゃったよ」
「じゃあ、ほかの!」
「うーん? 他の話かぁ……」
今日はやけに甘えん坊だなぁ。
アタシが旅行に出てたせいで、いつかのノジコみたいに寂しい思いをしてたのかも。
さてさて、何を話そうかな?
ナミが物心ついてからは、バカな話は控えてたの。
変な影響与えて、将来 麦わらの一味に加入しなかったら困るし。
でも昼間、泥棒になるフラグを完全に折っちゃったんだよね……。
だったらせめて───!
──だからね? 普段は能天気でも、やる時はやる人。そういう
「おねえちゃん、それ ギャップもえ でしょ? ノジコにきいたの」
──もしナミが病気で高熱を出しても、背負って雪山を登ってくれる様な……
「山じゃなくて、ドクターのとこへ連れてって!?」
──例えば、ナミにしか操縦できない乗り物があったとするでしょ? そこへ一緒に……
「ふぁ〜、ねむい……」
──硬いお菓子で攻撃する敵がいたらね? ナミが水で柔らかくして、食べられる様に……
「すぅ、すぅ」
寝ちゃったかぁ。
でも開き直って、これでもかってくらいルフィをダイレクトに推しといたし……
泥棒フラグが折れてても、ルフィの仲間になる確率は上がるよね?
「おねえちゃん……どこにもいかないで……」
「寝言かな?……大丈夫、どこにも行かないよ」
ナミがもう少し成長するまで、旅へ出るのは控えよう。
原作と同じ流れなら、アーロン襲来まで4年もあるし
いざ襲撃されたとしても、もう十分手を打ってるんだしね!
さ、明日は早朝にコラさんと密会予定だからアタシも早く寝なきゃ。
ー 翌日・ココヤシ村のはずれ ー
「なるほど、昨日の相手はフーズ・フーか」
「こっちだとバイガオって名前。昨日も言ったけど、あの件は完全に誤解です!」
「まあ、それはどうでもいい。定期報告を頼む」
「……七掠撰ブギー、ハンコックと偶然接触。2人ともM・Gへの悪感情は無し」
「空の様子は?」
「地中海周辺の空島に変化無し。おそらく、シキは未だに〝虹の霧〟内部かと」
「他に変わった情報は?」
「うーん? 動物がシビアじゃなくなった?」
「……なんだそれは。意味が分からん」
だって、そうとしか言いようが無いんだもん!
あの巨大イルカを最後に、会う動物がみんな協力的で可愛いカンジだからね。
おかげで鳥たちが集めた情報が、ピンキーを経由しないでも聞ける様になったし。
アタシの覚醒が関係してるのかな? それとも……
「あ、報告は以上です!」
「了解だ。動物の件以外は、センゴクさんへ伝達しておく」
「お願いしまーす」
ー 半年前 ー
「ヒノモト語で〝正義〟を背負ったコート? ふむ、これがデザイン案か」
「アタシ、これでもデザイナーなんです! どうですか、センゴク元帥?」
「……残念だが、却下だ」
「か、漢字シリーズがボツに!?」
「なにしろ急拵えの組織だ。〝正義〟という大義名分を得れば、暴走する者も出てくるだろう」
う、正論だから反論しにくい。
きっと正義を背負わなくても、モーガンとかは暴走しますよ──とは言えないからねぇ。
せめて辞める前の恩返しになると思ったのになぁ……。
「エイダ少佐、除隊は認めるが……動物と意思疎通できる能力は、実に惜しいな」
「誰が漏らしたの!? まさかコラ、ロシナンテ中佐?……ないない! 絶対違う」
「ほう、あいつも知っていたか。だが情報に関しては、とある筋としか言えんな。そこで一つ提案なんだが───
こうしてアタシは、半ば脅迫される形で 元帥のスパイになったの。
見返りとして、ココヤシ村が襲撃されたら応援を送ってくれるって約束。
なぜか元帥は、将来的に村が襲撃されるかもしれないって話を信じてくれた。
アタシも根拠を提示できないから有難いんだけど……何か裏がありそうで怖い。
それはそれとして、アタシの任務内容は情報収集。
ピンキーに協力してもらって、空島の様子を伝えるのがメイン。
今は鳥たちも協力してくれるから、村にいても情報を得られる。
アタシもウェザリアがあったら行ってみようと思ったんだけど、地中海近辺には無いみたい。
現状の空島は、普通に人の住んでる島がいくつかあるだけ。
シキは40年位前に〝虹の霧〟へ消えたらしいけど、島々は今も変わらずに浮き続けてる。
「……しばらく任務で地中海を離れる。もしかしたら、これがお前と会う最後の機会かもしれないな」
「そういうの、死亡フラグって言うんだけど。原作は別モノなんでしょ?」
「あの時はそう言ったが……いざ期限が近づいて来ると、な」
不安に駆られるコラさん……すごくイイ♪
ダ、ダメ! こんな時は励まさないと。アタシは暗黒面に落ちないっ!
原作でコラさんが死亡するのは、あと2年後だよね?……そうだ!
「ロシナンテさん! アタシが20歳になる2年後。その時に、再会しましょう」
「まさか再会の場所は〝シャボンディ諸島〟か?」
「あはは。それもいいね! 今度会えたら、話したい事があるの……!」
「ハハッ! それも死亡フラグというやつだろう?」
そういうコト。
知ってる? 死亡フラグってね、たくさん立てれば消滅するモノなんだよ。
それからの時間は、あっという間に過ぎていった───
──ミンゴが貴族相手に、サブスクを仕掛けてボロ儲けしたり。
ベルメールさん と ゲンさんが、たまに二人きりで会うようになったり。
──M・Gが密かに大型カタツムリの研究を始めたり。
ノジコとアタシの共同名義で、ブランドを立ち上げることになったり。
──ブギーが教会と揉めて、七掠撰を脱退したり。
ナミとトランプで遊んでたら、負けが続いてお金を搾り取られたり。
──バイガオからの連絡で、アーロンがインペルダウンに収監された事が判明したり。
今は、聖アド歴1558年。アタシも、ついに20歳。
アタシ達のブランド〝
ブランドロゴはノジコのデザイン。ピンキーがモデルみたい……バンティングって小鳥の事なんだけどね!
1周年を記念して、そのロゴを模した銅像が村の広場に置かれることになっちゃった。
完成したら、セレモニーまで開いてもらえるらしい。
「フフフフ、上手くやったなエイダ。お前の商才は中々のモンだ」
「あはは。たまたま限定商法が上手く行っただけだよ、ミンゴ支部長」
「悪どい事考えやがる。まったく、末恐ろしいな」
悪徳商法じゃないよ!?
ココヤシ村でしか販売しない商品。ブランドロゴ入りの〝今〟Tシャツ。
特に宣伝もしてなかったのに、これを買い求めに村への観光客が激増したの。
おかげで、村で商売をしてる人達から感謝されて──今に至るってコト。
「ねぇミンゴ。悪徳って言うなら、例の調査はまだかかるの?」
「ああ、ロシーは
この世界では、M・Gの幹部になってる〝闇金王〟ル・フェルド。
もちろん闇金王なんて二つ名は表に出てないけどね。
原作知識を得たコラさんは、ル・フェルドが不正を働いてるって前提で証拠を探してるの。
でも調査は難航してて、ル・フェルドが運営してる慈善事業の施設へまだ潜入中みたい。再会はもう少し先かな?
「そういえば村に来るなんて珍しいけど、何か用事があったの?」
「今日は祝いに来てやっただけだ。式典の日は来られねェからな」
「ありがとうミンゴ。そうだ! 前に頼んでた、村が襲撃された時の件だけど……」
「安心しろ。異常があれば、おれが飛んできてやるさ。フッフッフッ!」
あ、笑いながら飛んで行っちゃった……。
アーロンが捕まってるみたいだから、そんなに警戒しなくても大丈夫って言おうとしたのに。
あーあ、せっかく用意してたのになぁ。
〜 対アーロン包囲網 〜
| ・隣町 ゴサ へ軍を配備。ちなみにキュロスも在住。
・ヴィオラが定期的に監視して、異常があればフラミンゴが飛んでくる。
・将来的に、有事の際はセンゴクが海軍を派遣してくれる。
・ブギー、ハンコックが近海へ来た際は、訪ねてもらう約束。
・ゼファー、スモーカー、ヒナが近隣を巡回する際も、村への立ち寄りを依頼。 |
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下2つは、万が一アタシがアーロンに殺されても、村の支配を終わらせる事は出来るって予防線。
行き当たりばったりなアタシにしては、過剰なくらい慎重だったのに……。
これ全部、ムダになっちゃうの!?