その女〝動物好き〟 - the another order -   作:浅学寺のえる

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vol.4 「学校の先生の言うこと聞いとけ」

 ー ゴサの町 学校 ー

 

 昨日は、結局すぐ家に入れてもらえた。照れてるベルメールさんなんてレアだったなぁ♪

 あの表情がまた見たいのもあって、今朝 再チャレンジしてみたら またもや追い出されちゃった。これは厳しいかなぁ。ゲンさんを焚き付けた方が早いかもね。

 まあ、この件は気長に考えよう!

 

 今朝はちゃんとベルメールさんに言われた通り、学校に来てる。アタシにしては珍しく、2日連続の登校。

 表情がアレなアタシでも、ノジコがいるおかげで小さな子には割と人気があるの。何か教えてってせがまれちゃったから、今はアタシの特別授業中♪

 

 前世の知識から、果樹園の話を少しだけね。

 ぶどう や キウイフルーツは収穫量を増やすために、(たな)って呼ばれる格子状の屋根を作って、そこに横枝を這わせるの。それでね、棚の高さは栽培する果樹によって違うんだけど、梨は収穫する人間の背に合わせて作る場合が多いの。だから、作った当人は物凄く作業が楽なの。いわゆる〝ミラクルフィット〟ってやつね!

 でもそれ以外の人……子供や孫が果樹園を引き継いだ場合、棚よりも背が高いと大変なの。常に中腰だったり、猫背にしてないと頭がぶつかっちゃうからね。だから、普段から猫背ぎみになっちゃったりするの。

 

 でもね───

 

 「だからこそ! そんなに背が高くないと思ってた人が、背筋を伸ばした瞬間! 自分よりも大きくなる場合があるの!」

 

 「おねえちゃん。それって、まえにいってた やつ?」

 

 「そう! ギャップ萌え!」

 

 「ぎゃっぷ もえ……」「なるほどなぁ」「もっと、おはなし して!」

 

 「あはは。なんか盛り上がって、話がズレちゃったねぇ〜」

 

 いけないイケナイ。前にこんな話をしてたら、普段温厚なお婆ちゃんに滅茶苦茶怒られちゃったんだ。まあ、それもまたギャップなんだけど……。

 あれ? そう言えば今日はお年寄りが一人も来てないなぁ?

 

 「ねぇ? 今日はお爺ちゃん達が居ないけど、何かあるの?」

 

 「きょうは、せんせーが くるの……」

 

 「そうなんだ。ありがとうノジコ!」

 

 妹の方が学校に詳しいのはどうかと思うけどね!

 仕事の合間で来てるアタシより、ノジコの方が登校してる頻度が高いからなぁ。アタシもノジコの送り迎えだけはしてるけど、ベルメールさんに家事を任せっきりにもできないからね。

 そんな現状だから、総合講師って人の事も若い先生って情報しか知らないんだ……あれ? ノジコは何だか浮かない顔してるなぁ。

 

「ねぇノジコ、どんな先生なの?」

 

「あはは。あ、きたよ」

 

 愛想笑い!? アタシの悪いクセがうつっちゃったの?

 そんなアタシが言うのもなんだけど……他人行儀な反応されるとお姉ちゃん悲しい!

 

 

 「アァ? 初めて見る顔がいるな?」

 

 この人が学校の先生? 金髪で色黒。背もかなり大きい……って言うか普通に3メートル近くある? こんな大きな人は初めて見たけど、ONE PIECEの世界だったら別段おかしな事でも無いんだろうなぁ〜。

 でも雰囲気は、なんかチャラい。なんだろう、ファッションの感じもHIPHOP系っていうのかな? ちょっと苦手なタイプ……ううん! 見た目で判断しちゃダメだよね。先生をやってるんだから、きっと立派な人なんだ!

 ノジコが感じちゃってる苦手意識を払拭できるように、姉としてキチンと対応しないと!

 

 「初めまして、エイダです」

 

 「Yo-Yo! おれは総合! 講師で(そうろう) Check it out(チェケラ)!」

 

 は───?

 

 一部、日本語だったけど……なにこれラップ? もしかして、スクラッチメン・アプー?

 うーん? 腕は普通の長さだし……違うよ、ね?

 

 「…………」「…………」「…………」

 

 みんなが先生を冷めた目で見てる!?

 そっか、ヒノモト語だから! ゲンさんが言ってた、異常者扱いされるって このことかぁ。

 でもこの空気、さすがに先生が可哀想。本人は気にしてない……ようで気にしてるよね? 表情は動いてないけど、ちょっと冷や汗かいてるし。

 よっし!

 

 「それ、共通語じゃないと伝わらないよ先生?」

 

 「なんだと……?」

 

 「あ、滑っても気にしない精神は凄いと思うの! 色々と試す(Any experiment)何事も経験(Anything experience)!でしょ?」

 

 「…………」「…………」「…………」

 

 

 あれ? アタシまで滑った?

 

 

 「おまえ……!? ラップが分かるのか!?」

 

 

 うわわ。なんか、滅茶苦茶なつかれた。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 みんなからの視線は冷たいままなんだけど、折角だから今まで謎だった事を先生に質問してみたの。

 ノジコが引いた顔でアタシを見てるのは……きっと幻覚。もし現実だったら、お姉ちゃんショックで死んじゃうもの。

 

 まず最初に聞いたのは、何かと怪しいM・Gがどうやって利益を得てるのか。

 答えは以外と単純で、貿易船がM・G所有の運河を利用する度に許可証が必要になるみたい。その許可証を発行するのに、料金が発生する仕組み。

 しかも毎回申請が必要で、積荷のチェックや船員の身元証明などの審査がとても厳しいんだとか。そんな状況だから各国の貿易船を所有している貴族が順番待ちに焦れて、大金をはたいて横入りしてるんだって。一部では、貿易で得られる利益よりも許可証に払った額の方が高くなるなんて馬鹿なケースもあったらしいの。たぶん、これがメインの収入源だと思う。

 

 「あれ? でも関税は? 結局、市民の元へ渡るまでに国……と言うか貴族が損しないよう調整できちゃうんじゃないの?」

 

 「フフフフフ、その為にベリーがある」

 

 「え? ベリーって、お金の単位でしょ? 何か他に意味があるの?」

 

 「ああ、ドレスローザの場合は元々の貨幣がVery(ベリー)だから確かに紛らわしいな。おれが言ったのは、世界共通貨幣Berry(ベリー)の方だ」

 

 なるほど〜。ベルメールさんが、新札とか旧札って言ってたのはこれのことかぁ。

 Veryの方は、ネコメソーセキとかアクチブシドーとか、原作と違う設定だから疑問だったんだよね。

 Berryの方は、原作通りウサグチヒデヨに、クマグチイチロー。あ、一万ベリー札のガイコツユキチだけは共通みたい。歴史の授業が聖書もどきだから、その偉人達が何を成したのかは一切知らないけどね!

 

 「ちなみに、Berryの発行元は……?」

 

 「当然、マール・デ・グレミオだ」

 

 「やっぱりね! どれだけ権力持ってるのM・G!? 悪の組織っぽいのに!」

 

 世界共通の貨幣を発行して、それが全世界に流通してるんだもん。極論だけど、いくらでも経済を操作できちゃうでしょ!?

 それに原作で貨幣を管理してるのは世界政府だと思うけど、M・Gの経済への影響力はそれと同等って事になる。

 

 「言ってくれるじゃねェかエイダ。おれも、そのM・Gなんだがな」

 

 「そっか、学校設立もM・Gの裏ボスみたいなフラミンゴって奴が関わってたもの!」

 

 「おねえちゃん!」

 

 わ。急にノジコが抱き着いてきた♪ アタシがずっと先生と話してたから、きっと寂しかったのね。良かった〜! やっぱり、さっきの冷たい視線は気のせいだったんだ。

 

 

 「フッフッフッ、おれが、そのフラミンゴだ」

 

 「───ぇ?」

 

 

 それ、はやく言ってよぉーっ!?

 

 

 原作より若いのは、時系列を考えれば当たり前なんだけど……なんでグラサンかけてないの!? あなたのトレードマークでしょ!?

 ああ、身長で気付くべきだった! 歩く時ちょっと猫背なのも原作通りだし……って、そんな事より謝らないと! ドフラミンゴを怒らせるなんて、普通に馬鹿だよ! アタシ!

 

 「あのー……あれ? 怒ってないの?」

 

 「フッフッフッフッ、たまらねェ! フッフッフッフ!」

 

 なんか凄い笑ってる!? 怒ってないのは判るんだけど。これって、まさかあの流れ?

 ほら、漫画とかでよくあるあの!

 

 「おもしれェ女だ」

 

 やっぱりー!? 変なフラグ立てるのやめてよ!! アタシ、ファミリーに入れられちゃうの!?

 ダメ! だって将来、この国乗っとる気でしょ!? アタシは共犯者になりたくない! 麦わらの一味に退治されるなんて展開になったら、ナミに顔向けできないよ!

 

 そして何より!! アタシはドフラミンゴよりも、コラさん派なの!!

 

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