その女〝動物好き〟 - the another order -   作:浅学寺のえる

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vol.7 「ここがあの女のルームね」

 あの騒動から、もう1年───アタシも15歳になった。

 

 身長は早くも170cm台後半で、相変わらずウエストは細く、胸だけは成長中。

 自分で言うのもなんだけど、モデルみたいな体型してるなぁ。

 鏡に映った顔も、メガネのおかげで知的なクールビューティって感じだし♪

 

 でも周りからは〝男好き〟〝ケモノ好き〟〝渋オジ好き〟なんて好き放題言われてるんだけどね!

 モージきゅんを(たぶら)かしたとか、カバジ様を手篭めにしたとか村の女性陣から責め立てられて

 

──『いい加減にしてっ! アタシは、バギーみたいな渋い声が好きなんだけど!?』

 

 なんて余計なこと言っちゃったからなぁ。でも、今のバギーって20代前半だと思うんだよね。

 渋いのは声だけで、年齢を重ねたことで出てくる味わいはまた別モノ──って、なんか変な思考になってる!?

 

 「おねえちゃん!〝くちばし〟がよんでるよ!」

 

 「はーい、いま行くからねー! あと、ナミ?〝くちばし〟じゃなくて〝ピンキー〟でしょ?」

 

 ナミも3歳になって、もうノジコと大して変わらないくらい背が伸びてる。ゆっくり大きくなって欲しいんだけどねェ。

 今は新しく飼い出した小鳥〝ピンキー〟のお世話も手伝ってくれてるんだ。

 リッチーからヒントを得て、赤ちゃんの頃の動物ならまだスれてないんじゃないかと思ったの。

 ノジコとナミの情操教育も兼ねて、このまえ港に来てた行商人から鳥の雛を買ってきたんだ。

 

 


 

 さあさあ、嬢ちゃん方。寄ってらっしゃい見てらっしゃい!

 

 ここに取り出したるは、世にも珍しい鳥のヒナ。まあまあヒナと申しても、ただのヒナじゃぁないんだコレが。

 

 色は桃色、天下無敵! くちばし鋭く、獲物は絶対逃さない!

 

 さらにさらに! 育ちに育てば、なんと身の丈12尺! これを買わずに、帰っちまえばあたしゃマンマの食い上げだいっ!!

 

 結構毛だらけ猫灰だらけ、お尻のまわりはクソだらけってね、タコはイボイボ、ニワトリはハタチ、イモ虫は十九で嫁に行くときた。黒い黒いは何見てわかる、色が黒くてもらい手なけりゃ、山のカラスは後家ばかり。ねえ、色が黒くて喰いつきたいが、あたしゃ入れ歯で歯が立たないよときやがった───

 


 

 

 最後のほうヒートアップしたのか、ヒノモト語になっちゃってて村の人みんな引いてたし……。

 どんどん出てくる口上を聞いて、ナミはヒノモト語がちょっとトラウマになっちゃったみたい。

 まったく! ただのカラーひよこを売るだけなのに、大袈裟な事言って妹を困らせないでよね!!

 

 けどあの行商人、フーテンな感じだったし……やっぱり〝茶豚〟トキカケだったのかな?

 この世界には海軍が無いって聞いてるし、普通に行商人として働いてても不思議じゃないんだけどね。

 まあ、マドンナ探しはココヤシ村じゃ止めた方がいいと思うけど。

 

 そうそう、海軍が無いせいで最近海賊が暴れ始めてるんだよねぇ。

 ゲンさんが言うには、アタシ達が村へ来る少し前までピースメインを名乗ってた海賊が地中海にいたみたいだけど……もう4年近く姿を見てないんだって。

 ピースメインかぁ、でも ROMANCE DAWN のアンは青い髪だったっけ……? アタシの妹のナミとは別人だよね?

 

 やっぱりこの世界は、ロマンスドーンですらないかもしれないね。

 

 

 《エイダ! ごはん、ちょうだい》

 

 「お待たせピンキー! はい、コガネムシよ♪ 大きくなったら、コレを探して食べてね!」

 

 《おいしい!》

 

 この子には、害虫駆除をお願いするつもり。園芸の天敵〝コガネムシ〟のね!

 知らないうちに植物の根っこを食べ尽くす、コガネムシの幼虫。

 去年、アタシが妹達のために植えたイチゴの苗はコイツにやられてしまったの。

 だからピンキーには、コガネムシを駆逐するハンターになってもらいたい!

 

 あ、ピンキーって名前は身体がピンク色だからって単純な理由。

 最初はドフィにしよっかなって思ったんだけど、ミンゴ先生とも仲良くなっちゃってるから止めておいたの。間違えて先生をドフィって呼んじゃったらマズいしねぇ。

 

 そうそう、ナミはアタシが何回注意してもピンキーの事を〝くちばし〟って呼んでるの。ノジコも〝桃ちゃん〟って呼ぶし……困っちゃうなぁ〜、ちょっと反抗的な妹達が可愛くて♪

 

 「おねえちゃん! しゅと、楽しみだね!」

 

 「あはは、そうね〜…………おもちゃが居なければいいんだけどね」

 

 首都かぁ。

 職場見学って名目で、明日から1週間 首都にあるM・Gの支部へ行かなくちゃいけないんだぁ。ノジコとナミも一緒にね。

 ナミは学校へ通い出してまだ数日なんだけど、家族のアタシ達が一緒だから同行する流れになっちゃったの。

 着いたと同時に、ドンキホーテファミリー総出で因縁を付けてきそうな予感がする……。

 

 はぁ〜、色々と不安。

 フラミンゴは割と善人よりな人柄だと思うんだけど……やっぱり胡散臭い所もあるんだよねぇ。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 「けほっ、けほっ」

 

 「ナミ!!! アタシが付いてるからね! しっかり!」

 

 昨日あれだけ元気だったナミが、急に熱を出して寝込んじゃったの!

 ああ! もしケスチアだったらどうしよう!? ナミの体に虫に刺された痕はないけど……心配。

 

 「大袈裟よエイダ。熱はあるけど、ドクターもただの風邪だって言ってたじゃないの」

 

 「でも! こんなに苦しそうだし!」

 

 「薬を飲んでから大分マシになったでしょ? ナミの事は私に任せて、あんたは早く港へ行きなさい。ノジコが待ってるわよ?」

 

 「ナミを置いて首都になんて行けない!」

 

 「おねえちゃん。けほっ、ノジコと しゅと にいってきて?」

 

 「ほら、ナミに気をつかわせてどうするの?」

 

 「…………わかった。ナミ、お姉ちゃんの事……忘れないでねっ!! ベルメールさん! ナミをお願い」

 

 「はいはい、行ってらっしゃい。お土産よろしくね♪」

 

 「よろしくね〜♪」

 

 よかったぁ、ナミは思ったより元気そう。ノジコを待たせちゃってるし、アタシも急がなきゃ!

 それじゃ行こっかピンキー!

 

 《おでかけ、たのしみ!》

 

 

 この子を置いていったら、帰ってきた時リッチーみたいになってそうだからね!

 

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 港には大きな商船が停まっている。

 これに乗るのかぁ〜。さっきはナミの事で頭がいっぱいだったけど、ノジコの事も守ってあげないとね! M・Gの魔の手から!

 

 「おねえちゃーん! 急いでー!」

 

 「あの子がノジコちゃんのお姉さんかい?」

 

 ほらね。さっそく怪しい商人がノジコに接触してる! あの ふくよかな体つきを見る限りだと、きっと奴隷商ね!

 

 「やあ、お嬢さん。私はトト。この商船の責任者だよ」

 

 「えーー!? トトおじさん!?」

 

 「おや? どこかで会ったことがあったのかい? うーむ……?」

 

 「あのね! おねえちゃん、しぶオジが好きなの!」

 

 「ノジコ!?」

 

 このあと、誤解を解くのが大変だった。なんでアタシがトトおじさんから、「すまないが、結婚してるんだよ」なんて言われなくちゃいけないの!?

 全然タイプじゃないのに! どちらかと言えば〝ふくよかver.〟じゃなくて〝カラカラver.〟の方が……って、また精神汚染が!

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ー 港町 アカシア ー

 

 

 たった半日の航海だったけど、もの凄く疲れちゃった……。

 

 トトおじさんの誤解が解けたと思ったら、弟のゴローさんが現れたり、護衛に付いてた人が青キジだったり、驚かされてばかりだったんだ。

 M・Gには強い護衛がいるから海賊が襲ってきても平気って聞いてたけど、規格外すぎでしょ……。

 

 「さあ、到着だ! 子供達は、積み下ろしを見学したらM・G支部へ移動するんだったね」

 

 「わぁ! あれが王宮? おっきいね!」

 

 「そうね〜。あとノジコ、知らない人に着いていったらダメよ? それと、知らない女の子に触るのもダメ!」

 

 「えぇ!? さわらないよ?」

 

 パッと見で おもちゃ は見当たらないけど、もしシュガーが居たら大変な事になっちゃうからね。

 ミンゴ先生の胡散臭さを考えれば、この国を乗っ取ろうと企んでる可能性も捨てきれないし!

 

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 支部に着いてみれば、至って普通の貿易会社だったから肩透かしを食らっちゃった。

 さっき事務仕事の見学を少しだけして、今日は終了。船での疲れを配慮して良心的な日程になってるみたい。

 ノジコも疲れて眠たそうだし、用意してもらった部屋で寝かせてあげよう。

 

 「おやすみ、ノジコ」

 

 「う、ん……スゥ……スゥ」

 

 もう寝ちゃった。ノジコも可愛いなぁ♪ 日焼けもしてないし、肌だって白くてプニプニしてる……?

 あれ? なんでノジコの肌が白い事に違和感があったんだろう? ちゃんと原作通りなのに。原作の漫画の……カラー版?

 漫画じゃなくてアニメ! そうだ、アニメの方の記憶がボンヤリしたままなんだ! 確かアニメだと、ノジコは少し褐色よりの肌だっけ?

 記憶喪失のこと……そろそろ本気でどうにかしないとなぁ〜。アタシの、本当の名前も知りたいし。

 

  コンコン

 

 おや? 誰か来たようだ……ってコレじゃフラグみたいだよね。

 大丈夫! 昼間の見学で、ここはまともな会社だって判ったんだから!

 

 「は〜い♪ どなたですかぁ──?」

 

 「貴女がフラミーを(たぶら)かした女ね?

 

 「あはは、違いまーす……っ!?」

 

 「隠しても無駄よ? 頭の中を(のぞ)けば全て分かるもの

 

 この目の前に居る、おかしなポーズでアタシをジロジロ見てる子って……小さいけどヴィオラだよね!?

 もしかしなくても〝ギロギロの実〟の能力でアタシの心の中を覗いてるの!?

 でも大丈夫! アタシに、やましい事なんて無いしね!

 そもそもフラミーって何? なんか空を飛びそうな名前だけど……空を飛ぶ……天かける……天夜叉……あ! ドフラミンゴか。

 アタシと違って、ドフラミンゴはやましい事多いよね……国の乗っ取り、武器の密輸、肉親を殺害……ってそれは原作の話だった。

 こっちだと〝ド〟が付かない、ただのフラミンゴだったね。でも原作の方は……改めて考えるとヤバい奴だよね、ミンゴって。

 

 「……!? これって……」

 

 あれ? 終わったのかな? 今度は真剣な顔で何か考えてるみたいだけど?

 でもこの子、アタシをフラミンゴ先生の浮気相手と勘違いしてたみたいだけど、凄い誤解だよね?

 年齢差だって結構あるよ? アタシが15歳で、先生は23歳って話だし……って、どう見てもヴィオラのがアタシより年下なんだけど!? 12歳くらい? ヤバいよ、ミンゴ!

 

 「……貴女、今すぐ王宮に来て」

 

 「え?」

 

 「前世の話。ここじゃ出来ないでしょ?」

 

 あ…………全部バレちゃってる? ギロギロの実って凄いなぁ〜!

 うーん? どうせ隠してもムダだし、もうどうにでもな〜れ〜♪

 

 アタシは過去を悔やまないんだっ! あはは……。

 

 「それって、反省してないだけじゃないの?」

 

 「そうですね」

 

 

 ほらね、心を覗かれてるんだから隠しようがないの。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ー 王宮 ヴィオラの私室 ー

 

 

 「急な呼び出しでゴメンなさい、ロシー」

 

 「何故フィーじゃなく、おれが呼ばれたんだ?」

 

 コ、コ、コラさん!!? 声渋っ! じゃなくて、生きてるよ! そうだよ、原作世界だとしてもまだ生きてる時代だった。

 ああ、どうしよう!? テンションが上がりすぎてヤバい! これでローまで来たら、アタシ憤死しちゃうかもしれない!

 さっきからヴィオラと何か喋ってるけど、コラさんの声しか入ってこないよ! もう! なんなの!?

 

 「〝サイレント〟」

 

 〝ナギナギの実〟のチカラ、生で見れちゃった♪ 外の音が、しーーんってなってる!

 

 「さて、エイダと言ったな? 洗いざらい吐いてもらうぞ」

 

 「ふぇ?」

 

 「貴女の記憶、所々穴だらけだからキチンと覗けないの。私も協力するから、()()記憶を整理しましょう?」

 

 「さっきの話が本当ならば、こいつを放置するのは危険すぎるからな」

 

 例のメイクをしてない素顔のコラさんが、アタシを熱く見つめている……! 危険人物扱いされてるけど、幸せ〜♪

 ああっ、コラさんに尋問されたらなんでも答えちゃいそうな自分が怖い!

 

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 「白い町 フレバンスか。この世界にも似たような町はあるが……そんな伝染病は存在しない、筈だ」

 

 「ええと……伝染病っていうのは政府がついた嘘だったような? あ、実際には珀鉛の中毒症状だったんだ!」

 

 「なるほどね、けれど鉱物による中毒も遥か昔に解明されてるわ。例の町でも、採掘作業には細心の注意を払っているの」

 

 じゃあ、この世界のローは平和に暮らしてるのかな? コラさんと出会わないのは残念だけど、家族と過ごせてるのならそっちの方が幸福だよね。

 

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 「いや、フィーなら島をくまなく探すだろう。ローという子供が逃げ延びたのなら、他の要因もあるはずだ」

 

 そうだった、少年が海軍に保護されたって通信があったんだ。それをローと勘違いして海軍を追いかけたんだよね? そうそう、実際に保護されたのは、ドレークだったハズ!

 

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 「その〝七武海〟というのを辞めたって話は、おそらく権力で揉み消すだろうな」

 

 まさにソレ!

 

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 「ねぇ、国民を閉じ込めても電伝虫というモノなら外部と連絡を取れるんじゃないかしら?」

 

 えーと、ドレスローザの終盤……そうだ!〝鳥かご〟に電波を遮断する効果もあったんだ! つくづく規格外な技だなぁ。

 

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 ふぁ〜。喋り疲れたぁ〜!!

 

 やっぱり原作の記憶にも穴が多かったんだけど、ヴィオラとコラさんに色々とキッカケを出してもらう事でどうにかワノ国編の終わりまで整理できたよ……外が薄っすらと明るいし、もうすぐ朝ぁ?

 ドレスローザ編の時は、ミンゴ先生が可哀想になるくらい2人とも白熱してたけどね。

 なんでコラさん、自分が殺されたシーンを客観的に推理できるんだろう。

 他にも、姪っ子(レベッカ)の話でヴィオラのテンションがおかしくなったり、コラさんはこっちの世界でもセンゴクと知り合いだと判明したりもしたけど……。

 

 「それじゃあ、記憶の整理ができた所で〝これからの話〟よ」

 

 「あ、はい」

 

 アタシが ONE PIECE の記憶を持ってる事を、ヴィオラはコラさん以外へは話すつもりがないみたい。

 今のミンゴが知っちゃったら、色々と良くない事になりそうだから黙ってるんだって。

 フラミンゴが内に秘めた危険な思想。それを偶然 能力で知っちゃったヴィオラは、陰ながらメンタルケアみたいな事をしてるらしいの。

 そうしてる内に、自分がいないと何を仕出かすか分からない子供みたいな所に、だんだんと惹かれていったんだって。ONE PIECE の話も、いずれミンゴが精神的に成長したら教えてあげるつもりみたい。

 

 この子、考え方が大人すぎない?

 

 将来結婚するつもりみたいだし、もしミンゴが婿入りして次期国王にでもなっちゃったら、頭が上がらなくなりそう。マスオさん状態って言うんだっけ?

 ま、なんだかんだでミンゴの事はヴィオラに任せておけば大丈夫でしょ! でも、もう一つの問題が……。

 

 「貴女の能力──通称〝ヒソヒソの実〟について」

 

 「一般的には、動物と会話できるだけの能力とされてるな」

 

 「ええ。でも、王族や貴族は、真の能力を知ってるの」

 

 「ヒソヒソの実? そんな名前の実あったかなぁ……?」

 

 「貴女の記憶にはまだまだ穴があるから、思い出せないだけかもしれないわ」

 

 「それよりも、真の能力とは? 生憎だが、おれは知らされてない事だから気になる」

 

 「──〝動物の隷属〟よ」

 

 「それだけなのか? 確か〝キビキビ〟や〝ペトペト〟でも同じような事ができたはずだが……?」

 

 「〝キビキビ〟は時間制限つき。〝ペトペト〟は命令ができるだけで、精神までは支配できないでしょ?」

 

 ペトペト? ペットにする能力だっけ……? なにか重要な事を忘れてる気がする!?

 

 思い出してアタシの脳!

 えーと、ペット……飼う……首輪? そうだ!! ローが緑色の変な首輪を付けられてるシーンがあった!! あとルフィもね。でも原作にこんな展開はないよね? 脳内のイメージがカラーだし、アニメ?

 アニメ限定ってこと?……そっかアニオリ! 完全に忘れてたけど、アニメにしかない展開がいくつかあったんだ!

 

 もしかしたら〝ヒソヒソの実〟もそっちで出てきてたのかも。

 

 「なるほど〝動物を時間制限なく、心まで支配する能力〟か。確かに強力だが……王族が隠すほどのものなのか?」

 

 「これは完全に他言無用よ? 特にエイダ」

 

 「え、アタシ!? コラさんの方がドジっ子だから心配なんだけど?」

 

 「いい加減〝コラさん〟と呼ぶのを止めろ。おれは〝ロシナンテ〟だ。ドジっ子でも、ない」

 

 「ロシーのドジっ子振りは知ってるけど、口は硬いわ。エイダも表情には出ないから、喋らなければ知的に見えるわね」

 

 「…………」「…………」

 

 「コホン!〝ヒソヒソの実〟最大の強みはね? 動物という枠に、海王類はもちろん、ミンク族や魚人という亜人種、それに〝動物(ゾオン)系〟の能力者まで含まれているの」

 

 「!? つまり、貴族が言うところの〝ヒト〟以外全てが対象という事か!?」

 

 「もちろん動物限定だから、植物は無理ね。それと例外的に〝ヒトヒトの実〟の能力者も対象外という話よ?」

 

 アタシにそんなチカラが!? だったら、もうアーロンが来ても大丈夫なんじゃない?

 でも支配とかしたくないんだけど。そんな事したら、ルフィの敵になっちゃうかもしれないし! 肉親にそんなのが居たらナミが悲しんじゃうからね。

 

 「こいつを野放しにしておくのは、危険なんじゃないか?」

 

 「大丈夫。さっきのチカラは〝覚醒〟した場合の話よ。それに、歴史上でも覚醒したのは1人しかいないのだから」

 

 「なぁんだ。アタシが覚醒するなんてありえないよロシー」

 

 「馴れ馴れしいぞ。だがこの様子なら、そうそう覚醒する事もないか……ちなみに、過去に覚醒した1人というのは有名な人物なのか?」

 

 「……有名も有名よ。彼女の名前は────」

 

 

あ、その名前知ってる。だって学校で一番最初に習うもの。

 

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