【急募】見知らぬ世界で生きていく方法   作:道化所属

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 漸く厄介な課題が終わった。
 だが就職の為にまた忙しくなる、更新が遅れるううぅぅ!!本当お待たせしました。では行こう。


二十一スレ目

 

 

1:超絶残虐破壊衝動女神(ハイパーウルトラヒステリー)の眷属

デートに指定の服ってありますか?

 

 

2:名無しの冒険者

はっ?

 

 

3:名無しの冒険者

はっ?

 

 

4:名無しの冒険者

お前やったな?

 

 

5:名無しの冒険者

処す

 

 

6:名無しの冒険者

まあ待て、とりあえずイッチに聞こうじゃないか。デートまでの経緯をよぉ!

 

 

7:超絶残虐破壊衝動女神(ハイパーウルトラヒステリー)の眷属

いや、帰ってきて就寝時間前にアルフィアに袖掴まれて明日の祭り一緒に回らないかと言われたんや。えっ、コレってデートの誘いって勘違いしてる痛い奴なの?

 

 

8:名無しの冒険者

こ、れは…

 

 

9:名無しの冒険者

どっちや?

 

 

10:名無しの冒険者

アルフィアのその時の様子は?

 

 

11:名無しの冒険者

それによるだろ。

 

 

12:超絶残虐破壊衝動女神(ハイパーウルトラヒステリー)の眷属

ちょっと俯いてた…と思う。顔は見てないけど。

 

 

13:名無しの冒険者

殺す

 

 

14:名無しの冒険者

やっぱダメだ殺してェ

 

 

15:名無しの冒険者

それはデートのお誘いだ。間違いねぇ、死ね

 

 

16:名無しの冒険者

幸せなイッチが許せねえ死ね

 

 

17:超絶残虐破壊衝動女神(ハイパーウルトラヒステリー)の眷属

そういうのいいから。デートに指定の服はありますか?

 

 

18:名無しの冒険者

ねぇよ

 

 

19:名無しの冒険者

普段ジャージのワイらに何聞いとんねん

 

 

20:名無しの冒険者

それは偏見だろ(目潰しの呪文)

 

 

21:名無しの冒険者

全くです(マンゴー仮面)

 

 

22:名無しの冒険者

スレ民全員がジャージな訳ないだろ!(赤目ヒーロー)

 

 

23:名無しの冒険者

全員ジャージやないかい

 

 

24:名無しの冒険者

そこら辺は変にカッコつけずにイッチがいいと思う服選べばいいと思うで?

 

 

25:名無しの冒険者

>>24コイツデートした事ある口調だぞ

 

 

26:名無しの冒険者

吊るせ

 

 

27:名無しの冒険者

そういや祭りってなんや?

 

 

28:超絶残虐破壊衝動女神(ハイパーウルトラヒステリー)の眷属

『二大祭』って知ってる?

 

 

29:名無しの冒険者

アレか

 

 

30:名無しの冒険者

確か過去の死者を悼む鎮静歌(レクイエム)と豊穣神の祭りだっけ?

 

 

31:名無しの冒険者

アニメ勢は知らんけど

 

 

32:名無しの冒険者

まあ、規模ある祭りやな。この時期もやっとんのか

 

 

33:超絶残虐破壊衝動女神(ハイパーウルトラヒステリー)の眷属

詳しくは知らんけど、今回はリヴァイアサン討伐の健闘を祈る為のパレードがあるらしくてな?【ヘルメス・ファミリア】が動いてんのや

 

 

34:名無しの冒険者

ほー

 

 

35:名無しの冒険者

デートにはいい日だと

 

 

36:名無しの冒険者

しかもアルフィアから

 

 

37:名無しの冒険者

やっぱ死ね

 

 

38:名無しの冒険者

安価達成に向かってんのは褒めてやる。だが死ね

 

 

39:名無しの冒険者

つーか、イッチも結構ノリノリだよな。安価について

 

 

40:名無しの冒険者

………確かに

 

 

41:名無しの冒険者

コレはまさか……

 

 

42:名無しの冒険者

イッチ、もしかして安価関係なくアルフィアに惚れたか?

 

 

43:超絶残虐破壊衝動女神(ハイパーウルトラヒステリー)の眷属

おいおい、そんな事あるわけにゃいだろ

 

 

44:名無しの冒険者

確定

 

 

45:名無しの冒険者

噛んだぞコイツ

 

 

46:超絶残虐破壊衝動女神(ハイパーウルトラヒステリー)の眷属

いや違うからねマジで!?アルフィアに恋心だと?俺に対してツンケンしてきて特訓の時はクッッソスパルタの女帝二号に恋心とかある訳ないやろ!!

 

 

47:名無しの冒険者

レスの速さ

 

 

48:名無しの冒険者

光の速度でレス立てたことはあるか〜〜い??

 

 

49:名無しの冒険者

さりげなく俺口調になってる時点でなぁ……

 

 

50:名無しの冒険者

すまんなイッチ、コレからはちゃんと応援してやるZ

 

 

51:名無しの冒険者

ヒャッハー!楽しくなってキタァアアァアア!!!

 

 

52:名無しの冒険者

やっべ、マジ興奮してきた

 

 

53:超絶残虐破壊衝動女神(ハイパーウルトラヒステリー)の眷属

いやホント待って!?勘違いしてんじゃねええええっ!!!

 

 

 

 ★★★★★

 

 

「しまった……今回は振り回された」

 

 

 相談する相手を間違えた。

 昔から信用はしていたが、こっちの内情を知られてしまった辺り痛手ではある。代わりと言ってはなんだが、服装やデートスポットなどが『天啓』でかなり流れてくる。

 

 情報源達には隠しておきたかったが、アルフィアのことを思い出して動揺を隠せなかった。

 

 

「仕方ないだろ……あんなの」

 

 

 あんな俯いて、掴んだ袖は震えて顔が少し赤かったアルフィアの誘いを断れるわけが無い。普段は毅然とした女王だというのに、あのギャップは反則だろと心の中では動揺と歓喜と困惑でぐちゃぐちゃに掻き乱されてるみたいだ。

 

 まあ、多分だがアルフィアがクソ騒がしい祭りに自発的に行こうなんて言わないから大方メーテリアの提案だろうけど。それでも嬉しいものは嬉しい。

 

 

「コレでいいか……」

 

 

 服装を決め終え、早めにベッドに潜る。

 最近の疲弊と緊張から寝不足というわけでもないが身体が重い。睡眠の質も悪いので、とりあえず長く眠ることにした。早めに回復しないと討伐の時に影響は出るし。

 

 最近は精神、というより心が疲弊してるからか回復も遅い。明日楽しめればいいなぁ。

 

 

「デートって待ち合わせ十五分前だっけ……」

 

 

 ★★★★★

 

 

 白いオーバーコートと藍色のセーター、黒ズボンと茶色いブーツ。とりあえず鏡で見た感じは悪くない組み合わせだろう。ほぼダンジョンに行く事の方が多いからあまりオシャレに気を使わなかったが、デートを意識してなんか気合いを入れてしまった。恥ずかしい。

 

 しかも待ち合わせ三十分前に街を歩いているあたり、俺は相当浮かれている。ちょっとヤバいかもしれない。俺ってこんなキャラだったか?

 

 悶々と頭の中で雑念ばかり浮かんでいると待ち合わせ場所が目の前に……待って早過ぎね?

 

 

「遅い」

「悪い。待ち合わせ時間間違えたか?三十分前だぞ?」

 

 

 アルフィアは視線を逸らした。

 待ち合わせ時間間違えたわけではないらしい。いや、俺も早く来過ぎたと思っていたのだが、まさかアルフィアが先にいると思わなかった。

 

 それにしても……

 

 

「………っ」

 

 

 くすみ色のセーターに紫のロングスカート、そして赤いマフラーを首に巻き、黒い厚底ブーツ。そして何より誕生日に渡した黒リボンでサイドテール。素材の良さが際立って、絶世の美女が俺の目の前に座っている。

 

 ハッキリ言おう、めっちゃどストライクだ。

 デートするならこんな服を着た美人がいいという妄想の九割ほど当て嵌まって来ると思わなかった。

 

 

「あー、月並み程度の事しか言えないが、似合ってるぞその服」

「………」

「あっ、ちょっ、痛い!無言で脇腹突くな!?」

 

 

 痣が残らない程度の絶妙な威力で脇腹を連続で突いてくる。大した感想は言えなかったが、珍しくアルフィアが照れている。少しだけ動揺してくれたと思うとちょっぴり嬉しかったりする。

 

 

「……さっさと行くぞ」

「そうだな」

 

 

 普段から振り回されているのだ。

 振り回してる愉悦に口角が上がりそうなのを隠しながら、不貞腐れて少し早歩きして先に行くアルフィアの後ろを俺は追いかけた。

 

 

 ★★★★★

 

 

「想像以上に賑わっているな」

「豊穣の神は多い、それなりの規模だと予想してはいたが、神の宴よろしく暇つぶしに騒ぐ所は相変わらずだ」

「お前それ絶対神の前で言うなよ?」

 

 

 特に多いのは屋台。豊穣の神達の収穫祭というくらいだ、多種多様の様々な食材を使った料理が振る舞われる。牛串焼き、麦酒、アップルパイに葡萄の水飴、見た感じ普段は屋台として見かけない種類の甘味や贅沢に使われた果物や肉、前世でいう食べ歩きフェスのようにも思える。コレを制覇出来るのはザルドくらいだろう。

 

 

「うわっ、ソーマ産の酒が売ってる」

「買うか?安くしておくぞ」

「じゃあ2本くれ。ヘラとロキの土産にする」

「ヘラの分は私が出そう」

 

 

 最近出来た商業系の【ソーマ・ファミリア】だったか。たまに売り出す酒が絶品だとか評判はある。意外と分かりやすい場所に売っているのに売れてなさそうだ。まあ冒険者じゃ無ければこの金額は相当なものだろう。

 

 

「ん?」

 

 

 店員が包んでいる間、辺りを見渡すと白い髪のアルフィア似の女と黒髪の童顔の男が並んで歩いていた。メーテリアとサポーターが俺に気付くと、小走りで人混みの中に紛れて隠れ始めた。

 

 

「どうしたノーグ」

「何でもない」

 

 

 アイツら何気にデートしてやがる。

 アイツあとでアルフィアに殺されそうだな、と遠い目をしながら見ていた方向から視線を逸らす。鉢合わせると絶対に碌な事が起きないので見て見ぬフリをして反対方向に歩き始めた。

 

 

「(メーテリアってアイツの事結構好きだよな)」

 

 

 馬鹿みたいに逃げ足が速くて覗き魔で色々と醜聞垂れ流す上に大した強さではないアイツだが、偶にしか外に出れないメーテリアに冒険の話を聞かせたり、外へと連れ出したりする。だらしない部分は多いが、アイツはいい奴だ。

 

 意外と、あの二人の組み合わせは悪くないのかもしれないな。無断で【ヘラ・ファミリア】に侵入してるのはアレだが……ん?ちょっと待てメーテリアもしかして監視から外す為にアルフィアを遠ざけたのか?祭りの行事の時はアルフィアが引き篭もるからメーテリアの監視の目が強くなるから……

 

 もしそうならメーテリアめちゃくちゃ策士なんだけど。恋愛頭脳戦の小悪魔っぷりに戦慄を感じざる得なかった。

 

 

 ★★★★★

 

 

 色々な所を回った。

 屋台の牛串焼きを食べたり、大聖堂を観覧し、英雄の橋を渡ったり、アクセサリーの露店を回ったりと様々な所を回った。体感的には三時間と言った所だ。そして屋台が並ぶ場所から離れたベンチにアルフィアは座る。

 

 

「ハァ……」

「大丈夫?」

「済まない……やはり雑音だらけの場所は神経を削る」

 

 

 アルフィアが珍しくグロッキー状態になっていた。

 そもそもアルフィアは祭りが嫌いだ。というより騒がしい行事が苦手なのだ。【静寂】と言われるくらいの二つ名だ。煩い環境は単純にストレスになりやすいのだろう。いつもは祭りの日は部屋に籠っている事の方が多い。

 

 

「悪かったな、祭りに付き合ってもらって」

「私が誘った。謝罪するな」

「でもお前祭り苦手だろ。普段なら引き篭もってるし」

「うっ」

 

 

 図星を突かれて呻き声を上げるアルフィア。意外とアルフィアは体力が無い。持続戦闘が長く出来ない所からストレスの影響に弱かったりする。祭りや騒がしい行事などは体力を相当削るのだろう。

 

 

「メーテリア辺りが気を回したんだろ?悪かったな騒がしい事に付き合わせて」

「馬鹿にするな」

 

 

 アルフィアはノーグの胸ぐらを掴み、強く引き寄せた。

 まるで嫌々付き合わせたみたいな物言いに苛立ちを感じ、反論するように言葉をアルフィアは口にする。

 

 

 

「私がお前と一緒に行きたかっ──……」

 

 

 

 ムキになって告げた言葉が小さくなっていく。

 反射的に反論した言葉の意味を理解すると、徐々に掴む力は弱くなり、顔は俯いていく。顔は赤くなり、耳まで真っ赤になっているのを見て、ノーグ自身も顔が熱くなり始めた。

 

 

「……忘れろ」

「えっ、いや」

「忘れないと殺す」

「あ、はい」

 

 

 セーターから手を離すとアルフィアは後ろを向いて顔を隠す。そのギャップにノーグ自身も天を仰いで悶え苦しむ。

 

 

「(あ……ヤバい……コレはちょっとヤバい)」

 

 

 一瞬、理性が崩壊しそうになった。

 強く抱きしめたいとか、キスしたいとか、恋人でもないのにそんな事が頭をよぎった。顔を赤くして顔を逸らすアルフィアを一人占めにしてしまいたいという独占欲が理性の鎖を引き千切りそうになった。

 

 

「(それは、反則だろ……)」

 

 

 それに喜ばない男がこの世にいるのだろうか。

 自分の意思で一緒に行きたいと思ってくれている女の言葉に歓喜しない男がいるだろうか。自分が好きで、好きな相手が自分の事を意識してくれている。

 

 本当に狡い、こんなのは反則過ぎる。

 これ以上好きになったら、自分はどうなってしまうのか。恋というのは此処まで心を乱されるものなのか、恋愛の経験が全くないノーグは恋という感情を少し恨めしく思った。

 

 

「(あー、クソッ……駄目だ、恋をする事を舐めてた……)」

 

 

 意識し過ぎてしまえばきっと、今までの関係に戻れないかもしれないから。友達である事の意識を保てなくなる。果たして今まで通りの関係になれるのか、恋というのは想像以上に複雑だとノーグは静かに後悔し始めた。

 

 

「(おっ……風船だ)」

 

 

 見上げた空には赤い風船が浮かんでおり、風船の行方を追いかける子供の姿があった。オラリオにも風船がある。日本と比べてファンタジーな分、文明的な部分は遅れているオラリオでもあるんだなと意外そうに見ていた。

 

 

「あっ」

 

 

 子供が転けた。

 

 

「アルフィア、ポーションとか持ってたりする?」

「はっ?……持ってる訳ないだろ」

「だよな。子供の方を頼めるか?」

「?…ああそういう事か」

 

 

 ノーグは跳躍し、風船の紐を掴む。

 空高く飛んでしまった風船も、Lv.5の身体能力が有れば届く。子供の頃ジャンプして何処まで飛べるかとやった事があるが、今となっては全力出せばビルくらいなら余裕な事にこの世界に大分馴染んだと遠い目で実感する。

 

 

「大丈夫か?」

「う……だ、いじょうぶ」

「盛大に擦りむいたな」

 

 

 転げた子供の膝が血が滲んでいる。

 アルフィアもノーグもポーションは持っていない。とりあえずベンチに座らせて滲んだ血を持っていた水とハンカチで軽く拭く。絆創膏も消毒液もない中、とりあえず水で洗い流し擦りむいた箇所の血を拭っていく。

 

 

「いっ……」

「我慢しろ」

「そのままだとバイ菌とか大変だからな。ちょっと痛いのは耐えてくれ」

 

 

 涙に耐えながら歯を食い縛る赤髪の少女に、アルフィアは的確に処置を施し、傷口をハンカチで結ぶ。

 

 

「とりあえず応急処置だ。帰ったら消毒液で化膿した部分を拭いておけ」

「ほら風船、今度は離さないようにな」

「あ、ありがとうございます」

 

 

 涙ぐむ少女の頭を撫で、よく耐えたなと褒めるノーグ。この子供の親御さんが何処にいるのか辺りを見渡すと息を切らしながら走る老婆の姿が見えた。

 

 

「────()()()()!」

 

 

 ビクッと赤髪の少女は少し震えた。

 走ってきた老婆は息を切らしながら近づいて、軽く少女の頭にチョップをかました。

 

 

「ハァ……ハァ……年寄りを走らせるんじゃ、ないよ」

「ごめん、なさい」

「まあ風船って見慣れないものだか…ら……」

 

 

 顔を上げた老婆にノーグは目を見開いた。

 見覚えのある顔、いつも店に訪れてきてパンを買っていく常連客であり、記憶の奥底で本を読みに家に訪れてお世話になったラースの知り合い。

 

 老婆もノーグの顔を見ると目を見開いて名前を呼ぶ。ノーグも震えた声で、その老婆の名前を口にした。

 

 

「──ラース、君?」

「ナナ……さん?」

 

 

 かつてラースがお世話になった知人とノーグは再会した。

 

 





《DB風 恋愛戦闘力(偏見)》

ノーグ 5000
恋愛経験ゼロだが、女に囲まれた分、耐性が高く普通の男より数値は高い。

アルフィア 4800
恋愛経験がない為、この数値。
ツンデレのギャップが計り知れず、潜在能力的には計り知れない。だが肝心な所で素直になりきれない。

サポーター 8000
愛に生きる男、恋愛経験はないが度胸と女慣れしてる分数値は高め、失敗を恐れないポジティブな男

メーテリア 530000
ヘラの眷属。恋愛が絡むと小悪魔


 ★★★★★

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