我が名はベリアル!至高の41人が一人!   作:伊勢村誠三

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皆様お久しぶりです。
年末が迫るとどうも忙しくなりますね。
課題やらバイトやらこの小説やら。
まあ、どれも楽しいのはいいんですけど。


5話 玩具箱

ベリアルとやまいこは、リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンで転移したのは、

第三階層の入り口だった。

地上へは当然第一階層の方が近いのだが、

ベリアルが第三階層の駐屯地近くに入口までワープしてしまう(トラップ)があったのを思い出したからだ。

 

「相変わらずとんでもなく悪趣味だね、ここ」

 

「ええ。製作の主導になった俺が言うのもなんですけど、

あんまりにもやりすぎだ」

 

排気ガスに、壊れた自動殺戮人形のようなゴーレム、

最早人語を放さなくなった生かされてるだけの肉塊のような何かが入ったビーカー。

その他もろもろクソみたいな現実(リアル)の悪い所を、

圧政とはこうだと言うのを濃縮するだけしたような世紀末世界。

それが第三階層である。

 

「どうかしてましたね、当時の俺たち」

 

「いや、僕は第三階層ノータッチだから」

 

そりゃあそうだろう。

この階層を造り上げたのはベリアルたち遺産愛好会と、後にウルベルト派に属した者たちだ。

 

「なんでここまでこんな風にしたの?」

 

アインズ・ウール・ゴウンが栄華を極めた頃、

この階層にやって来たプレイヤーは皆やまいこと同じようなことをつぶやいた

確かにゲームとは、本来嫌な現実を言っとき忘れて楽しむオアシスだ。

それなのに何故こんな風にしたのか?

 

「悪乗りが半分ですね。どうせ悪のギルドなんだから、

自分たちの思う悪を詰め込む場所があってもいいだろうって感じで」

 

何て言いながら二人は第三階層を奥へ奥へと進んでいった。

居るだけで精神が摩耗していくような、凝ったディストピアをよぎり、開けた場所に出る。

 

「ここ?」

 

「ええ。本当ならここでヤプールが出てきて、

攻撃喰らわなかった奴らが入口に転移させられた上で……」

 

そこまで言った所で、ベリアルたちの背後から、見知った顔が現れた。

ギルメンではない。NPCだ。

片方は金髪碧眼に銀色の鎧を着て、氷から削り出したような剣を持った少年、

もう片方は、JRPGの主人公パーティーにいそうな猫人(びょうと)の魔法使いの少女だ。

 

「あの子らがポップモンスター共と一緒に現れるんです」

 

「ダークネスファイブ、凍結の蒼薔薇(ブルーローズ)、ユージオ。御方々の前に」

 

「同じく、魔猫(まびょう)のアビス、キャル。御方々の前に」

 

膝をつき、首を垂れる二人に、ベリアルは一つ咳ばらいをすると

 

「よい、楽にせよ」

 

「「はっ!」」

 

軍人のような返事と共にユージオとキャルは立ち上がった。

メイドたちと言い、階層守護者たちといい、忠誠心は皆アーコロジーと外界を隔てる壁より厚そうだ。

 

「ユージオ君とキャルちゃんだっけ?」

 

「ええ。よく覚えてましたね」

 

「たまにアスナさんが御茶会に連れて来てたから」

 

「そうですか……んっ!久しいな。

我が盟友たちより預かった自慢の甥、姪よ」

 

「ベ、ベリアル様!お戯れを!

我ら下僕をそのように扱う必要は……」

 

「俺がそうしたいのだ。……ダメか?」

 

「しかし……」

 

「よしなさいユージオ。

不必要な卑下はアンタを造ったアスナ様への不敬になるわよ?」

 

「ッ!……すまんな、キャル」

 

「良いって事よ、相棒」

 

ユージオはアンホーリーナイト、キャルは魔力系マジックキャスター。

ポップモンスターを中衛に、前衛、後衛を務める二人は所謂コンビで、

同性の親友のように仲が良いという設定だ。

 

「……ふふふっ。そう、そうだね。

君たちは望まれて生まれたんだから、誇らないとね」

 

「はい!やまいこ様!

以後、至高の御方々への不敬は一切いたしません」

 

「それはそれで問題な気がするが、今は良いか。

兎に角、俺が居なかった間も、息災なようで何よりだ」」

 

「ベリアル様、やまいこ様も、変わりなきようで何よりです」

 

「して、御二人は何故こちらに?」

 

「先ほど階層守護者が招集されたのは知っているか?」

 

「はい。警戒レベルの引き上げに伴い、我らも各種トラップの点検を行っていた所です」

 

「丁度いい。二人とも、他のトラップの確認は終わったか?」

 

「はい。ココが最後です」

 

「ではこの後暇か?」

 

「報告の後、待機という事になっております」

 

「ならばキャル、F・Kへは伝言(メッセージ)で報告せよ。

そしてそのまま我らに供せよ」

 

「どちらに行かれるのですか?」

 

「地表だ。

百聞は一見に如かず、、でしたっけ?」

 

「うん。合ってる」

 

「それはどういった意味でしょうか?

無知な我らにぜひご教授ください」

 

キャルの申し出に、半魔巨人の瞳が輝いたように見えた。

現実(リアル)では小学校の先生をやってる彼女は、やはり教えを請われると弱いのだろう。

 

「他人からどれだけ細かく聞いても、自分で見てみた方が早く理解できるって意味だよ」

 

「キリトたちの報告に何か不備があったという事ですか?」

 

「いや、違うぞユージオ。

お前の兄妹たちの説明に問題はない。逆だ。

報告を聞いたからこそ、より理解したいと、見たいと思ったのだ」

 

それに出会ったのは偶々だが、

NPCたちがギルドの外に出れるのかも知れると思ったのもある。

 

「では行こうか。たしかこのあたりだったか?」

 

「はい、ヤプールが現れない場合、もうすぐ作動するはずです」

 

キャルがそう言い切ったのと同時に視界が変わった。

そこには見たことのない赤いマントの付いた漆黒の甲冑の大男、

そして第七階層守護者デミウルゴス、そしてその配下の三魔将がいた。

 

(え?なんでこいつらがここに?てか、この甲冑誰?)

 

「モモンガ様!」

 

「これはご無礼を!」

 

そう言ってユージオとキャルが跪くのを見て、ベリアルはようやく甲冑の男がモモンガだと気付いた。

によく見ると、甲冑のデザインやマントが、ナザリックが最強騎士、たっち・みーの鎧に似てなくもない。

 

「ゆ、ユージオにキャルだったか?よい。楽にせよ。

ベリアルさんとやまいこさんも星を見に?」

 

「ええ。モモンガさんも、第八階層の件、終わったんですか?」

 

「はい。思ったより早く済んだので。

折角ですし、皆さんも一緒に行きますか?」

 

「ええ、勿論。

ところで、モモンガさんがここに来ること、誰かに言ってますか?」

 

「いえ、特には。ココだけの話、NPC達が居ると気疲れすると思って……」

 

「気持ちはわかるけど部屋のメイドにぐらいには言った方が良かったと思うよ?」

 

「部屋の、メイド?」

 

「あれ?モモンガさん第八階層から直接ここに来たんですか?」

 

「はい。いるんですか?部屋付きのメイド」

 

「俺がフィースでやまいこさんがインクリメント。

おかしいですね。昨日までそんな身分じゃなかったのに」

 

なんてギルメンたちが話している間に、NPCたちも話していたのか、デミウルゴス、ユージオ、キャルが近付いて来た。

 

「御方々、ご歓談中の御様子ですが、よろしいでしょうか?」

 

「う、うむ。どうした?デミウルゴス」

 

「やはり至高の御方々のまとめ役ともあろう御方が、供も付けずに外に行かれるのは見過ごせません。

ベリアル様とやまいこ様がユージオとキャルを連れて行くのですし、どうかモモンガ様も誰か供をお付けください」

 

デミウルゴスより一歩下がった位置にいる二人が頷くのを見て、モモンガは仕方ない、とでもいうように

 

「……ならばデミウルゴス、お前に供を任せる」

 

「私の我儘を聞いてくださり、ありがとうございます」

 

「では行くか」

 

そう言ってモモンガを戦闘に外を出ると、各々アイテムや魔法、飛行形態への変身を遂げ、見渡す限り星がきらめく夜空に向けて飛び出した。

 

「は、ははははは!なんだこりゃなんだこりゃなんだこりゃ!」

 

「奇麗……」

 

「美しい!これが本物の夜空か!」

 

「さようでございます。

きっと御方々をより輝かせるために輝いているのでしょう」

 

カエルのような顔に、悪魔の翼をはやしたデミウルゴスが胸に手を当て静かに言った。

 

「きっとそれだけじゃない!

その昔、旅人は星の向きを見て行き先を決めたそうだ!

きっとこの地にも人が居れば、その方法があるはず!

まずはそれを見つけに行きませんか!?」

 

目に映るすべてが素晴らしいと言わんばかりにはしゃぎまわるベリアルにやまいこが柔らかく笑いながら言う

 

「見つけてどうするんですか?」

 

「勿論冒険するんですよ!

陸へ!海へ!山へ!そして地上を踏破したら空へ!

それも終わったらどんだけ時間をかけてでも星をよぎってその向こうへ!

俺たちは異業種だ!時間は無限にあるし、この力とこの土地で新たに見つける物を組み合わせればまた新しい物を創り出せるかもしれない!」

 

「流石はベリアル様。

その壮大な探求心、まさにこの世はそれを満たすために用意されたのでしょう」

 

「なに他人事の様に言ってるんだキャル!

お前たちも来るんだよ!」

 

「我らもですか?」

 

「当然だ!折角ナザリックの外に出れるんだ!

奇麗も汚いも美味いも不味いも味わい尽くさなきゃ損だ!

ここにはあの終わりかけの糞のような現実(リアル)全てを上回るモノであふれてる!きっとそうだ!」

 

まずどこへ行こう!次に何をしよう?

興奮のままにモモンガとユージオの肩を抱き、星空のカーテン、その中でも最も光が集まってる部分を見ながらベリアルは叫んだ。

 

「何もかもを切り開いて楽しみつくして遊びつくそう!

この世界は!俺たちの無限の玩具箱だぁ!」

 

モモンガとユージオの肩を抱いたまま、満天の星空を戴くベリアル。

その吊り上がったオレンジの瞳には、未知を既知に変える大冒険が、

浮かんでは消えて、また浮かんでは消えてを繰り返していた。




NPC紹介その5
名前 キャル
レベル 59(種族レベル5+職業レベル54)
役職 ベリアル直属部隊ダークネスファイブ隊員
住居 第三階層実験体廃棄場
属性 悪(カルマ値:-300)
二つ名 魔猫のアビス
創造主 遺産愛好会最後の一人
備考  プリンセスコネクト!Re:DIVEのキャルを模した姿をしている
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