我が名はベリアル!至高の41人が一人!   作:伊勢村誠三

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お久しぶりです。伊勢村です。
新年あけましておめでとうございます。
年末年始はいかがお過ごしでしたか?
私はバイトやら体調不良やらなんやらで本当に大変でした。
皆様はくれぐれも変則的な生活で体調を崩さぬようお気を付けください。

ps.誤字報告ありがとうございました!
謝って消してしまったので、名前を表記できずにすいません!


9話 切札

やあ皆。今はアリスの姿となっているウルトラマンベリアルだ。

ガゼフ戦士長たち王国の戦士隊が出て行ってすぐに、我々は村人たちを集めた倉庫に居た。

中では俺とモモンガさん、アルベドにユウキの4人で遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)を使ってスレイン法国の軍人と思しき集団とガゼフ戦士長たちが戦うのを見ている。

残るアスナ、ヒヨリ、ヤプールは念のため外で守りについてもらっている。

モモンガさんの張った防御魔法もあるから大丈夫だとは思うが、それでも万が一、もしかしてを想定しておいて損はない。

 

「天使に弓が通じないからって、普通騎馬突撃しますかね?」

 

「勝つためならしないだろう。

けど連中の目的は王国の民を守る事。

最悪ストロノーフ殿が囮になっている間に部下が逃げて、援軍でも連れて来てくれればいいと考えてるんだろうな」

 

そう言うと、ユウキはそんなもんですか?と、興味なさげに言った。

恐らくこれがキリトやカルミラ相手だったらもっと興味なさげな感じだったんだろう。

 

「ユウキ?いくらこの人間たちが愚かしくとも、あなたのその態度は至高の御方への不敬となるのではないかしら?」

 

「そんなこと言ってもアルベド様、こいつら阿保ですよ?

あんな魔化も何にもかかってない鈍で天使を……え!?斬れてる!?」

 

ユウキに言われてみてみると、ガゼフ戦士長の前で、ついさっきまで天使だったと思われる金色の光が霧散していくところだった。

 

「今のは、この世界特有の前衛スキルか?」

 

「あれを我らが師や建雷殿が使えたらと思うと恐ろしいですな」

 

「ええ。スキル練度で武器の差をある程度埋められるわけですから」

 

Yggdrasil(ユグドラシル)において100レベルのキャラクター同士、と言うより同レベル同士の対決で明暗を分けるのは構成による相性と武装の差だ。

本来ならガゼフ戦士長のような純戦士型ビルドでは、今回のような特殊武装でしか倒せないはずの存在を相手取る場合、相応の武器を使わないと撃破できないはずなのだが、今使った謎のスキルでそれを補っている。

 

「今のスキルが『マザーズ・ロザリオ』に加わったら正に隙無しだな」

 

「! ボ……ん!私頑張って覚えます!」

 

「出来るんでしょうか?」

 

「我々は兎も角、この子たちはレベルカンストしてませんし、可能性はあるのでは?」

 

なんて話していると、ガゼフたちの戦いはそろそろ終わりそうだった。

 

「数の差で最初から不利なのに天使一体に2人から3人で対応。

敵の信仰系魔法詠唱者の方も一度に召喚できるのは1体の様子ですが、まだまだ余裕がありそうですね」

 

「その通りだなアルベド。

ガゼフ殿もかなりの奮戦ぶりだが、あのスキルもMPに似た何かがあるのか、だいぶ動きに切れがなくなって来たな」

 

「あー、確かに一番すごかったのも割と最初の方で使った6連撃だけですし。

他の雑魚も皆伸びちゃってるか死んじゃってますし、もう勝負ありですかね」

 

天使が複数体で倒れ伏したガゼフ戦士長に確実にトドメを刺す為か、包囲を狭めていく。

どうやら敵の指揮官は慎重な性格らしい。

 

「そろそろ音声繋げますか」

 

「え?この鏡って、見れるの風景だけですよね?」

 

「あの人形も併用できれば短い間ですけど」

 

そう言ってモモンガさんは俺たち4人に感覚を共有してくれた。

次の瞬間俺たちの耳に

 

『なぁめぇるぅなぁああああああっ!』

 

ガゼフ戦士長の咆哮が響いた。

鏡を見ると、息も絶え絶え、刺創も無数。

出血量も多く、装備もボロボロ。

どう見ても戦闘不能の重傷でありながら彼は立ち上がった。

 

「へえ」

 

『俺は王国戦士長!この国を愛し、守護する者っ!

王国を汚す貴様らに、負ける訳にいかぁあん!』

 

「……フフッ」

 

「アリス様?」

 

「ユウキ。ガゼフの言う王国をナザリックに置き換えてみろ」

 

「!?」

 

「どう思う?」

 

「……人間のくせに少しはいい所も、ある?様な気が、、しなくもないです」

 

そう言ったユウキの頭に俺は手を置いて、そのまま撫でてやる。

 

「今はそれでいい」

 

なんて話している間にも、鏡の向こうでガゼフ戦士長と敵の指揮官で会話が始まっていた。

 

『その体で何ができる?

お前を殺したのち、村人たちも殺す。

無駄なあがきをやめて、そこで大人しく横になれ。

せめてもの情けに苦痛なく殺してやる』

 

敵の指揮官がそう言うと、ガゼフは小さく笑いだした。

そこに諦めの色はない。

 

『愚かなことだ。あの村には、俺より強い戦士たちがいるぞ』

 

俺に撫でられて気を良くしたユウキは当然だね!とでも言いたげに胸を張る。

 

『ハッタリか?天使たちよ!ストロノーフを殺せ!』

 

敵指揮官が指示を出した。

流石に今のガゼフ戦士長にしゃべれる元気は有っても、剣を振れる体力があるとは思えない。

 

「そろそろですか?」

 

「ええ。選手交代としましょうか」

 

俺たち一瞬で鏡越しに見ていた戦場へと転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何?」

 

人類の繫栄と守護を第一とする宗教国家、スレイン法国の特殊部隊、六色聖典が一つ、陽光聖典隊長、ニグン・グリッド・ルーインは困惑した。

抹殺対象であったガゼフ・ストロノーフをあと一歩の所まで追い詰めていたはずなのに、その部下共々と何らかの魔法で入れ替わる様に4人の謎の者たちが現れたからだ。

唯一の男であろう大男はガントレッドにローブを着こみ、顔を泣きながら笑っているような奇妙な仮面で隠している。

恐らくは魔力系か精神系の魔法詠唱者だろう。

残る女3人はいずれも戦士職のようで、全身鎧にハルバードの黒尽くめと、金髪に眼帯の騎士、そして赤い目に長い紫髪の森妖精(エルフ)の少女(見た目10代だが、きっと100歳は超えているに違いない)だ。

 

(鎧の女は分らんが、二人とも美しいな)

 

ニグンは別にあの仮面の男は面食いだな、とか思ったり、ベリュースみたいに胃袋よりももう少し下の欲望を感じたわけではない。

かつて美しい女騎士に付けられた顔の傷が疼いたのを感じただけである。

スレイン法国の魔法技術を持ってすれば完治出来る様な傷では有ったが、戒めの為に残している傷だ。

 

(あの女騎士共がストロノーフの言っていた強者か?

それがもしあのエルフのことならあり得ない話ではない。

人間種とはいえ、人ならざる種族。

人間を大きく超えた力を持つのも頷ける)

 

漆黒聖典の最終兵器、番外席次『絶死絶命』のように。

 

(だがそう考えるとあの並びは聊か不自然だ。

まるであの仮面の男と眼帯の女が他の2人より偉い様な並びだな)

 

考えるよりもニグンは会話で情報を引き出すことにした。

 

「貴様ら、何者だ!?」

 

「はじめましてスレイン法国の皆さん。

私はアインズ・ウール・ゴウン。アインズと呼んでいただければ幸いだ。

こっちの3人は私の護衛だ」

 

「よろしくー」

 

エルフの少女が愛想よく手を振ると、全身鎧が大袈裟にハルバードを鳴らした。

その様子に眼帯の女が苦笑する。

戦場とは思えぬ和やかさだ。

 

(こちらを油断させるための芝居か?

まあいい!まずは小手調べだ!)

 

ニグンが手を上げると、部下たちが2体の天使を突撃させる。

すぐさま飛び出したのエルフの少女だ。

一目見ただけで業物と分かる剣を引き抜き、まず最初に若干前に出ていた天使を一太刀で切り捨て、遅れて来た一体はそのまま体を捻って放ったキック一発で吹っ飛ばしてしまった。

まるで空気をパンパンにいれたボールの様に何バウンドもしながら天使が光になって消滅した。

 

「な!?」

 

「馬鹿な!?」

 

「なんの武技も使ってないのに!」

 

「ブギ?」

 

「ああ。さっきガゼフ殿が使っていた前衛スキルのことか。

ブギ、ぶぎ、武技……うん。字はきっと武士の武に(わざ)だな。

魔法職には使えなさそうだし」

 

変わらず4人はのんきだ。

まるで武技無しで天使を倒せることなど何でもないと言わんばかり、それどころか今まで武技に頼った事さえないと思わせるような会話までしている。

 

(馬鹿な……馬鹿な馬鹿ななんだこいつらは!?)

 

「た、隊長!」

 

「っ! 全天使を突撃させよ!」

 

それが的確な判断であるというより、それしか思いつかなかったという方が正しい。

いくら先ほどのストロノーフが万全とは程遠い装備だったとはいえ、武技を使ってようやく倒せた天使を簡単に切り捨てられたのだ。

 

「んー、めんどうくさいなぁ」

 

「ユウキ、下がれ。ここは私がやる」

 

「はっ!」

 

ユウキと呼ばれたエルフ、そして残る二人も飛びのき、仮面の男だけが残る。

攻撃すべき先を見失った天使たちは残った男に突進していくが

 

負の爆裂(ネガティブ・バースト)!」

 

男を中心に放たれた光を反転させたような色の衝撃波に全滅させられた。

 

「な、なんてことだ……」

 

「くっ!監視の権天使(プリンシパリティ・オブザベイション)!かかれ!」

 

今回の任務に際し、直属の上官である神官長から魔神すら屠る切り札を与えられているニグンではあるが、それはまだ使わない。

いや、正確に言えば使いたくない。

スレイン法国の至宝を使っても、神より賜りし大いなる力でも勝てない存在を認めかけている自分がいるからだ。

自分に勝る存在はいる。

それはいい。そんなことは今も頬に残る切り傷がとっくに証明済みだ。

本国の方には陽光聖典よりも強き者ばかりが集められた部隊、漆黒聖典だって存在している。

それにそもそもただの人間では強くなれる限界値がある。

例えば人間とそれ以外の種族ではそもそも肉体能力に差があるので、戦士としての技量で人間の方が勝っていても、異形の方が総合的に見て強かったりすることも多い。

だが、この仮面の男はそんな次元じゃないんじゃないか?

と、薄っすら思い始めている自分がいるのだ。

 

(馬鹿な!しっかりしろ!陽光聖典隊長ニグン・グリッド・ルーイン!

神に選ばれたスレイン法国に残された秘蔵の品を使って勝てない存在など居るはずがない!)

 

残念ながらニグンは信心深い男だった。

最初の最初でかつて自分を死に至らしめたかもしれない女騎士を思い出す事が出来たのに、過去の出来事から人間にもわずかに残る動物的生存本能がわずかに発揮されたというのに理性と常識でもってそれを無視してしまったのだ。

 

流星鋭斬(バーチカル・ギロチン)

 

青い星のような垂直の輝きがニグンの天使を奇麗に真っ二つに割った。

 

「ふぅ!まあこのレベルでも権天使程度なら余裕か」

 

剣を納刀しながら眼帯の女が何の感動もなく言う。

いや、少しは安どの感情みたいなものがあったのだが、残念ながらニグンたちにはそれを見抜けるだけの冷静さが無かった。

 

「な!?れ、れべるだと!?」

 

「まさか、神人(しんじん)?」

 

「馬鹿な!そんなはずは……」

 

「いや、別の何者かの血を覚醒させた者なのか?」

 

「ほう?興味深いな。

レベルについての知識もそうだが、シンジン?

それに何者かの血?」

 

仮面の男、アインズの底冷えするような声が響く。

伝播していた混乱は一瞬で収束し、

 

「その話、詳しくお聞かせ願えないかな!?」

 

すぐさま恐怖が駆け抜ける。

 

「ひ、ひぃいいい!」

 

恐怖に突き動かされるままに隊員たちは魔法を放った。

魔法の矢(マジック・アロー)衝撃波(ショックウェーブ)酸の矢(アシッド・アロー)雷撃(ライトニング)火球(ファイヤー・ボール)氷球(アイス・ボール)人間種魅了(チャーム・パーソン)など、様々な魔法が雨あられと降り注ぐ。

が、それらすべては全身鎧にハルバードの女に防がれ、一つも残る3人に届かない。

それどころか

 

(うわー、懐かしい。

初期の低レベルの頃に使ってた奴ばっか)

 

「どれもこれもYggdrasil(ユグドラシル)の魔法ばかりだな。

それを!誰に教わった!?」

 

「ひーっ!」

 

恐らくもう魔法の撃てなくなったんだろう1人が、腕の仕込み武器から石礫を

 

「ふん!」

 

発射したが、間髪入れずに全身鎧の女のハルバードに飛んできた直線をなぞる様に打ち返され、その頭を粉々に粉砕された。

 

「おー、アルベド!ナーイスバッティング!」

 

「—————っ!勿体ないお言葉です!アリス様!」

 

「アルベド様ばっかり狡い……」

 

「あなただってさっきアリス様に頭を撫でられる栄誉をいただいたばかりでしょう!?」

 

「アルベド!ユウキ!じゃれるのもいいが今は敵と対峙しているのだぞ?

それにあの程度で私が傷を負うことは無いと分かっているだろう?」

 

「しかしアインズ様!至高の御方と戦うというのなら、最低限度の攻撃という物があります!」

 

「それを言い出したらあいつら全員ナザリックオールドガーダーが相手したら多分安心程度の敵じゃないでしょうか?」

 

「ははっ!確かに!」

 

絶望が4つ、人の形をして笑っている。

陽光聖典とは対集団戦・殲滅戦に特化した部隊だ。

だが専門外にしたって、たった4人に負けるなど、あっていいはずがない。

 

「最高位天使を召喚する!」

 

ニグンは懐から魔封じの石を取り出し、高々と掲げた。

隊員たちに希望が戻るのが分かる。

この石に封じられている魔法を使えば、使い切りだが人類の領域を超えた天使を呼び出せるのだ。

これには対峙する4人も流石に警戒するらしい。

 

「アルベド、スキルで私とユウキを守れ。

アリス。お前は自力でいけるか?」

 

「はっ!」

 

「勿論」

 

アルベドと呼ばれた全身鎧はハルバードを構え直し、アリスと呼ばれた眼帯の女は恐らくは何か特別な魔法道具(マジックアイテム)なのであろう金属製の筒を取り出した。

 

「貴様らがどれだけの力を持っていようと、魔神すら屠る最高位天使の尊き威光には決して敵わない!

現れよ威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)ィいいいいー--っ!」

 

「「え?」」

 

「「はぁっ!?」」

 

夜闇を白き聖なる光が覆す。

神々しきオーラを纏い、六枚の羽をはためかせながら降り立った。

 

「おお!」

 

「これが!」

 

「これが、切り札ぁ?」

 

アリスと呼ばれた女が全く予想外の物を見たという様に肩を落として構えを解いた。

全身鎧のアルベドもだ

 

「どうだ驚いたか?自分たちが何と対峙することになったか理解したか?」

 

「うん。まぁ……一応ボクじゃ勝てないとは思うけどさ」

 

「はっはっは!そうだろう?そうだろう!

人間では決して到達しえない第7位階魔法の行使さえ可能なこの天使に敵う者など……」

 

「つまらん」

 

「……は?」

 

よくよくニグンが様子を見るとアインズの顔尾を押さえる仕草も、アリスとアルベドの構えを解いた仕草も、ユウキのバツが悪そうに頬をかく姿も、全く恐怖している感じではない。

 

「この程度の児戯に警戒していただなんて……」

 

「しかも主天使って言うのが絶妙に微妙ですよね。

ウルベルトさん辺りならこらえきれずに吹き出しちゃうんじゃないですか?」

 

「それで台詞とか全部無視して倒しちゃって、たっちさんあたりに名乗り中や変身中に攻撃するのは反則とかって怒られるんですよね」

 

「そうそう。それでそこから何時もの口げんかが始まって、それがいつの間にか完全に私怨の喧嘩になっていつものPvPになるんです」

 

「違いないですね!」

 

(ぴ、ぴーぶいぴー!?ま、まさかこいつらは、この方々はっ!)

 

「あれ?もしかして今更気付いた?」

 

「っ!」

 

ニグンの思考を読み取ったかのようなタイミングでユウキが声をかけた。

表情は見えないが、アルベドもきっと今ユウキが浮かべているような笑みを浮かべているんだろうという事が分かった。

 

「御方々。よろしいでしょうか?」

 

「勿論。こんな程度とは言え、切り札を見せてもらったんだ。

こちらも見せねば、いや、魅せねば無作法だからな!」

 

そう言ってアリスはさっき取り出したままその手に持っていた金属製の筒を天高く掲げ、紅い出っ張っていた部分を親指で押し込み、『点火』した。

威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)の出現を上回る閃光が視界全てを覆い、続けてそれを塗りつぶす圧倒的闇が噴出した。

その中心に立つ者は、もう眼帯の美少女ではない。

 

「遠からん者は音に聞け!近くば寄って目にも見よ!

この世の頂点たる御方が1人の!真実の姿である!」

 

シルエットは人間型だ。だが骨格は男性の異形のそれだ。

生殖器は見当たらず、その黒と赤の表面が着服か全裸かもわからない。

曲がった腰に、異様に長い腕と肌との境目の分からない鋭い爪。

炎のような色の吊り上がった眼。

何とも形容しがたい形の頭部。胸には紫色の宝玉が輝いている。

 

「我が名はベリアル!至高の41人が一人!

諸君らには、本物の切札というものを、魅せてやろう(・・・・・・)!」

 

そう言ってベリアルと名乗った異形は左手をかざす。

するとどうだろう。

威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)はまるで見えない巨大な腕に掴まれたようにじたばたと藻掻き始めた。

 

「な、なんだ!?」

 

「本当に何が起こっているんだ!?」

 

「手狭だな。ふぅうううううううんっ!」

 

ベリアルはその場で体ごと回転すると、威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)もそれに合わせて振り回された。

5回6回と遠心力を高められた威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)は、天空に向かって放り投げられる。

 

「なるほど、アレか。

刮目せよ!我が友が編み出した第10位階をも超越する魔法を!」

 

激震が走った。

陽光聖典たちの中には、そもそも位階魔法の上限が第10位階であることを知らない者さえいるのだから当然だろう。

 

「はぁあああああ……ああああああああああああああああああ!」

 

ベリアルの身体を無数の赤黒い魔法陣が覆う。

この世界において、人間、否、それを超えた存在たちでさえ、早々お目にかかれないだろうエネルギーがベリアルの両腕に収束していく。

 

「デスシウム光線っ!」

 

十字を組んだ腕から放たれた赤い雷が威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)を跡形もなく焦がし尽くす。

そこには何も残らない。

残骸がニグン達陽光聖典に降りそそぐことすらない。

威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)程度など、あの魔法の前ではチリ紙程度の耐久も出来なかったようだ。

 

「ふーむ。恐らく俺が初めてかな?地上から流れ星を打ち上げたのは」

 

そうつぶやいたベリアルの視線の先、威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)が最後に浮いていた場所から本当に真っ直ぐ向こうの夜空に、不自然な赤い光が、瞬いて消えた。




オリジナル要素解説 その2

・デスシウム光線
…ベリアルの習得した超位魔法の一つ。
Yggdrasil(ユグドラシル)』における魔力と限りなく同一のエネルギー、スペシウムエネルギーをベリアルに最適化させる形に変質させたエネルギー、デスシウムを赤雷として放つ必殺光線。
超位魔法ゆえにPvPなどで使った事はあまりないが、その威力は絶大で有り、本当の最高位天使である熾天使をも焼き尽くす火力を持つ。

流星鋭斬(バーチカル・ギロチン)
…ベリアルが開発し、アリスに持たせる予定だったスペシウム魔法の一つ。
Yggdrasil(ユグドラシル)』における魔力と限りなく同一のエネルギー、スペシウムエネルギーをアリスに最適化させる形に変質させたエネルギー、エメリウムを垂直の刃状にして放つ斬撃技。
ベリアルの配下のキャルもこれの水のエレメント版である水龍鋭斬(バーチカル・ギロチン)を習得している。
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