伊勢村誠三です。
ようやく大学の二学期もほぼ終わり、創作活動に戻る余裕が出てきました。
とは言えまだ予定が固まっていない部分もいくらかあるので、もしばらく不定期になると思いますが、よろしくお願いいたします。
ps 冥咲梓さん、誤字報告ありがとうございました!
バハルス帝国。
建国から200年ほどの比較的若い中央集権国家で、現皇帝、ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスは急ぎ足で敵対する一族郎党皆殺しなどの革命を断行し、かつてない栄華を極めたことから、歴代最高の名君、鮮血帝と呼ばれている。
そんな帝国の特徴の一つとして、冒険者よりも圧倒的に
冒険者は基本的に冒険者組合に所属し、組合を経由してモンスター退治などの依頼を受けるが、
組合の様な物がない為、諸々のサポートは受けれないが、依頼の仲介手数料などが発生しない上に、受けれる仕事の幅は広い。
その為、冒険者に比べてハイリスクハイリターンの職業で、前科者などの分け有ってドロップアウトした者たちがほとんどである。
そんな訳で身元の保証の無い彼ら彼女らは日々、食べていくために名声を欲している。
そこで栄えたのが国営の闘技場だ。
時に人と、時にモンスターと挑戦者が戦い、その勝敗に賭けをする。
スポンサーとオーディエンスに愛されるこそ成立する娯楽である。
そんな国営闘技場にて、
「ん?」
すると先客が何やら手間取っている様子だった。
フォーサイトと同じ四人組で、黒髪の少年と明るい茶髪の少女は人間だが、後の2人、魔力系魔法詠唱者と槍使いらしい2人はそれぞれ猫人と
「どうしたん?何かトラブル?」
トラブルと言う程ではないが、何やら困っている様子だったので
彼女は白い触り心地のよさそうな髪と、血のように真赤な瞳を不安げに揺らすと、首元の緑色のスカーフを緩めた。
その下には恐らく一度は喉の中身がえぐれ見えたんじゃないかと思えるほどに痛々しい傷跡がある。
「っ!? ごめんなさい」
エルフの少女は気にしなくていいという様に首を振り、イミーナの手を取ると、受付の前まで連れだした。
「あ、アンタはフォーサイトの」
受付の男は顔見知りの男だった。
なんでも4人は異国からついたばかりで、帝国公用語が読めず、諸々手続きが滞っていたとの事だった。
イミーナは4人に代わり代筆などを行い、「美食殿」を名乗る4人の手続きを終わらせ、自分たちもいつも通りの手続きを終わらせた。
同じ演目に出る予定だったのもあり、一同は控室まで話しながら歩いた。
「いや~本当に助かりました!」
「気を付けなよ?アンタらみたいな御上り連中は
「おいおいイミーナ。
俺はヘッケラン。このフォーサイトのリーダーだ」
職業は二刀流使いのソードダンサー。
元は尚家の四男だったが、金好きで気付いたらもともと目指していた冒険者ではなく
「で、そっちの大柄のがロバ―テイク。見ての通りの信仰系魔法詠唱者だ」
「よろしくお願いします」
こちらもヘッケランと同じく
「で、そっちの口が悪いのがイミーナ。チームの目となり耳となる
「よろしくね」
「そしてこいつがアルシェ。魔法詠唱者だ」
「よろしく」
そして最後にアルシェ・イーブ・リイル・フルト。
第三位階魔法まで使う事の出来る魔法詠唱者で、帝国魔法学院に通っていたこともある優秀な少女だ。
「改めまして、チーム『美食殿』のリーダーのユースティアナです!
気軽にティアナと呼んでください!」
黒髪の少年と共に最初に受付をしようとしていた茶髪の少女が名乗る。
腰に刺した両手剣から察するに純戦士、仮に魔法が仕える様な色だとしたら
「それから青いマントの彼が騎士君です」
「よろしくー」
黒髪の少年がどこか間延びした声でサムズアップした。
童顔と仕草のせいか、実年齢よりも幼い子供のような印象を覚える。
彼もまた両手剣使いのようだ。
「それからキャルちゃん。魔力系の魔法詠唱者です」
「……」
猫人の少女は無愛想に会釈をすると、誰とも目を合わせないように顔を逸らした。
それを見て、エルフの少女が苦笑し、両手を合わせて頭を下げた。
「見ての通りツンデレにゃんこちゃんです」
「はっ!誰がツンデレよ、だ・れ・が!」
そう吐き捨てるとキャルは今度こそ口を開かなくなった。
「そして最後にコッコロちゃんです。
職業はバトル・クレリック。風属性の魔法も使えるんですよ!」
コッコロと呼ばれた彼女も笑顔でピースサインを向けた。
前衛をティアナとキシが、中衛をコッコロが、後衛をキャルが務める布陣なのだろう。
「今日の試合が終わったらご飯でも奢らせてください!
お礼と、お近づきの印に!」
「お、いいじゃねえか。じゃああとで歌う林檎亭ってところに来てくれるか?
俺たちはそこを拠点に活動してるんだ」
なんて話していると、控室にたどり着いた。
先に付いていた参加者たちはガラの悪そうな連中が半分、冒険者よりかは粗野な感じ程度で済んでるのが半分と言ったところか。
人数はざっと10人と言ったところで、フォーサイトや美食殿含めて合計5チームが参加するようだ。
「なんだ兄ちゃん、随分とかわいい子たち連れていいご身分だな?ええ?」
どちらかと言えば前者に近い奴がキシに絡みだした。
それを見て、コッコロのめが軽蔑するように細まる。
「あ?なんだ言いたい事でもあるのかエルフ風情が……」
男がそこまで言った所で、ヒュン!と、男の頬を掠める様に何か鋭い物が横切った。
その行き先を見てみると、壁に穴がい当ており、そこから水が垂れている。
恐らく水属性の第二位階魔法
今度はその魔法が飛び出した方を見ると、先に魔導書の付いた杖を構えるキャルと、その腕を掴んで止めているティアナの姿があった。
そそらくティアナが手元を狂わせていなければ、男の脳天に穴が開いていただろう。
「……次は殺す」
そう言うとティアナの腕を振りほどき、また黙りこんだ。
控室の空気も、超低温にさらされたように固まる。
何故なら彼女の言葉に一切の嘘が無いのが理屈でなく分かってしまったのだから。
庇われた本人であるコッコロが一番頭を抱えている。
『さあ!皆様長らくお待たせいたしました!挑戦者たちの入場です!』
視界の声を合図に、それぞれが武装を持って会場に散らばる。
視界の端で
美食殿たちを捕らえながら、フォーサイトの面々は戦闘準備を整えつつも小声で話しだす。
「なあ、さっきのキャルのあれ……」
「多分コッコロの喉、あの子が、その、、原因なんだろうね」
「ええ。そうでなければいくら仲間を貶されたからと言っても、あんなに過剰に攻撃的になる理由がありません」
「どうかな?」
「どういう意味だよアルシェ?」
チームの妹分のあるアルシェは唯一その意見に懐疑的な様子だ。
「魔法詠唱者と紹介されたけど、私にはキャルの実力が分からない」
アルシェの発言に三人は驚いた表情を浮かべた。
彼女には『相手の魔力の使用可能な最大位階も含めて、オーラを見るという形で看破できる能力』という
「そりゃおかしくないか?
信仰系や精神系でも
位階魔法の特徴に、系統の違う詠唱者にも他系統の魔法を覚えられるという物があるが、その場合、例えば精神系の魔法を信仰系魔法詠唱者が使った場合、同格の精神系魔法詠唱者が使うより威力が下がることが基本だ。
だがキャルの魔法は間違いなく信仰系や精神系の魔法詠唱者では出せる威力ではない。
「なんで魔力系だと嘘をついたか分からないけど、よっぽど強いか、魔力系ってのは本当でよっぽどのマジックアイテムを持っているか、ってとこか?」
「うん。だからキャルがコッコロを守り切れなかった手話は少し不自然な気がする」
「ま、なんにせよ。実力云々はすぐわかる」
自分たちが出て来たのとは別の扉が開き、もうすっかり倒し慣れた、けど油断できないモンスターたちが現れる。
観客たちの歓声に興奮しきった奴らと同時に
オリジナル要素解説 その4
・
…本作オリジナルの魔法で第二位階魔法の一つ。
物としては土属性の
『
・ウルトラリング
…ベリアルがキャルに預けた一対の指輪型のマジックアイテム。
英文字のAをモチーフにしており、上部に小さな宝石がはまっている。
モモンガも所有しているステータス隠匿の指輪を改造して造った物で、光を解放するアイテムの一つ。
「ウルトラタッチ!」と叫びながら接触させることで強烈な閃光を放つ事も出来る。
『