我が名はベリアル!至高の41人が一人!   作:伊勢村誠三

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皆さんこんにちは、伊勢村です。
今回はそろそろナザリック周辺諸国の様子を書きたいと思い、このような形にしてみました。
ベリアルたちのアインズ・ウール・ゴウンの出番はかなり少なめです。
それでは、どうぞ


13話 議事録

『スレイン法国』

ナザリック近郊に存在する人類の国では最大規模を誇る宗教国家であり、六大神とよばれる神々への信仰の元、人間たちは力強く結束している。

その教義は異種族、場合によっては異種族と友好関係を持つ人間をも徹底的に廃する深い差別意識が蔓延しており、アインズ・ウール・ゴウンからは早々に相互理解不可能と判断された国である。

さて、そんなスレイン法国の首脳部である12人が一堂に会していた。

 

「陽光聖典からの連絡が途絶えた。

しかも監視しようとした風の巫女姫の元へ突如出現した正体不明の魔獣の襲撃により、大儀式魔法発動の為の人員が巫女姫以外全滅」

 

「仮に、と言うかほぼ確実に陽光聖典が全滅していると仮定した場合、こちらの被害は甚大です」

 

元陽光聖典であり、後任たちの力も把握している風の神官長と、陽光聖典の直属の上官である光の神官長の表情が一層険しくなった。

陽光聖典は亜人殲滅の要ともいえる部隊。

エルフ国との戦争や、その他の対局を見据えた作戦を考慮すると、その損失は痛手過ぎる。

少なくともまた一から陽光聖典を作ろうと思えば

一瞬しか見れなかったが、アインズ・ウール・ゴウン、そしてウルトラマンベリアル、そして漆黒聖典により倒されたが、二人のうちいずれかが召喚したと思しき未知の龍型の、いや、便宜上龍型という事にしているモンスター。

どれもこれもかつて天よりやって来たと伝わる災い、破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)に匹敵しかねないと判断せざるをえない。

 

「しかし今の状態では藪をつついて竜が出かねない。

とりあえずは破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)の対処に向かった漆黒聖典たちが戻るまで様子見しか出来ないでしょう」

 

 

 

 

 

 

リ・エスティーゼ王国、王城にて。

優美さよりも機能性を重視した宮廷会議の為の部屋にて、会議とは程遠い談笑のような貴族連中の大笑いが巻き起こった。

 

「その美しい騎士たちは兎も角、そのゴウンなる魔法詠唱者に関してはにわかに信じがたいですな」

 

「ええ。あの見事な御前試合からもう4年。肉体の衰えはあるでしょうからな」

 

「しかしにわかには信じがたい。本当にあの六色聖典だったのですか?

帝国の騎士や魔法詠唱者ではなく?」

 

貴族の一人に問われ、傷が癒えてもまだだるい体に鞭打って参加しているガゼフは盛大な溜息をつきたいのを我慢してハキハキと述べた。

 

「多数の天使を召喚し、使役していました。

魔力系の魔法詠唱者に偏った帝国ではありえないかと」

 

「ふむ。なるほど」

 

「しかしそうなると益々謎ですな、そんなタイミングで現れたアインズとかいう仮面の男は」

 

「とりあえずは王都まで無理矢理でもつれてきて、何者なのか審問すべきでしょう」

 

「しかし戦士長が言うには、かの魔法使いの護衛の騎士たちは戦士長より強いそうではありませぬか!出来るのですか?」

 

そこら中から笑いが起こった。

そして次いで、自分たちの私兵ならばできるといった声が上がり始める。

知らないという事はこうも愚かで、悲しい物なのか。

世渡りが下手な自覚の有るガゼフだが、世渡りが上手いだけでなんでこんなにも愚かな者たちがのさばれるのだろう?と、思わずにはいられない。

 

「それならば一度顔を合わせている私が……」

 

「戦士長殿、それは越権行為では?」

 

「真偽はさておき、一度命を助けられてるあなたが行かれては懐柔されてしまう可能性もあります」

 

「そうです!忠臣としてしられる戦士長殿に限ってあり得ないとは思いますが、万が一ということも……」

 

「戦士長!……残念だが、皆の言う通りそなたを送るわけにはいかん。

故に儀典官を送ることとする」

 

貴族たちからさっきとは別種のざわめきが起こる。

当然だろう。どこの馬の骨ともわからぬ相手を国の客として扱うのだ。

 

「仮にも我が戦士長を救ってくれた相手だ。相応の礼節は必要であろう」

 

いくら強気になれぬ優柔不断な老人とは言え、国王、ランポッサ三世の言葉に反論など出来るはずもなく、会議はそれに手終了となった。

 

 

 

バハルス帝国が王城にて。

カウチに寝そべりながら、真っ赤な瞳と金髪の若い男が優雅に、しかし的確にせかせかと執務をこなしていく。

彼こそ鮮血帝、ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスである。

大急ぎで革命を断行、とは聞こえはいいが、今まで諸々の業務を世襲でやっていた連中をまとめて切り捨てた部分もかなりあるので、後任育成が諸々追いつかず、ジルクニフのワンマン経営になってしまっている部分が大きいのだ。

 

「さて、他に何か急ぎで報告することはあるか?」

 

そう言ってジルクニフが当たりを見回すと、帝国四騎士の一人、バジウッドが手をあげた。

 

「これは陛下っていうか、どっちかって言うとフールーダ様の方が好きそうな話なんですけど、聞きましたか?

この前の闘技場でひときわ目立つルーキー共が居たって話」

 

「そう言えばこの前の休暇を使って闘技場に行くとか言っていたな。

どんな連中だ?」

 

「確か、『美食殿』って名前の4人組で、剣士の男と、聖騎士の女、エルフのガキ、でも純血なら多分あのなりでも70年は間違いなく生きてるんでしょうね。

それと、猫人の魔法詠唱者です。

剣士の男以外全員美人で思わずベッドに誘いたいぐらいでしたよ」

 

「バジウッド殿!言い方が露骨ですよ!」

 

バジウッドと同じ帝国四騎士の一人、ニンブルが四騎士の紅一点、レイナースを横目に見ながら窘めた。

しかしレイナース、そして最後の一人の通称不動は何事も無かったように黙ったままだ。

バジウッドのノリにもう慣れているからだろう。

 

「ほう?それでその猫人の少女はどのような魔法を?」

 

魔法詠唱者という言葉を聞いた瞬間、ジルクニフの横に控えていた長い白髪と同じく白い髭を蓄えた老人、フールーダ・パラダインの目に光が宿った。

この老人は帝国に使える最高の魔法詠唱者には違いないのだが、魔法の深淵を覗くためならつむじの先から爪の先まで何もかも差し出すことを躊躇しない筋金入りの求道者なのだ。

優秀な魔法詠唱者と聞いて興味を抱かずにはいられない。

 

「多分信仰系ではないですね。

水を刃の形にして魔獣どもをバターみたいに切ってました」

 

「ほう、そんな使い方は初めて聞くな」

 

「ぜひ、魔法について議論を交わしてみたいものですな」

 

「それにそんな魔法詠唱者をチームを組めるのだから他の3人も強者なのだろう?」

 

「ええ。剣士の男と聖騎士の女も活躍は地味でしたけど、魔獣相手に一歩も引いてませんでしたし、エルフのチビは別格でしたね。

多分武技も併せて使ってたでしょうけど、あちこち走り回って自分以外のチームの連中の手助けもしてましたね。囮とか、回復魔法とか。

あとは風の魔法も使えるみたいでした」

 

「ランサーとクレリックの職業を収めている信仰系でしょうか?」

 

「しかもあのエルヤー・ウズルスの一振りを避けれてました」

 

「何!?」

 

「ほう。それは是非とも我が国にとどまってもらいたい。

ワーカーはどこの依頼でも受けることができるからな」

 

そう言ってジルクニフはバジウッドの方を見る。

 

「丁度妻が一人、実家の方に戻んなきゃならない用事があるんで、その時は頼むとしますよ」

 

そう言ってジルクニフとバジウッドは少し悪人のようにも見える笑みで笑い合った。

 

「王国のカルネ村に現れたというアインズとかいう魔法詠唱者やたっち流なる騎士たちも出来れば手元に置いておきたいものだな」

 

 

 

 

 

 

「キリト君、デミウルゴス、あなた達はこれをどう見る?」

 

ナザリック地下大墳墓、ベリアルがギルメンと集まって馬鹿やる為に第三階層に作ったキャバレーを模したフリースペースにて。

遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)を使って王国と帝国のそれぞれの会議の様子を見ていたアスナは同席していた2人に問うた。

 

「帝国の方はベリアル様の力の一端を理解するだけの学と、依頼に見合う対価を用意するだけの礼節がある様子ですが、王国はあまりに愚かで醜悪にして不敬。

ガゼフ戦士長の飼い主はいくらかマシですが、あの様子では部下をしたがれていない様子。

早々に滅ぼし尽くしてしまっても問題ないかと」

 

「キリト、確かに帝国の方が魅力があるのは確かだが、王国を今滅ぼすのは早計だよ。

物事には順序と時期がある。

それに帝国が至高の御方々を言い方を変えれば首輪をつけておきたいと考える事もまた不敬ではないかね?」

 

「そうですか?戦士としての評価は戦歴で示すもの。

ならば今のモモンガ様やベリアル様、もっと言えばたっち流の戦士たちと美食殿の評価は妥当であると愚考しますが」

 

「ふむ……なるほど。戦士としての評価、か。

私にはなかった視点だな。階層守護者ともあろうものが情けない」

 

「そんなことないわよ」

 

そう言ってアスナは手にしたグラス、流石に昼間から酒ではないノンアルカクテルで一度喉湿らせ、続けた。

 

「アインズ・ウール・ゴウンはそれぞれ得意分野で誰もが他の誰か以上の働きをできたからその名を轟かせることが出来たのよ。

私だったらレイピア、ベリアル兄さまだったら光線魔法、モモンガさんだったら交渉術と死霊系魔法、ウルベルトさんだったら殲滅力って具合にね。

それはあなた達も同じ」

 

「我々も?」

 

「ええ。あなた達はそれぞれできることに全力を尽くし、他の物が足りてないと感じたことは遠慮なく言いなさい。

仮に相手がギルメンであってもね」

 

「そんな!?」

 

「至高の御方にそのような……」

 

「さっきも言ったけどギルメンにも出来ないことの方が多いのよ?」

 

この幻想をどうにかして崩せないものか、とアスナはこめかみに走る片頭痛を無視しながらため息をついた。

 

(あー、疲れる。

るし★ふぁーさんより話通じないし、ヒートアップしたたっちさんとウルベルトさん以上に頑固だし。

こういうのモモンガさんの仕事な気がするんだけどな……)

 

とは言えギルドマスターだけに負担をかけるわけにもいかず、フレンドリーファイアが解禁されたせいで全く安心できなくなった諸々の罠チェックと、未だ目覚めないギルメンの経過観察の指揮という動かせない役割に居るヘロヘロ、やまいこの分も頑張らねば、と気合を入れ直すアスナだった。




オリジナル要素解説 その6

・大儀式魔法について
…本編では本筋じゃない上に、アニメではほとんど語られてない物ですので、この小説では『特殊なマジックアイテムを用いて高位の情報系魔法発動の為の装置と化した人間を使って行う魔法』と思って書いています。
今回のベリアルの攻勢防壁で召喚されたリムエレキングは装置化していて意識の無い巫女姫以外の動いていしまった人たち、つまり大儀式魔法の補助装置になっていた人たちを残らず殺してしまったことになります。
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