色々あって半分放置していてすいませんでした!
追伸、鸞鸞さん、誤字報告ありがとうございます!
(ふー、疲れた)
帝国のワーカーとして活動を始めて一週間。
コッコロことウルトラマンベリアルは、拠点にした歌う林檎亭の部屋で、魔法で造った人を駄目にするソファーで駄目になりながらここまでの成果を考えていた。
(曲芸師のチビって通り名は……まあ思うところなくはないけど名前は売れた。
実際あの後闘技場で俺たちの試合を見たって人から護衛の依頼受けれたし。
本命って言うか、一番重要な情報収集に関しては、武技やアルシェの
特に問題はない。
帝国そのものに対する感情も、エルフの奴隷が禁じられていないことにかなり思うところあるが、冷静な部分では中世レベルの倫理観……いや、ベリアルが元居た時代も命が尊ばれるような時代ではなかったが、人権なんて言葉があるかどうかも怪しいだろう?と分かってはいる時代にしては専業軍人の存在もあって治安はなかなかいいのではと思っている。
それにいざ「はいせーの」で奴隷禁止になったら奴隷商人が一気に何か反体制的なナニカになってしまう場合、折角の治安が内乱で崩壊しかねない。
奴隷を売るような連中何て、どうとでもなっていいだろう?とも思わないでもないが、それはいくら何でも強者の傲慢な気がする。
(それに奴隷云々以外はコッコロの格好で子供と遊んでいても全然大丈夫なぐらいには良い国だからな。
外交で極端に致命的な選択ミスでもしない限りしばらくは大丈夫だろうな。
公共事業も昨日
少なくともナザリック地下大墳墓の周辺国、半鎖国状態のスレイン法国は除くが、リ・エスティーゼ王国やローブル聖王国なんかと比べたら悪くないのだろう。
(問題は毎年王国と戦争してるってことぐらいか。
多分、土地だけは豊かだから国力を削るためにやってるんだろうけど)
なんて考えていると、着の扉がノックされる音がする。
どうにかして魔のクッションから脱出してドアを開けると、店主が困ったような顔で立っていた。
「分かってはいたけど今君一人か……」
頷いてやると、参ったなぁ、どうしよう。
と言って頭を抱えてしまった。
(こうゆう時声出せないの不便だな)
兎に角下で何か、それも美食殿関連の何かがあったのだろう
「お前たちに依頼があるって人の使いが来てるんだが……その喉じゃあなあ」
どうしたもんかと頭を悩ます店主を前にベリアルも頭を悩ます。
すると、ちょうどいいタイミングでアスナから
『ベリアルさん!今どこですか!?』
(どこって、バハルス帝国ですけど……)
『帰ってきてください!今すぐ!』
(え、ちょっと……)
一方的に通信を切られ、困惑するしかないベリアル。
仕方ないのでメッセージで買い出しに行っているキャルたちを呼び戻し、その旨をどうにか店主に伝えて、自分は最初からいないことにしてもらう。
そして変身、というよりもとのベリアルの姿に戻ると指輪……は、F・Kに預けていたのを思い出したので
出たのは第一層のパワードスーツ保管庫だ。
(あれ?なんでこんなところに?)
これもこの世界にきて魔力ではなくスペシウム・エネルギーを消費するようになった影響か、一度も転移したことのないはずの場所に出た。
(まさかアスナさんに半ば助けを呼ばれるように呼び出されたから?)
なんて考えていると、背後から誰かが近づいてくる。
「ベリアル様!やはりベリアル様では有りませぬか!お久しぶりであります!」
「貴様!ガイア軍曹!」
何やら切羽詰まった事態の様だが、あまりにもあの映画のあの場面過ぎてやらずにはいられなかった。
やってきた髭の男はガイア軍曹。
パワードスーツ部隊の一員で、レベル10のNPCだ。
生身での戦闘能力に反比例してパワードスーツ操縦の達人、という設定だ
「既にモモンガ様とアスナ様は見えております。さあ、こちらに!」
ガイア軍曹に連れられるまま、格納庫の奥に向かっていく。
そこでは頭を抱えて蹲るアスナさんと、口をあんぐりと開けて呆然と何かを見上げるモモンガさんがいた。
俺もそちらを見上げる。
ハンガーに屹立していたのは……
「こちらが我が創造主がナザリック地下大墳墓を守るために造り上げた決戦兵器!
フルアーマーガンダムであります!」
それは、はるか昔、横浜やお台場に屹立していた英雄と同じ顔をしていた。
ゴッテゴテの勝色の重装甲と、盛りすぎなほどに盛った重武装をの極みを大型に搭載したプロペラントタンクとブースターで強引にぶっちぎる……雷鳴轟く暗唱宙域の白い悪魔だった。
あの人と、最も浪漫あるモビルスーツ論で大いに語り合った機体でもあった。
「何を……何を造ってるんだああの人はァ―――っ!
いや知ってるよ?
ガンダム好きだったのは知ってる!
特にサンダーボルト版の原点を踏襲しつつ上手く『崩した』リデザインが本当にいいのは全面的に同意だけれども!
それ本当に作っちゃう!?」
「我が創造主が使い遺したユグドラシル金貨全てを用いて造り上げた最高傑作であります!
課金アイテムの多様によりスペックは実質レベル95相当!」
「パワードスーツに何やってるの!?」
一足早くキャパオーバーになっていたアスナさんがヒステリックに叫ぶ。
そりゃそうだ。パワードスーツって、本来は初心者救済用の簡易パワーアップアイテムで、精々デスナイトに楽勝で勝てる程度のアイテム。
中級以上のプレイヤーがお遊び以外で使うことはほぼ無いと言っていい。
「武装も充実しており、使い切った後にデッドウェイトとならぬようにパージ可能。
予備武装を使い切った後の改装計画も充実しております」
「……おお、そうか」
もうモモンガさんに至っては比較的常識人だったあの人が最後の最後で残した大フザケに鎮静化されまくって落ち着き切っちゃってるし。
「これ、どうします?」
「どうしようもないから2人を呼んだんです……」
弱弱しく呟く様に言ったアスナさんにそうですよね、とモモンガさんが返した。
当然だ。
レベル80でも既に神の領域のこの世界でレベル95なんて天変地異レベルの存在だ。
これ短機で帝国……モモンガさんの話を信じるなら王国もまとめて更地に出来てしまうだろう。
「ガイア軍曹」
「はっ!」
「この白い悪魔の存在はどれだけ知られている?」
「第1階層の者はほぼ全員しっております!」
「かん口令を敷け。
切り札はしかるべきタイミングで切らなければならない。
2人もそれでいいですね?」
俺たちが頷くと、ガイア軍曹も直立不動で敬礼し
「はっ!直ちにこの機体を知る全ての下僕に通達いたします!」
去っていくガイア軍曹を見送り、俺たちは円卓の間に転移した。
「ヘロヘロさんに頼んで罠以外もナザリック中を改めてもらいましょう」
後に、ヘロヘロさんが過労とは別の理由で憔悴しきるのはまた別の話だ。
俺たちは暫く各々の席で脱力していたが、調子が戻ると立ち上がった。
「さて、それじゃあ、俺そろそろ戻ります。
美食殿で何か仕事しないと宿賃払えなくなるんで」
「あ……そう、ですよね」
「モモンガさん、何かあったんですか?」
「い、いや!別に大したことじゃないんですけど、、ベリアルさんとこの子たちって、人間たちとどうですか?」
「どうって、まあキャルは人間相手にかなり態度悪いですけど、暴言吐いたりとかはしませんね。
悪い意味で無視してはいますけど、トラブルにならないように気は使ってると思いますよ。
ペコリーヌとユウキは普通に愛想いいですし。
むしろ喋れない上に見た目子供の俺が一番同業相手に馴染めてないぐらいですかね。
まあ、子供とかは結構屈託なく接してくれるんで、全く孤独ではないですけど」
「マジかぁ!羨ましいなぁ、こっちはナーベラルが人間の事羽虫とかガガンボとか呼ぶし、態度はキャル以下で大変で……」
「はぁ?」
体温が一瞬でなくなるのを感じた。
「べ、ベリアルさん?」
「今、なんて言いました?」
「あ、あの……」
「ナーベラルが人間にどんな態度とってるって言いました!?」
頭の変に冷静な部分が肉体から立ち上るオーラをどうしようもできていないのが分かる。
だって視界の端に移るアスナさんが本気で泣きそうになってるし。
「呼んでください。今すぐ」
「な、ナーベラルを?」
「今すぐ!第三階層に!」
俺はそう言うと指輪の力でさっさと第三階層に転移した。
人間どもの蔓延する外から、久しく戻れていなかったナザリック地下大墳墓に戻れたというのに、ナーベラル・ガンマは酷い顔をしていた。
ドッペルゲンガーなのにアンデッドの様に血の気の引いた肌。
目の焦点は合わず、汗が滝のように流れている。
彼女は今、整合霊廟の待合室で地面に正座させられていた。
目の前には自分が仕える絶対なる存在の一人がいる。
「面をあげろ」
耳から体の内が蕩けるような気持である。
本来なら存在しないはずの、思考の御方々により生み出されなかった者の姿を取っていようと、その特有の気配をこれほど近くに居ながら全く感じ取れず、判別できない者はナザリックにはいない。
「ナーベラル・ガンマ。まあ、まずはよく来た」
「もったいなきお言葉です。ウルトラマンベリアル様。
ナザリックの物ならば、至高の御方々に従うのは当然のことです」
「ベリアルでいい。
しかし……当然、当然か」
かつて造り上げられることのなかった堕天使リリの姿のベリアル様は立ち上がると、薙刀を手にこちらに近づいてくる。
役目すら与えられなかった下僕にすらこうして活用法を与えるベリアル様の慈しみ深き御心に感動しながらも、ナーベラルはベリアルの一言一句を聞き漏らすわけにはいかないと集中していた。
「なら、人間をゴミムシと蔑むのも当然なのか?」
不機嫌の理由は分かった。
だが理解は出来なかった。
なぜこの世の何よりも尊い存在であるはずのベリアル様が取るに足らない人間などの事で怒りを覚えるのだろうか?
それも態々整合霊廟の人払いを済ませてまでやるのだから、下手すればこのあたり一帯を同行しかねない程の怒りを。
「お前には知らないようだな。何故私が今態々リリに変身しているか」
一歩、踏み出した瞬間にベリアル様は戦闘態勢を取られていた。
レベル差は今は対していないはずだが、避けるわけにもいかず槍の底で頭を打たれる。
「お前をうっかり殺さない為だ!
流石に勝手に殺してしまっては弐式さんに申し訳が立たないからな!」
限りなく和装の人間に近かった姿が、黒い煽情的なドレスに漆黒の翼、所々欠けた天使の輪に、元々の濡れは色から白く変色した髪をなびかせ、ベリアル様は薙刀を突きつける。
「私がなぜ怒こっているかといえば、お前がやっていることは本来我らナインズ・オウン・ゴールが最も唾棄すべき行いをしているからだ」
「───!?」
「種族の差だけを理由に生まれ持った力の差をいいことに蔑むだけ蔑む!
このナザリックを陥落させようと攻め込んで来た人間種ギルドの連中と何が違うか!」
鈍い音が響き体全身に鈍痛が走る。
御方に失望された。
その事実が痛みとは言えベリアル様に何かを戴いたという事実を超える絶望を突きつけてくる。
しかもベリアル様は、殺さないとおっしゃられた。
つまり
「じ、自害を」
「この期に及んで楽な道を選ばせるわけがないだろう」
そう言ってベリアル様はアイテムストレージから刀なら鍔に当たる部分に4つの宝玉が埋め込まれた円形の飾りのある短剣を取り出した。
「これは俺がベリアルの姿に戻る為のアイテムの一つで、オーブダークカリバーという。
炎、氷、岩、嵐の四属性の宝玉を埋め込み、その力をマジックキャスターでない者でも行使できる」
そして地面に倒れ伏す私の手を取られると、やや乱暴に握らせてくださった。
「もし俺がベリアルの姿に戻れず、ピンチになった時、お前が一番近くに居たらこれを俺に渡せ」
「わ、私の様な者にこんな貴重なアイテムを!?なりません!」
「失態は功績で償え。別に人間を無理に好きになれとは言わない。
が、せめて波風立てない程度の努力をしろ。
俺たちギルメン含めて誰しもがどんな場所でも一番偉い訳ではない」
そう言ってベリアル様は指輪の力でどこかへ転移なさった。
円卓の間に戻ったベリアルは元の姿に戻って自分の席に座った。
見ると遠隔視の鏡でさっきまでの様子を見ていたモモンガとアスナは何とも言えない表情をしている。
「ベリアルさんあれは……」
「本当ならモモンガさんがやらないといけないことですからね?」
「うっ……」
「アインズ・ウール・ゴウンの皆が決めた設定を極力崩したくないのも分かりますけど、それでギルドやナインズ・オウン・ゴールの名が廃っては本末転倒でしょう?
外に出て動く以上、あの子らは俺たちのギルドやクランの看板を背負ってるも同然なんですから」
「それは……そうなんですけど。
あの子たちからしたら神様から叱られたみたいなものですよ?」
「神様からそうあれと決められたそれを軌道修正するんですから同じ神様が言わないと聞かないでしょう?
それに駄目な事駄目って言った態度でお互いに嫌いになる俺たちですか?
ウルベルトさんとたっちさんだって普段はあんなでしたけど、いざクエストとなったらクリア後には肩組み合って大喜びしてたじゃないですか」
「懐かしいな。それで仲いいですねって言うと、異口同音に全然そんなことないって」
「……」
「モモンガさんはもっと我儘言っていいと思いますよ?」
「そうですか?」
「手始めに王国の調査サボって帝国に遊びに来ませんか?」
「え!?いいんですか!?でも、そうなるとモモンの格好でないと……」
「俺の人に化けれるアイテム貸しますよ。
レベル半分になっちゃいますけど」
「人に化けれる!?じゃあ飲食も!?でもレベルが……」
「モモンガさんがわがまま言うべきだと思う人」
「はーい!」
「二対一で可決ですね」
「ちょっと!3人しかいない中で多数決はやらせでしょう!?
まあ今回は俺もちょっと帝国黄になってたんでいいですけど!」
「」
「ええ!俺も」
NPC紹介その9
名前 ガイア軍曹
レベル 10(種族レベル1+職業レベル9)
役職 第一階層パワードスーツ部隊精鋭隊長
住居 第一階層パワードスーツ保管庫
属性 悪(カルマ値:-50)
二つ名 黒い三連星一番星
創造主 キャルと同じ
備考 機動戦士ガンダムの同名キャラと同じ姿をしている。
追伸:次回はいつになるか分からないけどナーベラル視点の予定であります。