一体誰と誰なんでしょうね?
0話 2138年○○月××日23時59分59秒
『
環境破壊が行くところまで行きつき、遂には養殖の食材さえ、一部富裕層にしか手に出来なくなったような世界にて、西暦2126年にリリースされたDMMO-RPGである。
本日まで約12年続くロングセラーで、日本国内においてはDMMO-RPGと言えばこのYggdrasilとまで言われるゲームである。なぜそこまで人気になったかと言われれば、別売りのクリエイトツールがあった方が楽しめるが、基本無料でも700種類を超える豊富な種族に、総合計2000を超える職業、更につける6000を超える魔法を駆使して仮想世界を楽しめる圧倒的自由度が理由だろう。
同じアバターキャラクターは意図的にクリエイトしない限り絶対に生まれないと言っていい。ただ戦うだけでなく、
正に伝説。そう、伝説なのだ。なぜならそのゲームは、今日でサービスを終了する。
「はぁ……」
思わずため息が零れる。時計を見れば、今は23時53分。
どんなに急いで帰っても、サービス終了までにログインする事すら不可能だろう。
(最後に会いたかったなぁ、アインズ・ウール・ゴウンの皆に)
彼の名前は
(だいぶ前に引退した『たっち・みー』さんや『ウルベルト』さんたちは無理でも、ギルド
多分いてもあと2人か3人だろう。自分が転職で忙しくなって抜けた時、もう10人もいなかったし。でも、きっと『モモンガ』さんは、ロールプレイ中は我らが盟主と呼んでいた彼は残っているだろう。課金額こそ、
「間に合う人は、行けてますよーに」
無駄な祈りかもしれない。でもそう思わずにはいられない。
「痛っ!」
「あ、ごめんなさい」
なんて考えていると、反対側から歩いて来た誰かとぶつかった。その声が、そして去って行こうとする後姿が、なんだか見覚えが有るように感じる。
「……ぺロロンチーノさん?」
「え!?」
ビンゴ。最後のオフ会の時に見送った背中に間違いなかった。栄光のアインズ・ウール・ゴウンの一人にして、無課金同盟の一角、
「お久しぶりです、ベリアルです。
まさか、会えるなんて思ってませんでした」
「え、ええ!こっちこそこっちこそ!
いやー、うれしいな。俺が引退した時以来ですか?」
「ええ。懐かしいです」
このまま、世間話に花を咲かせたい気持ちはある。ぺロロンチーノさんもまた、一緒に冒険した仲間だし、一時
けど、いや、だからこそ
「お家、近いんですか?」
「ええ、まあ。すぐそこですね」
「じゃあさっさと帰ってください!」
「え、ええ!?べ、ベリアルさん!?」
「今日
「!」
「きっとモモンガさんはいますよ」
「……」
この汚染され切った大気のせいで、外出る時は皆ガスマスクを着けている。が、それでもなお彼の表情が暗い事は察せられた。マジか。予想していたことでは有るが、それでも行ってもらわねばならない。
「ぺロロンさんが引退の時その場にいなかったんで、モモンガさんと何があったとか知りませんけど、それでも会いに行ってあげてください。
あの人ならまず間違いなく、あそこにいますから」
そこまで言っては見たが、ぺロロンチーノは動かない。本当に何があったんだろうか?
(あと5分もないけど、もし間に合うなら行ってほしい。どうすれば……)
「おい愚弟。なに人様に絡んでんだ」
そこに全く予期しなかった、ついこの前深夜アニメで聞いた声がした。振り返った先に居たのは当然ながらガスマスク姿の……体系と服から察するに女性だろう。ぺロロンさんをそんな風に呼ぶ女性は1人しかいない。
「『ぶくぶく茶釜』さん!お久しぶりです!ベリアルです!」
「……え!?ベリアルって、あの遺産愛好会のベリアルさん!?」
また懐かしい名前が出て来た。
「ええ!ええ!そのベリアルです!
お二人ともお家近いんですってね!だったら早く帰ってモモンガさんに会いに行ってあげてください!
まだギリギリ間に合うかもしれません!」
自分は無理だ。どんなに急いでもあと15分はかかる。でも2人なら、一瞬姿を見せるだけにとどまってしまうかもしれないが、それでも会いに行ってほしかった。
「そんでもってベリアルがよろしく言ってたって伝えてください!」
ぶくぶくさんもあっけにとられている。駄目だ。これじゃあもう間に合わない。どうにか手段がないものか。そう思って思わず頭を抱えたのと、
体が宙に浮き、思い切り地面にたたきつけられた。汚い空気に思わずむせ、目はひりつく様に痛み、そんな中でも確かに匂う焦げ臭いにおいに思わず顔をしかめる。どうやらガスマスクが外れてどっか行ったらしい。
「大丈夫ですか!?しっかりしてください!」
にしても、今日は不思議な日だ。懐かしい人ばかりに出会う。制服姿は初めて見たな。
「たっち……さん?」
「!?」
体に力が入らない。まるで連勤明けに寝沈むのに似た感じ……体の機能が順々に停止していくのが分かるのに、それでも散々世話になった彼の声だと分かった。
「おうち……ちかいん、ですか?だったら、こん、なとこ…ごほっ!いないで、はやく……」
「まさか……ベリアル、さん?」
「きっと、ももんが…さんが、まって……」
「ベリアルさん!ベリアルさん!ベリアルさんしっかり!ベリアルさん!ベリアルさー--んっ!」
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背中全体にとんでもない鈍痛を感じて俺は目覚めた。
・キャラクター図鑑001
名前:宮迫友樹
種別:ユグドラシルプレイヤー
能力:長い接客業で培った忍耐力と様々な種類の人間への耐性
趣味:ネットの海から古の作品を掘り返すこと