我が名はベリアル!至高の41人が一人!   作:伊勢村誠三

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どうも皆さま、一週間ぶりです。
なんとか週一三千字ぐらいを目標にやって行きたいと思っております。
今回はモモンガさんたち最終日にログイン出来てた人たち編です。
それでは、どうぞ!


2138年○○月××日23時50分27秒

 

 

 

『「アスナ」さんがログインしました』

 

『「やまいこ」さんがログインしました』

 

 

 

 

 サービス終了10分前に迫ろうかというDMMO-RPG、『Yggdrasil(ユグドラシル)』がランク9位のDQNギルド、アインズ・ウール・ゴウンの本拠地、ナザリック地下大墳墓に懐かしい二つの姿が出現する。

 剣士風の格好をした長い茶髪の美少女……に見える二重の影(ドッペルゲンガー)と、もう一人は剛腕の醜い半魔巨人(ネフィリム)である。

 

「やまいこさん!それにアスナさんまで!」

 

 そこに座るべき人たちがほぼ居ない円卓の間にさみしさと、それでもまた新たに二人も来てくれるうれしさを感じながら、ギルド長である死の支配者(オーバーロード)のモモンガは『うれしさ』の感情を示す(エモーショナル)アイコンを表示させる。規格外の自由度を誇る『Yggdrasil(ユグドラシル)』だが、残念ながらプレイヤーの表情をグラフィックスことは不可能だ。きっと人類終焉のその時まで不可能であろう。

 

「やっほーモモンガさん!明日は仕事だけどなんとかギリギリこれたよ!」

 

 やまいこは、今や残り4人となったアインズ・ウール・ゴウンの最後のメンバーの一人だ。この場に居てもおかしくない。だが、アスナはもう既に『Yggdrasil(ユグドラシル)』を引退したメンバーの一人だ。アカウントが残っていたことも驚きだが、また来たことはもっと驚きだ。

 

「お久しぶりですアスナさん!メッセージ、見てくれたんですか!?」

 

 モモンガは、この『Yggdrasil(ユグドラシル)』、そしてこのゲームで出会った仲間たちで作り上げたナザリック地下大墳墓、そしてアインズ・ウール・ゴウンの最期に、一度は瓦解してしまったが、それでも誰か一人でもいいからかつての仲間たちに会えないものかと思い、現役、引退済みを問わずギルドメンバー全員と、良く遊びに来ていたやまいこの妹のあけみに集まらないか?と、メッセ―ジを送っていたのだ。

 

「いや、実はメッセージはさっきのさっきまで気づかなかったんです。

確か、モモンガさんにはやまいこさんとあけみちゃんが現実(リアル)でご近所さんなのは、話してましたよね?」

 

「へー、そうだったんですか」

 

 今まで全く発言してなかった古き漆黒の粘体(エルダー・ブラック・ウーズ)のヘロヘロがつぶやいた。彼もまた、モモンガ、やまいこ、そしてずっと前から誰とも音信不通のベルリバーを含む、最後まで残った4人の一人で、ブラック企業に勤め、この環境汚染の極みのような世界においても異常としか言いようのない健康状態になってしまっている。いい人なのだが、色々ヤバい人だ。

 

「それでさっき、ギルドが残ってるって、モモンガさんがまだ残ってるって聞いて、あの時たっちさん側についてギルドを割っちゃった私がここにいるのは虫のいい話かもしれないけど……どうしても」

 

「アスナさん!いや、我が友にして、我が命の恩人、たっち・みーが二番弟子、アスナよ」

 

 モモンガの温和な成人男性の声が、低く威厳のある魔王ロールの声に変わる。

 

「良いのだ。私はもう二度と会えるかもわからぬ盟友の一人とまた出会えたことがただ嬉しい。今はただ、この再会を喜び合い、この終わりをかけがえのない物にしようではないか!」

 

 思わずリアルの顔は笑ってしまっていた。多分久しぶりの魔王ロールでリアルはきっと顔が赤くなっているんだろうな、なんて思いながらも、アスナは迷いもなく、モモンガの元まで行き、跪いた。

 本気のロールプレイにはロールプレイで返す。RPGの暗黙の礼儀であり、了解であり、醍醐味の一つである。

 

「寛大なお心に感謝申し上げます、我らが盟主。

この世界の最期の時まで供させていただきます!」

 

 未だ姿が見えない、いや、きっともう姿を見せない兄弟子(ベリアル)が呼んでいた呼び方でモモンガを呼んでみた。技術的にも、そしてアバター的にも表情が固定なモモンガだが、ふふっ、と、微かに笑ったのが聞こえた。アスナもつられて笑顔のエモーショナルアイコンを表示する。するとモモンガもアスナが出したのよりも、一段上の、満面の笑みのエモーショナルアイコンを表示する。相変わらず愛想のいい骸骨である。

 

「……寝落ちしたらごめんなさいね」

 

「ヘロヘロさん?」

 

「明日四時起きなんで、本当はそろそろ寝ようかと思ってたんですけど、なんだか二人を見てたら、二年もログインしてなかったくせに離れるのが惜しくなっちゃいました。だから、寝落ちしたと思ったら、置いていってください」

 

「残って、くれるんですか?」

 

「……ええ。僕もお供させてください。ギルマス、アスナさん。

やまいこさんはどうします?」

 

「明日は、念入りに隈を落さないとね」

 

 決まりだった。最大人数の4分の1以下。それでも、それでもアインズ・ウール・ゴウンの仲間たちとまた一緒に何かができる。友人と呼べる存在など、ゲーム、もっと言えば『Yggdrasil(ユグドラシル)』にしかいないモモンガは本当にうれしかった。

 程度の差は有れ、それはヘロヘロ達も同じだった。頭に超がつくレベルでは済まされないブラック企業に酷使されながらも、使える時間を目いっぱい使って楽しんだ遊び場で、日々の中のうるおいの一つであった場所に、きちんと区切りをつけれるのは、寂しくも、また楽しいものだった。他の誰に何を言われようと、自分たちは『Yggdrasil(ユグドラシル)』を楽しみ抜いた。そう胸を張って言えるだろう。

 

「ふふふ、こうして集うと壮観ですね」

 

「なんせボクらの自慢の子たちですからね」

 

 最後の瞬間を迎える事となった王座の間にて。

王座には当然ながらギルドマスターであるモモンガが。その一段下には三人のギルドメンバーと、王座の間の守護者であるNPC(ノン・プレイヤー・キャラクター)、アルベドが。

その前、王座の階段の下にはやまいこ、ヘロヘロが造ったユリ・アルファやソリュシャン・イプシロンを含む戦闘メイドたちと執事長が。

更にヘロヘロ達メイド愛好会が造った41人のメイドたち。

アスナが遺産愛好会の皆と共同で造った配下の5人の騎士たち、ダークネスヒールズ。

そしてモモンガが造り、宝物殿に配置していた領域守護者、パンドラズ・アクターが跪いている。

 

「んっ!では、良くぞ集ってくれた!我が友よ!そしてその自慢の娘、息子たち!私にとっても自慢の姪、甥同然の愛しいしもべたちよ!ここに集えない者たちにもそれぞれの理由や、殉ずるべき職務がある事は、ちゃんとわかっている」

 

 一拍置いたモモンガは、ちらりと視界の端に表示された時計を見た。全10層からなるナザリック地下大墳墓からこれだけの数を終結させたのだ。残り時間はあと数十秒しかない。

 

「この世界は、間もなく滅んでしまう!

何の前触れもなく消えてしまう!

お前たちを連れていけないことは、本当に残念に思う!

だが、どうかこれだけは知っていてほしい!決してここに集えなかったギルメンたちが、ナザリックを愛していなかったわけではない!

出来る事なら……きっとずっとここに居たかった」

 

だが!と、モモンガは最期だからと持って来たギルド武器、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを掲げ、高らかに告げた。

 

「諸君らの忠誠!そして、我らアインズ・ウール・ゴウンの友情は永久不滅だ!例え姿が変わっても、ここでない世界で再び集えれば、お前たちの妹、弟たちを率いて、今度こそ!世界征服を成し遂げるとここに誓おう!

ヘロヘロ!やまいこ!アスナ!ついてきてくれるか!?」

 

 三人はモモンガの宣言にも負けないぐらい力強く、それぞれ肯定の言葉を言う。

 

「そうか!ではしばしの別れだ!我が友たちよ!

また再び、必ず会おう!アインズ・ウール・ゴウンに栄光あれ!」

 

「「「アインズ・ウール・ゴウンに栄光あれ!」」」

 

それをいい切ったのと、時刻表示が00:00:00になったのと、丁度円卓の間の方から、絶叫が響き渡ったのはほぼ同時だった。




・キャラクター図鑑002

名前:アスナの中の人(仮称)
種別:ユグドラシルプレイヤー
能力:浅めのダークウェイブぐらいなら迷いなく動き回れる
趣味:ネットの海から古の作品を掘り返すこと
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