「院内で騒ぐのはやめてください」
「我々はブラックアウトさんの病室が知れればそれでいいんです!一言もらえれば!」
「ブラックアウトさんは一部の方以外が病室に入るのを拒否しています、いくら騒いでも教えません、諦めてお引き取りください」
……ここ最近ずっとこうだな。
やっと車いすで院内に限り動けるようになったんだ、いつまでもマスコミにいられれば悪影響になりかねない、本当にどうにかしなければならない問題だな。
「おい!ブラックアウトのトレーナーがいるぞ!」
「ブラックアウトさんは今後どうするのですか!?引退というのは本当なのでしょうか!」
「……お答えできません、する気もありません、これ以上ブラックアウトに対して踏み込むつもりでしたら警察を呼ばせていただきます」
見つかってしまったがマスコミの質問に答える気などさらさらない。
これ以上ははっきり言って迷惑だ。
「そんなことおっしゃらずに、どうか!どうか一言だけでもいいので!」
「俺に用があんだろ、じゃあ俺のトレーナーに文句つけるのはおかしな話しじゃねぇのか?」
「ブラックアウト、なんでここに……」
「ここまでうるさかったら気が付きもする」
だからって病室にいればいいだろうに。
「さて質問に一つだけ答えてやる、それ以上は聞かれても答えるつもりもねぇ……俺は走るのをやめるつもりはねぇ、絶対にもう一度走ってやる、そんだけだ」
「ちょっとまってください!まだ質問は」
「終わりだ、これ以上は答えねぇっていったろ……トレーナー、疲れたから運んでくれ」
「……あぁ、わかったよ」
車いすを押してその場を離れる、後ろから喧騒が聞こえるが院内の人といつの間にかいたトレセン関係者が止めてくれているようだ。
自らを不甲斐ないと思ってしまうな。
「なんで出てきたのさ」
「別に出てきたかったからだ、なんでもいいだろ」
「……ありがとうな」
多分、僕がバレたのが聞こえたからだろうな、本当に不甲斐ないばかりだ。
「絶対か……自分で言ったことだけど、随分とわかりやすい嘘だな」
「大丈夫だ……絶対治るさ、そのためならなんだって協力する」
……
「レース、どうするの?」
「そういうのって聞かない方がいいんじゃないですか?」
「でも聞かれたら答えるんでしょ?」
ここ最近はずっとルインローズさんとやってるけど、この人思ったより距離が近い気がする。
ブラックアウトさんがちょっと当たり強くなってるのもちょっとわかる……かも。
「……直近のレースは中距離に出るつもりですよ、なんのレースかは言いませんが」
「じゃあ私とおんなじレースかもね、私あなたにまだ勝ったことないからそろそろ白星欲しいのよね」
「だとしても負けませんから」
「中距離なら私の方が上よ、ここ最近あなたと併走してたおかげで体力も増えてきてるみたいだしね、あなたほおっておいたらずっと走り続けるんだもの」
みえみえの挑発だけど……事実だ、ルインローズさんはここ最近の併走でバテなくなってきている。
私は体力が多いから関係ないけど、体力差が埋まるなら早さ勝負になる。
そうなると加速の遅い私は追いつけない。
「……まだ走れますか?」
「併走だけじゃなくて競うのもありよ」
「やりましょう」
少しでも練習を積んで追いつけるようにしなくては。
ゾーンでの加速を活かす走り方も練習しなきゃな。