ブラックアウト【完結】   作:一口さん

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意外な忠告

「足、どんなもんだ?」

 

「いい感じだ、地道なリハビリのおかげか……それとも誰かが走り回っていい医者を探してくれたおかげか、どうだろうな?」

 

「……昔の繋がりまで使ったからね、治ってもらわないと」

 

 本当に……どうしてここまでしてくれるんだろうな。

 俺にはわからねぇ。

 俺を切り捨ててルインローズの育成に力を注ぐことも出来たろうに。

 

「なぁ、なんでそんなに俺を助けてくれるんだ、俺は……」

 

「それ以上先は禁止だぞ……そうだな、僕も同じ考えを持ってたからっていうのが答えかな」

 

 同じ考え?

 考えっていうと……強いやつを呼ぶってあの考えか?

 

「僕も最近のレースに飽きてたんだ、言葉を選ばないとね……まぁ今はちょっと違うけど」

 

「じゃあ今はなんでなんだ?」

 

「相棒だから」

 

 相棒……か。

 

「悪くねぇ……もうちょっと頑張るわ、待っててくれよ、相棒」

 

「あぁ、待ってる」

 

 ……

 

「ブラックアウトさん、足はどうですか」

 

「大分マシになった、体重は全部はかけられないけどな」

 

「よさげですね、そろそろ本格的に歩行訓練の方もしていきます、筋力の為に運動もしますので、よろしくお願いします」

 

 ……やっと、やっと歩けるのか。

 走れるまではどこまでかかるか。

 看護師と入れ替わりで誰か来たな……大橋トレーナー?

 

「よぉ、足どうだ」

 

「マシになってきてる、もうすぐ歩行訓練だ」

 

「順調だな」

 

 会話が続かない、というか何しに来たんだ?直接的な関わりはほぼないはずだが。

 

「さてと、俺からお前にいうのは警告とか忠告とかってやつだな」

 

「は?」

 

「ブラックアウト、お前は走るのをやめた方がいい、お前の周りにいるやつらはお前に走ってほしいから止めないだろうが、俺は別にお前と仲良しってわけじゃないからな」

 

 そんなことを言いに来たのか。

 

「はいそうですかってやめると思ってるのか」

 

「思ってねぇから警告なんだ、このまま走ってみろ、お前は絶対にもう一度体を壊すぞ……よくて二度と走れない、医者にもそういわれてるんじゃないのか?」

 

「よくご存じでって感じだな、だが俺は約束しちまった以上曲げたくねぇんだよ」

 

「約束か、それはお前が走らなければマインショックやルインローズが走るのをやめるっていうやつか?」

 

 なんでこいつはわかるんだ?

 あいつらがいうとは思えねぇ。

 

「俺のトレーナーか?」

 

「いや違う、よくある話だからだよ、そういう重荷を背負わされたやつがボロボロと崩れ落ちるんだ、約束したからなんて言って走ってな、怪我すれば当たり前だが走り方は悪くなる……そのくせ走れた頃の幻影にとらわれて無理をしちまう」

 

「……だから走るのをやめろと」

 

「あぁ、そうだ……今後の生活を棒に振る必要はねぇ、ルインローズもマインショックも俺が頭を下げてでも走ってもらえばいい、個人の意思を尊重しろとはいうが逸材を眠らせたくなんざねぇ、そのためなら俺の頭なんぞいくらでも下げれるからな」

 

 走るのをやめろか、そういえばいわれてねぇな。

 トレーナーからはやめるならその意志を尊重すると言われたっけか。

 

「俺は……俺は走るのをやめたくねぇってのも本音だ、俺にはこれしかねぇんだ」

 

「そうか、まぁ決定権はお前にあるしな……これ以上にならないように気をつけろよ」

 

「あぁ、忠告だけは受け取っておくよ」

 

 受け取るだけってのもあれだがな。




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