「これからなんのレースにでるんだ?出るとしたら夏開けのG1か?」
「天皇賞秋、ジャパンカップ、有馬記念……だけど天皇賞かジャパンカップはどちらかを諦めるべきだろうね、負担も怖いし」
「そうか、両方出るぞ」
「両方ね……いや、話聞いてた?負担がやばいからあんまりよくないっていうかダメだと思うんだけど、そこまでレースに出たいの?」
「……三年目の有馬記念でやめるつもりだ」
それまでに出れるレースには出たい、ギリギリのラインだったとしても。
「……わかったよ、調整する、ただし自分の足を第一に考えること」
「いつも通りってことだな、しっかり覚えておくさ」
「トレーニングしようか、二人に早く追いつかないとね」
二人の走ったレース、天皇賞春と宝塚記念、たった二回しか見れていない、見れていないが成長は止まっていない。
それどころかぐんぐんと伸び続けている。
一体どこまでいくつもりなんだろうか。
「やるのは?」
「スタミナを増やそう、怪我前よりも加速は上がってるような気がするけど、スタミナは間違いなく落ちてるからね、今のまま二人と戦っても競り合いで負けるのは必至だろうから」
「スタミナか……いつまでも付きまとう問題だな」
「スタミナが解決することはないだろうね、マインショックさんみたいなはじめっからとんでもスタミナじゃないかぎりは」
スタミナは多い多いと思っていたが、そこまで言わせるほどか。
「……実をいうとルインローズが完全にバテるまで一緒に走ってたんだけど、その後じゃあもう二回ぐらい走ってきます、とか言い出してね……負担もすごいからって止めようとしたけど、大橋トレーナーいわくいつものことらしいよ」
「じゃああいつは中距離のレースなら余力が残っちまうレベルってことか?」
「一番短いのなら余裕でそうだろうね、疲れたから膝をつく、みたいなのも見たことないし」
思ってた以上というか……まてよ。
「そのバテてたのって最近か?」
「いや、ブラックアウトが入院してる間のことだから最近ではないね」
ならルインローズもマインショックもかなりスタミナが増えているのは確定か。
……楽しくなってきた。
「……やるぞ、トレーナー、早く追いついてやらないとな」
「怪我しない範疇でビシバシ行かせてもらうよ」
……
「トレーナー、どうですか?」
「いい感じだな、タイムも縮んでる……数ヶ月前じゃ考えられねぇぐらいだな」
「生徒会長さんとルインローズさんとトレーナー二人のおかげですね……」
「もっと自分を誇れっていってるだろ、お前の努力が生んだ結果だ、レースでもこのタイムが出せるなら中距離でもルインローズを打ち破れるかもな」
ルインローズさんだけじゃない、次はブラックアウトさんが来る、間違いなく。
天皇賞秋は2000m、中距離のレース。
どこまで伸びてくるかはわからないけど……慢心はしない。
「少し不安そうだな、どうした」
「いえブラックアウトさんのことを考えてました、多分天皇賞で来ると思っているので」
「その予想は合ってはいるが、あのブラックアウトなら問題はないだろう、油断しなければ勝てるさ」
「……多分、ゾーンも使えるようになってます」
復帰の時のレース、怪我の時と似たような加速に感じた。
もし、もし使いこなせるようになっているのなら……警戒を向けるには十分すぎる。
「なるほど、な……ゾーンか、確かにそれなら食らいついてくる可能性もあるか」
「それに中距離ならやっぱり加速の差で逃げられもおかしくないので」
「いい考えだな、今の実力におごらない、ならトレーニングを続けるぞ、圧倒的な差をつけてやれ」
「はい!」
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