北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました   作:ひいちゃ

11 / 54
199X年世界は核の炎に包まれた!

海は枯れ、地は裂け、全ての生物が死滅したかのように見えた。

だが、転生者は死滅していなかった!

* * * * *

 ナノルたちは、ケンシロウ(を名乗るジャギ)に立ち向かう者たちの襲撃を受ける。
 そのリーダーは、彼とその妹と、ジャギとの因縁を知る者だった。

 事情を聞かされたナノルたちは彼らに協力するが、ジャギ一味の罠にはまってしまう!

 リーダーたちの堅い決意により、その罠を砕いたナノルたちは、リーダーたちの想いを胸に、再びジャギを倒す旅に向かうのだった!

ナノル一行の、ジャギ打倒の旅はまだ続く!


(ジャギ編)第拾壱話『愛する人よ永遠に! そしてジャギよ……』

 オレたちはついに、ジャギがアジトにしているオオサカの町までやってきた。

 

 そしてそこでいきなり、オレたちはケンと再会した!

 

「あ、アキを返せ! お、お前なんか人間じゃない!!」

「……」

 

 アキの兄であるマコに、ボウガンを突き付けられている状況であったが。

 

 マコは、ケンに妹のアキを連れ去られたと思い込み、その怒りと憎しみに駆られて、ボウガンを握っていたのだ。まぁ、アキを連れ去ったのはケンではなく彼の名を騙るジャギなのだが。

 

 そこに、アキがバギーを飛び出し、マコのほうに駆けていった。

 

「待って、兄ちゃん!」

「アキ!? 無事だったのか!」

「うん、この人たちに助けてもらったんだよ」

 

 アキがそう言うと、マコはオレたちのほうを向いて、驚きの表情を浮かべた。そしてそのうちに目に涙がたまっていく。

 

「そ、そうだったのか……。ありがとうございます、ありがとうございます……! よかったな、アキ……!」

「うん……兄ちゃん……!」

 

 そして抱きしめあい、感動の再会を果たしたマコとアキ。マコもアキも、大粒の涙を流している。

 オレたちも、アキを助け、このような再会を果たさせることができて、本当によかった。

 

 そして、しばしの間、抱きしめあったあと、アキが話すべきことを想いだしたようで顔をあげた。

 

「兄ちゃん、この人は悪い奴じゃないよ。ボクは、この人の名を騙る悪い人に連れ去られちゃったんだ」

「そ、そうだったのか……ごめんなさい……」

 

 そのマコの謝罪に対し、ケンは堅い決意を顔に浮かべて返した。

 

「いや、謝ることはない。全ては俺の甘さが生んだことだ……」

 

 そしてジャギのアジトへ向けて歩き出す。

 

「ジャギのところへ行くのか?」

「あぁ。俺の甘さが生んだ禍根、その全てをここで断つ」

「それじゃオレたちも行くぜ。オレたちもジャギに用があるんでな」

「そうか」

 

 止めても無駄だと悟ったのか、それともこちらにも深い事情があると察してくれたのか、ケンはそれだけを言ってそのまま歩いていき、止めることはなかった。

 さてオレたちも……と思ったが。

 

「しかし、ココたちはどうしようか?」

「そうだねぇ……。ココ一人だけなら同行しても大丈夫だろうけど、フラニーやマコ、アキを守りながらとなると……」

「うん、ちょっと大変だと思う……」

 

 どうしようかと悩むオレたち。それに気づいたのか、ケンも足を止めてくれていた。そこに。

 

「おぉ、アキ! マコ!」

 

 三角巾で腕をつるし、頭に包帯を巻いた老人が駆け寄ってきた。

 

「あぁ! ボクのことを『良い妹』と言って、ボクが連れ去られる原因を作ったじーちゃん!」

「うぐ、それは言わないでおくれ。これでも反省しているのじゃ。というか、まさかあのことでケンシロウが怒るとは思わんじゃろう」

「わかってるよ。でも、あれが原因で連れ去られたのは確かだし」

「うぐ……」

 

 弁解する老人を論破するアキ。さすが中身は非ガキだ。そしてそこでカレンが。

 

「本当にお前さん、年齢に似合わず大人っぽいね。実は身体は子供でも頭は大人なんじゃないのかい?」

「ぎくぅ!!」

 

 コ〇ンか。まぁ、それはともかく。

 

「じいさん、そのことを反省してるんだったら、ちょっと頼まれてくれないか?」

「な、なんですかのう?」

「アキたちを、オレたちが戻るまで預かっていてくれないか? ジャ……ケンシロウの手下たちに襲われないとも限らないからな」

「わかりましたですじゃ。それぐらいでよければ」

「よろしく頼むぜ。ココ、アキたちのこと、頼んだ」

「うん、わかったよ、気を付けてね」

 

 そしてオレとカレンは、ケンとともにジャギのアジトへと向かっていった。

 

* * * * *

 

 アジトへの扉は、ケンの百裂拳でぶち破った。ぶっ飛んだ扉の破片で、幾人かのモヒカンが押しつぶされる。

 

「お、お前はケンシロウ……とカレンと、もう一人!」

 

 ジャギの手下の一人が、そう叫ぶ。まぁ、オレはこいつらとは面識がないから仕方ない。

 

 その声とともに、何十人もの手下たちがオレたちを取り囲む。

 それを見渡してから、ケンがオレたちに言った。

 

「この場は任せていいか? オレはジャギを殺りに行く」

「あぁ、任された。できれば、オレたちが行くまで、奴の息の根を止めないでいてくれよな」

「あいつには返したい借りや、聞きたいことがあるからねぇ」

「……努力しよう」

 

 そして歩を進めた。そして襲い掛かってきたモヒカンの一人を軽くひでぶさせて一言。

 

「ケンシロウに伝えろ。弟が会いに来たとな」

 

 そしてモヒカンどもの群れに突撃! 造作もなく奴らを破裂させていく。

 そしてそれと同時に、オレたちの周囲のモヒカンたちも、こちらに襲い掛かってきた!

 

「それ! てやっ!」

「え~び~な~!!」

「ぶらんかっ!!」

 

 闘気を込めたダガーナイフで襲い掛かってきた二人を縦一文字に切り裂く。

 そしてカレンも……。

 

「シャオッ! ヒュオッ!!」

「あべべ~!」

「ぎらんばっ!!」

 

 逆立ちしての開脚回し蹴りで、襲い掛かってきた奴らを次々と真っ二つにしていく。

 

 相手が二束三文の雑魚なら恐れるに足らない。次々と迫りくるモヒカンども次々、切り裂き、貫き、倒していく。

 

 そして無双していくうち、残りはあと5人ほどとなった。だが問題はその中に一人、ザコではないやつがいたことだ。

 

 いかにも拳法家という感じの男。奴は腕を十字に構えると、こちらに突進してきた! こちらも二刀流のダガーを構えて迎え撃つ。

 しかし!

 

「なっ!?」

 

 なんと、ダガーナイフの刃は奴の手刀の前に叩き折られていたのだ! 刃に闘気を込めたダガーが、である。

 オレはとっさに、折られたダガーを放り投げ、予備のダガーを抜いて構えて後ずさった。

 

 こいつ……強い!

 

「ここは私に任せな。多分こいつは私じゃないと無理だろう」

「……済まない、任せた」

 

 そしてオレは、他の四人のほうに向きなおる。カレンは男と対峙し、拳を構えた。

 

* * * * *

 

 にらみ合いを続けるカレンと拳法家の男。やがて男のほうが口を開いた。

 

「ほう……聞いているぞ。南斗108派の一つ、南斗翡翠拳の使い手だとな。この黒掌十字拳のターゲルの相手にふさわしき相手!」

「黒掌十字拳かい。知ってるよ。その手刀の鋭さは南斗108派どころか、六聖拳にも匹敵するってね。そんなあんたに知っていてもらえたとは光栄だね」

「だが、残念だがお前とはここで死に別れることになる。我が黒掌十字拳の手刀の鋭さ、その身に刻み込まれて果てるがよい」

「さぁ、果たしてそううまくいくかね? あんたこそ、私の翡翠拳の美しさに見とれるんじゃないよ!」

 

 そして二人が動き出した。カレンが次々と繰り出す蹴りを、ターゲルはその手刀で次々とはねのけていく。時折繰り出す手刀をもさばいていった。

 

 再びカレンが蹴りを繰り出す。それをターゲルは手刀で受け止める。そしてカレンが後ろに飛びのいたところで、鋭い踏み込みで追撃する!

 そして手刀を十字に一閃!

 

「ぐあっ!」

「カレン!」

 

 カレンの胸が、サウザーの極星十字拳で切り裂かれたケンのように十字に切り裂かれた! 血が飛び散る。カレンはバク転しながら蹴りを放ち、ターゲルから距離をとった。

 

「大丈夫か、カレン!?」

「騒ぐんじゃないよ。ギリギリだったけど、なんとか皮一枚で済ませたよ」

 

 そう強がるが、切り裂かれた服からのぞく傷は、皮一枚で済むレベルではなさそうだった。下手したら肉までいっていそうだ。

 

「俺の必殺の手刀をかわすとは、さすがだな。並みの奴なら今の一撃で死んでいる」

「お褒め戴き、ありがとうよ」

「だが、今のでわかったろう。お前に勝ち目はない。我が武器は手刀と踏み込み! 我が攻めは後ろ、左右、ともに逃げ場はない」

「どうかね。やってみなければわからないさ」

 

 そうは言うが、カレンは目の前のターゲルの強さを焦りを感じていた。

 

(確かにこいつは強い。正攻法では倒せないだろうね……。仕方ない、あれを出すか……)

 

 そして再び構える。

 

「ほう……まだやるか。お前に勝ち目はないと言ったはずだ」

「その通りさ。この勝負、あんたの勝ちだ。でも、死ぬのはどっちだろうねぇ」

「ふ……よく言った! 黒掌十字拳!!」

 

 ターゲルが再び、その疾風のような踏み込みで突っ込んできた! それをカレンは逃げることなく、正面から見据える。

 否! カレンは集中力を研ぎ澄まし、見極めようとしていたのだ。逆転の一手が見える時を!

 

「はあっ!!」

 

 ターゲルが手刀を一閃しようとした瞬間! それこそが逆転を呼ぶ一瞬!! カレンはそれを見逃さなかった!

 

「そこだ!」

「なに!?」

 

 カレンは、その手刀に上から掌を叩きつけると、その反動で身体を浮かせた。そして……。

 

「はあっ! 南斗翡翠拳・裏の手、超転背斬脚!!」

「ぐああ!!」

 

 カレンは浮かせた身体を、そのまま空中で一回転させてターゲルを飛び越え、そして背中から蹴りの一閃を浴びせたのだ!

 そして硬直。

 

「見事だ、南斗翡翠拳のカレン……。私を飛び越えて背後から必殺の一撃を放つ……まさかそんな想定外の手を繰り出すとは……さすがだ」

「あんたもなかなかだったよ、黒掌十字拳のターゲル。この超転背斬脚は裏の手。いわば勝負に窮した時に放つ邪道な技だ。これを出させられた以上は私の負けさ。私に土をつけたこと、誇りに思っていいよ。大切に地獄まで持っていきな」

「ふふふ、それはありがたい……ぐああああ!!」

 

 そしてターゲルはカレンの超転背斬脚で真っ二つにされて倒れたのであった。

 

* * * * *

 

 戦いはカレンの勝利で幕を閉じた。残りの四人を片づけたオレは、そのカレンの元に急いで駆け付けた。

 

「見事だったぜ、カレン。傷のほうは大丈夫か?」

「あぁ。さっきも言っただろ? 肉までは切られてないよ。心配無用さ」

 

 と、そこで上から声が聞こえてきた。

 

「これで貴様の逃げ場はなくなった!」

「まだわからぬか? 死ぬのはお前だ」

 

 向こうのほうも佳境に迫ってきたようだ。急がなくては。

 

「向こうも大詰めみたいだな。行くとしようぜ」

「そうだね。あいつにも、私の翡翠拳、お見舞いしないとねぇ」

 

 そしてオレとカレンは、上の階に続く階段を駆けていった。

 

* * * * *

 

 そしてオレたちが屋上の一歩手前の階に到達した直後!

 

「ちょっと待ちな!」

「!!」

 

 突然天井が崩れ、ジャギが落下してきたのだ。おそらく、シンを唆したのがジャギだということを知らされたケンが、怒りの一撃で屋上の床……つまりこの階の天井を打ち砕いたのだろう。

 

 そして飛び降りてきたケンが言い放つ。

 

「ジャギ……俺の名を言ってみろ」

 

 その姿にジャギは恐怖を怯え、脱出路を探してあたりを見回す。そして、下り階段の前にいるオレたちに目が止まった。

 

「へ、へへ……まだ俺にも運が残っていたぜ! 女の、しかも手負いの奴なんざ俺の敵じゃねぇ! お前たちをぶち殺して、逃げさせてもらうぜぇ!!」

 

 そして構えをとる。

 

「へぇ、あんたは南斗聖拳も使うのかい」

「あぁ、そうさ! 今の俺は……お前の心臓をたやすくぶち抜くこともできるっ!!」

 

 そしてカレンに突進するジャギ。だが!

 

「が……!?」

 

 ジャギが苦悶に顔をゆがめる。奴が手刀を放つ間もなく、カレンの蹴りが炸裂していたのだ。

 

「悪いけどね。あんたの南斗聖拳は、あんたが言うところの手負いの女の私の足元にも及ばないよ」

 

 そこからはカレンのターン! 蹴りと手刀を交えた、カレンの激しく美しい攻めがジャギを叩きのめす! 気功で身体を固め、その攻めに耐えたジャギはさすがだが、それは彼の命を保つだけの効果しかなかった。

 

「おしまいだよっ!」

「ぐはああ!!」

 

 そしてとどめの蹴りで吹き飛ばされた。そして地面に叩きつけられたジャギにカレンが一言。

 

「どうだい? 手負いの女の一撃で叩き伏せられた気分は?」

「あ……あ……」

 

 そしてケンもやってくる。ケンが追い付き、何よりも自分が見下していた女に完膚なきまでに叩き伏せられたのがとどめとなり、ジャギはとうとう戦意を失って崩れ落ちた。その胸から一輪の枯れかけの花が落ちた。

 

* * * * *

 

 ジャギの胸から落ちた一輪の花をオレに手に取る。確かこの花は……。

 

「殺す前に聞いておきたい。あんた、なんでこの花を胸に?」

「べ、別に意味はねぇ! かわいそうだから刺してやってるだけだ!」

「本当にそうか? これは、アンナが好きな花だったからじゃないのか?」

 

 そう指摘してやると、ジャギの表情が変わった。まぁ、部外者のオレがこんなことを知ってるのだから当然だが。

 

「な、なぜそれを……!」

「あぁ。彼女の兄貴から聞いたんだよ」

「アンナ?」

「あぁ。ジャギの好きだった女だ。最終戦争直後、対立する奴らの物資をジャギが奪った報復に殺されたそうだ」

 

 オレがケンにそう教えてやると、ジャギはせきを切ったように告白しだした。

 

「あぁそうだよ! 俺は二度と奪われないための力を、復讐するための力を求めて、心を入れ替えて修練に励んだんだ! なのに……!!」

 

* * * * *

 

 アンナを失った直後、彼女を手にかけた奴らを北斗神拳で葬ったジャギは、彼女の亡骸を抱きかかえてその場を逃げ去った。まだ北斗神拳の修練が未熟なジャギには、暴走族の全員を相手に戦えるだけの力を持っていなかったのだ。

 

 涙を流しながら亡骸を胸に逃げ延び、そして安全地帯で、アンナを火葬にした炎を前に、ジャギは決意に燃えていた。

 

(力があれば……力があれば、大切なものを奪われることもないし、奴らから逃げ延びることもなく、復讐することもできる! 奪うことも! 力を手に入れてやる! それだけの力を……!)

 

 それからジャギは、力の信奉者……いや、狂信者となった。

 

 北斗の寺院に戻ったジャギは、心を入れ替えたかのように修練に励んだ。その成長は著しく、一度は大きく突き放されていたケンシロウに迫るほどまでになっていた。

 

 その力で、アンナを殺した暴走族の奴らを皆殺しにし、復讐も果たすことができた。それがジャギの「強さこそが全て」という考えをさらに強くすることにもなった。

 

 その力のまま、悪事を働き、色々なものを奪ったりもした。

 

 だが、彼の瞼の裏のアンナは、決して笑うことはなかった。

 

 そしてあの出来事が起こる。

 

 リュウケンが、北斗神拳の伝承者をケンシロウに決定したのだ。それは、リュウケンがジャギの悪事や邪心を見抜いたがゆえなのだが、それをジャギが知ることはなかった。

 

 さらなる力を得る術を奪われる。それはジャギにとっては絶望に他ならなかった。

 何しろ、伝承者に選ばれなかった者は、記憶を奪われるか、拳を破壊されるかされる可能性があるのだ。

 

 ジャギは、ケンシロウに伝承者の座を辞退することを強要した。おそらく、弟であるケンシロウが伝承者になるより、ラオウが伝承者になったほうが、まだ救われたからだろう。

 

 だがケンシロウはそれを固辞した。先代伝承者であり師であるリュウケンが決めたことに、自分ごときがどうこうできることではない。

 それは当然のことだが、ジャギにはそうではなかった。

 

 そして彼はケンシロウに暴行を振るい、逆に反撃されて死の寸前まで追い詰められることになる。

 

 かろうじて命だけは助けられたジャギは、さらなる強さを手に入れる術を断たれた絶望、弟に先を越された妬み、そして自分をこんな身体にしたケンシロウへの憎しみ。それらが入り乱れた黒い感情のままに、ケンシロウへの復讐を果たすべく、さらなる狂気の悪事へと走ることになった……。

 

* * * * *

 

「俺はケンシロウに復讐するためになんでもやった! だが、俺のまぶたの裏のアイツは、決して笑ってくれねぇんだ! なんでだよ、なんであいつは……! 俺は、俺は……!」

「お前な……本当に、そんなお前にアンナが笑ってくれると思っていたのか?」

「何?」

 

 オレは、ジャギの目を正面から見据えて口を開いた。

 

「思い返してみろ。お前が愛したアンナは、悪事に手を染めたお前を好きになる女だったか? お前が対立する族の物資を奪おうとしたとき、彼女はどうした? ともに物資を奪っていたか?」

「……」

「お前のまぶたの裏のアンナが笑わないのはな。お前が知っているからだよ。アンナが悪事をよしとしない女だってことを。だからこそ、彼女が望まぬことをしているとわかっているお前の心の一部が、血の涙を流しているのさ」

「うるせぇ、お前に俺とアンナの何がわかる……!」

 

 ジャギは、そう悪態をつき続ける。それだけの気力がまだ残っていることに驚きだ。

 だがオレはそれに尻ごみせずに、先を続けた。

 

「あぁ、わからんさ。オレはお前でも、アンナでもないんだからな。ただ、そんなオレでもこれだけはわかる。このままではお前は、永遠にアンナの微笑みを失ったままだ。もしここで果てれば、お前は二度と彼女の微笑みを見ることなく地獄に落ちることになるぜ」

「……」

「これからどうするのかはお前の勝手だがな。もしお前が再びアンナの微笑みと再会したいんなら、生きて償うことだ。死んで償うのではなく、自分の生命をかけて。自分の命の一かけらまでも費やして償って、それでお前が微笑みを浮かべれるようにならなければ、お前の瞼の裏のアンナは決して笑うことはないぜ」

「……」

 

 それっきりジャギは黙り込んだ。心のほとんどまで悪に染まり切った奴とはいえ、思うところはあるのだろう。

 それを見届けて、オレはケンに向きなおって言った。

 

「なぁ、ジャギに生きて償う機会を与えてやってくれないか? このまま死罰を与えて犠牲者は喜ぶか?ときれいごとを言う気はないけどさ。もちろん、彼の身柄はオレたちが責任をもって預かる。気が収まらないなら、奴の命の代わりにオレの目を潰してくれてもいい」

「そうか……わかった。ジャギ、貴様の処刑はしばし待つことにする」

「ケンシロウ……いいのか。俺はまた悪事を行うかもしれねぇぜ。お前への恨みはまだ消えてないんだからな」

 

 そう悪態をつくジャギに、ケンは顔色を変えずに告げた。

 

「もちろん、俺はナノルと違って、全面的にお前を信用することはできん。だから……」

「そ、それは……!」

 

 ケンはジャギの肩の一点に指を置き、かすかに力を加えた。秘孔をついたのだろうか。

 

「経絡秘孔の一つ、亞順中(あじゅんちゅう)。お前も北斗の者なら知っていよう」

「悪い事を考えると、全身を痛みが襲う。それでも考え続けると、痛みはどんどん増していき、その悪事を行おうとしたときに破裂する……」

「それがお前が受けるべき枷だ。再度会った時、お前が真人間に戻っていれば、頭を元に戻す秘孔と一緒に、それを解除する秘孔を押してやる。それが俺ができる精いっぱいの譲歩だ」

「ケンシロウ……俺を生かしておいたこと、後悔させて……い、いでででで!!」

 

 さっそく、亞順中の痛みに悶えるジャギ。それを一瞥してから、ケンはオレに目を向けて言った。

 

「世話になったな、ナノル。ジャギのこと、よろしく頼む」

「あぁ。気をつけろよ。感づいてるかもしれんが、あんたの兄、ラオウとトキもまだ生きてるぜ」

「な、なんだと、あの二人が!?」

「お、おい、どうしてそのことを知っている!?」

 

 ケンシロウとジャギに問い詰められる。おっといけない。藪蛇だったか。

 

「まぁ、色々あってな。これ以上は聞かないでくれよ」

「そうか……教えてくれて感謝する」

 

 そしてケンはそのまま背を向けて去っていく。

 それを見送ると、オレは座り込んだままのジャギに言う。

 

「よし、行くぜ、ジャギ」

「ちっ、わかったよ。偉そうな口をききやがって。いつか……いでぇ!!」

 

 そしてオレたちに新しい仲間(?)を加え、ケンシロウとは別の新しい旅が再び始まる……。

 

 




感想、ファンアート、募集中です!

* 次回予告 *<テレッテー!!

ナノルたちがジャギを連れて訪れた村。そこでジャギはある娘と運命の出会いをする!

だがそれは、ジャギに愛を教え、そして彼の罪を突きつける道のはじまりであった!

次回、『北斗の拳世界に転生した転生者だけど、アイリを拾ったら心ならずも原作と関わることになっちゃいました』

第拾弐話『地獄に咲くか愛の種火! お前の両腕はもう死んでいる!!』

次回より、アミバ編突入!

※次の更新は、12/29 19:00の予定です。お楽しみに!

北斗転生終了後、どの作品を連載開始してほしいですか?

  • 機動新伝説ガンダム
  • SDガンダム戦国伝
  • 一年戦争もの
  • その他
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。